Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 70
01 Aug 2020更新

2019放送「NHK-BSプレミアム・にっぽん百名山」使用写真「光岳」


 いやしかし晴れない晴れない晴れない!このレポートも3回連続で晴れないの話から始まるとは思わなかったが、ほんと晴れない。とはいえ撮らないとまずい状況になりますからとりあえず現地には足を運んだんですが、、、、あまりの悪天と予報の悪さに早めの帰宅となってしまいました。晴れマークはコロコロと後ろ倒しになっていくばかりで、これどうなるんでしょうかね。とにかく太平洋高気圧には頑張ってもらいたいところですが、一体いつになったら強くなってくれるのか。前線がどいたらあっさりと暑い日々が続くんでしょうか。ホント、まったくよくわからない夏になってしまいました。何とかなるのかな。。。きっと8月に入ったら晴れが続くんだ。。。そう思って毎日夢見ております。って山行けずに寝てばっかり。とりあえず8月からの予報、信じてます!
 さて、今回の写真ですが、昨年9月にNHKBSプレミアムにて放送されました「にっぽん百名山」の光岳出演回で撮影、使用しました写真です。今回のレポートのために一応見直してみたんですが、、、、、、見ていられない。相変わらずこの人の声が好きになれない。なんでしょうね、このなんというか鼻にかかった声というか、もう少し大人らしくどっしりとした声を出してもらいたいものです。
 普通誰でも自分の声って聞き慣れているわけではないので、いざ聞くと馴染めなくて変な感じはあるかと思います。もちろんそういうのもあるんですが、おかげさまで何回か収録した自分の声を聞いておりますので結構聞き慣れてはおりますし、そういう声をしているのというところではちゃんと認識できていて特に違和感はなくなっております。そういうのじゃなくて、とにかく声がカッコ悪いんです。軽いというか。。。軽い!いや、本人は現場でもうちょっと頼り甲斐のありそうなイメージで話しているつもりなんですが、それであれかよ、と。ということで見直してみようと思ったものの、やっぱり見ていられませんでした。
 このときの撮影は2019年8月4日。30分番組ですがロケ自体はしっかり6日もかかっております。番組を作るためには当然紹介の日程では済まないことがほとんどなわけですが、このときは結構ルート日程通りというか、、、とにかく今年と違って天気が良かったのなんの。梅雨が明けてからは毎日晴れていたような気がします。おかげでサクサクと進んでおりました。8月1日に都内を出て、この日は井川までの移動日、さすがに夏らしく夕方にはひと雨がありましたが翌日からの予報は問題なく、台風が南海上に発生してはおりましたがこれが近づいてきてくれると逆に思い切り晴れることが多いので期待しかなかったです。
 8月2日は早朝に宿を出て、朝7時に畑薙ダムの先、沼平からスタート。写真の撮影と違ってポイントポイントで時間をかけて撮っていきますので行程もなかなか時間がかかります。はじめは沼平で出会いのシーンですが、このあたりはおかげさまで最近慣れてきましてすんなりとしゃべれて軽くクリア。ディレクターさんからは「何か。。。上手くなってないか?」と言ってもらえましたが、それもそのはず、このディレクターさんとは初めての出演回「日本百名山」の谷川岳でご一緒させていただいたのですが、そのときのしゃべれなさ具合ときたら、ホントどうしようもなかったので。谷川岳のときは出会いのシーンからしゃべれてなかったので、何度撮り直したことか。。。そして結局出会いのシーンがロケの最後だったような。。。
 吊り橋から先はひとまず樹林帯ですので、ひと通りポイントになりそうな箇所は撮影しておりますがほぼカット(笑)、順調に進んで午後2時ごろに横窪沢の小屋に到着致しました。まあほぼカットというか基本同じような景色が結構長く続きますから仕方のないことです。しっとりと静かな樹林帯、もちろん好きですが30分番組でそんなに取り上げられるわけでもありませんし。というかしっとりというか登りはじめは標高低いから無茶苦茶暑いし。横窪沢の小屋番の木村さんは大変気さくな方で、本当にお世話になりました。小屋に到着して和やかに談話するシーンもあったのですがあえなくカットされておりました。個人的には「お世話になりま〜す」と言いながら小屋に近づいていく到着するところのシーンで、木村さんがすでに小屋の中でお盆にお茶を乗せて立って待っているという、いかにも仕込んだだろ的なシーンがツボだったのですが、当然の如くカットされております。
 翌3日は5時に小屋を出発、おそらくカットされるであろう長い樹林帯を黙々と登っていきます。この日は結構早めに茶臼小屋に着きまして、雲の上がりも早かったものですからまあちょうどよく、お昼から午後は小屋周辺のお花を撮っておりました。こういうシーンも非常に大事ですので、ちょうどよくぼちぼち曇ってくれてゆっくりと花に時間がかけられるというのはいいことです。忙しいとやっぱり絵も荒くなってしまい、ちゃんと撮るならそれ相応の時間がかかるというものです。
 それ相応の時間、というとこのとき非常に困ったことがあったのですが、光岳の特徴ということで番組で「南限のライチョウ」を出したい、ということでした。ライチョウは北ア南アでとくに労せずいつも見られるものではあるのですが、南限の光岳で見られるかと言われると、、、正直難しい。というか上河内岳では見るけど、そこ以南では見たことがない。イザルガで一回あったようななかったような、、、、という程度。これを番組で写したいとなると、そんな上手くいくかなぁ、としか思えません。南限ではありますけど南限というだけあって個体数はかなり少なく、なかなか至難の技であります。それ相応の時間があればBBCのように「二年かけて撮りました」とかでなんとかなりそうですけど、どうなるかなぁと。この短期間ロケではとりあえずは歩きつつ探してみるしかないし運次第であります。明日はその光岳へと向かうので、いればいいけど。夜には満天の星が広がり天候に問題はなさそうです。
 8月4日は日の出こそ小屋で迎えましたが、朝食をササっと済ませてすぐに出発。6時ごろに茶臼岳へ登りました。茶臼からの景色、上河内、聖、兎とならぶ景色が好きなのはだいぶ前のレポートでも書いたかと思いますが、ホント好きです。やや距離が離れているのでこれと言ってどの山もすごいインパクトで主張しているわけではないのですが、並んでいる景観がなんとなく自然でいいんですよね。〜岳、というんでなくて「南アルプス」みたいな感じがして。これも前に言いましたがここからの絵はNews欄のバナーにだいぶ前から使用しております。振り返ると南側に大無間山がしっかりと見えておりました。台風が近づいてきているのでなんとなく微妙な雲が遠くに見えているのですが、全部吸い取ってもらってこちらは晴れるといいです。うまくいくと午後から夕方でもピーカンなんてことがありますので、ちょっと期待。茶臼岳には1時間くらいいたでしょうか、7時すぎに駒を進めることに。
 茶臼岳からちょっと下ると仁田池がありまして、まあこの二重山稜だからうんぬんかんぬん水が溜まってだの話していると、まさかの!ライチョウが!まだ小振りの雛がよちよちと歩いてくるではありませんか。嘘くせー、という言葉が真っ先に頭に浮かぶくらいの幸運。しかも登山道を横切って木道をよちよちと。。。嘘くせー(笑)。ま、まあここは光岳ではなく言っても仁田岳くらいなんですが、それでも上河内岳以降でほぼ見かけないライチョウが出てきてくれたのはホントびっくりしました。もうちょっと時間をかけて、、、なんて思っておりましたがずいぶんあっさり。こういうときってそういう幸運がなんか続きそうな気分になります。
 ということでルートからちょっと外れて仁田岳へと向かいました。ルート上ではないので一般的には無理に寄ることもないのですが、個人的に好きな場所なので番組では入れてもらいました。ここからの光岳がいい絵で撮れるんですね。というかイザルヶ岳とかぶってるからこれ全体の山容が光岳ということではないと言われたらそれまでですが、、、でも光岳ってどんな山?とかカレンダーとかで載せるなら、この仁田岳からが一番見栄えがするわけです。あとはどっから撮っても続く尾根のぽこんといういちピークに見えてしまいますし、「俺が光岳だぁ!」というどっしり感はここからがいいです。周りを囲むハイマツもこの場所の特徴が出ますし、イザルヶ岳から光岳ではちょっと鈍い絵になりますし、まあここでしょう。あとはドローンという卑怯な反則技を使えば、光岩を山頂部に抱えた光岳、さらに奥、真後ろに富士山、という絵も撮れますが、空撮はちょっとどっしり感が出にくかったりもします。所謂これぞ!という絵では山頂は見上げたいわけです。空から見下げてしまうと5000m以上のスーパー高峰はそもそも絵が全然違うからいいですけど、日本の山だとそんな風にも感じます。あとはクリプトをまだアンロックしていないというのもある。といいながら近いうちに光岩からのドローン絵は撮りに行くと思います。仁田岳で10時くらいでしたけど、ここでもまだすっきり晴れていて本当に天気に恵まれておりました。今回の写真では全体にべったり光が当たっておりますが、本当はもうちょっと早めの時間帯で手前に影がついたほうが絵的には立体感が出てよいかと思います。手前と、奥と、屏風は分けたほうが絵に奥行きが出ます。
 このままもしかして天気持つかな、とも思いましたがそう甘くもなく、暑い樹林を切り抜けた静高平ではすっかり曇り空になっておりました。途中で一応亀甲状土の話をしたり、ホシガラスがちょうど飛んでいたので撮ったりとのんびりと光岳小屋へと向かいました。小屋に着いたのが夕方4時でしたが、ご飯を食べていたらグワァーと雲が晴れてきましたので走ってイザルヶ岳まで行ってきました。ここは番組の流れとは関係ないのでカメラはついてこなかったため、ようやく気持ち良く(?)のびのびと撮影ができました。カメラが回っていたり、誰かにまじまじ見られていたりするとちょっと自分不信になるのかうまく撮れなかったりするんです。気分って大事。普段は実はゴーストカメラマンが撮っている、とかそういうのじゃありません。でもそういいながら雲が完全に晴れ切ったわけでもなく、ちょっと走ってきた割には微妙な夕景ではありました。でも夕方に晴れるというのは南アルプスの夏では少ないので、期待できるサイクルではあります。ロケも終盤ですけど。
 8月5日は日の出をイザルヶ岳で迎えました。個人的にはイザルヶ岳を含めて光岳、くらいに思っているんですけど、いい場所ですよね。南アルプスっぽくもあって、っぽくなくもあって、主脈の縦走路では最後の2500m峰。こんな場所があるんだ、と思わせる場所です。今までの中では一番の晴れ方、と思える朝で、まあ結果的にこの日が特異日でございました。台風が迫ってきていて遠からず近からずの距離にあるとき、空気もすっきりとして雲も上がらず、夕方まで晴れるんです。ひと夏にあるかないかの特別な日に山にいられるのはなんとも気分がいいものです。まあこんな日に下界にいたらトチ狂ってそうですが。
 無事イザルヶ岳の撮影も順調に終え、ようやくラストインタビューの光岩でございます。到着して眺めを話していたら下部の光岩にカモシカが。もう何から何まで登場してしまって、この年の運を使い果たしてしまったような感じでした。ちょうど光岩に立ってるとか、ないでしょ。嘘くせー。それから3時間くらいずっと光岩におりまして、花とか、インタビューとかを撮っておりました。ミヤマムラサキがなんとか残っていたのが有り難かったです。インタビューが実は結構長くて、いろいろと聞かれました。初めのうちはなんとかうまく切り抜けている感じだったのですが、だんだん質問が難しくなってきて、どう答えてほしいんだろう?あまり考え込まずナチュラルに答えるシーンが撮りたいのかな?などと探り合いながらのインタビューです。インタビューというよりもはや事情聴取ですよ。
 しかし本当にバカみたいな空気感で、北を向けば光岳から北アルプスくっきり槍ヶ岳くっきり。南を見ると海岸線がくっきりと見えており、御前崎くっきりアクトシティ浜松くっきり。こんなの冬ならわかりますけど、夏にこんなにくっきりと行くとは。。。撮影前の打ち合わせでは、光岳の由来としてこの光岩が麓から光って見えるというところから〜、というのをディレクターがなんとか撮れればと撮りたがっており、そんなの撮れても冬だろうし、冬でも見えるわけない、なんてスルーしていたんですが、ゴクリ、、、浜松のオベリスク、アクトシティがくっきり見えているということはもしかして見えるのか。。。?見えるわけねぇ!と言った手前あれですが、、、見えそう。。。いや、真面目に言うとこちらから向こうは見えても大まかに見えているだけなわけでして、向こうからもあそこあたりが光岳というのがなんとなくわかる程度でさすがに光岩がくっきりと見えることはないと思います。ですが、そんな麓から岩が光って見えたからという眉唾な話も信じてしまうような、そんな日でございました。番組ではこの光岩と光岳、からの富士山というカットでおしまい。欲を言うとラストシーンのカットはもう少し天部を削ってきっちり山の高さを出した絵にしてほしかったのですが、これはそういうナントカ大縦走とかいう番組ではないので口ははさみませんでした。それお前違う番組だろ、とか言われそうで。
 ラストの撮影も終わり、11時半頃に光岳小屋に別れを告げて茶臼小屋へと戻ります。光岳小屋の小屋番の原田さんはこの年が最後とのこと。光岳小屋は泊まるのに縛りがあって、利用しようと思った方は色々と思うところもあるかと思いますが、縛りプレイが楽しめるのも山ならでは。ここではこう、ここではこうと切り抜けてこそ面白さが出るところもありますから、来年から人が変わって縛りがなくなってしまうのもちょっと哀しい気もします。クセがあるから思い出があったりしますから、どこでも思い通りに行ってしまうというのもどうなのかな、と。なんだよそれ!みたいなのがあるからこのレポートも書けるというわけで。まあ来年も縛りが生きていたら、本体は小屋だった、ということで。

聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい

 ここからはとにかく一気に茶臼小屋へ戻るのみ。まだまだ晴れております。これは間違いなく特異日だ。あとは戻りつつ良いところで写真が撮れれば、と言いながら歩荷さんがペースを上げるのでなぜがか私もペースが上がる。さすがに茶臼岳に着く頃には雲がぼちぼち出てきましたが、それでも十分なくらい晴れておりまして、空もぐっと青く、美しい夏の一日でした。茶臼岳で夕方5時、相変わらずの好きな風景が、西日に照らされてより一層輝いておりました。他のみなさんはもう小屋へと向かいましたが、私は一人残って撮っておりました。東を向けば富士山、夏の夕方の富士がくっきりと見えているなんて本当にいい日。小屋に降りても日が落ちるまで、ずっと撮っていました。
 何度も撮っている風景をまた撮っていると、なんとなく思うことがあります。自分は何をやっているんだろうか、と。もちろん日が違えば同じ場所でも景色は違うし、同じ景色なんて実際は二つとない。それはそうなんですけど、そういう表層の話じゃなくて、自分は何を求めて撮っているんだろうかと。実際私はシャッターを切る数がほんと少なく、撮りたいと思ったときだけ撮っている。山を撮りたくて撮っているのですが、決して山を撮っているわけでもない。表現したいものを作るのに山を介している。でも同じ景色を見ていると、やっぱり絵も似ているわけで。すでに過去に自分で精算したフラストレーションみたいなものをまたなぞっても何も出てこない。もう済んだことだから。仕事としては表層の、同じ場所でもちょっとでも違えば違う絵として成り立つけども、自分の心の中には昇華しようにもする材料もした結果も残らない気分。ただ時だけが過ぎていっているような気分になることも。虚しさなのかな、何のために何をやってるんだろうかと。歳ですか?そうですか。以上。とりあえずそんな気分を8月のExhibitionで使ってみたいと思います。
 8月6日は空に雲が広がっていましたが、その雲が朝日に照らされて真っ赤に染まるというこれまたすばらしい朝から始まりました。ロケはもうほぼ撮り終えておりまして、ちょこちょこ小物をおさえていたと思います。小屋の下に一輪だけ、真っ白のタカネマツムシソウが咲いておりました。3日に上がってきたときはなかったような。。。南限のライチョウ、カモシカ、晴れ晴れ、最後はシロバナタカネマツムシソウという珍獣のオンパレード。さすがにシロバナタカネマツムシソウはカットされておりましたが、一応なんか色々コメントして撮ったのですよ。ロケ隊はこのあと他の山から光岳撮ったりしたいようで、出演者はもういらねえから帰っていいよ、ということでドローンカメラマンと二人で下山致しました。

 いや別に、いらないから帰っていいよ、というわけでもない。
 8月6日に下山したいのである。
 8月6日にナントカ大縦走黒部源流編を生で見たいのだ。
 放送時間までに帰宅できるかどうか。

 結局間に合いましたけど
 やはりこの声は好きになれない
 生まれ変わるしかないのか

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