Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 11(改訂加筆)
30 Jun 2020更新

2015年発行ブルーガイド「関東周辺の山」掲載写真「金峰山」


 晴れない晴れない。ようやく久しぶりに山へ入れたのですが、晴れない。まあ梅雨なんだからそりゃそうですけど、もうちょっと晴れ間があってもいいんじゃないかという梅雨っぷり。冬は雪が少なかったからここでまたカラ梅雨だと色々世の中も困るだろうからこれでいいんでしょうが、でももうちょっと晴れてほしい(勝手ですが)。いくらかスパッと晴れる予定で構えておりましたのでレポートは帰ってから書くか、、、くらいに思っていたのですが、粘って粘って書く暇もなく、すみません言い訳ですが今回は改訂版でお願い致します。
 いつもであれば晴れのチャンスを狙ってサッと行動するところなのですが、ただ今とある施設で使用する映像を撮っております関係で、いくらか大世帯での行動であります。スパッと一人で勝手に撮ってくるわ!とチームを乱すのが得意な私ですが、もちろん今回はそういう感じでは行動できず、とは言っても撮るものも多いので色々とチームで作っていかないと仕上がらないため、どうしても撮影方法は「粘る」タイプのスタンド攻撃になります。そういうわけで事前にスケジュールを決めて愚直に粘るわけですが、、、、、、晴れない。あとはもう梅雨明けが早いことを祈るしかなさそうな。かと言って当然予算の都合上ずっと粘るわけにもいかないですし、う〜ん難しい。
 映像の成果は施設がオープンして無事見られるようになりましたらご報告させていただきます。どこかのテレビ番組のように私は撮影監督で参加しておりますが出演などはなく、ちゃんと映像撮影も担当しております。なわけでチーム全員忙しく動き回っている感じです。山でお声を掛けていただいても忙しくて反応しきれないことも多いと思いますので、どうか生暖かい目線で見守ってくださいませ。別に殺気立ってはおりませんよ。
 ということで、今回は改訂版でよろしくお願い致します。

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 この写真は2015年に発売された実業之日本社ブルーガイドの「山旅ルートガイド」シリーズの「関東周辺の山」で使用、金峰山コースガイドページのトビラ写真です。撮影日は2015年6月25日。梅雨の真っただ中である。富士山がくっきりときれいに写っていないので個人的にはまったく満足のいくものではありませんが、ガイドブックのお仕事ということでお許しください。
 ガイドブックを作るにあたって、できるだけ新しい写真を使用すること、をモットーにしております。登山道調査ももちろんそうだが、すべてがすべて一気に撮り直し、歩き直しというのは山という場所ではなかなか難しいこと。さらに、登山道調査は天候が良くなくても大方できるが、ガイドブックに載せる写真の天候が良くないというのは仕事としてアウトである。買ってもらうガイドブックなんだから、しっかりと青空の写真で、どんな道か、どんな場所か、景色か、などをしっかりと載せなければ意味がない。残念ながら他の多くの本で、人様からお金を取っているにもかかわらず、ガスって展望が悪かったり、何の情報なのかよくわからない写真を使用してテキトーに作っているものを散見するときもありますが、私が関わっている以上、そんなことは許さない(本当かよ)。しっかりとしたハイクオリティのものを提供する、という意気込みで作っております。と言いながら、結局相手は山の天気、毎度毎度プレッシャーで、生きた心地が全く致しません。言うのは簡単だけど、実際どうなるかわからないんだから怖いよね。
 この金峰山のときもまさにそんな感じで、何度も歩いているところであっても毎度晴れて写真もいくらでも持っている、というわけはなく、さらにはなるだけ新しい写真で収めたいのだが、注文を頂いたときにはもう締め切り間近という、格好よく言うとミッション:インポッシブル状態でありました。時間の余裕があれば楽しく仕事ができるというものだが、他のコースなどのこと、この梅雨の間に撮ること、を考えるとチャンスはほとんどない。ワンミスでいきなりスリーアウトみたいな感じなのだ。なので梅雨の間に訪れるチャンスは絶対に逃せない、非常に緊張感のある日々を送っておりましたことをよく覚えております。実際トム・クルーズならなんとかするだろうが、私はせいぜいトム・ベレンジャー、撃たれまくって死ぬプラトーンのポーズが似合いそうだ。いや、あれはウォレム・デフォーか。
 金峰山の標高を考えるとなるだけ7月近くにならないと樹々に葉も生えないので、6月前半の晴れは他の山へ。カラ梅雨の年なら有り難いが、といっても梅雨、確実に日本列島に高気圧が乗るような日じゃないと厳しい。まさかの晴れ間を期待して何日も山に籠る、という時代でもない。毎日天気図とにらめっこで、確実な日を冷静に待ち、狙い撃てるかの勝負である。これはもう魂をかけたギャンブラー、グッド!勝手に花京院の魂も賭けちまうぜ。。。。
 ということで、ようやく晴れそうな日がやってきました。天気図を見る限りでは、晴れる、ではなく、晴れるかも、くらい。でも勝負かけてもいいくらい。ここでとりあえずでも行かなくては、、、もし晴れてしまったらかなり痛い。乗るしかない、このビックウェーブに。。。そうして1泊の予定で出発したのでした。
 予定では1日目は瑞牆山荘から登って大弛峠へ抜け、大弛小屋に素泊まりして翌朝は北奥千丈岳で撮影という計画。初日にうまく晴れれば、翌朝の北奥千丈岳が終わればそのまま林道を歩いて下山だが、うまく晴れなくても25日にもうワンチャンス、金峰山経由で瑞牆山荘へと戻ることもサブプランで考えておく。25日のほうが晴れそうなので、24日は撮れたらもうけもの、のような感じで、内心サブプランが本プランになりそうだな、と思っていました。そんな感じで入山しましたが、やはり着いて早速曇っておりました。ともあれ、ここまで来たらとりあえず行くしかない。富士見小屋を過ぎて鷹見岩に立ち寄りし、期待するもあまりいい兆候は見られず。お昼すぎには金峰山の山頂に到着し、少し粘ってみるものの、今日はもう厳しいと判断して、一路大弛峠へ向かいました。
 大弛小屋の予約は取っていないが、このシーズンであればお昼の売店くらいはやっているだろうと軽い見込みで向かっていきました。しかし当然平日ということもあって誰もいなかった。当たり前と言えば当たり前か。というかお昼を期待していただけでなく、実は軽い食料などをここで調達して翌日に備える予定だったので、、、、晩飯も持っておらず。。。今持っているの、菓子パン1個なんですが。。。さて、これでどう乗り切るか(いや、普通なら下山しろよ)。
 とりあえず、何事も焦らないことである。省エネで歩くことには慣れている。もともと軽食で乗り切るテキトーな計画だった、そして最終的にはインパール作戦に比べればどうということはない。さすがに一泊くらい何も食べなくても即身仏になるわけでもないだろう。小屋は有料で素泊まりでき、布団までついているので夜を越すことへの問題はない。水は手に入る。翌日は持ち前の明るさでカバーすればいい。そうだ、じゃあ、あとはその明るさをどう保つかだな、ははは。到着した時間が時間だけに、食べるものもないので暇。。。明日も大事だけど、お腹が空いたので菓子パンを半分食べちゃいました。あとは余計な力を使わないよう、とにかく寝るという冬眠作戦に入ります。
 翌朝は空腹のまま、朝の写真を撮りに北奥千丈岳へ。登山道も厳しくないのが有り難い。朝一発目に食料を食べてしまうとその後が心配なので、金峰山へ向かうときに食べようという作戦を立ち上げる。まあ作戦はいいのだが、あまりいい感じのしない雲模様。キリッと晴れるわけでもなく、うっすらとではあるがしっかり雲が出ていて、これは今日もダメぽか?と思わせる天気でした。あまり芳しくないので北奥千丈岳での撮影は早々に切り上げ、大弛峠へ。残りの菓子パンをお腹に入れ、とりあえず撮影よりも食料を求めて下山である(哀しい)。こんな空腹でものんびり歩けば何とかなるのが、奥秩父のいいところだよねぇ〜と意味不明で呑気なことを考えながら朝日岳の登りに差し掛かると、ななななんと結構晴れてきたではないか!こ、こりゃあ、やれるかもだぜ。。。ハー(興奮)。
 自分自身が楽天家なのかどうかは知らないが、気分で生きているなぁと感じることが多々あり、テンションが上がると色々な悩みがどうでもよくなる。いや普段はかなりのペシミストなんですよ、本当に。とりあえず簡単に説明すると、トランザムシステムを積んでいるというのがわかりやすい表現かもしれない。その都度「トランザム!」と叫ばなくては発動しないようだが。ともあれ富士山の霞は残ったままだが、これこそ梅雨の晴れ間、「それがね、山の上だけ晴れたんですよ〜」と下山してから自慢するおばちゃん状態だ(正確には赤くなったトランザム状態の、おばちゃん)。
 ということで、金峰山山頂で撮ったものがトップの写真。私がダメな写真家なら、「まさかの晴れ渡った青空の下、空腹に耐えながらなんとかシャッターを切った」というキャプションを添えているところだが、そんなことする筈もない。それとも、もしかして言わなくても写真からは伝わるだろうか、私の空腹が。
 写真談義をちょこっとするならば、金峰山の撮影ポイントはいくつかあるが、ガイドブック的にイチオシなのはやはりこの五丈岩のある山頂だろうな、と思います。やはりこれが金峰山のシンボルであり、登山者が登りに行って印象に残る景色だろう、と。作品的には鷹見岩や千代ノ吹上が「金峰山」のいい撮影ポイントだが、絵としては完成されていても、登山者の目線としては金峰山らしさというのはこの山頂には敵わない。奥秩父の山自体、瑞牆山みたいなのを除くと山容がちょっと曖昧なので、金峰山ってこういう山なんですよ、というのは登山目線だと山容では伝わりにくい。逆に、大日岩からの金峰山は、ここをこう登っていくんですよ、という絵なので、ガイドブック向きだ。そういった事を考えながら、ガイドブックを作っておりまする。自分が作品として金峰山を一点に絞るなら、鷹見岩だろうなぁ、と思っています。あ、瑞牆山山頂からもいいね。

それも修行のうち。我慢、我慢です。

 ガイドブックの1コースの大きいメイントビラは撮れたということで、ひとまず胸をなで下ろす。余裕が出てきたのか、勢い余って登ったことのない五丈岩に登ってみたが、結局山頂の方が標高が高いのでどうということはなかった。あとはぼちぼち、鷹見岩まで天気が持つかな〜と急いで下るも途中の大日岩に捕まったり、空腹でも下山は楽なので気分は上々でした。
 富士見小屋、瑞牆山荘で何か食べることもできたのですが、ここまで来たのならとできるだけ頑張ってみたい、という意味の分からない言葉を発し、韮崎まで何も食べずに下山したのでした。

 ちなみに風呂も入っていない。

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