Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 10(改訂加筆)
12 May 2019更新

2016年発行JTBパブリッシング「すぐそばにある!関東の絶景」・掲載写真「川苔山」


 さて、レポートを更新、、、にしては早いタイミングなのだが、明日から長らく撮影に入ってしまいますので、せっかくなので以前のレポートを改訂加筆して載せましょう、ということになった。載せましょう、なんてカッコよく言うと打ち合わせっぽい雰囲気だが、脳内の第三者と打ち合わせしただけです。初期の頃だとおそらく読んでいない人も多いかと思うので、どうでしょう、どうなんでしょう。自分としては、以前のレポートを久しぶりに読んでみると、、、、短いな、という印象。どうも回を重ねるごとに文字数が増えているようで、何か物足りなさも感じましたので加筆もしましょうか、ということになった。加筆もしましょうか、なんてカッコよく言うと打ち合わせっぽい雰囲気だが、脳内の第三者と打ち合わせしただけです。ただし!先ほどの「載せましょうか」の第三者とはまた違う第三者なのだよ。
 と、わけのわからない導入から始まりましたが、最近のレポートは冒頭が近況みたいなことになっているから文字数が多くなっているだけだろ、とお気付きの人。鋭い。なわけで先日はアキレス腱の痛みを抱えたまま、お隣は埼玉県のマスターズ陸上の記録会で800mを走ってまいりました。結果は、、、風もそこそこあって、、、足も痛いし、、、モンエナM3を飲んでもこれといって頭が晴れないし、、、と言い訳ばかりで納得のいくタイムは出ませんでした。一応2分00秒57。最近の練習内容からはもっと早いタイムが出てもおかしくないのですが、、、でも何せ一番の原因は800mシーズン初戦、ちょっと緊張しすぎました。普段はおっとりした性格なので、実はレース向きではなく、争いごとは嫌いだったりするんです。え?おっとりしてないって?まあ、二重人格かもしれない。いや、でも本当にレースが苦手で、いやー怖かった。
 1周目400mは予定の56秒台で通過できたのですが、バックストレートで向かい風に結構やられ、一瞬ですが、ああ!やめたい!と思ってしまいました。でも、負けちゃいけない!なんて思い返して頑張るわけなんですが、一瞬でもそんなことが頭によぎる段階でダメですわ。まあでもいつも初戦はこんなもの、ぼちぼち調整していこうと思います。が、今シーズンはこのあとも撮影予定がぼちぼちあるので、陸上はもう終わりっぽい。。。。でもなんとか、なんとか頑張ります。写真とかテレビの方はどうでもいいから、みなさま陸上の応援、よろしくお願いします!あ、いちおう大会新記録ではございました。
 さてさて、というわけで、2017年5月10日に載せました「レポート10」はじまります。結局、前置きで文字数稼いでるだけだな!

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 「山岳写真家」というと、普段から標高の高い山ばかり登って撮っているようなイメージがあるかもしれないが、案外時間の空いた隙に、ちょこちょこと低山にも通っていたりする。わかりやすくガンプラに例えると、MGやRG、HGばかりというわけではなく、実はBB戦士にも手を出していたりする、というやつである。標高が低いからつまらない、絵にならないというわけでもなく、良き山もたくさん存在する。BB戦士だとネオ・ジオングみたいなものである。
 低山とは一般的には標高1500m以下、くらいが目安になるだろうか。決して高山と低山の二極に分けるものではなく、低山と言えども結局はどこかの山脈、山地から続いているものである(もちろん独立的なものもあるけど)。低山が二軍のようなイメージがあったりするのは、おそらく登頂することを一義的に置いているからだろう。里が近く、自然環境も困難な場面は少ない。これは登ることにおいてである。地形、地質、植生などを考えると、高山から続いているものであり、そして高山へと繋がっているものなのであって(当たり前か)、立派な山の一部、自然研究の対象としては切り離して考えるものではない。むしろしっかりと総合的に見たときに、山とは何なのか、という深い真実が見えてくる、、、、かというとそうでもないか。結局私は写真家なので、きれいな景色を求めているだけだったり。。。しますので、さんざん語っておいて、低山でも侮れない景色も山も結構あるのよ、ということが言いたいだけ、ということでまとめさせていただきます。適当だなぁ。
 この写真の撮影は2015年5月11日。この年は3月あたりから、低山、高山(雪山)、低山、高山(雪山)、と交互に行っていて、なんだか自分がどこに何をしに行っているのかよくわからなくなっておりました。夏から秋、冬への移行は低山と高山を交互に行ってもあまり違和感はないのだが、さすがに雪が多く残り、まだかなり寒い高山と、結構暖かくなってきた低山はかなりの差を感じる。暖かいと体の動きも良いし、装備も楽、球団が宮崎にキャンプに行く理由がよくわかる。
 早朝に家を出て始発に乗り、いざ奥多摩へ。同じ東京都ながら奥多摩って案外遠くて、結構億劫になってしまう自分がいたりする。奥武蔵や秩父界隈だと思いのほかすんなり行けるのだが。。。何だろう、すごく遠い。なんか暗いんだよね、なんて言ったら失礼か。
 奥多摩駅終点で電車を降りると、結構な数のハイカーがおりました。バスに乗り、川乗橋のバス停で下車するハイカーも結構な数。誠に勝手ながら、仕事柄あまり人が多いと撮影に支障を来したりするので、まずは林道歩きで引き離すとしよう。誰も争っていないのに盛り上がって先行逃げ切りで林道を歩いていく。この年は川苔谷が通行止めで、さらにもう少し、ほぼ百尋ノ滝まで林道を行かなくてはならないが、一般の方に比べれば得意のロード走、さらに差をつけられる。差をつけ出すと本能でさらに頑張ってしまうという、一体何をしにきたのかわからないモード。陸上部のサガでしょうか。
 この時期にしては百尋ノ滝の水量が思いのほかなかったので、さらりと撮り、山頂へと向いました。低山も登るとは言っておりましたがほとんどは高山に登っているので、歩き出すとすんなりと終わる低山というのも、なかなか楽しいものです。確かに自然の大きさ、ダイナミックさというのは欠けるところがあるが、一個の人間ベースで考えれば十二分な自然のスケールであり、登山>登頂>下山がコンパクトに終わるというのは決して悪くない。高山の登山は一般的には一大旅行や挑戦的なものになると思うが、肩の力を抜いて日帰りで楽しめる山歩きというのも、もっともっと人気があってもいいのではと思う次第である。気軽にハイキング、お昼すぎには温泉、そしてコンビニでコーラと体に悪そうなフランクフルトを食べる、という一連の行為をもっと多くの人が楽しんでもよいのではないかと。朝はレッドブル、行動中はリアルゴールドで下山後はモンスター、という一連の行為をもっと多くの人が楽しんでもよいのではないかと。書いてるだけで鼻血出てきたよ。
 さてと、途中を端折って、、、山頂に一番乗りし、展望風景を撮影する。山頂に一番乗り、ここ大事である。低山だと山頂もそう広くなく、展望ポイントも少ない場合が多いので、登山者が多いとその時点で「いい景色だなぁ〜」系の写真が撮れなくなったりする。ということで誰もいない川苔山の山頂、ありがとうございます。
 そんでもって低山の撮影というのはなかなか勉強になるところが多いです。私の撮影のイメージベースとしては日本であれば特に南アルプスを基準に置いているのだが、なぜ南アルプスを基準に考えているのか、という理由のひとつに、絵的な難しさがあるからである。北アルプス、特に分かりやすいのは槍ヶ岳などであるが、これは結構どの角度から撮っても、ぶっちゃけ誰が撮っても結構絵になる。写ってりゃそこそこ絵になる。しかし南アルプスの山はそうはいかない。あいつら揃いも揃って図体がデカイくせに、山の形が結構雑だったりするのである。あとは見る角度を変えるとかなり絵が違うという。。。北岳なんか、農鳥岳からみれば三角錐の尖峰だが、ボーコン沢ノ頭から見ると山頂部は結構丸みを帯びている(バットレスはカッコいい)。北荒川岳から見た塩見岳なんか左肩下がりに微妙に傾いてたりするし、ターンAガンダムみたいだし(ターンAは好きです)。どこから撮るか、どう撮るか、を結構頭の中で事前に構築する手間があるので、撮影のイメージベースとして持っておくとどんなところでも構図がつかみやすいという効果がある。
 それを踏まえて低山。さらに難しい。まず山頂から見えている山の山座同定が難しい。しかしまずはそれを確定しないと、撮っているのが何なのかが雑になってしまう。ただ山頂からのきれいな風景を撮る、だと写真にあまり意味をなさない。写真がきれいでも、撮っている本人が何がどう写っているかよくわかっていない、というのは何ともお粗末な話である。主たる山があれば展望写真でもメインに据えるべきだし、しっかりとテーマを持って撮ることがやはり大事なのである。自分の中で漠然とした写真というものは、当然ながら表現も漠然としたものとなる。しかし、、、低山は高山に比べれば、難しい。やはり、、、小物感がかなり漂うのである。この辺りが撮っていて、かなり勉強になるというか、いや、もはや修行になると思う。撮りにくいものをいかに上手く撮るか、明確に自分の中で消化するか、これは高山ではなかなか培われない感覚である。
 ということで、今回のメイン写真です。川苔山は富士山も望める山頂ですが何よりも西側の展望が開けている。一見何も変哲もないのどかな低山風景にも見えますけど、一番高く見えるピークは日本百名山のひとつ、雲取山でございます。そして案外あの雲取山が格好よく見える。あ、あの雲取山が。となるとここでは雲取山のピークにしっかりと視線がいくように構図を作っていくと、どっしりとした、低さを感じさせない山岳風景が仕上がるのだ(とは言ってみたものの、仕上がってるかな、大丈夫?ちょ、ちょっと遠くないか?ドキドキ)。と言いつつやはり雲取山が遠景すぎるので、足元手前に何かを入れないと締まりのない遠望の写真になってしまいますので、、、、ありました、いい岩が。こういうのをうまく利用して臨場感みたいなものを加えてあげると、いくらかまとまりのある絵を撮ることができるので、ぜひ参考にしてみてください(と言ってみたものの、参考になるかな、大丈夫?ドキドキ)。
 意識するのは、手前に入れ込む川苔山山頂にある岩も、雲取山の一部、のような感覚で絵を作るようにする、こと。ここでは「川苔山山頂から望む奥多摩の山岳風景」だが、裏テーマとしてはメインに据えた「川苔山山頂から望む雲取山」なのである。だから何よりも視線をしっかりと雲取山に向けるように絵を作らなくてはならないので、そういうのを意識するかしないかだけでも、絵がまとまるか、まとまらないかが変わってくると思います。
 話は変わりますが、日本の名山を撮りためている私としては、雲取山って難しい。。。上記のように、槍ヶ岳ならいくらでも作れるが、雲取山でグラビア見開きババババーーーン!っていくかどうか。山頂から見下ろす石尾根とその先に見える都心の絵は好きだが、雲取山の「山容」をしっかり撮ることにはなっていない。七ツ石山からは眺めがよいが、やや近すぎて、迫力に欠けるところも。そういう意味では川苔山からは結構格好のよい雲取山が見えるのだが、、、、もうちょっと近かったらなぁ。。。。でもこういった撮影ポイントも、低山をちょこちょこ歩いていると見つかることもあるので、低山歩きというのはなかなか侮れない。

毎度、お疲れさまです。

 さて、山頂からはだらだらと鳩ノ巣へ向けて下ります。途中ヤマツツジがきれいな季節で、新緑の樹林歩きも楽しい。鳩ノ巣駅に着いたのはちょうどお昼である。いや〜楽しかった。気持ちよかった。。。が、低山歩きの恐ろしさはここからである。。。作品撮影だけを考えるならば撮るものだけ撮って帰るのもよいが、ガイドブックなどの仕事もしている傍ら、いくらかガイドの写真や調査も必要なのである。となると、真面目な仕事人間の私は、川苔山から下山した後に、、、、もう一軒寄れるのである。。。しかも健脚なもので、、、ひどいときはここから二軒はしごすることも。。。も、もうこれ以上の飲めないけど仕事の付き合いだから、、、の課長状態だ。って今はそんな時代でもないか。
 このときは鳩ノ巣駅から御岳ケーブルでロックガーデンを撮り歩き、大岳山に登って鋸尾根を下りました。下山したのは午後5時。一気に走り通す、というものでもないからなかなか頭の方も疲れました。朝から歩き通し、ハーフパンツなので足元は土埃でだいぶ汚れておりました。

 でも、奥多摩にはもえぎの湯があるから安心です。
 ようやく長い一日の仕事を終え、心と体の汗を流すべく、
 極楽の温泉へとスキップで向かったのでした。

 もえぎの湯、
 月曜は休みでした。

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