Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート94
21 Sep 2022更新

2015年9月5日 撮影・「那須茶臼岳」


 今回はなるべく早くレポートを出そうと思っていたのですが、コロコロ変わる天気が気になり、、、夏らしい風景の中で終わらせないといけない仕事がありまして山に出てしまいました。天気はまるまる1週間全部雨マークみたいな予報だったのですが、どうもそんな悪くなさそうな感じがしまくったので半ばギャンブルではありますがいざ撮影に臨んだわけでございます。もうすぐ秋になっちゃうので焦っていたのか、私としてはいつになく珍しい行動である。案の定小屋の人には「何しに来んの?」と言われてしまったが、流石の勝負師、来てから毎日晴れている。(ドヤ顔
 しかし、である。今年の夏は本当になかなか晴れなくてどうしようもなかったが、9月に入っても晴れはするが雲の上がりが非常に早い。気温も高めでどうも夏より暑い。朝一番からモワッとするので朝こそ晴れはするが9時くらいにはだいぶ山が雲に覆われてしまう感じ。なので撮影の方は全然進まないので、結局「何しに来たの?」と言われてしまう始末である。でもまあ夏よりは晴れてるんだよなぁ、、、一応。午後は暇なのでこうしてレポートを書いている訳だが。。。
 ホント年々天気が不安定になってきて撮影は大変。晴れさえすればパパッと終わるものが全く読めない、いつまで続くかわからないノルマで夜も寝られず、朝起きると涙で枕がびっしょりの毎日です。え?寝汗だって?まあともかく熟睡できない毎日、早く成仏させてほしいものである。この先はまた台風が来そうだし、何ともどうにもならない。おそらく台風が過ぎればすっかり秋になってしまうだろう。う〜ん、ちゃんと終わるのか?これ。まあいいや、、、とりあえず焦らず昼飯を食べに行こう。。。
 さて今回の写真ですが、写真見てお分かりかとも思いますが珍しく惨敗記であります。撮影が上手くいかなかった、本当の本当に最後まで上手くいかなかった、というのはおそらくレポートでは初めてなのでは。いや、ホントにダメダメだったんです。お山は那須の茶臼岳ですが、ガイド用の写真を撮りに行こうと晴れ晴れの日を狙ったはずなのですが。。。天気図的には間違いなく晴れだと思ったんですよ。だって高気圧がちゃんと乗るんですよ?まあいいや、とにかく絶対晴れると見込んで出発したわけで、新幹線にて那須塩原駅に着きましたのは2015年は9月5日の午前7時半頃でございました。着いたときからどん曇り、しかし間違いなくこれからスッキリ晴れてくるだろうと全く疑うことなくバスに乗り込んだのでした。
 微塵の疑いも持たずバスに揺られること1時間ほど、空模様は一向に曇りのままである。そりゃあ天気図が晴れるって言ってるから、まあ見てろって、そんな感じでしょうか。しかしむか〜しの昔、学生の頃に超スーパー濃霧のときに「山の天気は何が起こるかわからない!」と意気込んでこの同じ場所に来たときがあったが、もちろんそのときよりはずいぶん良い天候ではあるがフラッシュバックというか、結局どうにもならなかった遠き日をなぜか思い出す。う〜ん、嫌な予感もしちゃう。
 ということで8時50分ごろ、那須ロープウェイに到着したわけだ。「まだ」朝の9時である。何も焦る必要もないはずである。ここからとりあえずだらだらと登っている間に晴れてくるはずだから、たとえ登りで曇っていても帰りの天候で撮って下りてくればいいわけだし、ヨシッ!と空をしっかりと指差しチェックして歩き出したのでした。歩き出すも何も、私の足ならば登山口から峠の茶屋まで30分もあれば十分辿り着いてしまうわけで。。。気持ちは牛歩で進みましたがサクッと峠の茶屋に到着。変わらぬ曇り空に、もしかして?もしかして?これは晴れないんじゃないかな?とこの辺りでようやく現実を感じ始めたのを覚えております。何だかんだ言っていつもしっかりと結果を残しておりますので、まあもちろん敗戦はこのときだけではありませんがそれなりに勝率は高いわけで、最後まで結果はわからない訳です。どんなときだって。
 山頂に近づき、もはや山頂にほど近いお釜口あたりでようやく雲が切れ始め、青空が少し出てきたではありませんか。「だから言っただろう」とは言わなかったが少なくとも私の表情はそう言っていたかもしれない。そう、ここから晴れるのである。と、いい気になったのも束の間、再び雲に覆われて全くといっていいほど晴れて来ないのでありました〜。さ、さすがにこの辺りでは現実を感じ始めたとかいうレベルではなく、やはりそこはプロらしく、もはやしっかりと敗戦をほぼ確信しております。。。。思いっきり天気外しといて何がプロなんだか!
 そんなこんなで山頂。到着が10時半ごろなのでかなりの牛歩で粘り到着したわけですが、、、変わりませんでしたね、天気。どこをどう切り取ったらこれを晴れというのか、なぜ晴れの予報を出したのか、あの天気図は本当に間違っていないのか、一体何が起こっているのかともかく私にはもうわからない訳です。まあなんかあれだろう、湿った空気が入ったとか、気温差とか、そういうの。私の気持ちですが、こうなってしまった以上とりあえず山頂の祠の前で白装束の衣装に着替え、切腹して果てたい感じではありますが、他の登山者に介錯を頼むのもまあ迷惑だし、鉛色の空に向かって「ギニャーッ!!」と叫んでしまいたい気持ちでありました。
 もうどうしようもないですが、まあそれでも粘ってみるのが男というもの(意味不明)、山頂からは南の鉢巻道でぐるりと遠回りしてから戻ります。あっさり帰るよりは何か起こるかもしれないですし、もし晴れたらまたぐるりと山頂へ登ればいい。鉢巻道では咲き始めたエゾリンドウがまた何というか、孤独感を感じさせる。周りが秋めいてきているのにひっそりと花を咲かせるところがそうさせるのか、しかし敗北感からなぜか傷に塩を塗られたように感じてしまう私。エゾリンドウって9月に咲くから、単に夏の終わりが感じられて寂しいだけなんだからねっ!!

終わらない苦しみ

 なわけで西側に回り込んできましてシューシューと上がる噴煙が見える牛ヶ首にやってましりました。できればここから茶臼岳の絶好ポイント姥ヶ平へ下りたいところですが、、、ねぇ。下ったところで何も撮れやしない。こういうところは私の登山のつまらないところでしょうか。あくまでも撮影のために山に登っているので、撮れないのなら行かない、みたいなところ。まあ何度も行ったことがあるというのもありますけど、本来登山だけで語るならただただ足を延ばしてみるというのが楽しみのはずでもある。もちろん、ガスっていようが雨が降っていようがそういうものを撮りに来たのなら話は別だが、その都度その都度好奇心に駆られて撮影するのは私のスタイルではない。
 さてそういうわけだからもう撮るものもなく諦めて、潔く下山へと向かうことにしたのでした。山腹をトラバースしつつちらりと右手の噴煙に目をやると「無間地獄」の看板が。う〜む、まさに朝から私は無間地獄であります。これと言って何か悪いことをしたわけでもないはずなんですが、なぜ地獄の業火に焼かれ続けなければいかんのでしょうか。もしかして、このとき以外が晴れすぎてるからとか?やや気圧は低いとは言え高気圧が乗りまくっててもこの天気なんだからまあ何かしら天からの仕打ちなんでしょうけど、なぜ天国の人が私を地獄に落とす?管轄違くないか?ともかくこの日の私はついているところなど全くなく、トボトボと下山するしかないのでありました。
 下山してきたのはお昼すぎだったかなぁ。「もっと粘れよ!」という皆様の声がしっかりと聞こえてくるところではありますが、ホントどうしようもないくらいドン曇りだったのですよ。粘ってもしょうがないような。てな訳で諦めて帰りのバスに乗り、那須高原へ。帰りのバスは那須塩原駅への直行便ではなかったのもありますが、せっかくなので「倍返しだ!」ということで未だ行ったことのなかった鹿の湯で汗を流すこととしました。まあ、汗もほとんどかいてないし、何っにも倍返しになっていないのでよくわからないのですが。ともかく完全敗北が決定しましたので、汗を流すというか涙を拭きにいく感じであります。温泉に慰めてもらうしかない!
 鹿の湯、入ってみるとなかなか雰囲気のある温泉であります。湯船は小さいながらも温度が41度から段階的に小分けになっており、お湯は乳白色でまさに温泉といった感じ。こじんまりした感じで確かに雰囲気はグッドなのですが、土曜日ということもあって結構人が入っておりました。なので何と言うか、狭い。単純に狭い。湯船に入ると隣の人と当たっちゃうレベル。平日ならかなり良かったと思いますが、う〜む。仕方がないのでなるべく人が入っていない湯船に移動したいところではありますが、当然の如く48度の湯船が空いているわけです。

 ちょろっと足を入れてみるわけです
 は、入れるわけねーだろ!

 と、ふと顔を上げて
 全体を見渡してみる

 もしかして私は
 本当に無間地獄にいるのかもしれない

 ギニャーッ!!

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