Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート113
27 May 2024更新

2010年5月22日 撮影・笠ヶ岳(谷川岳の)


 すっかり間が空いてしまってすみません、前回書き終わったときは「よし!次こそ2週間後には書くぞ!」と思うのですが、気がつくとひと月過ぎており、、、。なかなか時間がないとこう、駄文なりにも書けなかったりしますので何卒ご容赦ください。そもそも「2週間間隔」というのが最近厳しいのですが、初期の頃のレポートを見ると今と比べて強烈に内容が薄く文章量も少ないですから、まあなぜか段々とボリュームアップしてしまった現在は書こうにも腰が重くなってしまうというのはご理解いただけるかと。ここは思い切って初期に戻して、つまり今まで10枚入りだったとろけるチーズが7枚に減り、気がついたら7枚+1枚でおトク!という錯覚で喜んでもらう他ないのかもしれませんが、私としてはそういうセコい形を取るのも何なので、すみませんが落ち着いてお待ちいただければと思うところであります。いっそのこと「2週間間隔」と銘打たないで、「1年間隔」くらいにすれば、ひと月で更新されたらかなりおトク感が出るかも、、、って、そんなもの誰が待ってくれて読んでくれるんだろうかと。ん?待てよ、そもそも今のままでも誰も読んでない可能性の方が高いのでは!!
 さて、今回の写真ですが、谷川岳界隈からです。笠ヶ岳、と言われると多くの人は北アルプスは百名山の笠ヶ岳を思い浮かべるんでしょうが、私にとっての笠ヶ岳はやはり小粒ではありますが谷川岳の笠ヶ岳であったりします。どの辺がこの山のいいところなのか、と言われると谷川岳の展望が良いというのもありますが、何よりも「思い出が多い」というどうしようもない理由だったり。いや別にいい山なんですが、一般的にはこの山に登りに行こう、とはなりませんわな。笠ヶ岳より低いくせにとりあえずの日帰りポイントである白毛門の方が有名で登られていますし、おそらく馬蹄形縦走なんて実はそんなにする人いないっぽいし、朝日岳を目指すただの通過点でしかなかったり、とあまり取り上げられない笠ヶ岳でありますが、谷川岳の眺めが良いし、それに何より、、、う〜む、他に何だろう、谷川岳の眺めが良い!そ、そうだ、あとは重要な要素である「小屋」がある!と言っても掘立蒲鉾プレハブなので一般的には小屋とは言えないのだろうが、ここに泊まった思い出も数知れず、、、、(こんなところにそんなに泊まるな)。そんなわけで私はこの笠ヶ岳が好きだったりする。
 撮影は2010年5月22日。このときにこの山に入ったのは理由がありまして、とある雑誌の年間を通しての表紙撮影のためでした。だいぶ前に1年間の表紙撮影企画を出していたにも関わらずこれといって一向に連絡がないのでもうこれはやらないだろうね、と余裕こいてひと月ほどヒマラヤに行っていたのですが、その帰り際に連絡があって「来年の4月からやる」ということになったらしく、となるともう5月だよな。。。と来年の4月用にはこの年の4月に撮らないとならないわけで、う〜むどうしたらいいだろうかと悩んだ挙句の果てでした。企画ではこの月にはここ、と細かく設定していたのですが、5月は何とかなりそうなところがあっても(それでも月末ですが)4月は完全にタイムアウトしております。もうちょいなんとかならなかったのかよ、と文句も言いたいですが、決まったとなったら撮らなくてはいけないのが仕事、文句を言っても始まりません。ですがだからといって急にいいアイデアが浮かぶわけでもないし、季節ものはともかくこういうところをちゃんと準備するから撮れるんであって、それができないとかなりキツイわけです。それでどうしたらいいかもうわけわからない状態だったので、歩き慣れた谷川岳に気付いたらいた、という感じです。徘徊老人とさして変わりありません、はい。
 しかも、である。表紙の内容が「山岳写真」であればストックもあるし、ここからでも何とか、、、なるかもしれませんが、自分の出した企画が「人物入り」だったものだからさあ大変。帰国して今更急に同行者が捕まるわけでもない。一般的な風景写真だとトレンドでもないし、山岳の写真家がただ単に山岳写真で表紙やってもつまらないだろうと思ってのことだったが、むしろそれが仇になってしまった形である。ともあれ時間が押してるからどうこうしても仕方なく、とにかくとりあえず、来てしまった。一人で来てしまった。
 一人で来てどうするんだ、と思うかもしれませんが、実は何度かセルフ写真で表紙を飾ったことがあり(汗)、、、決して撮れないわけではないだろうと、とにかくできることをやらねば、という強い思いだけで土合の地へと降り立ったのであります。入山は前日の21日、焦っていたわりには社長出勤でちょうどお昼頃に登り始めました。天候は気持ちの良い晴れ、しかし初夏にも関わらず早速暑い谷川岳です。
 透き通るような新緑の中を登り始め、、、と、まあ気分よく歩くのは最初の最初だけで、この道はいつもただ黙々と登り続けるしかないので余計なことを考えないでとにかく進む。コースタイムだと樹林から抜けるまで3時間くらいだったか、とにかく長いので何と戦っているかは分からないがとにかく時間を短縮することがここは大事である。「疲れる前に登り切る」これ大事。そんなわけで1時間40分くらいまで短縮できたがどうだろうか。展望の広がる松ノ木沢ノ頭まで来てしまえば気分も一気に変わって楽しくなるので(ここまでがそんなに嫌か)、少し安心します。真正面からの谷川岳の展望が相変わらず素晴らしいですが、手前のシャクナゲがあともう1週間くらいで満開になりそうなほどの蕾を蓄えており、う〜む、実にもったいないタイミング、と思ったものですが、1週間後にもう一回登ってこいと言われるとやはり嫌だな。しかしここのシャクナゲが満開になって、向かいの谷川岳の景色、時間帯もバッチリだったら、さぞかし綺麗だろうなぁ。これくらい蕾があるとぼちぼち当たり年だし、、、でも嫌だな!そう思ってもう何年も経っているのでそのうちには撮らないとね。
 樹林帯を抜けると登山道に少しずつ残雪が目立ち始め、ようやくお目当ての4月っぽいカットが撮れそうな景色になってきました(無茶苦茶5月下旬ですが)。先の白毛門から先の道に目をやるとさらにぼちぼち雪が残ってそうでしたので、ちょっと安心しました。というのも、もし雪が少なかったら巻機山くらいまでいかないとダメかなぁ、、、くらいに思っていましたのでこの辺りで済ませられるのであればだいぶ助かります。松ノ木沢ノ頭を過ぎたくらいの残雪量だとまだまだ5月っぽい景色なのでそんなに良くはないですが、アイドリングといいますか、ちょっとずつイメージを作っていくためにもここらから撮り始めます。三脚をセットしてはセルフタイマーをセットしてちょっと戻って、パシャリ、を何度か繰り返してから確認しましたが、うん!良くない!だけれどももちろん良くないのはわかっております、まだシチュエーションも良くなければ、モデルのポージングも悪い、はたまたモデルも悪い。だいたい何だコイツは。見てるとだんだん腹が立ってくる。しかしこれはまだ準備運動ですから、とりあえずやっておく必要があります。ここで悪い部分を確認して、修正して、しっかりした画に持っていくわけですよ。ともかく登山者が他にいなかったので、そこだけは助かりました。え〜、だって、恥ずいし〜。
 ということで時間をかけて撮りつつゆっくりと進みまして、午後4時ごろに白毛門に到着。白毛門からの谷川岳ももちろん見応えはありますが、個人的には松ノ木沢ノ頭と笠ヶ岳の方が良いかと思っております。というのは松ノ木沢ノ頭からはまさに真正面で谷川岳と対峙する感じ、笠ヶ岳はそこからクルッと回って斜め45度から眺める感じ、ということでそのちょうど中間点の白毛門はちょっと中途半端な感じになるんですね。もちろん「悪い」ということではなく、先の2ポイントに比べるとちょっと格落ちするような気がします。日の傾きはすっかり西日、ちょい逆光目で薄らとした感じで佇む谷川岳もなかなか味があってよいので、白毛門山頂からの展望の文句を散々言った割にはしっかりと撮るんですが。
 白毛門山頂から笠ヶ岳にかけては一度軽く下り、登り返すところの斜面にはしっかりと雪がついておりまして、一見4月っぽい景色にも見えなくもないのでこの辺りで集中的に撮るのが良いかな、と思いました。ちょうど太陽が笠ヶ岳の頭で輝いており、いい感じの逆光、ピカーンと光る太陽と残雪と登山者、と、どこの山かというのは全くわからない感じでインパクトはちょっと欠けますが雰囲気としては悪くない模様。ただ何度撮ってもモデルのポージングが悪いので時間ばかりが過ぎていった気がします。そんなことで時間をかけながらじりじりと斜面を登って、笠ヶ岳に着いたのは夕方の6時でございました。しかしこの時期ですからまだまあまあ十分に明るく、遅くなったというような感じも致しません。山頂から淡い光に包まれる谷川岳の展望を確かめ、そのまま視線をずらして避難小屋の方へと目をやります。大事なところです、ここですでに誰か宿泊者がいたら「うわ〜」ってなりますから、まずは周りの景色よりも気になるところです。あの狭さで誰か知らない人と一緒になりたくないですもん。そんなこんなで全く納得のいくカットが撮れていないままではありますが、初日を終えました。きっと明日は、何か撮れるはず!と思って。

Do or do not. There is no try!

 翌朝はまずはすぐそこですが笠ヶ岳山頂へと向かい、谷川岳の撮影から始めました。朝一番はもうちょっと素晴らしい晴れを期待したのですが、どこかぬぼーっとしった朝となってしまい、ガッツリ日の当たる谷川岳の写真を撮ることはできませんでした。気温も高めだった気がするので、余計にもっさりした感じがしたかもしれません。そもそも標高低いから、パキッとした写真はこの時期撮りにくいですね。
 ここからは新たな画を探しに朝日岳まで足を延ばしてみましたが、これと言っていい感じとところもなく、いつも通り朝日岳の湿原も雪がいくらか残っていて悪くはないのですがここでの平たいカットは背景に山を持ってこれないので迫力を出すのに難しく、あまり良い結果は得られませんでした。
 ちょっとまずいな、、、とは感じていたのですが、もうここから先に進んでもあまり変わらなそうですし、そもそも背景にする山もあまり見栄えが変わらないのでどうにかなりそうもない。巻機山山頂まで行けば若干は雪も多そうですが、だいぶ藪も出ているので行程的にもだいぶ厳しいものになりそうです。なので帰りつつ、なんとか写真の腕でカバーするしかないと思ったのでありました。とりあえずはやはり雪が一番多く残っている笠ヶ岳〜白毛門の間のところ、ここで色々とバリエーションを変えてやってみたいものです。いや、やってみる、ではダメなんです。どんな形でも、撮って納めなくてはいけない仕事ですから。やるか、やらないか。やるんです。どんなときでもある一定の水準以上でしっかりとこなすこと、これがプロであります。
 そんなわけでいくつもパターンを変えて撮りまくり、ああでもない、こうでもない、これはどうだろうと色々と撮りました。まあこんなものでしょう。これ以上ここではもう撮れないな、というくらいは撮り、頃合いの時間に下山致しました。強引でしたがとりあえずは来てよかったと思いますよ。何かしら形にはなったかと。自分がモデルになっているところがありますから若干納得のいかないところが、いや若干ではなくかなりありますがそれなりに表紙らしい形になっていれば及第ではないでしょうか。
 下りは早いもので一気に登山口まで来ましたが、おそらくちょっとした太陽の傾きのせいなのか、昨日はきれいなだぁくらいに思っていた新緑のブナ林がなぜか一段とキラキラと輝いて見え、ここのブナ林ってこんなに綺麗だったのかとこのとき初めて気づいた気がします。それ以来、ここの登り始めの場所は新緑の時期は特に、四季を通しても私のお気に入りの場所です。うまく仕事を終えられたのも加味されていたのかもしれないが。

 はて、自宅に帰り
 しっかりと写真を確認致しました。

 う〜む、全く納得がいかない。
 こんなものを載せていいわけがない。。。
 ということで全部ボツに致しました。

 そもそも何でお前が撮って

 お前が写っているんだ。。。

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