Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 62
25 Feb 2020更新

2014年発行「厳選雪山ルート集」掲載写真「安達太良山」


 時々このサイトのアクセス数とかをチェックするのですが、残念なことに写真家の見せどころである「エキシビジョン」ページよりもこの「レポート」ページの方が多い。しかもかなり多く、倍を超えるアクセス数となっている。あ、圧倒的じゃないか。。。写真家としてはやはり写真で人となりを判断されたいし、見てもらいたいところなのだが、哀しくも現実はそうはいかないようである。というかもしかしたら「エキシビジョン」ページの存在に多くの方が気付いていないのかもしれない。そんな淡い期待を抱いてはいるのだが、もしそうでないなら「レポート」の方が見る価値があるということなんだろうか。
 この「レポート」ページのきっかけですが(今更)、普段写真家として、まあジャンル的にお堅いところもあって、写真も堅けりゃ文章も堅い、というのはそれが好きな人はそれでいいかと思うのですが、やや若者向けといいましょうか、幅広くラフな感じも大事なんじゃないかな〜と思って書き綴り始めたものです。本人の本当の意思、つまり「本体」はどちらかというともちろん「エキシビジョン」なので、決して普段からこの「レポート」のような感じでテキトーに生きている訳ではありません。ちゃんと真面目に生きております。
 まあですがまたしかし。真面目だけが「真」に辿り着けるわけでもないのがこの世の常。真面目に盛り上がって難しいことを考えて、小難しい言葉を書き連ねてもただそれに酔っているだけ、という場合もあります。なので時には踊るように語ることもまた大切なことだと思うわけです。って、それって聞こえはいいけど正直ただの躁鬱です。
 でもそういうのって結構何でもそうですよね。トレーニング然り、仕事然り。真面目でストイックなのも大切ですが、実は遊ぶ余裕があったり、俯瞰的に物事を見られないとただ真正面から突っ込むだけになってしまいます。ですが当然気を緩めすぎてもダメなわけですが。トレーニングだと毎日練習していたら疲れが溜まって怪我しやすくなりますし、厳しい練習をしたからといってステータスが上がると決まったわけではありません。もしかしたら楽に能力を上げる方法があるのかもしれませんので、科学的に考えたり、思い切って休みを入れたりすることも非常に重要です。仕事もそう。勤労も大事ですが、場合によってはただの時間拘束になりますから、生産性をうまく考えて働くことも大事です。えっ?お前はもっと働けって?確かにそれはそうかもしれない。。。でもとりあえず私を含めて日本人って結構こういうの苦手ですよね。真面目にはやるんだけど、気を抜くことは苦手で、その結果ただ真面目なだけで結果が出せてなかったりとか。。。なのでそういうのもあって、少しでも自分に強制して遊ぶ文章も書こうかというのがこの「レポート」なわけです。いや、でもまとめると、「エキシビジョン」も見てね、ということなんですが。
 さて、今回の写真ですが、冬の安達太良山です。撮影は2014年2月24日。実はこの前日、23日にも安達太良山に登っておりまして。。。二日連続の安達太良登山となりました。23日は別件での撮影だったのですが、その撮影の素材をその日のうちに納品しなければならないという、まあつまり締め切りギリギリでの取材だったので、写真の現像と原稿書きなどのために一旦帰宅しているというインフェルノ状態。郡山とか二本松とか、岳温泉とかにゆっくり泊まれればそりゃ楽ですが、、、えっ?ノートPCで現地で処理しろって?いやぁ、キャリブレーションかかってないモニターで現像するわけにもいかないですし、JPG撮って出しの写真を納品するほどテキトーではございません。とは言え、東京まで一度帰り、テッペン越えてのデスクワーク、のち始発で出発というのはもう気が狂いそうでした。登りに行く山が違えば、まあ気分もだいぶ違うのですが。。。
 実はですが、23日に晴れればちゃっかりまとめて自分の方の仕事もこなしてしまおうという、本当にせこい考えを持っておりました。ですが、どうも神は見ていたようです。23日は晴れそうだったもののほぼ吹雪で、夕方に若干回復という、予報よりちょっと遅れ気味の天候、翌24日は晴れ晴れという予報を下山後に確認したときは本当に悩みましたよ。いくら仕事とは言え、明日またここに戻ってくるとか、ただのバカだ。。。でもぐっとこらえて、下山時に翌日の郡山駅からあだたら高原スキー場のバスを予約してしまったのでした。予約してしまえば、もう行くしかない。
 ということで、23〜24日は3時間弱しか寝ていないと思われる。とりあえず何も考えずに、淡々とこなすことを考えておりました。私情を挟んではいけない。でもおそらく、山に登って撮影を始めてしまえば、結局それなりに楽しいはずである、と自分に言い聞かせて。問題はこの自宅から登山口までの、通勤時間を乗り越えることであった。まあ新幹線に乗ると、トランヴェールと読んじゃったりして早くも旅行気分だったりするのだが。あ、でもトランヴェールは昨日すでに読んでいた。。。
 さて、雲ひとつない快晴の登山口へと戻ってまいりましたのは午前10時半頃。素晴らしい日差しに恵まれてはいるものの、まるでデジャブを見ているかのような感じです。いやこれデジャブって言わないだろ、昨日しっかり見てるんだから。とりあえず昨日も登っておりますので雪の状況等は把握済み、しっかりとアイゼン・ピッケルは自宅に置いてきて、スノーシューとストックで登っていきます。某ガイドブック等ではアイゼン・ピッケルと記載してあるかと思いますので、本当のところはちゃんと使用して下さい。
 23日は天候が悪かったこともあって、くろがね小屋経由山頂の往復でした。24日は快晴ですから、くろがね小屋経由山頂、から薬師岳、そのままスキー場に歩いて下りてくる周回コースです。とりあえずくろがね小屋まではサクッと登って1時間ちょっとで到着。実はですが、、、23日に同行のモデルさんが私が貸したピッケルをこの登山口からくろがね小屋間でなぜか紛失してしまい、その日中に見つけることができなかったので、念のため今一度目を凝らしながら歩いてはおりました。ですが出でこなかったですね。一体どこに放り投げたというのだ。。。まあ安いピッケルでしたから特段問題はないのですが、なんとなく悔しいです。誰かが拾っててくれて、使っててくれたら有難いんだが。
 相変わらず、広い斜面とスノーシューの相性はバッチリです。しかしこうまでドッピーカンで晴れてしまうとなかなか撮るものがないのもまた事実。いやまあ一応はわざわざガイド用に写真を撮りに来たわけですからこれ以上ない天候なのですが、何かこう、そうじゃないちゃんとした作品写真も撮りたいのと思うのが常、何とか探し回りますがなかなか難しいです。まあでも稜線に上がればそれなりに撮るものはあるでしょうと、とにかくのんびりと登っていきました。
 くろがね小屋から山頂間は好きな場所で、夏でも秋でも気分が楽しくなるところです。秋は紅葉が綺麗だし、夏は何だか山奥に入り込んだ感じ、振り返れば麓の街が見え出して、山の上にいるぞっという気分が楽しめます。冬は一面の雪の斜面になりますから、これもまた気分がいいものです。前日と違ってこの日は平日、他の登山者もほぼ見当たらなかったので、なおさら気分はいい感じです。
 くろがね小屋からは40分ほどで山頂。稜線に上がると西側がスコーンと見えるわけですが、ここまで快晴だったからてっきり晴れてると思いきや結構雲がありました。ですので磐梯山や吾妻連峰はすっかり雲の中。ぼちぼち風もありましたのでなかなか寒いです。ですがお楽しみはこのあたりから。比較的天候に恵まれる安達太良山ですが、やはり西風が強いとこの稜線は結構風雪を喰らいます。ですのでこの稜線は結構エビの尻尾がびっしりついて、なかなか絵になるんですね。左手に真っ白になった沼ノ平を見下ろしながら、矢筈森の方へ足を運びます。
 ということで今回の写真です。ここに登りにくるほとんどの方は山頂で終わってしまうので勿体無い。ちょっと北側に足を延ばすと稜線上のエビの尻尾の大群を楽しむことができます。まあでも山頂付近にもあるっちゃあるので、エビの尻尾いっぱいの塊とかを見てハァハァ言ってしまう人以外は用事がないのかもしれませんが。。。でも写真目当てであれば、このエビフライ食べた後の尻尾の大群とその奥に安達太良山ピークを入れ込んで撮ることができますから、おすすめですよ。
 作品的にはこれと言ってなんか難しいことはないです。手前にボンとエビの尻尾、奥にピーク。ただちょっと気にかけているのは絵の中で視線のばらつきが出ないように、右の稜線の斜め線とエビの尻尾の影の斜め線を揃えているところ、でしょうか。手前の斜め線が長く、奥の斜め線が短いことで遠近感も出ています。こうしたとき、ピークの位置にも注意が必要です。ピークの位置が悪いと山特有の重量感が出せないで斜線ばかりに目がいってしまいますから、山らしさが出ない絵になってしまがちです。ですからピーク位置はしっかりと山が重く見えるところに持ってきます。よくある黄金比とかでピークは1/3のところとかにすると絵が横伸びしますから、気をつけてくださいね。あとは敢えてPLフィルターを使って空を濃くしているところもあります。冬はPLを使うとすっきりした青からちょっと呉須っぽくなるのですが、絵的には印象付けができるのでいいときがあります。でもすっきり感はなくなるので注意してくださいね。難しい?いやそんなことはないはずです。

あったかいってレベルじゃねーぞ

 しかし今年は本当に暖かい冬でした。そんな安達太良のエビの尻尾も、今年は出来ていないのではと思ってしまいます。明らかに雪も少ないですし、もうこれは雪山行くってレベルじゃねーぞ。おまけに新型コロナ、山では感染しないとかってレベルじゃないし、そもそも山に行くまでの交通で感染しそうだから無理に出かけるってレベルじゃないし、そもそもおまけってレベルじゃねーぞ。
 このときの矢筈森では何だかんだで1時間半くらいハァハァ言いながら写真を撮っておりました。時間があれば鉄山くらいまで行きたかったし、まあでも夕日は拝めなそうなのでそこはひと安心。この日は日帰りで下山しなくてはならないので、これで夕方に稜線が赤く染まろうもんなら悶絶死してしまいます。
 山頂からの下りはぼちぼちと。帰りのバスも予約制ですので、時間に合わせるようにゆっくりと下って行きました。スキー場に下ってきたときには日もだいぶ低くなり、何となく寂しげな感じが山全体を覆っておりました。とりあえずは来るかどうか悩んで悩んで苦しみながら、何とか心を鬼にしてやってきた連続通勤でしたが、まあ晴れて撮れたら気分もすっきりでございました。

 とりあえずはゆっくりと休みたいと思いました。

 ですが2014年のカレンダーを見ると、
 翌日から乗鞍岳へ行っていた模様。

 まあ、山が変わればそれなりに動けるようです。

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