Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 44
14 Jan 2019更新

雑誌 山と溪谷・2009年4月号掲載写真「北岳」

 

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。お正月の放送は見ていただけましたでしょうか。放送時間になっても番組が始まらず、おや?やはりあいつやっぱり逮捕されたのか?と思った方もいらっしゃったかもしれませんが大丈夫です、地震の影響です。九州沖縄地区の方は番組が中止となってしまい失礼いたしました。地震の被害もほとんどないようでよかったですし、番組は26日に九州沖縄地区のみ再放送されますのでぜひお楽しみにお待ちくださいませ。強豪ひしめく裏番組の中で、九州沖縄地区なしという形では善戦できたのかな、と思いますがどうなんでしょうか。でもこの手の番組って見る人は見る、見ない人は見ないっぽいので、どんな状況でもあまり変わらないのかもしれませんね。ともあれ10分遅れではございましたが放送されましたし、私も逮捕されなくてよかったです。いや、逮捕されるようなことはしておりませんが。番組は皆様の評価で今後も続編があるのかどうか決まりますので、ぜひレビューのほうもよろしくお願いいたします!ってNHKサイトでの当番組レビューが機能してないようなのだが。。。
 撮影裏話と致しましては電波の届かないところで天気予報をラジオを聴く局面がございまして、必死に懐かしの「つぎはぎニュース」の話をするもスタッフの誰一人知らなかったということがありました。決して私が年長というわけでも、年が結構離れているわけではないのですが、、、って何が裏話なのかわかりませんが、とりあえずああいうのって必死に訴えても伝わらず百聞は一見にしかずっていうのがつらかったですわ。
 そういえば最近「New Arrival」ページの写真の更新を怠っておりますが、、、、このページ、もうちょっと面白いものにしようかと思案中です。なぜかというと新作を撮っていても必ず出しているわけでもないですし、Newだけにいつ更新しているのかわからないからなのかこのレポートページに比べるとアクセスが少ないようで、しかも更新しても一度見で終わってしまうこともあって、もうちょっと見ごたえのある楽しめるページにしたほうがいいのかな、と。ということで新しく変えるかもしれません。すみませんが今しばらくお待ちくださいませ。
 さて、今回の写真ですが山岳雑誌山と渓谷2009年4月号巻頭に掲載致しました北岳グラフからの一枚です。もう10年も前なんですね。。。撮影日は2008年12月21日。冬の北岳にはホント何度も撮りに行っておりまして、今回のレポートではどの冬の北岳しようか悩みましたが書きやすそうなものを選びました。
 ここ最近は色々なところに撮影に行っておりますが、このあたりの時期は冬は特に南アルプスによく入っておりました。最近なかなか冬に足を運べていないのは入るのに面倒だから、、、ではなくて、昔に結構入って撮っていただけにまた同じ写真を撮ってもなぁ、、というところがあるからでしょうか。本当はいつまででも何度でもまだまだ入りたい山なのですが、いかんせん撮影を生業としているとそういうわけにもいかず。。。好きな山にばかり入って写真を撮るというのもひとつの方法ですが、それで生計を立てられたのも一世代前までで(っていうか一世代前でも立てられていたのかどうか)、現役の、というか氷河期世代がやって成り立つ方法でもないんですよね。でも本当のところは自分の好きな山ばかりに篭って撮影をするなんていうのもやりたくて、昔はそんなスタイルでやっていた年もありました。山岳写真家として世界を含め各地の山岳を撮るということは非常に重要だと思うのですが(とくに絶滅危惧ジャンルですし)、それはそれでそうやってると「広く浅くの人だね」なんて簡単にまとめて評価する輩もいるから、何だかもどかしいところもあったりと。ともあれ日本のどこの山もよく歩いておりますが、私の心の中にはこの「北岳」が根としてあったりします。
 冬に何回も入っていることもあってか、この時は奈良田から林道を歩いての入山でした。通常は夜叉神トンネルを歩いて鷲ノ住山から一度下って登り始めるんですが、何だか面倒なイメージもあってかダラダラ行く方を選んだようです。結果的にはかかる時間ってほとんど変わらないんですが、まあ気分の問題でしょう。上り下りに体力を使わず、黙々と歩くのが楽だと思うときもあるんです。結局どっちも疲れるんですが。
 甲府に前夜泊ののち始発の電車で身延に向かい、当時あった朝早い便での路線バスで奈良田入り。この日はここから林道を3時間歩き、とりあえず池山御池の無人小屋まで上がりました。ほぼ年末ですが雪も大してなく、しかし登山道はやや凍っているという、林道歩きを含めてう〜ん、実に面倒。小屋の周りには辛うじて雪がうっすらあり、なんとか水は確保できました。
 登山をするだけならこの池山小屋から暗いうちに出発して軽荷で山頂を往復すればいいのですが、このときは稜線で何日か撮る予定でしたのでもう一段上にベースポイントを構えます。ということで翌日20日は小屋を朝8時ごろに出発、10時くらいにいつもの幕営ポイントの砂払につきました。天気は朝から晴れ。このときは山頂登頂はする気はなく、とある撮影ポイントから撮るのみの予定でした。ですので今だったらこの日狙いで軽荷で上がり、ババっと撮ってババっと下山しちゃってるかも。のんびりやっていたなぁ。積雪は砂払の手前でワカン履いて膝から腿くらい。さすがに2500mを超えてくると雪もそこそこあります。とりあえずテントを設営し、ボーコン沢ノ頭まで行きました。
 どの季節でもですが、ボーコン沢ノ頭から見る北岳はやはり素晴らしい。バットレスを正面に見せていますが、あっけらかんと見えているわけでなく手前に邪魔する吊尾根の角度が絶妙。ただ年末ということもあってやや雪は少ないかな。と、しかしここの景色は最高ですが何度も撮っておりますので、今回狙っている撮影ポイントはまた違う場所です。このボーコン沢ノ頭から北は広河原へと延びる尾根がありまして、頭から150mくらい下ったところにナイスな展望ポイントがあります。一度樹林帯に入って下ってからちょっとだけ見晴らしのよい場所があり、北岳バットレスを正面に、見上げるようにして見られる隠れポイント。午前中が撮り時なので、とりあえずこの日はボーコン沢ノ頭で折り返し。テントまでの帰路で真っ白なライチョウが3羽、とことこと稜線を歩いておりました。天気はすっきり晴れており、テント場から見える櫛形山&天子山塊越しの富士山が綺麗でした。この景色も大好き。
 翌日21日はその撮影ポイントへと向かいます。ボーコン沢ノ頭から広河原への尾根は地図上にルートはありませんが、嶺朋ルートというそのルートを切り開いた山岳会の名前がつけられております。トレースは薄く夏は迷いやすいかもしれませんが、展望台までで折り返すのであれば大丈夫かと思いますのでおすすめの場所です。ここからの北岳の写真というのが当時は結構少なくて、夏は私も撮っているのですが冬は今回が初めてでした。ということでボーコン沢ノ頭から鳳凰三山を正面に見ながら尾根を下っていきます。途中結構雪が濃くて、でも樹林に囲まれて風のない場所だったので「ここにテント張ればもっと楽なんじゃ?」なんて今更思いました。でも担ぎ上げなきゃいけない分、砂払のほうが楽か。。。暗いうちは晴れていましたがかなりの雪雲がぐんぐんと迫ってきてしまい、北岳もぐんぐんと雲に巻かれていきます。まあでもこれはこれで迫力あってよし。急いで三脚を構え、なんとか撮りましたものが今回の写真です。天気はこのあとすぐ雲に巻かれ、午後は雪となりました。
 使用カメラはペンタックス67iiです。このときは67のレンズを2本、広角はフジのGSW690iiiを持参。67の広角も持っているのですが、67の構図って正方形に近くなるので絵にどっしりした感じが強く出やすいのはいいのですが、一方でスピード感は出しにくいので、広角は縦横比3:2のGSW690iiiを好んで使っておりました。夏は全部持ってくけど、冬はさすがに場所に応じていくつか削ることも考えないと行動に支障をきたします。でも行動のことを考えるなら広角はGSW690iiiを持っていくより67の広角レンズ1本のほうが軽いのですが、、、こだわりというのでしょうか。でも上の写真を見て分かる通り、6:7の67で撮っても雑誌に載るときには3:2〜4:3くらいに削られたりしますので、、、まさにフィルム原版が完成品、最終的作品という、今となっては古〜いこだわり。。。しかし大事なことです。デジタルであってもノートリミングにこだわるというのは、フィルム時代があってこそです。ノートリこそがその人の画力であり作品!、、、、ってこれも古い?
 翌日22日は吹雪。一日中暇なのでテント周りを綺麗にしたりとか、とりあえず優雅な一日を過ごしていたと思われる。。。

下山、帰宅、いずれも〜〜マッハ!

 ということで何をしていたのか不明な丸一日を過ごした翌日の23日、再びボーコン沢ノ頭へと撮影に向かいました。まずは嶺朋ルートを少し下って21日の青空バージョンを撮影、そのあとは八本歯ノ頭までだらだらと吊尾根から撮影をしました。嶺朋ルートの展望台は朝の方がいいですけど、吊尾根からの北岳は朝方だと光が順光すぎるのでお昼のトップライトくらいのほうが影がついて迫力が出ます。ぼちぼちシュカブラもできていて雰囲気はバッチリです。今と比べるとたいして撮っていないですがなんとなく満足していたのを覚えていますけど、ホント今と比べると甘ちゃんだなぁ。
 お昼くらいにテント場に戻り、突如変なことを思いつきました。なんだか今日もここに泊まってのんびり明日下山するのが面倒に思えてきたんです。もしかして今から下っても帰宅できるんじゃないか?と思ったのです。砂払からマッハで下って2時間、奈良田へ向かわず鷲ノ住山をマッハで登って1時間半、夜叉神ゲートまでマッハで1時間、、、余裕を持って5時間、、、。13時に下山開始したとして18時に夜叉神ゲート、タクシー呼んで20時には甲府駅、、、あずさの最終は21時くらいだからとんかつ和光に寄る時間もある、、、、とんかつ和光、、、とんかつ。。。ゴクリ、やるしかない。
 果たしてそんな予定通りに事が進むのかよと思いますが、すでに4泊もアルファ米で過ごしている身としてみればきっちり時間通りに歩けたら今晩はとんかつがついてくるわけですから頑張らないわけがありません。気付いたときには頭の中はとんかつのことだけで、白目を向いて下山しておりました。
 鷲ノ住山を越えて南アルプス林道にたどり着いたときはもう真っ暗でした。というかどうせ夜叉神トンネルが真っ暗だからどうでもいいんですけど、でもぽつぽつと星が見えてきて、、、そのうちもっと星が、空いっぱいに広がって、、、、何だか広い地球の片隅を歩いている自分ってちっぽけだなぁ、、、、宇宙から見たらもっともっと、、、、、とかどうでもいい。思うわけない。とんかつです。下山開始してからだいぶ時間が経ってますから、胃の燃料ゲージもほぼMINを示しております。もう絶対食べまくる。時期的にはカキフライも始まっているから、絶対カキフライも食べる!そんなことしか考えておりませんでした。
 無事予定通りに夜叉神ゲートに到着、タクシーを呼んで甲府へと向かいました。


 着いてすぐに食べましたよ、サクサクのとんかつってやつを。
 Wロースカツ定食に単品でカキフライ。
 でもよく考えたらそもそも少食なので、お腹にそんな入るわけない。
 威勢良く入店したものの、最後の方はちょっと後悔しておりました。苦しい。。。


 皆まで言うな、お風呂に入る時間などない!

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