Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート05(改訂加筆)
09 Sep 2021更新

JTBパブリッシング「すぐそばにある!関東の絶景」日光白根山


 9月に入りまして、ずいぶんと一気に季節が変わった感じがする年でございます。8月末はずいぶんと暑い日があり、これは暑さが戻ってきたなぁと思っていたら雨ばかりの日々で過ごしやすいっちゃあ過ごしやすいですがどうなんでしょうか。一気に下がりすぎると紅葉が思いのほか早く来てしまうかも、とか枯れちゃうかもとかが気になっちゃいますし、下界にいても雨で走れなかったりしますから何だか悶々として過ごしております。ちょうど編集を急ぎでやらなくてはいけないタイミングですのでちょうどいいわけでもありますが、、、2週間後には山は紅葉すると思うと気持ちが焦るばかりでございます。
 先月なんとか残りの撮影を済ませまして、おかげさまで形にできそうな状況に持ってくることができました。晴れのタイミングを振り返るとギリギリぴったり余裕なし、という感じでしたので無事終わって良かったです。その山を撮るといってもただ撮ればいいわけでもなく、夏だからざっくりと夏に行けばいいわけでもなく、花のベストタイミングなどを考えると実は期間って短いので、いつも終わってから思うわけですが、なんとか無事嵌ってよかったなぁという感じです。花とかもホント3〜4日過ぎるとパッとした見た目は変わらないようで結構見頃が過ぎたりしていますから、細かいところを気にしだすと大変なわけです。テキトーにぼちぼちでも「花もキレイ!」なんて感じで済ますこともできないこともないですが、見る人が見ればわかる一番のベストタイミングというのをしっかりとおさえないとやはりダメ。とはいえ振り返って編集していると「ああ、こういうカットも撮っておけばよかった。。。」と思うこともしばしばで、とにかく天候、花のベストタイミング、現場での撮影進行などを考えると仕方ないんでしょうね。こういうカットも撮っておけばよかった。。。ってそりゃ時間があれば撮っただろうけど、ホント時間がなくてなくて。こういうの理想的に撮るんだったら3班くらいに分かれて撮るのがいいんでしょう。なにぶん一人でやっているもので、色々とお許しくださいませ。まとめたものは今年中に納品するのが契約ですので、今しばらくお待ちくださいませ。
 ということで色々とデスクワークが忙しくなってまいりまして、、、申し訳ございませんがレポートは過去の改訂加筆になります。月末はまた撮影があるのでまた次も改訂加筆だったらすみません。とは言え最近ちらほらと「昔のレポートは読めないんですか?」というメールを頂いておりますので、それに甘えてしまおうかという甘い考えもしていたりしていなかったり。しかしながら昔に書いたものを今読み直すと結構恥ずかしいもので、、、こんなものを書いていたの?と思ったりしてしまいます。昔に比べると文章量も最近はだいぶ増えている感じもあって、もうこんなものを書き始めてから5年くらい経っているのですが調子とか色々と変わっていたりするんですね。。。写真もそうですが、自分が撮った若かりし過去のものを見ると「考えが浅いなぁ。。。」などと思うことも多々あり、まあ決して自分自身が成長しているとかではなく、結局そのときそのときの心境でしょうからただ歳をとったというだけなんでしょうが、まあともかく黒歴史的なものを感じるわけです。人間は歳をとると深くなるのか、はたまた丸くなるのか、よくはわかりませんが、とりあえずそのときそのときを一生懸命生きていく、ただそれだけであります。ですが一生懸命生きるというのももちろん無理がありますから、「適当に力を抜いて一生懸命」という感じでいきたいと思います。相変わらずよくわからん。ということで今回はレポート05の改訂加筆でございます。

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 2016年春に発売したJTBムックでの使用写真です。このムックは見開きで約A3のグラビア誌で、すべて拙の写真で構成しており、見ていると疲れるほどの迫力の写真がいつまでも続くという、体力派の方にはおすすめの本。一日で見ようとするとなんかこう、肩が凝ったりしますので、何日かに分けて楽しむのが正しい使い方です。おすすめ、と言っておきながら昔のムックですのですでに販売は終了、どこかで中古で見つけてくだされば。。。とにかくふんだんに写真を載せておりますので、このムックからはまたいずれ違う写真をこのレポートでご紹介することがあるかと思います。
 この写真の撮影日は2013年9月9日。この山、日光白根山も季節を問わず幾度となく足を運んでいますが、よくよく振り返ると丸沼や前白根、五色沼などからの一歩引いた「山容」を撮ることが多いので山頂で晴れたことというのは実は少なかったり。関東以北最高峰ともあって展望のよい山頂は大パノラマが広がりますが、やや他の山と離れており「この場所(山頂)から撮る他の山」というのがないためかおろそかになっておりました。ちょうど夏の撮影もひと段落して秋らしくなるまでの余裕のある期間だったので、最低限山頂の写真が撮れればよいか、くらいの軽い気持ちで足を運んだと思います。とは言えせっかく出かけるのだから、この日は日光白根山を往復し、その足で帰りがてら丸沼から鳩待峠へと向かって山ノ鼻でテント泊、翌日は初秋の尾瀬ヶ原、という計画を立てておりました。
 幕営プランながら夏なのでたいした重量にはならない。1泊ということもあって食料も少なめ。まだそこまで気温も下がらないので全体的な装備も少なめ。ということで東京から新幹線に乗り、高崎で乗り換えて沼田、そこからバスでまずは丸沼へと向かったのでした。谷川岳界隈にもよく足を運ぶということもあって群馬県は非常に近いイメージがあるのですが、沼田からバスに乗って丸沼、尾瀬方面に向かうと思いのほか時間がかかる。いつもここで丸沼とか尾瀬って実は遠いよな。。と思うのですがどうなんでしょうか。谷川岳のアクセスが良すぎる、というのが原因ではあると思いますが、そういったちょっとしたバスの移動時間というのも山を知るにはいいきっかけだったりもして、意外に近いと思っていた山が、実は山深いところにあるといったようなことを身を持って覚えることができる「ような」気がします。常々自分が撮る山の写真には、ただきれいに写し撮るだけでなく、そういった土地柄やそのほか特有の地質、気候など、その山の持つ特性も絵の中に入れ込んでいくことを念頭に置いており、「里からの距離感」というのは結構重要で理解すべきことだと思っていたりします。
 夏の名残もあってまだ暑いので雲はポコポコを湧いてきてはいますが、山を覆うほどまでは成長していない様子。9時55分に丸沼に到着してロープウェイで一気に雲上へと上がり、山頂を往復して下山、丸沼からは14時20分発のバスに乗ればゴニョゴニョ乗り継いで16時30分に鳩待峠に着く算段だ。夏の雲は読めないがさすがに9月、やや雲の成長も弱まって、このままなら山頂まではもってくれそうな感じです。10時近くになっても天候が落ち着いているのは非常にありがたいです。私の尊敬する歴史的なプロフェッショナルの名言で「10%の才能と20%の努力、、、、そして、30%の臆病さ、、、、残る40%は、、、“運”だろう、、、な、、、」というプロとしての条件を語ったものがありますが、わたし的にもバスに乗りながらそんな気分に浸っておりました。「雲湧くかな、湧かないでいてくれるかな」という臆病さ、そして湧かないでいてくれた「運」のよさ、、、、。プロだ。才能と努力は第三者にも見てもらわんとわからん。まあ夏周辺の雲の湧き具合というものは本当にわからないので、こればかりは運頼みなのは間違いない。沼田からのバスを下車、鎌田で丸沼高原行きのバスに乗り換える。もちろん鎌田のバス停にあるいきつけの「かたしなや(当時)」でソフトクリームを買ってからバスに乗り込む。プロだぜ。平日ということもあってかバスの乗客は自分以外おらず、人出が多いイメージのある山の割にはずいぶんと空いているんだな、と思いました。
 丸沼高原に到着し、颯爽とバスを降りる。さっそくロープウェイ駅へと向かう。こういうところで時間を無駄にしない、というのもプロの心掛けである。しかしである。よ〜く周りを見渡してみるとですね。。。ちゅ、駐車場に車がない。一台もない。ほほう、人気の山の割にはずいぶん空いているんだな、、、、おっと、自分がトップバッターか、はは、まいったな。などと思いながらロープウェイ駅の入口へ行くとですね、どうにも信じられない文言が書かれた看板が目に飛び込んできたわけであります。「ロープウェイ本日運休」。は、はぁ。。。思わず腰が抜けて膝から落ちてしまった、、、そしてそのまま両手は空を仰ぎ、、、、そう、それ、映画プラトーンのウィレム・デフォーのような感じであります。ついてない!運がない!プロぢゃない!ちゃんと下調べしてこなかった自分のダメさに思わず驚愕してしまったと同時に、ふとバスの運ちゃんひと言言えや〜とも思ったが、、、まあ自分が100%悪い。しかしどうりでバスの乗客がいないわけですわ。。。
 しかしながらここで焦ってはいけない。こういった時でもふと思い出す師のお言葉「、、、男なんてのは、自分が一番良いと思う事をやるしかないんだ、、、たとえそれが、他人から見て、どう映っていようと、、、な。そして、一度決めたら状況がどうなろうと信じるしかない、、、」。そして、覚悟を決めるんだ。そう、覚悟。「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!ってそれは違う人の言葉だ。。。ともあれわざわざこんなところまで来てしまってから悩んでいても仕方がない。まだ山は晴れている。自分のやれることはとりあえずやるんだ。。。と決め、泣きながらゲレンデを登っていったのでした。地図を見ると山頂駅まで2時間15分て書いてある。うふふ。
 下の駅からゲレンデを歩いて山頂を目指した時点でこの日の尾瀬入りは厳しくなりました。今この場で考えてもしかたないので、とりあえずなりふり構わず泣きながらゲレンデを歩き、持ち前の明るさもあってかどうやら50分ほどで山頂駅に着いた。もちろん山頂駅には誰もいないわけで。そういう意味ではこの観光地が独り占めできるのも悪くない、、、というかちょっと嬉しかったり。嬉しさのあまりピョンピョンと腕を広げて跳ねたい気持ちもあったが、ここはライブカメラがあるので油断は禁物である。ライブカメラめ、おれのうしろに音もたてずに立つようなまねをするな、、、おれはうしろに立たれるだけでもいやなのでね、、、とプロっぽく行動し、とりあえず撮影に取りかかりました。ゲレンデのロスタイム分が功を奏したところもあって、悪くない西日が日光白根山を照らしていた。雲は湧いてきてしまいましたが、真夏でも秋本番でもない中途半端な時季としてはありがたい演出とも言えます。若干ながら、庭園にはコマクサが何株か残っておりまして、少し夏っぽさを感じられたのは良かったです。さて、お次は目的としていた山頂へと急がねばならないわけであります。今回は作品撮りというよりもガイド用などの商品撮りのほうが任務は大きく、ある程度晴れた山頂の写真を撮らなくてはならないのです。といいながら山を撮るのがよほど好きなのか、歩き出しても山容が撮れるポイントがあれば逐一撮ったりして案外足は止まってばかりだった気がします。
 登山道も相変わらずの無人で静かでした。稜線に出てザレ場を登り、山頂部にある窪地に出ると日光湯元側から登ってきた登山者が二人くらいいただろうか。すごく混雑していたときに以前出くわしたことがあったので、ロープウェイが動かないとこんなにも登山者が少ないとは思わなかったです。無事山頂に着き、周辺の現場写真を収めました。やや雲が湧いてしまったが、日は当たっているのでなんとかなりそう。。。かな。。。雲ひとつない快晴を愛するピーカン大使としてはやや納得いかないところもあるが、まあなんとか。2013年は1月末にもここに来ているので、約7ヶ月ぶりの山頂でありました。

テントを背負ってますが下山します

 実はもうひとつ任務を帯びており、直近で雑誌で使用するプロフィール写真を撮りにも来ていた。山頂直下の窪地は撮影地にちょうどよいと考えていたが、人が多いと(セルフ撮影のため恥ずかしくて)撮れないのでは、と懸念もしていたわけであります。それがロープウェイが運休のおかげで誰もいない。。。こんなところで運を発揮するとは。。。(プロかも)。とりあえずある程度仕事も終了し、もう尾瀬にも行けなくなってしまったので手っ取り早く下るために、日光湯元側へと下って帰ることとしました。う〜ん残念。
 山頂から避難小屋へと下ると、目の前を何頭か鹿が横切っていった。この辺りにも結構入ってきてるんだなぁ。白人もいた。それはまあ、別にどうでもいいか。いつものごとく五色沼へ下って弥陀ヶ池を周り、そこから五色山へと登り、前白根山経由で湯元へと下っていきました。前白根山から日光白根山と五色沼の全体像を見渡すと、部分的に紅葉がはじまっているところがありましたがあまり良い色づきでないことからこの年の紅葉はあまり良くなさそうだなと思いました。この回の取材は重要な時季ではないので最低限撮ろうと思っていたものは手に入ったわけですが、当初の理想通りの任務とは行かなかったこともあってやや納得がいきません。こういうときは自分への罰の意味合いも込めて、下山後の日帰り入浴はお預けであります。
 湯元からバスに乗り、東武日光駅へと帰っていきました。よくよく考えるとせっかく来たんだから日光白根の避難小屋に泊まって翌日もじっくり撮りゃいいいんじゃないの?とも思うわけですが、おそらく前白根山からの見た感じが「じっくり撮ろりたい」と思わせない季節感というか、そういう感じだったのかとも思います。まさにベストシーズンベストタイミング、という環境を目にすると何日でも、同じ構図でもなんでも何回でも撮りたいと思う性分なので、何かそう突き動かされるものがなかったんでしょう。いやでももったいないな、と今更ながらに思ったり。しかしまあだいたいその場にいたときの感覚に従ったほうがおそらくはいいんでしょう。なわけであっさりと帰路についてしまいました。でもとりあえずは今回の任務は遂行したのです。もともと作品撮影を念頭に入ったわけではなかったし、できることはやれたとも思うので、ここはプロらしく胸を張って、「報酬はスイスの銀行に振り込んでおいてくれ」と言いたいところです。でもあのプロはしっかり前払いだな。。。

とりあえず東武スペーシアは安いのでうれしい。

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