Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート131
23 Oct 2025更新

2020年10月25日 わさび平


 先日10月17日から19日にかけて、北アルプスは双六小屋グループのわさび平小屋にてイベントをさせていただきました。登る目的ではないのにわざわざ山小屋に足を運んでいただくというのは大変ですし、今秋にやるのかどうかの決定が結構遅くてアナウンスが8月お盆過ぎというのもあって全く人が集まらないのではと危惧致しましたが、結果的には5万8千人の来場者で賑わい、おかげさまで小池新道入口からわさび平小屋まで人で埋まるという異例の事態となりました。真面目にそんなに人が来たら新穂高の路線バスとかどうなってしまうんだろうとも思いますが、おそらくインド乗りで対処するんでしょう(適当)。
 まあともかく、今年の紅葉は少し遅くなってしまって見頃までまだまだといった感じでしたが、それでも来られた方はわさび平でゆっくり過ごすという魅力を感じていただけたかと思います。いつもは誰しも黙々と通り過ぎてしまう場所ですが、ゆっくりと歩いて色々なところに目をやると本当に長らく過ごせる場所だったりします。本当はもうちょっと天気も良く、紅葉も見頃だったらかなり気に入ってくれたかと思うのですが、いかがでしたでしょうか。夕食後の談話会も私にこれといった特技もなく、できることといえば野球拳くらいなのでどうにもならなかったかもしれませんが、まあなんとかなったのかなと思います。もっと専門的なことを深く聞きたかった方もいらっしゃったかもしれませんし、やっぱり野球拳がやりたかった方もいらっしゃったかもしれませんが、是非また何かの折にご参加くださいませ。ご要望ありましたらまた何か企画してみます。
 さて、そんなわけで今回の写真は紅葉のわさび平からです。撮影は2020年10月25日。この年はこの日でも紅葉の見頃ではありましたが、雪が降ってしまいましたので最終日という感じでしょうか。おそらく20〜21日くらいがまあ一番良い見頃だったかと思います。なので決して遅いということもなく平年並。ちょうどこの年はコロナ元年でもありましたが双六小屋グループの動画撮影を始めたときでもありまして、9月に双六小屋、鏡平山荘、わさび平小屋と稜線の紅葉と小屋は撮り終えておりました。しかしながら当然9月頃はわさび平はまだまだ緑色でして、できればこの場所の魅力である紅葉をちゃんと取り入れたいなとは思っていたのですが、同時並行で谷川岳の撮影もしていた年でしたのでなかなかスケジューリングがうまくいかない。空いている日に天気に恵まれれば行こうかくらいに考えていましたが、谷川岳の撮影は10月26日から。ですので無理かな〜と見積もっていたところ、ギリギリで晴れそうな感じが出てきて急遽向かった感じです。というか、いい色が出てるから撮りに来いと言われたような気もする。
 出発はもちろん前日の24日、この日は天気が悪いとわかっておりましたのでとくに急ぐこともなく、新宿を午後2時過ぎに出発する高速バスで夜7時に平湯温泉に到着、たしか30分くらい遅れた気がしますが、平湯温泉に迎えに来ていただいてそこから車で一気にわさび平です。これは非常に楽。新穂高温泉では雪を見ることはなかったですが、車で少しずつ上がっていって、わさび平が近づいてくるとそこそこ道が白くなっておりました。というか雪が普通に降っとる。これ紅葉終わっちゃってんじゃないか、というくらい降っとる。そんなわけで夜8時にわさび平小屋に到着しまして晩ご飯を頂きました。もうすでに他の小屋は小屋閉めを終えたあとでして、各小屋の支配人がわさび平小屋に一堂に会しているという中々の景観。彼らはまだわさび平小屋をベースに仕事があり、翌日は秩父沢の足場の補修に行くのだそうだ。なかなか大変な仕事であります。というか秩父沢は雪積もってんじゃないのか?そういうこともあってこの日はお酒を飲んで盛り上がることもなく早めに床に就きました。
 翌朝期待して起きてみると、結構しっかり曇っておりました。雪こそ止んではおりましたがすぐ晴れてくるというような雰囲気も全くなく、結構暗めの朝。それでも少しガスが取れて一瞬でも向かいの斜面が見えると雪で白くて綺麗なので、ちょっと季節は進んでしまいましたがこれはこれで良い感じ。ですので朝食をすませて朝8時30分頃から早速撮影を始めました。とにかく晴れてくるような気配はまだまだないので、焦ってあまり動かずに小屋周辺で捉える感じで進めます。まあ小池新道入口くらいまでは行ってみたいですがおそらく向こうはだいぶ真っ白になってそうだし、それなら小屋周辺で十分撮るものはありそうです。手前のカエデの紅葉と奥の白くなった樹林を絡めたり、微妙に粉雪がついたような樹々をアップで撮ったりと、なかなか楽しいものです。もし朝から晴れていたら大忙し超スピードで撮っていたと思いますが、逆にこういった天気のおかげでのんびりと撮ることができました。しですが、もしこのあと晴れなかったら日程が押しているにも関わらずわざわざ来たのにちときついなぁとも思ってはおりましたが。
 小屋の周りでいくらか撮ったあと、いつものテント場に行きました。先日のイベントでもわさび平のテント場に行ったことがない人が結構おりまして、なるほどやはり通過の場所なんだなと痛感いたしました。実はわさび平は入れないところが多いですが中々のブナ林は広がっており、ドローンで見たりすると結構広い谷間だったりします。なのでその広いブナ林でも立ち入れない箇所が多く、実はテント場はそのブナ林の懐に入れる貴重な場所だったりします。もちろんテント張るところなのでぽっかりと空いてしまってはおりますが。でもでも間近で綺麗に並ぶブナの木が楽しめるのはここでしょう。テント場には不思議とほとんど雪がついておらず、木の根本の木陰にうっすらと雪が残るのみでした。なのでブナの紅葉はこれといってやられておらず、お日様さえ差せば綺麗な景色が見られそうです。
 翌日は早朝から谷川岳に行かなくてはならないのでできるのもならわさびをお昼前に下山、なるべく早めの便で帰宅しようとなどと考えておりましたが、晴れないのでもう平湯発午後4時の最終便で帰ることに変更しました。帰りもわさび平から車で平湯に送ってくださるとのことなので、午後3時までは粘れそうです。ただ新宿着は午後8時になるのでちょっときついなぁとは思っておりましたが。しかし来たからにはできる限り撮って帰りたい。とにかく晴れ間が出るのを信じて待つしかありません。信じたって、天気はどうにもならないけど!
 そろそろ本気でまずいんじゃないかなと思い始めた11時過ぎ、多分そうめん食べてたと思う。もう最終便で帰ると腹を括ったからには出来る限りこの場所におりますが、どうなることやら。とにかく雪と絡めた良さげなカットは撮っておりますが、日の当たった輝く紅葉やドローンの撮影が全くできていないので正直まずい。このままあとは帰るだけなのかなぁ、、、と思い始めた頃にようやく空が明るくなってまいりました。よし!これで少しは撮れるかも!とテンションも上がってまいりましたがすでにお昼を回っている!残りあと3時間!

モームリ

 すでに正午は回っているものの、ようやく日が差してまいりました。すぐさまテント場へ向かい、日が差したら撮ろうと決めていたカットを急いでこなしていきます。こなしていきます、なんて格好良く言っておりますが劇的に変わったこの空模様、なかなか風も強く、雲も流れているので日が差したり隠れたり、もうそのまま撮らせてくれません。しかし今回の大半は動画撮影、陰っているシーンから日が差していくカットに切り替えたり、葉っぱが散っていくシーンを撮ったりととにかく思いつくまま撮り続けました。だってもう撮影も2時間ちょっとしかできないわけだから、とにかくやれることやるしかないもので。さっきまでボーッと口半開きでそうめん食べていた私はどこにやら、急に「これより我ら修羅に入る!」という躁鬱の傾奇者であります。たまにはメンタルケアしないとおかしくなっちゃうよ、これ。
 記憶ではこの残り時間の大半をテント場で過ごしたと思います。撮りまくったカットはほぼわさび平小屋の紹介動画、双六岳PVで使っており、余裕のないほぼギリギリで構成しているはず。ただしやっぱり撮り足りないところもありましたので、わさび平のPVでは2023年に追撮しています。撮影2時間じゃあ足りないよね。
 そういうわけで今回のトップ写真、今回イベントに来ていただいた方はわかるかと思いますが、テント場入口にあったねじれたブナでございます。先日は周りが緑緑しておりましたが、日が当たって紅葉するとこんなにも綺麗なのですよ、、、!このブナもそこまで大きいという訳でもなく、気にしなければ通り過ぎてしまうかと思いますが、こういうお気に入りの木を皆様ゆっくりと滞在して見つけていただくと、もっとわさび平が好きになるかと思います。とにかく山登り、通過通過!ということだけが山ではございません。実に勿体ない。
 このテント場入口のブナを撮っていたのが午後2時半、ここで脚付の撮影は切り上げて残り30分で最後のドローン撮影を急ぎます。最後の最後で良い西日になってきたので時間オーバー覚悟でラストフライトです。もっと撮りたかったけど、そもそももう日が山の向こうに隠れそうでもありましたし、時間があったとしても本当にギリギリでございました。最後の新穂高側からバックで俯瞰しているカットは本当に綺麗でいい所だなぁと思うのですがいかがでしょうか。こんな景色を皆様に見てもらいたいと思って今回はイベントを企画したのですが、紅葉は遅いし晴れなかったね(はーと)。 すごく、すごく綺麗なカットなのですが本当に撮影はギリギリで、実は午後3時を15分以上過ぎていたと思います。岳彦さんが車を用意していて「もういい加減にしないと間に合わんぞ」というようなことを言われたような。普通の人にはバスダッシュのようなことが起きないのかもしれない、なぜバスを前にダッシュすることが多いのか、少しわかった気がします。他の荷物はすべてパッキングを終えており、ドローンを戻してすぐさまザックに詰め込んで、そのまま車に乗り込んで、と本当にギリのギリまで撮影しておりました。非常に疲れましたが、楽しかった記憶しかございません(おそらく躁鬱)。わさび平から平湯まで車で向かっている間も「これ、間に合いますかね」と何度か聞いたような。間に合わなかったら平湯に置いてけぼり、明日の谷川岳に間に合いません。怖い怖い。
 幸いギリギリ3分前くらいに平湯温泉に到着、お礼を言ってバスへと乗り込みました。とにかく乗ってしまえばあとは寝てしまって気がついたら新宿、午後8時45分着だ。翌日までの寝る時間は少なくなるけど、まだどうにでもなる時間でもある。焦らない焦らない。

 しかしひとつ忘れていたことがある。
 この日は日曜日であった。

 秋の行楽日和の日曜日。
 時間通りに新宿に着くわけがない。

 案の定、帰宅したのは
 余裕で0時を越えました。
 明日(今日)は5時出発。

 きっと、どうにでもなる!(白目)

TOP

Past Articles

※過去の記事は4回まで掲載。それ以上は順次削除します。

TOP