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— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 52
23 Jul 2019更新

2016年発行ブルーガイド山旅ルートガイド「尾瀬・日光・谷川岳」掲載写真「谷川岳」


 今年も始まりましたNHK夏のドローン大縦走の撮影ですが、いつも梅雨どきからスタートするために入山して早速絶賛停滞中です(このレポートは停滞中に書いたものでございます)。まあこの雨のおかげでたっぷりあった雪もぐんぐん融けて、夏らしい風景へと変わっていきますのでそれはそれで有難いんですが、停滞日が何日も続くと毎日何していいんだか。とりあえず腹筋はじめました。欲を言えば小屋にベンチプレスがあると嬉しいんですが、、、ないですよね。
 まあともかく天気予報を見る限りあと4〜5日は悪天が続きそうですから、晴れた日の絶景を夢見て辛抱するしかないようです。あ〜ガンプラ持ってくればよかった。スジボリならできただろうに。まあそんなことより果たしてちゃんと撮れるのかどうか、ちゃんと仕事しなくてはですね。これを書いているときはこの後どうなるのか全くわかりませんが、皆さま是非放送をお楽しみにお待ちくださいませ。何とかします。今年の放送は8月6日になりますので、ご注意ください。山の日ではないです。
 さて、今回の写真ですが、ブルーガイド山旅ルートガイド「尾瀬・日光・谷川岳」の谷川岳ページのトビラで使用しております写真です。双耳峰、西黒尾根、少し天神尾根、と山容とルートがまあまあわかりやすい写真ではございますが、それだけだと谷川岳の魅力といいますか、登ってみたい!と思わせるカッコよさが出ませんので、朝方早くの時間帯でキリリと引き締まったとき撮影したものを使用致しました。
 撮影は2011年7月16日。このときは天気を見計らって1泊2日の撮影行程でした。天気を見計らって。16日の朝早くから天神平で撮影がしたいので、15日は夕方に自宅を出て、谷川岳と言えば当然でしょうが土合の駅で安定のステビバです。ロープウェイ土合駅のすぐ上の登山指導センターの方が現場に近いのですが、現地夜到着だとバスがないので電車で行ける土合駅が個人的にはとりあえず早く寝られていいのかな、と。
 翌16日は4時前に起床して駅から出発、5時前に土合から天神平に登る田尻尾根の登山口に着きました。予報通り晴れてはいるんですが、何せこの界隈は湿気が多く、標高もさほどではないのでどうもすっきり晴れているようには見えません。南アルプスなんかよりももっと早く雲が湧いてガスる山なので、予報で晴れといっても全く当てにならないのはよくわかっているのですが、しかし早朝からなんちゅう暑さだ。
 当然?のことなのかわかりませんが、私にとってこの山での常識は、夏はシュラフがいらんということです。夜もアチーんです。なのでうすうすシルク生地のシュラフ、シルクシーツを使用してるんですが、まあだいたいそれで乗り切っているというか。このときは朝に天神峠で撮影、そのまま晴れていれば一ノ倉岳、茂倉岳と稜線を歩きまして蓬峠、そして清水峠で泊まり、翌日は状況に応じて朝日岳に向かうか、清水へ下るかといういうルートを予定しておりました。
 田尻尾根から登り始めますが、早速汗だく。空気は蒸し蒸しで汗かきまくって大変だし、何だかわからんが足元には小さいカエルが無数にぴょんぴょん跳ねてるし、何だか本当にわからん。しばらく登って樹々の間からいつの間にか天神平を見下ろすと、リフトの頂上、天神峠との分岐に出ます。この辺りから少し天神平に戻ったところ、ここから谷川岳の眺めが良いんです。天神峠からももちろん眺めは良いのですが、手前の樹々の感じは分岐付近のポイントの方が絵になります。前々から朝早くにちゃんと撮ろうとリストに入れていた場所ですので、何とか、良い状態で抑えられそうな状況で現場入りできてテンションもグー。
 というわけで早速今回の写真です。天神峠との違いはあっけらかんと山を見せるか、樹林越しで見せるか、の違いでしょうか。あとはいかにもな感じで天神尾根が見えていないので、そういうところもいいですね。もうちょっと時間がたつと全体がベターッとなりますので、立体感を出すためにはやはり早朝がいいでしょう。
 そういうわけでとりあえずこの場はおさえまして、とはいえやはり撮っておこうということで山頂の反対側、天神峠へと登っていきました。一応撮りますが、やはり先程のポイントの方が山の高さも出せますね。朝の撮影を終えて再び先ほどの分岐に戻り、誰もいない天神尾根を山頂目指して登って行きました。朝のひと仕事を終えましたが、本番はここからです。何とか天気がもってくれるといいのですが。。。と祈っておりましたが山頂に到着する前に早くも雲が湧いてまいりました。撮影には厳しいと感じるほどガスが山を包み込みはじめてている。。。まだ7時台だぜ?
 とりあえずトマの耳山頂で悩むこと数十分、すっきりとした写真が撮れなそうな蓬峠方面の撮影をきっぱりと諦め、雲が湧いていない中ゴー尾根をとりあえず下ることとしました。ガスはガスで雰囲気あっていいのですが、今回の目的はガイドブック用が中心になるのですっきり晴れていて欲しいわけです。ということで中ゴー尾根から二俣に下って、いわお新道で熊穴沢避難小屋に登り返してロープウェイで降りて再び土合駅泊、翌日はまた田尻尾根で登ってせめて蓬峠まで撮って下山できればいいか、と予定変更致しました。
 なわけで幕岩の景色を楽しみながら、中ゴー尾根を下っていきます。下れば下るほど暑い。何度あんのこれ?っていうほど暑い。幸いこちら側は雲が湧きませんが山の上らしいそよ風もなく、かなりムンムンしております。夏の谷川岳と言えば必須アイテム、サーモスに冷えた飲み物を入れておりますが、速攻でなくなりました。まあでも二俣の沢で冷たい水が手に入る、しばらくは頑張りましょう。近づいてくる水の流れを見下ろすと、ただの水なのにステーキ肉のように見えてきます。早く食べたい。
 二俣についたのは昼前の11時半頃。沢ではまず頭から水を浴び、冷たい水を飲んで飲んで飲まれて飲んで体を回復させます。ようやくひと息つけました。ここからいわお新道を登り返して天神平に辿り着けば、お花だけでなく冷たいコーラにも出会えます。バカみたいに暑いけど、頑張るしかない。
 冷たい水はたっぷり補充しましたし、気合いを入れるまでもなく余裕な感じで登り返していきました。きれいなブナ林を楽しみながら、何とな〜く暑いですが直射日光ではない日陰の樹林帯を進んでいきます。でもうん、やはり暑い。早速補充した水を飲む。歩く、やはり暑い。水を飲む。何だろう、歩き出して30分くらいで水を飲み干してしまった。。。
 しばらく歩いているとぼっーとしてきました。しかし落ち着いて深呼吸。ダラダラ行けばすぐ着くでしょう。と、気持ちを落ち着かせて歩いておりましたが、あまりの暑さに疲れが出たのかついには座り込む始末。何歩か歩いては座り、を繰り返しましたが、、、いわお新道、まさかの途中棄権。半分熱中症になっていたんでしょうか、体がどうにも動かない。直射日光ではないとはいえ樹林の中のこもった空気に降参してしまいました。情けない。歩けないわけではないのですが登る力が出なかったです。というか暑すぎ!
 とりあえずは進んだところまで分かるように落枝で目印を作っておき、二俣まで下って再び水浴び。谷川温泉まで下りて作戦を練り直すことに。って言ったってこのまま土合で泊まったらいわお新道は中途半端だし、翌日半分下り返してたら時間がもったいない。とにかく今日終わらせるのが最良と踏んで、この日は熊穴沢避難小屋で泊まることとしました。
 谷川温泉に出たのが午後1時、とりあえずコーラを飲んで入浴、タクシーでコンビニに向かいまして食料を買い込みます。体に悪いんでしょうが、モンスターとか飲みながらかき氷を食べて水分、糖分、何だかわからないエナジーを補給しました。フランクフルトと唐揚げ串も食べちゃったかもしれない。
 バスに乗り換えて再び谷川岳ロープウェイへ。もはや登山を楽しむ、という雰囲気ではなく、撮影を楽しむ、という雰囲気でもなく、完全にノルマをこなすことだけを考えて無心で本日2周目に入りました。
 天神平に着いたのは午後5時前ですので当然ほとんど人影はなく、静かーな感じでした。昼間に比べればどこか爽やかな空気が流れております。せまい避難小屋で誰かと一緒になったりすると非常に憂鬱ですので、もちろん静かなほうが助かります。
 熊穴沢避難小屋に荷物を置き、とりあえず先程のいわお新道の目印まで下りました。いざ下ってみると、なぜこれくらい頑張れなかったのかと思いますが、夕方と昼間では気温が違いすぎたんでしょう。熊穴沢避難小屋で1L紙パック型のアセロラドリンクをガブ飲みしながら、そう思いました。麓に下りたとき気温は35度あったけど、この山の上も35度あっただろ。何なんだ、この山は。

もうどうにでもなれ

 日没を迎え静かな一晩を過ごそうとしていた頃、小屋の周りで何やら騒がしい声が。まさか、と思っていたのですが3人組の外国登山者でした。小屋から出て、向こうも驚いたようですがこちらも驚きましたよ。もう暗くなり始めているこんな時間に。
 3人はだいぶ疲れた様子で、どこから登り始めたんだか知らないが道に迷ってだいぶ遠回りしてしまったらしい。横須賀の海兵隊、ネイビーだそうで、一人は結構太ってるんだがネイビーらしい。だいたいどこで迷ってここに来るんだか分からんが、持ってる地図を見ると何だか分からんものを持っていた。ここから肩の小屋までどのくらいかかるかと聞いてくるので、1時間ちょいはかかるよと言ってあげたらオーマイガーとかばかり言っている。日本語はほとんど喋れないようで、何か馴れ馴れしく話すので歳を聞いてみたら21とか22だとか。太ってるやつは髭もあってとてもそんな歳には見えない。あんたは何歳なんだ?と聞かれたので33歳だと答えたら、そう見えないからか驚いたらしく、オーマイガーとかばかり言ってやがる。っていうかあんたらは老けすぎだろ。
 一人で静かな夜を過ごしたかったが、無理をせずここに泊まるようすすめ(熊穴沢の避難小屋を勝手にすすめるな)、せまい避難小屋で4人寝ることとなった。食料は持っているらしくガチャガチャと食べ始め、このまま騒がしい夜になるのかな、明日朝早いのに、、、、と心配していたのですが、3人とも速攻で寝た。。。

 翌朝は彼らより先に出発し、4時半にはオキの山頂におりました。
 やや湿気はありますが晴れ渡った空が広がる山頂。今日こそは撮るぞ!と意気込んだのですが、
 7時前に雲が湧きました。

 ガスに巻かれながら、とりあえず蓬峠までは行きましたよ。
 泣きながら。

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