Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 59
10 Dec 2019更新

2017年発行地球丸ムック「トランピン紅葉ルートガイド」・掲載写真「奥久慈男体山」


 いつも通り、なのでしょうか。よくやく長い長いロケから帰ってまいりました。おそらく放送上ではスパッと、まあちょっと天候に苦しめられたけどさらりと乗り越えて、感動?のエンディングへ。。。となるんでしょうけど、実際はもっともっと苦しんで停滞しております。今回もまた停滞中にレポートの方、書かせていただきました。ホント毎度上手くいかないものですね。今回こそはあっさりとロケが終わるんではと思っていたのですが、またしても甘かったです。しかし、これを書いている今現在、出口が見えなくて困っております。。。
 ところで、とある山中のロケ中に入ってきた情報によりますと、とある人のせいでとある大河ドラマなるものが延期になりまして。。。その1回目の枠が空いてしまい、代わりと言ってはなんですが我々取材班の番組が当てられるみたいです。しかしどうなんでしょう、今の状況下では我々の方も延期になりそうな勢いなんですが。。。いや、私が何かいけないものを所持してるとかっていう意味じゃあないですよ。我々も1月5日放送に間に合うのか?ということです。
 しかし毎度毎度思いますが、よくまあ何とかこの番組、今までやってきてるものです。ずっと山にいれば素晴らしい映像が撮れるなんて保証はないですし、私だって個人で山に入って満足のいく写真を撮るのに何年もかかったりしているわけです。それをいくら長いとは言えひと月未満の短期間で撮ろうというわけですから、振り返ってみると結構無茶な話です。いくら晴れたからといって山が満足いくレベルで真っ赤に染まったりするわけじゃないですし、見たことない雲海が広がったりしないですから。なのに毎回よくやってるな〜と我ながら思っちゃたりします。
 前回の黒部源流のラストも、そりゃ三俣に10泊しましたけど、10泊すれば見られるわけではないですから。いつも本当に綱渡りなんです。ただ晴れて、ハイッ、って綺麗な景色だけでは普通の番組になってしまうわけで、それ以上を作り出そうと努力しているわけですが、、、結局は自然の状況次第ですから、ふと気付くとなかなかリスキーなことをしていますよね。普通に綺麗なだけだと、ネットで「普通でした」とか書かれちゃうんだろうし。そんなこんなで何とかご期待に添えるよう頑張っておりますが、今回もどうにかなるんでしょうか?未だ見えない出口、満足いくものが出来上がらなかったらすみません。先に謝っておきます。まあでも冬の山っていうだけで綺麗ですから、何とか許してください。ダメか。う〜ん、誰か助けて〜。
 さて、今回の写真ですが、茨城県の奥久慈男体山でございます。標高はヤク、じゃない、それは大河のほう。約です約。約650mほどと低い山ですが、山頂からは300mほどの断崖となっていますので景色は抜群なわけです。こちらの撮影は2016年12月3日。今年は暖かったこともあって、まだ同じような景色が楽しめる、、、かも。このくらいの時期だと山自体の紅葉の見頃は過ぎていますが、山から見下ろす麓の紅葉がなかなか丁度良いんです。空気も結構澄んできてますし。
 日帰り、ですがさすがに公共交通機関利用だと厳しいので水戸に前泊致しました。3日は水郡線の始発に乗って、西金という駅で降ります。登山口までは1時間ちょい、帰りは1時間ちょい道路を歩いて上小川駅まで歩くので、じつはコースの半分くらいは道路歩きという地味な登山です。でも、田舎の道を歩くのってその土地の感触が味わえて楽しいので、むしろこういう行程は大好きです。
 西金駅からはまだ日の当たらないキンキンに冷えた空気の中を歩いて行きました。しばらく歩くと見事な断崖を抱える男体山が見え、お〜っ!と思うのですが、山頂に立つ電波塔に目がいくと次第に山の大きさがわかり、うん、やっぱり小さいね。という感じになります。それでもなかなか凛々しい山容ではありますよ。小結くらいの格はある、はず。
 登山口のお店には季節柄「干し柿あります」の看板が。誘われる人は誘われるんでしょうが、実は私は柿はあまり得意ではない。嫌いなわけではないが柿は糖度が高すぎる、と思うのである。私は結構甘い物好きで生クリームはそのままボウルで食べたい派であるが、柿やマンゴー、桃ってそれよりも濃い甘さというか、甘すぎると思う。わかってくれる人はいるとは思いますが、まあどうでもいい告白でした。
 やはり紅葉の見頃は過ぎていたために登山者は少なく、静かな山歩きが楽しめました。それでも時折残っている紅葉もあり、なかなかの色合いを出しております。登山自体はやはり瞬殺で、1時間もしないうちに眺めのよいところに出て、すぐ目の前に山頂が見えてきました。動いていると寒くなく、かといって汗もかかず、ちょうど良い気候。しかし口から吸い込む空気は冷たく、万年鼻詰まりの私は鼻の通りもよくて気持ちいい限りです。歩くには実はいい季節です。
 山頂手前の標高634mにはひとつ看板があり、東京スカイツリーと同じ高さを実感できるとのこと。が、なんとなく違う気がするのは私だけだろうか。そもそもあちらは下界の標高が1mくらいだろうし、こちらは下界の登山口で標高200mくらいある。。。でも待てよ、スカイツリーの展望デッキは450mくらいで展望の標高差は449mくらい、こちらは標高634mから200mだから標高差は434m、展望台としての標高差で言えばあながち間違っていないのか。でもほぼ垂直に延びる鉄塔と比べると違うだろ。やはり騙されてるのだろうか。いや待て、ここの場所はともかく山頂は断崖なわけだから、きっとスカイツリーと同じような展望を楽しめるのかもしれない。でも待てよ、ふと思い返してみると、そもそも私はまだスカイツリーの展望台に行ったことがないことが判明した。奥久慈男体山に登っているのも関わらず、どちらかというと東京スカイツリーの展望台に行ってみたい、と思ってしまうこの看板はこの場にはふさわしくないのではないのだろうか。うん、行ってみたくなった。
 10時ごろに山頂到着。山頂には電波塔が建っていますが、断崖の西側の展望を邪魔するものではなく、特に気にならないっちゃならない。いや、低山だからハナから大自然要求ハードルが低いのかもしれん。しかし、この山頂の大展望は、標高では語れないほど絶大でございます。まるで東京スカイツリーの展望みたい(行ったことない)。筑波山同様、周りに高い山がないからかどこまでも地平が広がるような爽快感。しかしながら筑波山の麓に広がるようないかにも関東平野の田園風景ではなく低くても山なみが続きますので、より山らしい風景が楽しめます。そしてその筑波山ですら、だいぶ遠くに見える。一体ここはどこなんだ、茨城県はどんだけ広いんだ、という感触を持ちます。今だヤンキーが多数生息するというのも頷けます。周囲は那須、日光の山から、目を凝らすと八ヶ岳も確認できるのはなかなか(視力2.0調べ)。標高が高かろうが広大さや高度感というものはやはり標高差が生み出すもの、この奥久慈男体山、低い山ですが本当に壮大な風景が楽しめます。紅葉はもうちょっと早いほうが良いかとも思いますが、名残の紅葉も悪くないです。
 ということで今回の写真です。とくに難しいことは考えず、この地平広がる大展望をそのまま撮っただけでございます。見せたいのはズバリこれ、ということです。ちょっとだけ気をつけるのは同じ茨城県の雄、筑波山の位置でしょうか。手前の草付と筑波山を対角線で結んでいますので、絵を見たときの視線が麓の広大な風景だけでなく、自然と筑波山にも向くようにしております。デザイン的と言われればそれまでですが、こういうちょっとした気遣いは必要かと思います。適当に広さだけを写しても絵の中の素材はそれだけになってしまいますし、広く写せば必ず遠景に筑波山は入ってしまいますので、画面に入る以上は何かしら意味を持たせなくてはなりません。また、手前の草付がないと見下ろしただけの絵になってしまい、この山頂に立っているかのような印象を作り出すのは難しいかと思います。ということで、手前に入れる、奥に筑波山が入る、ということに何かしら対処したほうが絵としては見やすいものになるかと思います。
 しばし山頂で撮影したあと、下山にかかります。下りももちろん瞬殺。麓にはちょうどいい感じの柿の木があり、男体山と重ねた写真を撮ったりして楽しみました。帰り道の民家の軒先には干し柿がぶら下がっており、前述した通り食べたい〜とは思わないけど、いい感じの晩秋初冬の季節感を出しております。と、そんなこんなでぶらぶらのんびり歩いていたら上小川駅でまさかの電車を逃してしまい、まさかの1時間待ち。でもまあ、こういうのもいいでしょう。とくに急いでいたわけでもなく、ならのんびりと田舎道を楽しみたいところです。上小川駅前に1軒あったお店でこれまた茨城名物干し芋を買い、むしゃむしゃと食べながら電車を待ちました。やっぱり芋くらいの甘さがうまいぜ。

私、歌うわ。思いっきり!

 話は現場に戻ります。リン・ミンメイならきっとこの場をなんとかしてくれるのかもしれない。もう歌うしかない、そんな状況に追い込まれているのである。いや、現実に帰れ。なんで歌ってなんとかなるんだ。なんともならないんです、現実には。風が止むわけでもなく、吹雪がおさまるわけでもない。理想の環境さえ来てくれれば撮れるイメージは持っているのですが、、、こう停滞していると緊張も緩んできてしまい、いざ晴れても頭が動かなそうです。どちらかというと頭が動かないほうに花京院の魂も賭けちまう勢い。グッド。寒いし。眠いし。もう二度寝しようかな。とりあえず何か飲むか。水分はどんなに摂っても摂りすぎるということはないって言うし。
 ですがともかく、帰ってこのレポートを上げられたときは、取材はなんとか終わった、ということなんでしょうね。果たしてまた素晴らしい絶景が見られたのか、愚直に粘って無理くり形にしたのか。どちらになるのか本人にもまだわかりませんが、いい方の結果だといいなぁ(結局能天気)。
 ということで、今回の番組。我々が向かったのはどちらの山なんでしょうか、と気になる方もいらっしゃるかと思います。今まで双六槍北穂、称名滝立山剱、冬の燕大天井奥穂高、黒部源流鷲羽岳、と巡って参りました。

 番組タイトル
 私の希望は

 北アルプスドローン大縦走
 槍・おぼえていますか

 って、停滞中にちゃんとしたタイトルが勝手に決まってる。。。
 まだ撮り終わってないぞ〜。

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