Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 35
19 Jul 2018更新

2015年発行ブルーガイド「南アルプス」掲載写真「鳳凰三山」

 

 この物語は、北アルプスのとある絶景に戦いを挑んだ撮影隊が長い停滞を喰らっていたときに黙々と書いたレポートである。
 って、前回レポートの終わり方が微妙だったようで、「レポートが終わってしまい残念です」というありがたいお声や「卒業しても友達でいようね」という訳の分からないお声まで、何通かメールをいただいてしまいご迷惑お掛け致しました。大丈夫です、西田、生きております。
 ということで長い長い、長い長い撮影から無事帰って参りました。停滞が続くならいっそ帰れる、というようなところにいるのに撮りきるまで帰れない、という厳しい任務ではございましたが、果たして何とかなったのでしょうか?お楽しみに山の日の放送をお待ちくださいませ。
 さて、今回の写真ですが、実業之日本社発行の山旅ブルーガイド「南アルプス」の鳳凰三山のページで使用しました、白根三山の写真になります。というか荒川三山まで入っているので正確には南アルプスの山なみ、と言ったところですが、まあドーンと見えちゃっているのが白根三山なので、それでご勘弁ください。
 ガイドブックでの掲載ですので、作品というよりかは商品(とまで言っちゃあおしまいか)、といった感じのきれいな昼間の写真ですが、ガイドブックにはそういう写真が向いてますので何卒お許しください。逆にガイドブックで朝早めの斜光のゴリゴリ山岳写真作品が来られてもエグすぎて困りますわ。とは言えこういう真っ昼間の写真だからといって作品でない、ということも決してなく、作品映えしていないというだけで山で見られる景色という「事実」なわけですから、山岳写真は朝夕の斜光こそ至高、ガンプラはウェザリングこそ至高、みたいな狭い見方には陥らないようにもしたいと常日頃思うわけでもあります。どちらかというとなぜ作品ではないかと言えば、構図が半端だからでしょう(笑)。(笑)じゃねーよ。まあ細かい話は後ほど。
 こちらの写真の撮影は2010年7月28日、もう8年も前になります。それこそちょうどその白根三山の撮影から帰ってきて3日後でした。というか前泊なので白根三山から下山の2日後にはまた甲府に戻ってきているわけだ。物好きだなぁ。頼まれ仕事ならともかく、自主的撮影だと短期間で同じ場所にとんぼ返りというのは何と言いましょうか、非常に強いメンタルを必要としたりするんですよ。行ったことない場所だったり、せめて違う場所なら半分旅行気分になれますが。。。また行くのか。。。。と。
 前日は甲府に泊まりまして28日4時発のバスに乗り、起きてるんだか寝てるんだかわからない脳が溶けた状態で夜叉神を目指します。ゆっくりと山中泊して作品撮りというよりもこのときはガイド素材の入荷が目当てでの撮影としていましたので、日帰りで夜叉神から青木鉱泉までを一気に駆け抜ける予定です。歩き通してバスに間に合うまでが遠足ですので気は抜けません。
 夜叉神にバスが到着し、5時15分頃にすぐさま登山開始。バス停から峠まではこれと言って撮るものもないので、いきなりで体に堪えますがかっとばして行きます。と言っても半分寝てますから思った以上に動かず、ウォーミングアップだと言い聞かせながら歩く感じ。辛抱、辛抱でございます。
 5時45分、夜叉神峠到着。ここで早くも白根三山の眺めに捕まりタイムロス。特に稜線の向こうに沈んでいくお月さまがなかなかだったので、あーだこーだ撮影を楽しんでしまった。いや、楽しんでいいはずなんだが。。。天気は予想通り雲ひとつない青空が広がっているが夏本番、いつぽっかり雲が湧き上がってくるかわからないので早めに稜線に行かなくてはならない。急いでるときって、それが稜線だと調子よく進む気がするんですが、樹林帯だとなぜか気持ちが焦る焦る。汗だくで焦ってイライラして黙々とハイスピードでカメラを持ちながら歩いている人を登山道で見かけたら、それはおそらく私です。
 急登というほどの登りはないですが、ぼちぼち距離があるために稜線まではなかなか時間がかかります。なるべく早めに稜線に着きたいのでコースタイムの半分くらいで進みますが、本来ならば赤い彗星のごとく通常の3倍のスピードを出したいところ、ですが。。。。本人の思惑と違って実は量産型なのかもしれん。。。ククルス・ドアン機ならお似合いですって?やかましいわ!
 でもってなんだかんだで8時半頃に稜線に出ました。さっそく砂礫に咲くタカネビランジに捕まりまたもタイムロス。ようやく砂払岳に上がり、メイン展望の白根三山の撮影になりますよ。
 とその前に、砂払岳から薬師岳を撮影。ここからの薬師岳が個人的に好きで、秋も冬もよく撮ってます。手前のダケカンバ帯がいい割合で、初めて見たのはそれこそもっと昔ですが、地蔵岳のオベリスクよりいいなぁ、なんて思ったものでした。何というか、~岳!ってすごく主張してないんですが、何か立派なお山という感じがして、自分だけがその価値に気づいたんじゃないか?と思わせる雰囲気なんです。もちろん誰もがこの価値に気づいてるんですが(笑)。MSだと間違いなくゾックですが、つまりこれは大人になってアッグ系の良さに気づいちゃった、みたいなものでしょうか(テキトーすぎ)。個人的にはゾックはどうでもいいけどジュアッグが作りたいです。。。
 ということで、ようやく白根三山の撮影ですが、もはやどーんと構えておりますので難しい要素はございません。空気もスッキリ澄んで、遠くに猫耳のような可愛らしい荒川岳まで見えちゃってます。こんな状態ですから、誰が撮ってもたぶんきれいに写りますね。ドーン!と撮ればいいんです、ドーン!と。
 さて、撮影時間は午前9時ごろと雲も上がらず状況的にはよくお山が見えますが、やはりもう少し早い時間帯での撮影が作品としては望ましいです。斜光による影、野呂川はまだ光が当たってない状態のほうがより立体感が出るでしょう。ただ前述の通り、こういう時間帯も一枚では語れないかもしれませんがピースとしては山の表情のひとつとしては大事かな、と思います。まあしかしそれよりこの写真がガイド向きというのは、構図が中途半端だからでしょう。左下の岩がポイントになっておらず、もうちょっと岩を生かした構図にまとめるのがよいでしょう。
 ではなぜ岩をうまくポイントにしていないのかというと、はじめからガイド用として撮っているということで、別にちゃんと補正して撮っているものもある、ということなんでございます。やはり山の写真を仕事としておりますので、もし毎度作品だけ撮っているとガイドブックみたいな「とにかく現場がわかる写真」のところに作品をあてていかなくてはならなくなってしまうわけで。それではむやみに作品写真を発表してしまうことになり、無駄遣いの上、手持ちの駒も減ってしまうのでございます。ですので、ある程度同じ場所でもわざと崩したものとちゃんと撮ったものと、と何カットか撮って同じ撮影日でも何回か使えるようにしております。そりゃ本当のところ作品だけ撮って暮らしていけるならありがたいですけど、私のような量産型操縦士は大佐のようなノーマルスーツを着ないで出撃するなんていう真似はできないのであります。ということですみませんが、今回の写真につきましてはギレンさんから一言、「あえて言おう、カスであると!!」
 はい。そうこうしているうちに夏らしく、観音岳の手前で雲が多くなってきてしまいましたよ。雲に巻かれるオベリスクも雰囲気があっていい感じですが、さすがに真近にくると青空がいいです。ということで曇ってしまったらあとは下るだけ。
 下りはドンドコ沢をドンドコ下っていきますが、やはり何だかんだで滝に捕まります。樹林の中の滝は逆に曇って光がフラットになったほうが撮りやすいところもありますし、まあ滝の撮影も好きなのでウダウダやってしまいます。結局バスの時間が怪しくなり、撮影で使った時間のツケを払うように走って下るようになりました。いつものことながら、もっと時間に余裕を持って行動することはできないのだろうか。結局間に合うから何度もやってしまうのでしょうけれど、下山口に近づくにつれて生きた心地がしないのは嫌です。最後くらいのんびりと終わらせたい。。。と毎度苦しむバカ。いやいや、最後の最後まで仕事熱心なのです、たぶん。
 ということで下山時間は午後2時45分ごろ、9時間半休憩なしのブラック労働です。なわけで山から下ったからといって風呂で汗を流す時間はありませんでした。まあ、日帰りだから入る必要もないですよね。汗だくでしたが(汗)

ここからは帰宅後です

 さてさて、長期ロケからやっと帰京致しました。今年は山上でも暑かったですが、下界は暑すぎて死にそうです。北海道の山にでも行こうと思っています。その前に体のキレを戻すべくトラックに行かないと。。。ですが早速行ったものの、暑すぎて搬送されそうでした。となると冷房の効いた部屋でプラモが最適でしょうか。それもシンナー中毒になりそう。一体アウトドアなのかインドアなのか、自分でもよくわかりません。


 長期ロケではどうも寝つきが悪く、体調が不調ながらもなんとか撮りきりました。
 チーム共々頑張りましたので、是非山の日8月11日の放送をお楽しみにお待ちください。
 特に後半の山場にかけて非常に寝つきが悪く、睡眠不足の原因は一体何なのかを撮影隊に相談したところ、
 彼らから返ってきた答えは、


「寝る直前にレッドブルを飲むな」


 でした。
 反省してます。これからはモンスターにしようと思います。

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