レポート120
31 Dec 2024更新
2012年12月27日 撮影・鳳凰山
いつの間にか大晦日になってしまった。師走だからなのかなぜだか忙しなく、レポートを書こう書こうと思っていたのだがつらつらと流されるまま年末になってしまった。話のネタが年末なのでなんとか今日中に書き上げたいところではあるが、時計をチラッとみるとすでに夜9時。果たして仕上がるのかどうか、私にもわからない。ともかく殴り書きになるかもしれませんが、何卒お付き合いお願い致しまする。ちなみに本日大晦日に自宅でレポートを書いている、ということは、、、ナマハゲの中の人は私ではない、ということであります(意味不明)。
ということで今回の写真ですが、鳳凰山は観音岳からの北岳をトップにチョイス致しました。本来なら冬の鳳凰・観音岳ということで、定番の冬の稜線&富士山&日の出、とおめでたい写真で引っ張ってもらうのがよいのかもしれませんが、写真を選んでいたら北岳に目がいってしまいましたもので、大きく使わせていただきました。撮影は2012年12月27日、まさに年末でございます。
基本、正月は山に行かない。なぜならば混んでいるからであります。いや、混んでるというのは言い過ぎかもしれませんがやはり何パーティーかは当然山に入るもので、雪山ではそれだけで足跡がついてしまいますから写真撮影にはあまり向いてない期間となります。ですので極力避けているのですが、それでももうこの年の暮れ、もう正月休みに入っている人もいらっしゃいますからちょっとは懸念したのでありますが、運良くこのときは誰にも会うことなく過ごすことができました。
出発は12月26日、天気を見計らっての1泊2日ですので一発勝負、気は抜けません。ですが鳳凰山は装備面でちょっと楽できますから登山的にはだいぶ穏やかな様子です。というのもこれといって危ない箇所がありませんから全般的にスノーシューのみで歩き通せてしまい、アイゼン、ピッケルを置いて行けるというだけでちょっと荷物も楽になりますし、ただ歩くだけという感覚で行けるのは気もだいぶ楽になります。いくらかでも岩場があれば、いくら慣れていても油断すれば冬は事故につながりやすいですからどこか気にしてしまうものです。そりゃあクライミングでもないのだから大したことないですが、1mあれば大怪我をすることだってありますから、調子こいていいものでもありません。2メートルは二命取る、っていいますし、通常ライフは3つまでだから大変なことです。
朝に自宅を出発して新宿からあずさで甲府へ、予約しておきましたタクシーで夜叉神峠入口の登山口に着きましたのは9時半頃でした。この年は11月からしっかりと雪が積もった年で、年末ではすでに十分な積雪があった良い年でした。この山域の登山口ではこの時期では降雪直後でもない限りあまり雪を見ることはないですが、ですがしかし、こう気温が低いのに雪がないというのも不思議となかなか寂しく、かつ寒く感じるものです。ギャンブルしていいものかどうか知りませんが、明日降ってくるからと翌日は午後3時にまたこの登山口に配車をお願いしますとタクシーの運転手さんに告げ、準備を整えていざ出陣。登り始めは峠までほとんど雪もないし、荷物も重く感じるのでしんどいしんどい。結構な汗をかきながら1時間もしないうちに夜叉神峠に到着しました。早速白根三山がお出迎え、このときで2年振りかな、やっぱりいつ見てもいいものです。とくなんとなくこのときは農鳥岳がなぜかやたら格好良く見え早速何度もシャッターを切りました。
夜叉神峠まで来ると足元にいくらか雪が積もっていて、ようやく雪を踏んで歩くことができるのでなんとな〜く歩くだけで楽しくなってきます。とりあえず黙々と歩き続け、午後2時くらいに南御室の小屋に着きました。途中の苺平付近でぼちぼちの積雪だったのでその辺りで少し時間を食ったような思い出があります。南御室に着くや否やテントを設置し、いらない荷物を置いて稜線へ。小屋の右手の水場に立ち寄り、雪をどかすとまだ水が流れていたのでよかったよかった。水を作る労力がなくなるだけでだいぶ楽になります。
南御室から1時間ほどかけて上がった稜線、砂払岳に着いたときはだいぶ西日になっておりました。先程まで白く輝いていた白根三山は太陽を背にして暗い影を落としており被写体とするにはちと難しい感じでしたが、大好きな砂払から見る薬師岳はその西日の優しい光を浴びてなんとも神々しく感じました。風はそこそこありましたが身に危険を感じるほどでもなく、日没までの短い間に撮れるものはないかと色々と探し、シュカブラなどを探して撮影しておりました。振り返ると大きな富士山、日没直前は金色から真っ赤に染まり、なんとも言葉にならない。このときに見た富士山が自分の中では一番綺麗に見えた覚えがあり、何かの雑誌に見開きで載せたことはあるのですが、それでも勿体なくて一番いい瞬間のものはまだ使っていない。でもそうこうしているうちに月日は経つもので、今はもうもっといいものを持っているとも思う。いや、でも本当に綺麗だったよ!とにかく寒くて風が強くて、レンズ交換が面倒だぁ〜とイライラしながら撮ってましたけど。
翌27日は観音岳で朝日を迎えるために5時前くらいにテントを出発しました。非常に寒いけれど一番昼間が短い時期、何だかんだでしっかり寝られ時間があるのが助かります。夏は寒さで危ない思いをすることは少ないですが、夜遅くまで撮って朝2時起きとかあるから、どちらかというとそっちの方がツライ。ともかく焦らずたっぷり時間に余裕を持ってエッチラ歩いていれば体は温まるし、まあのんびりです。昨日つけたトレースを追って、まずは砂払岳へと向かいました。
ある程度覚悟はしていたのですが、、、朝一の稜線の風は強烈でございました。何度か冬の鳳凰は登っていて、広河原から風が吹き上げるのかなぁ、とか何で北岳ブロックがあるのにこんなに吹き抜けの風があるんだろうと毎度思ってはいるのですが、久しぶりにどうしようもなく強い。おそらく太陽が上がって気温が上がるといくらか落ち着くでしょうが、気温が底のときの風はちょっと怖くなるレベルです。それでも何とかうまく耐えながら、薬師岳を越えて観音岳を目指します。せっかく晴れてるんですからこのチャンスは物にしたい。
ちなみにこのときは買ったばかりの化繊のダウンパーカを投入してみたのですが、これがなかなか良かった。寒いからもう稜線では一日中ダウン着っぱなしがいいんじゃないかと化繊モノにしてみたのですが、これがなかなかヒット。汗をかいても帰宅後に気兼ねなく何度でも洗えるし、なので動きまくってどうなっても気にしなくていいのが良い。などとこのときは思っておりましたが、今はすっかりまた天然ダウンものに戻っていたりして。というのもやっぱり天然ダウンはあったかい。なのでなるべく汗をかかないような行動をして着っぱなし、みたいな使い方を最近はしております。結局このくだりでは何が言いたかったのだろう。。。すみません。
間に合いそうです
ということで6時半ごろに観音岳に到着、何とか山頂の岩に隠れて西からの強風をシャットアウトしましたが、これだと富士山は撮れても、真っ赤に染まる北岳は撮れなそうである。ちょっとでも北岳を見ようと体を出すともうどうにもならん。こんなの写真撮れないでしょ。稜線自体雪煙が結構舞っており、もはや地獄のような様相。いや、空は綺麗で今にも日が昇りそうなこの淡い色合いはむしろ天国なのだが、風がもう。やっぱり何より風が一番のネックだよね、と思い知らされた撮影でございました。
日が昇り、観音岳からの薬師岳と富士山、そして日の出というまあおめでたいカットを無事撮ることはできたのですが、結局朝焼けの北岳を撮ることは叶いませんでした。ちょっとでも岩から顔を出すとブオーって持っていかれそうで、おそらく頑張っても写真はブレていたと思います。こりゃあ無理だと判断したわけですが、いざ終わってみるとやはり悔しいものです。代わりに甲斐駒の朝焼けは撮れましたけど、、、やっぱり北岳だよなぁ。。。いずれまた朝焼けの北岳を撮りに行き直したいと思いますが、また風が強かったら哀しいな。ひと通り朝の撮影を終えてすっかり山々が白く見える頃合いになるとなぜかすっかりと風は止み、穏やかなポカポカ陽気になりました、とさ。う〜む、なんでもう少しこうタイミングを見てくれないものか、神様は。よくありますよね、こういう、何で嫌がらせすんの?みたいな絶妙なタイミングを狙ってくるような状況のときが。自分のところだけ雲が真上にあって陰っているときとか、本当に不思議。日頃の行いが悪い、と世間では言うのかもしれませんが、だからと言ってこんな仕打ちある?と言いたいときが。すべては運不運、自分次第なんでしょうが、まあよく考えると運が良いときは「自分が」強運、運が悪いときは「神様が」ヒドい!と思っているような気もする。神様も言われるばかりでなかなか大変なものである。しかし、、、日頃の行いなんて、誰しも大抵そんなもんだろ!
そんなこんなで色々と撮り続け、11時ごろまで稜線におりました。観音岳から見る白く輝く北岳はやはり素晴らしく、吊尾根ボーコンから見るのがやはりベストだとも思いますが、一歩離れて見るフォルムもまた美しい。白いビロードを纏ったかのような、何となくヌメっとした感じの雪の岩肌は言葉にできないものがあります。だから写真で撮ってるんでしょうけど、何枚でも撮ってしまう。しかし撮れば撮るほど、、、赤いのも撮りたかった、、、と何度も思い返してしまう始末。どこかで切り上げないとキリがないので、程なくして下山、南御室を出たのはお昼、タクシー予約してある午後3時まで3時間しかないけど、間に合うだろうか。
さすがに冬山、こんなところにタクシーをお願いしておいて時間キッカリに行けないのはまずいものがある。あんまりに待たせると運転手さんは「本当に来るんだろうか?」と思うだろうし、待つっていったっていつまで待ってくれることやら。なので急いで行かなくては行けないので下りもそれなりに疲れました。幸いこのルートは急なところがないのでトントンと降りていけばそれなりの時間で降りられてしまうもの、なんとか午後2時40分に夜叉神峠着、でございます。ムムッ!登山口まであと20分しかないではないか!
峠から登山口までノンストップラン。
しっかりぴったり午後3時に
登山口に到着しました。
タクシーも待っており
タイムロスなく帰宅でございます。
なんとか!
レポートも間に合いました!
皆さまあと5分!よいお年を!