Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 30
13 Apr 2018更新

山と溪谷2017カレンダー・季節の山めくり「鳥海山」

 

 先日「News」にてお伝えさせて頂きましたが、昨年NHK総合にて放送されました「北アルプス・ドローン大縦走」がブルーレイ、DVDとなって今月末に発売されます。放送ではあえなくカットされましたドローン映像も豊富に追加されておりますので、ご興味のある方はぜひ!撮影ルートマップや私の撮影後記もついています(それは別にいらないとか言うな)!ここはひとつ、鑑賞用に1枚、保存用に1枚、転売y(以下略
 と冗談はさておき、まとめますと、尊敬する漫画家さんの言葉をお借り致しまして、「一人十枚買え!!買ったら燃やせ!!古本屋には絶対売るな!!貸し借りもダメだ!!買ったらすぐ燃やせ!!火事に気をつけろ。水、用意しとけ。わかったか、コノヤロー。わかったら、とっとといけー!!走れー!! 」というところでしょうか。気持ち的にはこの位強気でいきたいところですが、う〜ん、これでは誰も買ってくれなさそうです。。。ともあれ現在絶賛予約受付中でございます。とにかく昨年の感動(?)を今一度ご覧になって頂き、そのままのテンションで、今年も山の日をお迎えください。今年もまた、何かあるかもしれません!
 しかし、、、ここ最近本当に暖かい日が続きましたね。いくらか落ち着いた気温の日が入ってきましたが、どんどん例年より早く桜が咲いております。ということでちょこちょこ出かけたりしている関係でレポートが遅れておりますが、ご容赦ください。でも暖かすぎるのも困ったもので、先日岩殿山へ行ったら霞みすぎてて富士山が見えなかったりとなかなか大変でございます。でもでもこのペースで咲いてくれると正直嬉しかったりして、いつもなら大型連休に咲くものが前倒しになりそうで。人出が多いと交通とか宿とか、桜の撮影だったら陣地合戦とか色々大変ですので、まあ助かります。ここに来て空気が冷たい日が出てきましたので、これからいい写真が撮れるといいのですが。
 さて、今回の写真ですが、2017年の週めくりカレンダーで使用しました「鳥海山」でございます。撮影は2013年4月23日。風景写真の人だと撮影で遠出をするときなんかは、結構あちこちの桜をつなぐように行脚して撮りまくると思うのですが、山メインの私にとっては山がきれいに晴れ渡らないとダメですので、各地をまわったりせずにその都度一発に賭けて出かけることがほとんどです。山というのは正直それほど毎日晴れませんので、何日もいたりまわったりしたら滞在ばかり長々となりそうですし、なら神経を集中して大事な一日を拾った方が経費も浮く感じが致します。いや、車が運転できないだけだろうとか言わないでください。風景の人はね、山とかより桜がメインですので雨の日でも絵になったりとしますが、いやお前もそういうの撮れよと言われたらあれですが、だめだ、山を撮らせてくれ〜、と。やっぱりジャンルが違うんですわ。
 ということで一発勝負。だから、というわけではないのですが、この時は秋田まで前夜発夜行バスで行き、撮ってその日に夜行バスで帰るという強行スタイルでございました。こういう時って帰りの新幹線の時刻を調べると夕方まで撮っても余裕で帰ってこられるので、何となくバカっぽいことやってるなぁ、と思ったりもします。撮影場所は秋田県はにかほ市は金浦町というところでございまして、東京からは金浦経由羽後本荘行きのバスで向かうと早いのですが満席で取れず、仕方がないので秋田への路線のバスに乗って翌朝秋田駅から電車で南下致しました。
 金浦には桜の名所で有名な勢至公園があるのですが、なかなか人工物も多くて写真を撮るのが難しい場所です。さくらまつりも開かれたりして居心地はいいのですが、今回のお目当てはそこから約1キロ北にある竹島潟が狙いでございます。ということで早朝に秋田駅に到着して金浦駅下車、竹島潟へと歩いていくものの、、、春ですねぇ。。。私にとっては主題となる肝心の鳥海山が、見えているんですが空はボテーっとして、なんとなく霞みがかかっておりまする。これはこれで春っぽいところもあるんですが、哀しいけどこれ仕事ですので最低限キリッとした青空と白い鳥海山、とあと桜ガッツリ、と行きたいわけです。玄人好みの、普通からもうちょっと追い込んだというか、季節のリアリズムみたいなものを撮るのももちろんいいんですが、まずは大事なベタな仕事を済ませないまま、いわゆる「俺たちのサッカー」だけに走ってはいけません。ということでさっぱりしない空だからなのか、桜はぼちぼち咲いているものの人影は少なく、少しでもくっきり晴れて来ることを期待して竹島潟の南極公園の遊具で寂しく時間潰しをしていました。もう泣きそう。
 いや、本当に遊具で遊び呆けてたわけではないですよ。そんなやすやすといい感じの撮影ポイントがあるわけでもありませんので、周囲を歩き回ってロケハンです。四阿の建つ高台からは見下ろす竹島潟とコブシの大木が綺麗でした。あぁ、きりっとした空気感が欲しい。。。しかしですよ、鳥海山はもともと朝よりも夕方が狙いどきの山でもあります。決して諦めず、最後まで闘いたいと思います!
 とか何とか言ったものの、一通りロケハンを済ませ、天気が変わらないままお昼近くなったので痺れをきらし、ありがちなパターン、海が近いのでたまには海が見たいのだ、ということで海岸線の散歩へ。空はぼんやりで、すっきりしない日本海はやはり寂しいのであります。海岸沿いをふらつきながら、その足で勢至公園のさくらまつりへ。フランクフルトとか、そういうのを食べたと思うが食事の記憶までは定かではない。が、いつもの習性を考えるとどうせそんなもんでしょう。お好み焼き、という線はまずない。
 夕方にかけて、また竹島潟へと戻りました。お空の調子は相変わらずですが、もうきりりと晴れ渡るのを期待してもしょうがないですね。ベタな仕事はあきらめて、「俺たちの」撮れるものを撮っていきましょう。午前中のロケハンで見つけた、ちょっと奥まったところからの桜と鳥海山が今回の写真です。もちろん、もっといい条件下での撮影が望ましいですが、これはこれでなんとな好きな、いやいや、嫌いではない、写真です。というのも、山が見えてなかったらそりゃアウトですが、晴れ渡るだけがこの季節の持ち味ではないわけですから、こうなんとなくボテーっと、なんとなくうら寂しい感じというのも、思いのほか天気が安定しない春らしい感じとして大事な季節感のひとつです。
 山の上でもそうなんですが、斜行線が美しい朝と夕ばかり撮って、何の変哲もない昼間を何の変哲もないからといってあまり撮らない、というのをよく目にします。というか、真っ昼間に気合い入れて撮ってる人をあまり見かけない。たしかに朝夕の写真と比べると見栄えはしませんが、何の変哲もない時間というのも景色としてはありのままの事実として存在する景色であり、被写体の表情を表現するのには不可欠なものでもあります。気合いの入った時間だけが山の魅力ではなく、トップライトであっても、ああ、こんな瞬間ってあるよね、という何気ない美しさがあったりします。とはいえ、じつはそういう写真の方が撮りきるのは難しかったりして、ただ撮ると本当にただ撮っただけになるという罠っぽいところもあったりして。今回の写真なんかは週めくりカレンダーに使用したものでもあり、春だからといって、毎週毎週青空と桜、ドッピーカンのドス~ん、みたいな写真では飽き飽きしてしまいがちです。そんな心のスキマを埋めるような感じのところもあり、嫌いではない写真です。

あの頃は若かった

 帰りも夜行バスですので、それまで時間を潰します。とはいうものの、実はちょっとした用があり、せっかくこの辺りに来たのだからとやりたかったことがありまして。電車で金浦から羽後本荘へ向かい、羽後本荘発のバスが出るまで街中にある鶴舞温泉へ。夜行バスで帰る前に汗を流しにひと風呂、ということなんですが、その昔この街に来たことがありまして、その時にこの温泉に寄ったのをよく覚えていて、まあ、思い出を訪ねる男の習性みたいなものでしょうか。記憶が上書きされるという女性方にはわからないかもしれませんが、よく言えばノスタルジア、悪く言えばただの徘徊です。
 その昔19歳のときに、テンプレといえばテンプレですが、野宿でチャリ旅に出まして、千葉県の実家から十和田湖を通って日本海へ、そして長野県から南下してぐるりと旅してきたことがありました。その時に、真夏なのに気温10度しかなかった十和田湖から逃げ出すように下り、一日漕ぎまくって辿り着いたのが、この羽後本荘であり、鶴舞温泉でした。そんなあの時の記憶がたどれるかどうか、と楽しみにしていたんですが、何とな~くこんなとこだったっけ、という感じで、自分の記憶力というのも案外たいしたことないなぁ、と思った次第です。ちなみに十和田湖以外全部学校の校庭とかで寝ていたんですが(今だったら捕まりそう)、羽後本荘はどこの学校なのか定かではない。そもそもほとんど毎日早朝から晩まで漕いでたので、どの街も到着時は真っ暗でしたので、よく覚えてないというのも当たり前なのかもしれません。ちなみに多い日で一日250km進んでましたので、十和田湖を巡るぐるり旅はたったの8日で終わりました。
 遠い記憶に触れられたのかどうか、ともかく沐浴を済ませ、夜行バスにて東京へと連れ戻されたのでありました。


 話はだいぶ脱線しましたが、今回のような写真も嫌いではないですよ。
 だけど、やっぱりくっきり青空バージョンも欲しい。
 ということで、また再訪を期します。
 そのときは今回の思い出ということで、海岸線を徘徊しそうです。

TOP

Past Articles

※過去の記事は4回まで掲載。それ以上は順次削除します。

TOP