Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 48
24 Mar 2019更新

雑誌 山と溪谷・2016年3月号掲載写真「守門岳」


 最初に言っておく!すみません、更新が遅くなりました。。。というのも、先日ちょっととある駅伝大会に出場致しまして、疲れてここ数日頭が回っておりませんでした。今冬は少しでも自身の競技800mの何かの足しになればと少し長距離走を取り入れましたが、さすがに性に合わず、3月に入ってからはすっかり短距離ばかり練習していたところ、とあるチームのエースが怪我で欠場、その穴を埋めるかのように鞭を打たれて出走してまいりました。
 いやホントのところ、その駅伝大会は1チーム6人、一応だいぶ前から補欠ということでメンバー入りはしていたのですが、私は長距離遅いのでメンバーでも7〜8番手、よかった選ばれなくてホントよかった〜とホッとして心置きなく短距離練習をしていたところだったのですが、、、まさかのエースが欠場。今年は暖かくなるのも早く、ここ最近はスパイク履いてトラック練習、200mや400mがいい感じで走れておりましたので、やっと楽しいランニング生活(というかスプリント生活)を送っていたところだったのですが。。。まさかの5000m。800mランナーとはいえ短距離型ですから、もうきついのなんの。いやおそらくもっと根性とか出せるともうちょっと速いとは思うのですが、根性という言葉からが程遠いところに生息している私としてはどうにもならない。根性って何?というか長距離ランナーのあれって、根性もあるだろうけど、どっちかって言うとやっぱりそういうのが好きっていう欲求だと思う。
 よく全速力維持の400m800mが一番辛い競技なんて言われるんですが、慣れた人にとってはいつものことだし、何より専門だと力の使い方がわかってるからそこまででもない。所詮2分で終わるし。しかしですよ、ゼーゼーハーハー顔を歪めて15分以上走るって、わからんわぁ。。。わかりやすくムチで説明すると、長距離走は60%くらいの強さでピチッ!ピチッ!って15分くらい叩かれ続くわけで、いつ終わるかわからない長い拷問ですよね。打たれてヒィッ、ヒィッ〜お代官様やめてくんろ〜という感じの。それに比べると800mは90%くらいの強さでビシィッ!ビシィッ!と2打で終わる感じ。よしっ!朝一番、目が覚めますわッ!という感じ。実にわかりやすい。。。いやでも撮影のために何時間もラッセルして、登って、ってやってるなぁ、、、と思うと、その先にある欲求のためかなぁと思ったりするところもある。まあでも登山や撮影山行はレースじゃなし余裕ありありで歩いてるから大した事ないか。
 個人的には登山には800mや1500mが一番向いていると思っています。というのも山登りは肺が疲れたら休めばいいので、その能力はそこまでいらない。むしろ、確実に重い荷物を背負って自分以上の重量を移動させなくてはならないのである程度の筋肉が必要。平地で長距離ランニングを頑張ってしまうと筋肉が削がれてしまうのでおそらくきついんじゃないかなぁ、、、空荷だったら山でも使えるけど。となるとパワー&筋持久系の800m、4分10秒台以内で走れるのなら1500mが一番効果的に登れるんじゃないかという推測である。と言っても私は登山のために鍛えているわけでもなく、ただただ800mが好きなだけというよくわからない生き物なんですけどね。とりあえず駅伝大会は順位を落とさず上げる事もなく、遅かったけど迷惑をかけなかったので良かった。いや、遅かったんだから迷惑かけてるか。
 さて、今回の写真ですが、山岳雑誌山と渓谷2016年3月号に掲載致しました、越後の名峰・守門岳の写真でございます。誰が名付けたか東洋一の大雪庇が見られるお山でして、雪が締まって登りやすくなる3月が見頃登り頃、撮影は2015年3月17日、同行のモデルさんもこんな山に登ってみたくて楽しみだとか。ということで麓に前夜泊の日帰り速攻登山で撮影してまいりました。
 夕方に自宅を出て、新幹線で浦佐、上越線で小出、さらに乗り換えて只見線で越後須原に夜到着。越後須原周辺には何軒か民宿があり、ステビバしなくてすむので実にありがたい。ここから除雪終了地点である二分までタクシーで30分くらいなので、ここまでさんざん乗り換えたが多分アクセスも悪くはない。越後須原駅から民宿まで歩いていく途中、さすが豪雪地帯、家々の屋根にはがっつりと雪が積もっているのが暗いながらもよくわかりました。
 翌朝は予約しておいたタクシーで5時すぎ出発。予定どおり日の出くらいの6時前に二分を出発して、ひたすら雪の道を歩いて行きました。はじめは緩やかですが最初からスノーシューを装着、やや登りがでてきてからはリフターを立ててガシガシ登っていきます。見えている守門岳の稜線が、、、遠いなぁ。ちなみに下山は上条駅14時11分のバスに乗りたいがために13時半にタクシー配車をお願いしたので(したというか、してしまった)、スケジュールはやたらとタイトです。標準タイムだとだいたい9時間くらい、つまり我々には初めから7時間半しか時間が与えられず、その間に撮影もこなさなくてはならないというミッション:インポッシブル状態。いや誰がそうしたって、私なんですけど。
 豚の角煮っぽい残雪が屋根に乗っかる保久礼小屋に到着したのは7時45分。この時点でだいたい15分遅れである。ここからは急な登りが続くのでペースアップは難しいが、ともかく登っていかないと話にならん。幸い天気はすこぶる快調で、汗ばむくらいの暖かさなのもありがたい。今のところ他に誰も登山者がいないので、誰もいない景色を独り占めする写真を撮らなくてはならない我々にとってはこれもありがたい要素。厳しいのは時間だけである。
 樹林帯を抜けひたすら続く雪の尾根を稜線目指して登っていく。このあたりで同行者を放置し、ペースアップして一気に登る。いきなり口を聞かなくなって怒り出した上司とかではない、時間も押してるしひとまずは稜線で人無しの写真をササっと撮りたいわけである。そんでもって構図確認して、どういう風に人を置いたらよく見えるか確認しつつ、あとから連載の写真に写る同行モデルさんが来たときに速攻で終わるようにするためである。しかし、放置される方は堪ったもんじゃないよね(他人事)。
 ということで汗だくで稜線に到着、大雪庇の勇姿を撮影していきます。こんだけ暑いんだから当たり前ですが、春めいた空気感で遠くの山々はやや霞んでおりましたが、それも春っぽくていいですね。雪山だからって、いつでもいつまでも厳しい姿を求めてはいけません。
 しばらくして同行モデルさんが到着、かわいそうに休む間も無く定位置につかされます。ちなみに私は先に着いたので休めました。ということでだいたい9時半ごろ、頃合いの時間に撮影したものが今回の写真です。今回の写真でのポイントといたしましては3つほど。ひとつは人物の大きさです。この写っている人が大きかったり小さかったりというのは当然のことながら山や地形によって変えております。人を大きく写しても山の迫力が落ちないようならその場にいるかのような臨場感を出すために大きく、山のスケールが小さくなるようなら人を小さく写して山を大きく見せます。ただ、毎度メーカーさんからウェアギアをお借りしていますので、できるものなら大きく写したいというのが本音です。あとは本来一枚絵として考えると人物はもうちょっとだけ右に寄せた方が守門岳への視点と大きさが出せると思うのですが、雑誌に載せることを考えると中央に見開きの切れ込みのノドがきますので、それを考慮に入れてこのカットにしております。
 ふたつ目は撮りごろの時間。成り行きで撮ってますが、決して適当というわけではありません。とはいえすごいシビアなわけでもないけど。春からは太陽の軌道って案外難しく、日の当たり方によってはうまく撮れなかったりします。太陽のライティングをしっかりと考慮に入れないと仕上がりがだいぶ変わってきます。おまけに冬みたいに表現するものが厳しさ一辺倒から、穏やかとか優しさとかそういう微妙なものに変わってきますので、余計にです。わかりやすくムチで説明すると、冬はまさにムチでビシィッ!と叩かれる感じですが、春先から春にかけては羽毛みたいなものだったり、トリモチみたいなものでつつかれたりと、いろいろなわけです。ということで春山は結構トップライトが有効で、半逆光っぽい感じが山に影がついて立体感が出たりします。この写真ももうちょっと早いとしっかり日が当たって影が少なくべったり光が当たる感じ、遅いと半逆光ですが影が少なくなってこの帯状の立体感を出すことができません。今度の講習会ではそんなことを詳しく説明しようかなぁ〜と思っておりますが、まだ何も用意しておりません。
 みっつ目はこの守門岳の山容を、スケール感をしっかりと撮りきること。イメージはずばり、ゾゴック。これはもう、どこからどうみてもゾゴックでしょう。ゾゴックの左腕に人が乗っている感じ。大迫力。まあ、みっつ目は無視していいです。

決して走りたいわけではありません

 さて、無事連載見開きの撮影も終わり、とりあえず登頂します。と、このときだいたい10時すぎ。ここから山頂まで1時間かかったとして11時山頂、折り返して12時、タクシー予約時刻まで1時間半か。。。登りで3時間くらいだから下りで半分、保久礼小屋で一旦登り返しがあるからどうなるか。。。とりあえずは登頂を急ごう、レッツゲラーレヒア、というやつだ。と、ここからが山頂が見えているのに長いのよね。
 スノーシューの爪を効かせながら、広い雪の斜面を登っていく。一段平らな場所に登ったところで、山頂はまだ先だ。大丈夫、きっと行ける、きっと間に合う。。。私だけならな。。。「しょ、少佐ーッ!!」のシーンが脳裏に浮かぶ。同行者には申し訳ない、せっかく楽しみに守門岳に来てくれたというのに、ザクには大気圏を突破する性能はない、気の毒だが。しかし、無駄死にではないぞ。ということで残念ではありますが、同行の方にはここで先に下山していただくことになりました。う〜ん実に残念。また来てね、山は決して逃げない(無責任)。
 そうして私だけが登頂の美酒に酔い、山頂からの景色を欲しいままに。とは言っても私もたいして時間があるわけでもなく、走って下るのはもはや必須条件である。なわけで山頂に1〜2分滞在後、速攻で下山に取りかかる。ちょっと急なところはスノーシューだとちょっと怖いが、そこは持ち前の明るさでカバー。大岳まで戻ると何人かのスキーヤーが登ってきていました。あれ、下るの早そうだな。あとは通常の3倍のスピードで下山し、保久礼小屋で同行者に追いつきました。ここからはぼちぼちで歩いていけば13時半に間に合いそう、でもなさそう。この先で地元の人らしきワカンで登る高齢のご夫婦とすれ違ったのですが、そのとき「スノーシューなんかで登ってやがる。山知らんのだな、こっちの山じゃあそんなもの使いものにならんよ。」とボソッと言われてしまいました。いや、あの、リフターがついてるとだいぶ使いものになるんですが。。。ダメでしょうか。
 結局のところ、ギリギリ。間に合わない。なのでラストはいつも通り?ダッシュ致しまして、間に合いました。とりあえずは時間通り、タクシーの運転手さんを待たせることなく13時半に到着です。特に後半戦、暑かったので汗だくの喉カラカラ。タクシーで上条駅に行く途中に自販機のある売店を見つけたので一旦止めてもらってコーラでも買おうかと思ったら自販機が動いていない。中の売店に入って何か飲み物売ってるか聞いてみたら無いとのこと。くそう、一体何屋なんだ。結局そのまま上条駅まで我慢し、なんとか駅でコーラをゲットすることができました。バスの時間にも間に合い、小出駅から越後湯沢へと帰って行ったのでした。たしか越後湯沢のぽんしゅ館でお風呂に入ったと思います。日帰りだから無理に入らなくてもあれなんですが、季節柄汗だくでしたから。あそこはバスタオルが借りられるので好きです。

 いやぁ、でも一日中天気も良く、楽しい撮影でした。
 忙しかったけど。
 同行してくださった方に登頂させることができなかったことは心残りではございますが、

 守門岳登頂なぞ、もうついでのことなのだアルテイシア。

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