Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 21
13 Nov 2017更新

山と溪谷2017カレンダー・季節の山めくり「越後駒ヶ岳」

 

 月も半ばに入り、一帯暑いんだか寒いんだか、何だかよくわからない11月となってまいりました。富士山に雪がついたかと思えば融けちゃったり、もくもく雲が出ちゃったりと安定しませんね。10月に北アルプスが少し積もったので槍ヶ岳あたりに行こうかと思っていましたが、何とな〜く雪が少ない感じに。難しいです。
 11月の新雪、というのは個人的には好みで、季節感を出すのにもすごくいい期間だと思っているのですが、如何せん昔にくらべると11月の新雪期というのが年々なくなっているような感じで、撮影に入りたくても難しくなってきています。昔はこの時期に当たり前のように北アルプスに入って雪の写真を撮っていたのですが、ここ最近は安定しないこともあって11月は低山にまわしたり、麓から撮ろうと思っている高山に時間を割いております。とはいえその麓からも高山に雪がついていないとアレなので、低山が多くなってる感じでしょうか。新雪の時期は小屋も閉まって、かつ雪山登山としては中途半端な時期ということで、登山者が少ないところも好きだったりします。
 ともあれ今月は撮ろうと思っている「麓からの高山」の雪が少なかったり、天候に恵まれていない地域なこともあって悶々としています。なのにライブカメラを見ると計画にない立山室堂とかがぼちぼち雪がついて晴れていたりする日が多いので、ホント生殺し状態です。ライブカメラで晴れている立山を見ながらガンプラを作っても、なかなか集中できるものではなく、、、じゃあ一体何をしているのだろう。一日が過ぎるのは早い。とりあえず筋肉痛にはなっています。
 さて、今回の写真ですが、季節の山めくりカレンダーの10月29日〜11月4日の週で使用したものです。撮影日は2013年11月2日。この時の撮影では山に登ることもなく麓からの撮影に専念、ということで銀山平の民宿泊まりの1泊取材です。ですがだからといって撮れなければ何の意味もないですから、1泊といえども余裕はなく、しっかりと天気図を見ていくことが重要となります。
 何よりこのあたりの山域は谷川岳を筆頭に天候に悩まされることも多く、高気圧乗ってるのに曇ってる!みたいな日も多いので気が抜けません。まあ越後駒ヶ岳は谷川岳ほどではないんですが、銀山平に雲海が張ることでも有名で、それが運悪いときなんかは雲海が消え去らずにそのまま、なんてもこともあるわけです。標高もすごく高いというわけではありませんし。そういうわけで、今回は「山岳」写真家としては山に登らない、もはや小旅行のようなラクチン撮影ですが、それは体力面だけであって気持ちはまったく楽にはなりません。しっかりと撮らなければ、お国に帰れないんです。
 出発は11月1日。新幹線で浦佐まで行き、そこからバスで銀山平へ。帰りもこのラインで往復です。正直風景写真の範囲なので車で行けば撮影の幅も広がってお得なのですが、ここのレポートを読んでくださっている方はすでにご存知かと思いますが、私は車を持っていないどころか免許を持っていません。しかしながら!今だに100mは11秒台、800mは2分を切るというこの「脚」が私にはあるのです。。。があまり意味ないですね、はい。地球は広いです、車があった方がいいでしょう。まあ、その分焦らずに、下手に移動せずに一点に集中する、というもの大事なのかと思います。とくに今の時代、たくさん撮っても売れない写真を撮ってたらダメですから。自分が撮りたいものは何なのかとしっかりと芯を、とか色々なんか負け惜しみのようにも感じてきました。悔しいからこれからは赤兎馬とか黒王とか松風で行こう。。。でも赤兎馬は体力バカっぽいし、黒王だと肩パット邪魔そうだし、松風はだがそれがいい。敵とエンカウントしないチョコボがいいかもしれない。ネコバス、とか言い出したらここを読んでくださっている人が半分ぐらい減りそうな悪寒。メイのバカ!もう知らない!
 ということで行動は公共交通機関に縛られて動きますので、初日はのんびり移動です。浦佐をバスで出たのが午後2時前、1時間ほどで銀山平に到着です。銀山平から越後駒を撮るには午後は逆光になるのもあって、とりあえず奥只見湖周辺をぶらぶらしていました。逆光の淡い感じもいいのですが、山側にはちょっと雲が多かったのもあります。
 銀山平周辺にはほぼ人影がなかったのですが、奥只見湖は遊覧船があるので結構なツアー観光客であふれていました。周辺の山腹の紅葉が見頃でなかなかよかったです。このあたりはブナやミズナラが多く、すごい真っ黄色とか真っ赤とかではないですが、このオレンジ具合は好きです。それが山肌全体を埋めるので、写真を撮らない人でも見ごたえはあるかと。いい旅夢気分で遊覧船に乗りたい気持ちを抑えつつ、頑張って撮影を進めます。
 奥只見湖から銀山平の集落まで、のんびり歩きながら向かいます。定番撮影ポイントの石抱橋で明日のイメージを膨らませてから宿のほうに向かっていると後ろから軽トラが来て、「西田さんですか?」と聞かれ、「うちの宿、あの先の右手ですから〜」と言って走り去っていった。奥只見湖こそ人が多かったですがそこからの道を歩いている人は皆無だったので、まあ宿泊客も少ないこの時期、だいたい当るんでしょう。奥只見湖もいいですが、個人的には石抱橋から以西の景色がすばらしいのでもっとこっちに人気があってもいいのではと思う次第であります。写真撮りに来ている人もあまりいないのは勿体ない。
 宿に着きますと、案の定、宿泊は私だけでした。人見知りのステータス255の私にとって、民宿はなかなかきついものがあります。決してこういう雰囲気は嫌いではなくむしろ好きな方なのですが、なんというかまあ現代人なんでしょう。まあこれはこういう状況に限らずどこでも、ですが。
 宿のご主人曰く「紅葉はもう終わっちゃったねぇ」と。こういう会話はたいていどこでもよくあるのですが、この「紅葉具合」というのは人と話してもなかなか個人差があって難しいものがあります。よくあるネットサイトの「見頃」とか「色づき始め」とかもそうですが、写真撮影していると狙いどころというのが必ずしもMAXでなかったりしますので、一概にどの期間が見頃というのは、特にこういう麓では決めるのは難しいです。涸沢カールとか千畳敷カールなどの局所的なのものはMAXベストデーはあるかと思いますが、先日NHKBSで出演致しました裏岩手なんかをイメージしていただくとわかりやすいかと。稜線の紅葉が見頃のときは、正直麓にかけては緑。なので局所的には秋っぽいですが、歩いているぶんにはちょっと早いかな、と。逆に稜線が枯れて終わるとああいう開けた場所は麓にかけての紅葉が広がっていきますので、全体的には一層秋らしさを感じることができます。私にとっては銀山平はちょっと終わりかけぐらいがちょうどよく、越後駒の中腹が見頃のときは銀山平周辺はまだちょっと緑なので、このぐらいの時期が好きです。撮っているメインが「山」というのも大きいのかもしれません。普通の人があまり辿り着けない山中の紅葉をバシバシ撮っている人間にとって、「秋!」というよりは「もうそろそろ冬が来る、、、」というイメージで撮りたいんですよね、麓は。
 ということで夜は歩いてすぐの白銀の湯に入り浸り、明日の撮影に備えます。とりあえず晴れていますので、このまま天気図通り、大丈夫でしょう。例によって朝ご飯はおにぎりにしてもらい、早朝から宿を抜け出して撮影に向かいます。
 朝暗いうちに起きて宿を出ると「しまった!」と。濃霧です。何にも見えなくなるくらいの濃霧。まあつまり銀山平はこういう靄が、特に秋口はたまりやすく、ちょっと上から見ると雲海となっているんですが、その雲海ができやすいとわかっていながら焦るダメっぷり。きれいに晴れ渡っていると信じて疑わなかった私のきれいな心に、グサリと何かが突き刺さります。しかし現場にいると、これ雨降るんじゃないかというくらい靄っているので、おそらく雲海だろうとわかっていても不安になるくらいでした。車があればガーッと枝折峠まで上がればおそらく劇的な雲海と朝日浴びる越後駒ヶ岳が撮れるんでしょうが、、、、せめてセグウェイがあれば(変わらんか)。反省点としては雲海が出ることをあらかじめデフォルトとしてセットしておき、出ても出なくても枝折峠から撮影をはじめて石抱橋へ下ってくるべきだったかと。ともあれ今となってはどうにもなりません。体の中をほとばしるミディ=クロリアンと話し合った結果、ここはフォースの導きに従うべき、という答えがでましたのでやれることに集中致しました。といいながら靄が晴れるまで結構時間がかかったので、本当に焦りましたよ。

負け戦こそおもしろいのよ

 いや、そんな強がりは言いません。結構焦りました。結局朝8時半ごろになってようやく靄が薄くなって、バァァっと晴れてきました。晴れ渡ると越後駒ヶ岳の向こうの青空が本当にきれいな青空で。。。うぅ、、枝折峠。。。と諦めきれずにいつまでもしつこく気にしてしまうのが私の性格でございます。
 とりあえずは無事に石抱橋から撮影を済ませ、今度は川岸に下りてもうちょっと迫った感じで撮影をしていきます。いくつか撮った中の一枚が、今回の写真です。実のところ、この時に撮った写真ではもうちょっといいカットがあるのですが、それはまたそのうちということで。そういえばギャラリーページにも一枚載せてましたね。ちなみにギャラリーページは来年には写真総入れ替えしようと思っておりますので、気がついたらそのうちまた覗いてみてください。
 麓から見上げる越後駒ヶ岳は夏も雪のも撮っていますが、この時期が一番好きです。これでもうちょっとしたら山は雪かぶっちゃって白くなるんですが、この山はならないほうがきれいですね。岩稜というわけでもないので、雪のないこののどかな感じが好きです。撮影を続け、銀山平の奥に向かって撮りつつ進みます。逆光ぎみの荒沢岳も格好いいし、奥地からの景色もきれいです。石抱橋は定番なのでいくらかカメラマンが来ていましたが、ほぼそこから以外撮らないので勿体ないです。川岸に下りてもいい写真が撮れますし、この奥も撮れます。ここを訪れる方は石抱橋もおさえつつ、是非。


 ということで焦ったりあわあわしたり致しましたが、結果的にはいくらか撮れたかと。
 アリーヴェデルチ!銀山平!

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