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— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 24
04 Jan 2018更新

2016年発行JTBパブリッシング「すぐそばにある!関東の絶景」・掲載写真「五竜岳」

 

 年末年始でレポートの間がやや開いてしまいました、すみません。正月はこれといって山に撮影に出ていたわけではなく、ただのんびりとバードカフェ謹製おせちを食べていただけなんですが(って新年からなんて貧相な)、なかなか冬型も強く、天気も難しい感じでしたね。
 職業柄よく山に登っておりますが、実は山上で新年を迎えたことは二度ほどしかありません。というのもやはり一般的に年末年始は登山者も多く、特に真っ白な雪山ではなかなか人も目立ってスムーズに満足のいく撮影ができなかったりしますので、余程の差し迫った予定や天候が巡ってきていない限り下界にいたりします。正月に山に入るとトレースがあってラッセルが楽になったりするメリットもあるのですが。。。一般的にはガッツリ雪山に入るにはそれなりの休みが取れる正月に気合いを入れるとは思いますが、本当にすみません、皆様の正月休みが終わった頃を見計らって入山させていただきます。
 さて、今回の写真ですが、JTBパブリッシングのムック「すぐそばにある!関東の絶景」に掲載いたしました朝焼けの後立山連峰の写真でございます。撮影は2012年の1月18日、八方尾根から撮影したものです。山岳写真的には「八方尾根」、「五竜岳・鹿島槍ヶ岳」とベッタベタなベタな写真ですが何卒お許しください。
 八方からの写真なんて誰が撮ったって一緒だろ!と思われる方もおられるかと思いますが、まあ、ほぼそんな感じです(笑)。しかしながら生業としておりますと、一応どんな定番だろうとやはりひと通り写真を持っておくのがその道の商売人でございまして、冬の八方尾根は当然何度か行っておりましてもちゃんと朝焼けたものは持っていなかったなぁ、と思って足を運びました。まあでもこういう誰が撮っても、という写真の方がある意味ちょっとしたミスでその人の力量もよくわかるという面もございまして、気楽にテキトーに撮る、ということはできないものだったりします。逆に誰も見たことがない写真というのはその珍しさの反面、社会的には比べるものがない分評価されづらいところがあります。別に写真が美しければ評価なんてどうでもよいのですが、山岳写真というのもすでに多くの先代がいて、たくさんの写真が撮られて所謂伝統芸能とか古典の域に入っておりますので、そういった面からは後発の世代としては定番として片付けずに、より推敲を重ねていくことも使命であると思う次第であります。私と致しましては、私が撮った、とか誰々が撮った何々岳、というのはあまり重要ではなく、誰が撮ろうが時代、世代を重ねて何々岳を最も美しく、より何々岳を何々岳らしく写すことを目標に撮影に勤しんでおります。え?理屈っぽい?すみません、しかし、正しいものの見方だ?
 16日に夜行バスにて出発、17日早朝に八方バスターミナルに到着して、ゴンドラ初便で山上へ向かいます。今だったらたいして時間は変わらないのでたぶん新幹線長野駅経由でバス乗り換えで八方に向かいますが、お金がもったいなかったのかな?それとも1分でも早く撮影したかったのか、なぜか夜行バス利用。いや、単に若かっただけかもしれません。ゴンドラとリフトを乗り継いで八方池山荘前まで一気に行きます!が最上段のリフトが強風で動いておらず、最後のゲレンデを歩いて登っていきました。
 18日に高気圧が乗る予報だったのでそれ狙いだったのですが、思いのほか回復が早く、ゲレンデを歩いているうちに一気に雲がとれて撮影日和となりました。雲が晴れていく途中でダイヤモンドダストが見られました。う〜ん、このあたり、夜行バスで来た甲斐があったというものです。この勢いだとオーロラエクスキューションまで出そう、そう、ちなみに私は水瓶座なのです。
 八方尾根はたいていリフト利用してしまって八方池山荘からスタート、という状況が多いと思われるのですが、実はこのゲレンデ途中からの五竜岳がなかなかいい角度をしているのです。八方尾根はあまり上部に行くと尾根自体が徐々に五竜岳の胸部を隠してしまい、鹿島槍とセットで写す場合は仕方ないのですが、単体でドスンと撮りたいときはこのゲレンデあたりからがいい感じです。デロデロについた雪襞が、マニアにはたまりません。五竜岳は非常に格好のよい山ですが、だからといってオレが一番!という感じがないところ、主張しすぎないところも好みです。蜀の五虎大将軍だと馬超といったところ(勝手なイメージ)。
 さて、八方池山荘から本格的に登っていきます。この時はまだワカンを多用しておりまして、今思うとなかなか歩きにくかったです。現在ではスノーシューで唐松岳山頂まで登ってしまいますので、本当に道具の進化とは恐ろしいもので、ずいぶんと楽になりました。天候が落ち着いていたので第二ケルン近くのトイレ付近にテントを設営し、撮影に出かけます。今回は唐松岳は目指さずに、八方尾根からの撮影に集中です。結局夕方までだらだらと撮っておりましたけど、振り返ってみると本当によく飽きないなぁ、と思いますよ。一体何が好きで山の写真ばかりずっと撮っているんだろうかと、自分でも思うときがよくあります。
 平日というものありましたが登山者はほぼ皆無でスキーヤーが多く、なんだか時代の移り変わりを感じてしまいました。とはいえ今は雪山登山者がかなり増え、八方尾根なんか数珠っぽくなる日もあるので、なんというかこう、極端です。しかし写真撮影目当ての人は一向に増えていないので、ここら辺が私としてはなんとか盛り上げていきたいところでしょうか。夕方は日が山の向こうに落ちてから空が高曇りっぽくなり、翌朝はどうなるだろうかとやややきもきしましたが、なるようにしかならないのですぐ寝ました。高気圧が乗るんだから、晴れないはずはない!と楽観的です。
 さて翌18日、テントから出て空は問題なし。日の出前にゆっくりと歩きはじめ、八方池上の第三ケルンあたりへ登って日の出を待ちます。このへんも今思うと八方池山荘泊でよかったのでは?と思いますが、何にせよ、朝一発の撮影地に楽に辿り着けるんだから、まあメリットもあったのかな。上記の通り、五竜岳だけ撮るのであれば八方池山荘下のゲレンデあたりがよいのですが、鹿島槍も含めての山並みとして撮る場合はこの辺りまで登った方がベターかと思います。下ノ樺から延びる尾根が五竜岳の胸部を隠してはしまいますが、きれいな雪面ですので染まればなかなかきれいです。実際どちらで撮ろうか悩みましたが、ここでは鹿島槍込みのカットをチョイス、ということで今回のトップ写真となります。加えて白馬三山の朝焼けも同時におさえたかったので、そうなるとまあ第三ケルンあたりから、ということになるんでしょう。
 空がぐっと濃い色になっておりますが、これはPLフィルターを使用しております。PLは使い様によっては肉眼のナチュラルさが失われ、「いかにも風景写真」になってしまうときもありますが、こういう雪山朝焼けインパクト攻めしたいときはもってこいだと思います。ボキャ天でいうところのバカパクという感じでしょうか。PLを使用しない優しい朝焼け写真もよいですが、グッと睨みつけるような感じになるとやはり山という被写体は引き立ちます。朝の美しさを出したいときは使用せず、山そのものの印象を深めたいときは使用する、とうまく使い分けできるのではないでしょうか。当然のことながら、仕事で撮っておりますと両バージョン撮影しております。しかし、、、冬は寒くてフィルターはずすのが面倒くさい!
 やや、ではありますが前日がぼちぼち晴れてしまった影響もあってか、染まり方も究極にガッチリいかなかった感はあります。これ以前に遠見尾根で真っ赤の中の真っ赤っかに染まった鹿島槍ヶ岳をおさめたことがあったのですが、そのときはテントが埋まるほど夜中雪が降り続き、朝の晴れ渡ったときの気温も手元の気温計でマイナス30度を記録しましたから、まあそんなものを見てしまうと、このくらいだとてぇしたことねぇなぁ、となってしまったります。あまりいいものを見てしまうというのも、人生にとってはよくないのかもしれません。

翌日の天気も悪くないようです。。。

 朝からそのまま撮影を続け、10時半ごろまで撮ってました。本当に飽きない人ね。。。天気予報を見ると翌日の予報も悪くないようです。八方および遠見尾根はアクセスが良いぶん楽に冬の北アルプスが撮影できますが、ただこのエリアの悪いところは悪天候がつづくところ。日本海側の影響をかなり受けるので仕方ないのですが、晴れが貴重な分、予報で晴れ予報が出ると体が反応してしまいます。八方尾根を一度下山し、目立つ大きい荷物を背負いながら道路を白馬駅まで歩き、こんなところ誰にも見られたくないなと思いながら一人トボトボ歩いていたら某イラストレーターにまさか見つかるという始末。まったく恥ずかしい限りです。
 そのままとなりの神城はエスカルプラザに移動し、仮眠室でひと晩すごしたのち、よく19日は遠見尾根に転戦致しました。


 改めまして、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
 今年で恥ずかしくも40歳を迎えます。
 今年の目標はぶっちゃけ、山の写真よりもマスターズ陸上40〜44歳の部で好成績を残すことです。
 試合の日に天気が良かったら、山に行くのか、トラックに向かうのか。果たして。

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