レポート124
02 May 2025更新
2017年4月27日 岩木山

今年の春の天候はなかなか不安定な感じが致しますが、ようやく落ち着いてきたような気もしないでもない今日この頃、あまり練習を積んでいないのですが久しぶりに陸上の記録会に出てみました。ここ最近はある程度のスピードで中距離を走ることばかりで短距離系MAX出力の全く練習をしておらず、まあしていないのでそのままうまく体を動かすこともできず撃沈致しました。100mは流石に全然ダメそうだから200mにしたのですが、短距離系で体を動かしていないんだからそりゃあ200mだって全然ダメですよね。あれ?200mってこんなに疲れる種目だったっけ?と終わった後に思いました。400mより疲れた感じがしたのでちとショック。何というか、たいしてスピードも出ないのに出そう出そうと必死に力んだ感じで、そうして軽快に前を走る高校生に置いてかれまくり。より力む力む。最低限目標の23秒台は保ちましたが、これ100mだったら11秒台すら出なかったのでは、、、というところです。やっぱり何事もしっかりと準備しないといけないですね。年齢的にそろそろ試合に出るはやめようかなぁと傷心してしまいました。オッサンいい歳こいて何やってんだよ!見苦しいぞ!と若者に言われたような気持ちです。うん。
走るのは楽しいですし、あくまでも個人的趣味、実際のところは誰かと競っているわけでもないのでどうでもいいっちゃいいのですが、やっぱり年々衰えていく感じがするのは哀しいものです。その年齢に見合った楽しみ方があるのになぜわざわざ記録会に出るんだろうか。私はトラックで練習しているだけで十分満足できる人間なので、公認記録で計測してもらえるというのはあるにせよふと思うと別に試合にでる必要もない。そもそも高年齢用のマスターズはもう興味がないし(勝てそうなのがわかるからなのか、参加代が高いからなのか)、より一層厳しい現役世代と走るのは辛い思いしかしないだろうに、マゾなのか何なのか。男には負けるとわかっていても戦わねば(以下略)というのは重々承知だが、別に戦わねばならぬときでもない。何だろう?もしかしてこれが「引退」というやつなのだろうか?そんなことを思いながら、チラリと800mの試合を眺めながらトップのタイムを見て、これならまだ勝てそうだ。。。と思ってしまいました。そう、私の専門は800mなのです。どうしよう、800mに戻ろうかな、なとど思い始めた今日この頃。
さて、今回の写真は東北は青森の名峰、岩木山であります。前回に引き続き麓から眺める山ですが、春はやはり雪山と桜ほど絵になるものはありません。できるものならすべての名峰と桜の組み合わせの写真を撮り尽くしたいと思うところなのですが、人生かけて終わるものかどうか。というか「北岳と桜」とか人里からの眺めが厳しくそもそも撮るのが難しい奴らもいるし。
山と桜の写真ですが、この「距離感」というのが非常に大事で「近すぎ」っていうのがあるのかわかりませんが「遠すぎ」はなかなか絵になりません。それこそ「北岳」がいい例ですね。もちろん麓から見えないわけではないですが、ちょこんと見えて桜と重ねたり、強引に望遠レンズで組み合わせることはできるかと思いますが、欲しいのはそういう強引に写真にしました感じゃなくて、あくまでも自然な眺めで、敬意を持って仰ぎ見ている感なわけです。山と桜の印象の割合も1対1が望ましく、強引に絵にすると小手先の技術だけが目につきます。そうなるとやはり撮れない、撮りにくい山ってあるわけです。
今回の岩木山はもうそういう意味では全く問題のない、そもそも麓から絵にでも、歌にでも、酒のつまみにでもなってしまうほどの眺めて良き山なわけですが、それはそれでみんな大好き桜の絵、撮ろうと思うとド定番だったりもしますから、私としてはそういう場所は避けつつ、少しでも賑わいの少ない、自然な風景が楽しめる場所を探したり致します。
そんなわけで時は2017年4月27日、青森といえばみんな大好きパンダ号、コスパのためか、タイパのためか、いやもはや個人的に寿命を減らしてでも好きになってしまっている夜行バス便に乗って弘前へとやってまいりました。桜開花の状況が何でわかるかって、そりゃあライブカメラがあるからですが、今回は弘前の北側の板柳町からの岩木山を狙います。
弘前には午前5時半前頃に着くのですが、朝方に浅い眠りから覚めて、目的地近くを走るバスのカーテンを開ける瞬間、これが一番緊張致します。しっかりと天気図をギリギリまで確認してから出てきているものの、半ばギャンブルで撮影に来るわけで、晴れている保証なんか決してないのです。外を眺めた瞬間に空が曇っていたら結構凹みます。いや結構どころじゃない。ということでチラリと外を眺めると、、、まあ予報通り晴れているわけで、ああよかったわぁ、と胸を撫で下ろします。建物の建物の間からチラッ、チラッと岩木山が見えると思わずガッツポーズであります。だからと言って撮影を始める前に雲が湧かないという保証はないのですが。
弘前に着くなりすぐにJRの駅へと向かい、五能線に乗って板柳へ。板柳駅からは岩木山に向かって歩くこと15分くらいだったでしょうか、朝6時15分くらいに岩木川の土手に出まして、ここの一角の岩木川河川公園の桜と岩木山を撮影するのが目的であります。河川敷に広く、というわけではありませんがいくらかまとまった桜並木があり、高台の土手から眺めるとこの桜並木からちょうどよく岩木山が顔を出します。目線の高さや距離感はバッチリです。これと言って有名な桜というわけでもないので人が少ないのが何より素晴らしい。わざわざ三脚を立てて撮っている人は周りに見当たらず、ちらほらと地元の人もしくはちょっと調べてきた人などがまばらに歩いてくるくらいのものです。もちろん人が集まる名桜も悪くはないのですが、こういう人の集まらない、観光地化していない場所は自然な感じがしていいです。まだ肌寒い朝方ですが、ここぞという場所で三脚を構えて6時20分ごろ、撮影開始です。
山と桜、というのは合わせて撮ればいいだけなので簡単、と思われる方もいるかもしれませんが、まあその通りで難しくはないです(笑)。しかしそう言いながらもポイントと言いましょうか、気をつけなくてはいけないと思うところは桜の枝振り、花付きを見極めて、山とバランスよく配置することでしょうか。あまり観察せずにただ手前を桜で埋め尽くすとパッと見はきれいに見えても、ずっと見ていると気になるポイントが見えてきて、ここの枝はもうちょっと左にあったほうがいいとか、ここの花が少ない部分は目立つのでもう少しずらした方がいい。。。などという粗探しができてしまうので、それをクリアするために注意しないといけません。ずっと見ても何度見ても、無駄のない、完成度の高い絵作りを心がけが大切です。全体像だけでなく、細かいところも、ね。でもまあそれくらい。たいしたことない。
しばらく撮っていると話しかけてくる人がいて「すごいですね、何時から撮ってるんですか?」と聞いてきたので「6時くらいからです」と答えたら、「6時?6時、、、、。たいしたことないな。」と言われてしまいました。しょうがないでしょ、5時半に弘前に到着したんだから。おそらく三脚を立てて撮っているのが私だけなので、ずいぶん狙っているものと思ったからなのでしょうが、そんなのこちらの勝手でしょ!そりゃあ朝日で染まる時間から撮れたらよかったかもしれませんが、いいじゃん別に。勝手にイメージをくっつけて、暗いうちから撮っていないとたいしたことない呼ばわりすることないでしょ、ひどいな、とも思いましたが、まあでも朝日の写真も撮れたらそりゃあいいから、やっぱりたいしたことないのかもしれない。朝から厳しい洗礼を浴びてしまいました。
大きなソメイヨシノの両脇にはこれから咲くであろう赤みの強い枝垂桜があるのですが、こちらはまだ少し蕾の状態で、これが一緒に咲いていたらもっとよかったかもしれません。でもとりあえずは最低限撮りたかったものは撮れたのでまずはひと安心。遠方まで来て全く撮れずに外してしまうこともありますから、一枚でもしっかり撮れれば少し気持ちが落ち着きます。一通り撮ったら河川敷に降りて、次は桜に囲まれた、仰ぐ感じの写真を撮っていきます。その後はもう少し川岸に出て、桜はないけど岩木山と岩木川というふるさと原風景のような景色を撮って、まずまず。いくらかバリエーションを抑えたらまた土手に上がってもう一度保険で同じような写真を撮りに戻りました。
7時半近くだったか、先ほどまで青空だったのに意外にあっさりと雲が湧き、あれよあれよと岩木山を囲んでいきました。完全に山を隠しきらないうちは結構絵になって、なかなか春らしい情景が見られました。山の周りにぽっかりと浮かぶ雲、その雲が真っ白な山肌に影を落とす。寒い冬ではこういう湿気た雲は出ませんから、そういう組み合わせが春らしくてグッドです。そんなこんなで違ったバリエーションも撮れてなかなかだなと思っていましたら30分もたたずに山を覆ってしまいましたので、ひとまずこの場所はここで終了。もう一つ予定しているところがありますからそちらへと移りますが、時間もたっぷりありますからちょっと弘前城に寄り道をしていこうと思いました。
タイムロスなくパパパッと移動できるようにこの付近の路線バスをすべて調べておりますので、駅まで戻らずに岩木川付近から直接弘前城に向かいます。なもので9時くらいにはもう弘前城におりました。流石の弘前城、無茶混みというわけでもないですがこの時間にしてはなかなかの人出。桜もちょうど見頃でがっつりお花見シーズンであります。岩木山も雲に隠れてますし、とりあえずのんびりと園内を散策、どこかで岩木山が眺められればいいなぁとゆっくりと歩きました。岩木山もいいですが、やはり春の弘前城といえば桜と天守閣と赤い下乗橋、そんな真面目に撮るつもりはないですがベストシーズン、せっかくなので見ておきたいです。って何か工事してるし!っていうか城ないし!!路線バスなどの足はしっかりと調べているくせに、あまり用事のない弘前城などの下調べが甘く、いつの間にか石垣解体工事が行われていたなんて露ほども知らず、、、、まあいいんですが。とりあえず1時間くらいだったかな、ぐるりと園内を回って雰囲気を楽しみました。とにかく桜桜桜なので歩いていて気持ちがよかったですよ。
お次は弘前駅へと戻り、電車に乗ってもう一度北上、先ほどの板柳を通り過ぎて五所川原へ。目的地の最寄駅は途中の陸奥鶴田なのですが、バス時刻の都合上五所川原駅まで行ってから南下します。目的は廻堰大溜池でございます。この大きな溜池越しに岩木山を眺めに行ってまいります。こちらの大溜池にも桜並木があるので、時間的にはもう順光ではありませんがせっかくなので足を運びました。大溜池の先に鶴の舞橋という観光名所的な太鼓橋もあるのですが、なぜか公共交通機関でのアクセスは微妙で、いくらか手前でバスを下車して少しばかり歩いて行きます。そうはいってもバス停から600mくらいだからたいしたことはないんだが(橋までは1.5km)。
路地を歩いて堰堤上がると大きな溜池越しに岩木山が見えました。一応岩木山展望所となっているようですが溜池は大きいしどこからでも岩木山が見えるから何もピンポイントでここが展望所とすることはないんだろうが、どりあえず池の大きさもあってやや大味である。雲は相変わらず取れてはいないが岩木山はしっかりと姿を出していたので雰囲気はよかった。朝は青空快晴のカットを抑えたが、やはりこういう微妙な天候も非常に情緒があってよろしい。どちらか、ではなくてどちらも撮れたのは運が良かった、というところだろうか。絵ハガキ的なカットは最低限必要なものとして、心情を表すようなカットもバリエーションとしてないと表現の幅が狭まりますから、ありがたや、という感じです。時折日差しも雲に隠れがちでやや肌寒い寂しい空気感、周囲に人もいないし、ひとりで黙々と撮影しているというのも心が寒くてちと寂しいところがあります。
再び歩いて桜が咲く富士見湖パークという大溜池に併設されている公園へ。ひとまず山と桜を撮らなくてはいけませんから、太鼓橋ウォークはぐっとこらえてまずは撮影です。桜並木は鶴の舞橋のさらに奥にある公園の方にありました。板柳からの岩木山とはまた少し形を変えやや尖るように見えますが、どちらかというと板柳からの山容の方がどっしりしていて好きですがこれはこれでよし。溜池からは正面に見える赤倉沢のせいかな、やや荒々しい表情になります。空模様は不安定な春の午後という感じの天候で、里の風景というかは何とも山岳らしい景色を見せておりました。
ここでは桜は添える感じで、山をメインに撮影。だがしかし気になったのは山ではなく、広い芝生の公園内に要塞のように構える大型複合遊具である。しかもその遊具の中央には強烈に垂直のすべり台があり、案内板には「フリーフォール」と銘打ってある。。。一体これは何なのだろうか。。。滑り口にはぶら下がる感じのバーがあり、ここにぶら下がって、垂直すべり台へと落ちるのだろうか。岩木山よりも気になって仕方がない。どう見ても尻を打ちそうであるが、うまく滑るものなのだろうか。よく見ると落ち口のところは擦った跡なのか血糊の跡なのか、猛者たちが苦しんだような形跡もある。周囲を見渡しても誰もなかったのでチャレンジしてみたい気持ちに駆られたが、遠くからでももし誰かに見られたら。。。と思うと流石に勇気が出なかった。当時39歳、おじさんが一人遊具で遊んでいるのをもし誰かが見ていたらちょっと怖い光景である。場合によっては不審者扱いされてしまうかもしれない。そう言いながらも人生は一度きり、今思うとフリーフォール、やっておけばよかったと後悔するのでありました。
コスパ × タイパの追求=寿命が縮む
そういうわけで撮影よりも気になってしまったフリーフォールに後ろ髪を引かれながら、ようやく鶴の舞橋へ向かいました。溜池のほんのちょっとしたところに架けられた橋ではありますが、木造の太鼓橋を歩くとなぜか日本の歴史を感じます。こういうのに騙されやすい気質なのだろうか。すぐに渡り終えるものの、池に架かる橋を歩くのはなぜだか気持ちが盛り上がる。ただしよくわからないが、桜もそこそこ見頃ではあったものの、人影がほぼ見当たらなかった。弘前城には人がいたわけだから、もう少しいてもいいものだが。宣伝が足りないのだろうか、フリーフォール含めもっと多くの人で賑わってもよいのでは。いや、どちらかというとフリーフォールがメインで。これ絶対運動不足の大人がやったら腰悪くするって!
大溜池からはまた少し歩いてちょうどうまく路線バスに乗り、今度は陸奥鶴田駅へ。そうして夕方はまたこの日の始まりである板柳へと舞い戻りました。雲はだいぶ湧いたわけですが、夕方最後に気温が下がってもしかしたら雲がなくなるかもしれない。空が赤く染まってうっすら岩木山が浮かび上がったらどんなに綺麗だろうと、もう一度勝負をかけます。まあぶっちゃけこの日もまた百鬼夜行パンダ号で帰りますのでただの時間潰しと言われたらそれまでですが、夜行バスだからこそ最後までしっかり撮ろうという姿勢ができるという見方もあります(無理くり)。多分新幹線で帰ると早くて楽ではありますが、夕方までじっくり撮ってる暇はないのです。多分。
そう言いつつも板柳へ戻って夕暮れの時間までだいぶ余裕がありました。記録では河川公園に戻って夕方5時半に撮影を始めておりますが、午後3時くらいから約2時間半、一体この間何をしていたのか、どうやって暇をつぶしていたのか全く記憶がありません。やることないから板柳駅周辺を徘徊していたような記憶もありますが、何していたんだろう。駅にいたのかな。わざわざ遠くのコンビニに行ったような、うっすらそんな気がしてきた。
まあしかしさすが仕事人、河川公園に戻ってからはしっかりと覚えております。結局岩木山の頭に雲はかかったままなのですが、斜光の西日が桜を照らし、ちょっと綺麗。このままもうちょっとで、何かの拍子に雲が取れてくれればそんなに悪くない感じで撮れるかもしれない。誰もいない河川公園で夕暮れをじっと待つわけですが、「すごいですね、何時から撮ってるんですか?」ってここで聞いてこいよ!「朝6時からだよ!」って言ってやる!でもそれはそれで朝からずっとここで撮ってたらおかしい人に見られるような気もする。なんだかんだでだいぶ空気も冷たくなってきて、ダウンを着込みながら雲取れないかなぁ〜と待つわけですが、結局最後まで岩木山の雲はなくなりませんでした。山の周りはだいぶ雲は晴れて空が赤焼けてましたので、実に惜しい。もう一歩のところでございました。
ということで今回の桜の撮影も終了、せっかく遠方に来ているのだからもうちょっと色々な所を練り歩きたいところですが、天気だってどうなるかわからないですし、確実に狙ってピンポイントで終わらすのが私のやり方ではあります。集中力も思い入れもそう続かないですし。しかしのんびり山と桜を撮影するのは楽しいし、山の上の景色と麓の景色と両方揃ったということで何だかこう、自分の中でまとまった満足感みたいなものはあります。ただ山上という珍しい景色を撮るだけでなく、誰もがなじんでいる麓の景色が合わさって、ようやくひとつの山への理解を深めることができる気がします。そう言いながら秋の岩木山はあまり撮っていないので、また足を運ぶことにはなりそうです。
そうして弘前で夜まで時間を潰し
再びパンダ号で東京へ
夜行バスなら
ピンポイントで天気を狙えるし
コスパもタイパも素晴らしい
しかしながら確実に
疲れが深く残ります
だけど何かを乗り越えた感じがして、
なぜだか楽しい!(一種の病気です)