Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 74
23 Oct 2020更新

2016年発行JTBパブリッシング「すぐそばにある!関東の絶景」・掲載写真「谷川岳」


 あっという間に2週間が経つのだから恐ろしい。紅葉の時期だから双六から帰ってきてまたどこかに撮影に行っているのでは、と思っていらっしゃる方もいるかと思いますが、実は山に行ってなかったりします。というか、この2週間、そこまで天気がよくなかったですね。山では雪が降るし、まあ雪が降ってくれたほうがおもしろい絵が撮れるからいいのですが、まあでもなんとなく不安定。ようやく高気圧がしっかり乗るかな、と思ったら色々と用事がありまして出かけられませんでした。用事って、陸上トラックじゃあないですよ。いや、陸上トラックも結構行ったけど。。。夏に撮影したビジターセンターものをようやく形にしていくところでございまして、編集作業などに勤しんでいたわけです。
 しかし紅葉というものはあっという短い間に過ぎ去っていくもの、人生であと何回撮れるか、、、と考えると少しでも多く、色々なところを撮りたいものですが、なかなかうまくいかないものです。他の業務はもちろん、天気や紅葉の出来栄えだって左右しますので、行ったからといって撮れるわけでもない。私にとっては「撮れた」が「行った」ことになるわけで、撮れなかったら行ってない扱いになるわけです。しかしその場所その場所のベスト紅葉デーは一年で2〜3日しかないものですし、いくらいい場所でも何度も行くわけにもいかなかったりもしますし。難しいですね。70歳すぎくらいまで生きられるとして、あと30回くらいしかないと思うと、おそらく撮りたいものを撮りきるのは厳しいだろうなぁと思う次第です。とりあえずは1回1回を大事にしていきたいものです。でも紅葉の出来も年々良くなくなっている感じもありますから、もっと少ないのかな?
 あと何回できるだろうか?というところでは陸上競技もそうなのかもしれない。こちらは確実に年々衰えていくものでありますし、あと何回100m11秒台、800m1分台で走れるだろうかと考えてしまうと、ちょっと寂しくなっちゃいますね。そりゃあ歳に応じて楽しんでいればそれでいいですけど、タイムという残酷な形であからさまに衰えを感じるのはやはり嫌でございます。今年はスピードは上げられてる感じはするのですが、体力の方にやや不安があり、なんとも満足いかないシーズンでございました。とはいえ先日練習で日本選手権出場のエリートランナーにペースを引っ張ってもらって、何の力も入れずに楽に400m52秒で走れたのでまだいけるかな?100mは連続して3本走っても11秒5〜6出せるし、、、まだ10秒台の夢も捨ててなかったりするし。42歳にしては動けているのかな。。。周りからは「あいつは薬やってる」と言われておりますが、毎朝キューピーコーワゴールドのお世話になっている中年です。時折そのあとにアリナミン飲んで、モンスター飲んで。。。おや?これはとても70歳までも生きられなそうだぞ。
 さて。今回の写真ですが、紅葉の谷川岳一ノ倉沢でございます。先程「いくらいい場所でも何度も行くわけにもいかない」などと言っておきながら、紅葉の一ノ倉沢って一体何度行ってるんだろう、というくらい行っています。いや特別にいい場所という扱いをしているわけではないのですが、まあ首都圏から近いとついつい行ってしまうのと、紅葉の見頃が山上とあまりかち合わない10月下旬というのが大きいのでしょうかね。紅葉は人生であと何回、、、とか言ってるんだから、少しは違うところへ行けよと言われればその通りですが、何でしょうね、気付いたら行っていたります。せっかくだからどこか行かなきゃ、と思い立った時にまあ頭に浮かびやすいのか、私の想像力が乏しいのか。このときの撮影は2011年10月27日、稜線に雪が降ってしっかりと撮れたので、もうこれにて紅葉の一ノ倉沢は撮らないぞ、と思いましたがその後も何回か行っているような。。。本当にもう行かないぞ!
 撮影は朝から行うために前日入り致しました。と言ってもいつもの土合駅ステビバでございます。夕方5時の天気予報をチェックして確信を持ってから出発、土合駅には夜9時前の到着です。何パーティかテント泊もおりましたが、私は待合室のに薄いマットを引いて横になりました。寝れたのか寝れてないのかよくわかりませんが、まあこんなものでしょう。しっかりしたマット敷いて地面に寝れば快眠できるとは思いますが、翌日日帰りだし、わざわざ持っていくのも面倒です。とりあえず駅の電気は消えて欲しいところなんですが、煌々とついたままなんですよね。
 翌日27日は4時ごろに起きて、菓子パンで朝食。無人駅ではあるが自販機があるのでとりあえずあたたか〜いコーヒーは買えるのはありがたい。5時前には一ノ倉沢に向けて駅から出発しました。歩き出して少しすると汗かけるくらいの気温ですが、いつの間にかずいぶんと冷えるようになったものです。というか26日はしっかり冬型、27日は高気圧が乗りまくっての天気なので冷えるのも当然か。ちょっと前までどうしようもないくらい暑い場所だったのに、、、本当に谷川岳は極端であります。一ノ倉沢に着いたのは6時前くらい。日の出は6時ちょい過ぎくらいなのでギリギリ間に合った感じ。カメラをセットして、赤く染まるのを待ちます。稜線には前日の雪がしっかりついているのでイメージ通り、秋らしい、山らしい写真が撮れそうです。
 6時5分くらいから稜線を染め始め、ゆっくりと明るくなっていきます。夏の朝はべったり順光で岩壁の写真が撮れますが、だいぶ傾いてきた秋はホントどっから上がって来てんだ?というくらいの外野から光が当たってきます。とりあえずは右手の衝立岩の方にグイグイと光が当たっていきますが、左手はきっつい影の中。まあもちろんこの傾きの低さが秋らしい雰囲気、秋の一ノ倉沢だぜという感じがあるわけですが、本心ではできたらもうちょい当たってくれると嬉しいと思ってたりして。月を爆破して地軸が傾けばそういうこともあるのかもしれない、というほのぼのした未来に希望を抱くことにしています。
 まあそういうわけでまずは日が当たっている箇所を重点的に撮っていくわけですが、ちょっとガスが湧いたりしてなかなかの好況でした。ガスが湧くとこのまま曇ってしまうのではという恐れもありますが、このくらいなら大丈夫でしょう。振り返ると笠ヶ岳はまだ雲の中ですが、次第に晴れていく傾向がわかるのであまり心配はしませんでした。7時くらいでもまだまだ一ノ倉沢出合は陰の中、稜線はずっと光が当たっておりますが、さすがに動いていないので寒いです。
 さらに1時間経過、8時頃でも出合はまだまだ日陰です。手前の紅葉も光が当たっていないのでまだウォーミングアップモード、壁だけに光が当たっている感じだとまだまだ物足りません。先程の東側の雲が取りきれて、霧氷がびっしりとついた真っ白な笠ヶ岳は非常に美しかったです。カメラはいつでも撮れるよう一ノ倉沢に向けておりましたが、さすがにまだ日が当たらんし、気がついたら振り返って笠ヶ岳をバリバリ撮っている自分がおりました。浮気は良くない!でも東側の樹々には光が当たってるのに、いついつまでも出合のまさに出合、三脚を構えているところには光が当たらんのです。いい加減寒いのでその場で小走りです。
 岩壁側の紅葉に光が当たり始めるのはようやくの9時ごろ。光が当たる、というかはかなりの斜光で紅葉が浮かび上がる感じなのですが、これがまあ一ノ倉沢らしくていいですね。べったりと光が当たればそれもいいですが、斜光で浮かび上がる紅葉の前景は岩壁の迫力を失わない粋な演出であります。ということで今回の写真です。撮影は9時半ごろなので、もうここで3時間半もずっとだらだらとやっていたわけですね。なんとも効率の悪い。このあとは岩壁に光が当たる部分がどんどん増えていく、ということはなくむしろどんどん日陰っていきますので、ベストなタイミングってこのあたりの時間です。しかしこの影が岩壁の立体感を生みますし、やはり夏のようにべったり光が当たってしまってはちょっとあっけらかんとしてつまらないのかと思います。まあでも先程述べたように、もうちょっと当たって欲しい、というところもあったりします。
 ということで撮影から4時間が経ち、一ノ倉沢の撮影を一旦終えてお次は幽ノ沢へと行きます。実は私は一ノ倉沢よりも幽ノ沢の景色が好きだったりします。もちろん一ノ倉沢の景観は横綱級でございますが、そういう所の運命といいますか、撮影はワンパターンになりがちです。幽ノ沢は大関級ではありますが、いろいろと工夫のしがいがあるところが好きなんでしょうか。岩壁、というかは山っぽいし、まあ見える一ノ倉岳はカニの形相と言われればそれまでですが、堅炭尾根だけで切り取ったりといろいろできます。実は紅葉の密度もこちらのほうが楽しめたりするので好きなんです。それでいて一ノ倉沢からここまで20分くらいなのですが人はめっきり減りますし、そういうのもいいですね。マチガ沢もいいけど、ちょっと小結ではあるかな。学生のとき初めて来たときも、一ノ倉沢よりも幽ノ沢を一生懸命撮っていたような覚えがあります。
 一ノ倉沢に戻ってきたのが12時半、岩壁はすっかり真っ暗で、前景の紅葉だけに斜光が当たっていました。これはこれでいい景色だけれど、しかしホント日が短くなったのを実感します。一ノ倉沢出合からはいつものコースで湯檜曽川へと下り、川沿いで帰ります。こちらも旧道から外れると人影がほとんどなく、すごくいい景色なのにもったいない。道がもう少し良いともっと人が来るとは思うのですが、大雨でよく崩れることもあるので致し方なしか。河原で水の流れと紅葉をまったりと撮りつつ、お日様が山の向こうに隠れるまで秋景色を堪能しておりました。秋はだいたい毎度このコースで周回して、土合へと戻っていきます。

また行くんか

 帰り際で印象に残っているのが新幹線からの景色。高崎駅あたりでちょうど日が沈むところで、ちょうど妙義山の方向に沈んでいきました。妙義山のぼこぼこしたシルエットの真ん中に日が沈んでいく景色を見て、いいなぁ、撮りたいなぁ、と思いましたが未だ実現していません。どっから撮ったらいいんだろう。ちょうどルートインの屋上あたりがちょうど良さそうなのだが。。。こういうのではドローンとかは俗っぽいからダメです。ジェダイがブラスター使うのと同じくらい、”so uncivilized.”
 ということで丸々一日一ノ倉沢、みたいな日でしたが、ゆっくりと楽しめた撮影でございました。湯檜曽川で日が暮れたのは午後2時半くらいでしたが、それからバスに乗って、新幹線に乗って、ようやく高崎で本当に日が暮れるまで結構時間がありました。当たり前のことではありますが、改めて山の大きさ、谷川岳の岩壁の削れ具合みたいなものを実感したような気が致しました。いつもの景色、いつもの場所でしたが、ずいぶんと谷あいに、私は居たんですね。
 これにて紅葉の一ノ倉沢は卒業、と思いましたがこの後も何度か行っているようです。もう行かないぞ!どんどんいろんなところを撮らなければ!

 ところで、ビジターセンターの話ですが
 どこの山かと言うと
 谷川岳だったりします。。。

 一ノ倉の見頃は来週です。
 見かけたらお気軽にお声がけください。

 忙しかったら
 「うるせえっ!!」
 ってちゃんと言いますから。

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