Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 42
08 Dec 2018更新

雑誌 山と溪谷・2013年12月号掲載写真「宝剣岳」

 

 今回のレポートはお正月放送予定の番組撮影中に、いや撮影ロケの停滞中に書かせていただいたものです。いつものように、帰ってきてからアップしておりますので撮影の出来はわかっているのですが、まあまあ。これを書いているときはまだ前半戦ですので、果たしてちゃんと撮り終わるのか、仕上がりをプロデューサーにがっかりされないかと気を揉みながら停滞しているわけです。といいながら大富豪しているわけです。
 ともかく本当に放送されるのかの決定は本当のところもうちょっと後にならなければわからず、さらには肝心の出演者である私がお正月の放送までに電車で痴漢したあげく線路に逃げて、逃げて、逃げ切れずにあえなく逮捕されるということも量子力学的確率としてはゼロとは言い切れませんから、まあ色々あるようです。でもこの歳でも800m1分台で走れるんだから、逃げ切れないってことはおそらくないだろう。ってそういう問題でもないか。
 お正月番組のテーマと致しましては「雪山」でございます。果たしてどこが舞台になるのかはお楽しみということで。といいながらNewarrivalを見てしまえばわかるような。。。しかし思い返すとなんでしょう、本当に毎度いいシチュエーションで「写真」が撮れないというのは酷なものでございます。そのかわりいい映像は撮れておりますが、いつもこの撮影ロケのときは「しゃ、写真を撮らせろ〜!!」と叫んでるわけです。何でしょうね、山だからでしょうか。わざわざ登ってきて、いいシチュエーションに出会うとさすがに「まあいいか」「また来ればいいよ」なんていう余裕はありません。「また」っていうのも季節的にいえば事実上最低でも来年になるわけですし、う〜ん苦しい。心では苦しみながら監督指示しました映像を、ぜひお楽しみくださいませ。
 さて、今回の写真ですが、山岳雑誌山と渓谷2013年12月号の巻頭連載に掲載致しました裏宝剣の写真です。裏宝剣という言い方が正しいのか知りませんが、まあ一般的には千畳敷カールから見た形が表通りと言いますか、美しいカールのある表顔となりますので、正式には西面でしょうけどついつい「裏」と言ってしまいます。
 表の千畳敷は美しいカールで、夏は花、秋は紅葉、冬は一面の雪の斜面ですが、裏の方はやはり裏、背中らしく、ガリガリの岩場となっております。別に決して珍しい場所という訳でもなく、写真家の被写体としては定番なのですが、山岳雑誌なんかではやはり登山情報が中心となってしまうので宝剣岳の景色よりは木曽駒ヶ岳登山で紹介されることが多く、さらに定番の写真ポイントでありながらも最近は忘れ去られている感もあるので、こういう場所はしっかりと抑えて紹介しておきたい、とのことで選出させていただきました。あとは冬でありつつも撮りやすいというのもあったかと。ほとんどの人が行くことができない厳しい場所を紹介するのはちょっと微妙ですしね。
 撮影は前年の2012年12月13日。ここは真冬の山の上でも泊まれるホテル千畳敷があるので非常に助かるのですが、なにぶん12月13日と1月1日は富士山から日が昇るダイヤモンド富士が見られるので、宿が取れるのかどうかなかなか不安でした。正直そりゃついでにダイヤモンド富士が撮れたらいいですけど連載の仕事のほうが大事なわけで、天気の巡り合わせでなぜかこの日になってしまいました。混みそうだからできたらその前に終わらせたかったんですが、まあ宿が空いてたので結果オーライ。
 ということで前日12日に千畳敷入りしまして、この日に回復が早ければ撮れるかな、と思いましたが結構雲が残りました。いつものことですが、NHK特番などに出演していることもあって車はマイバッハあたりで颯爽と菅の台に乗りつけるところを皆さんは想像されるかもしれませんが、運転免許すら持っておりませんので、安定の「千畳敷カールきっぷ」でございます。
 この年は雪の降り始めが早く、11月20日ごろには十分冬山っぽくなっておりましたのでカールはやや雪崩れそうな様相を呈しておりました。とりあえず到着後に様子見でカール内をラッセル。そんな積雪のときに八丁坂を登るのはややリスキーなので、尾根を登る場所を探りつつ、この日を終えました。今年は雪が少ないので、今のところ年末年始でも余裕で登れそう。
 晩ご飯のときに食堂を見渡すと、そんなには混んでない客入り。明日がダイヤモンド富士の日とは言え、ファンには正月のほうが価値があるということか。明日は晴れるはずですが、天気は本当にそのときにならないとわからないので、不安で夜中に何度も起きては窓から外を見たりしてました。結構雲が残ってるなぁ。。。
 翌朝、晴れ。よかったよかった。正直イベント色が強すぎてダイヤモンド富士はあまり好みとは言えませんが、この日にここにいて撮らない訳がない。朝は和合山から朝日の宝剣岳表顔を撮ろうかとも思いましたが、ここは富士をとらせていただきました。
 慌ただしい朝日を迎えたあとに朝食を済ませ、いざ稜線に向かいます。とはいえ裏宝剣の見頃は昼過ぎから午後そして夕方にかけてなので、ゆっくりめで9時半ごろにスタート、そしてその頃合いに撮影し、ロープウェイ最終16時までに下山というややタイトな行程。本当は夕方にまで残りたいけど昨日夕方取れなかったので、このときも夕日真っ赤バージョンはお預け。だいぶ昔に一度撮って、撮り直ししたいと思っていただけにちょっと悔しいです。この日も残ればいいーじゃんと言われそうですが、同行者もあって予算というものがありましてですね。。。
 風がややあったので昨日のラッセル跡はうっすらと残る程度。カールからは八丁坂に向かわず、昨日の様子見ルート通りに尾根伝いで和合山に上がります。途中でスノーシューを残置し、アイゼンに履き替えてガツガツと登っていきます。案外途中のアングルからの宝剣岳もよく、気持ちの良い道でした。寒いけど。
 稜線に出るといつも通り。表・宝剣岳が格好良く聳え、凛とした姿を見せております。なだらかな稜線を歩き、昼過ぎの撮影時間までの暇潰しに木曽駒ヶ岳まで行きました。いつもの様に頂上山荘のテント場はいいシュカブラが育っており、のんびりと写真を撮りつつ山頂へ。
 山頂に着く頃にはだいぶ風が弱く、快適な雪山に。全国的に晴れの模様で、北アルプスも南アルプスもばっちり見えているのが気持ちいいです。ひと月前に登った時も晴れてましたが強風が止まず、うわ~同行者連れてきてこの風だったらまったりじっくりは撮ってられんなぁ~と思っていただけに有難い限り。だらだらとお散歩気分で時間を潰し、撮影ポイントへ。まずはすみませんが寒いだろうけど、同行者を放置して自分の作品撮影をさせていただきます。
 30分くらいお待たせしました。ということで今回の写真です。立つ位置、ポーズ、ピッケルの角度などを指示し、撮影。下手に撮るとただの岩峰に写ることもある大きさなので、宝剣岳の高さを際立たせて構図を作ります。空はやや黒くエグい感じですが、ドラマチック感を出すためにあえてPLフィルターを使用。
 とにかく登山者が裏宝剣を見て感動!という雰囲気が伝わる絵を作れないとダメなのです。なので山の絵作り以外にモデルさんのポーズが結構重要。腹側を山に向けて山の面と合わせてしまうとのどかな感じが出てきますので厳しい雪山では挑む感を出すポーズがいいです。細かいところなのですが、ポージングひとつで雰囲気がガラリと変わりますので、カッコいいポーズ、のんびりポーズなど、ポーズひとつひとつが何を意味するかと考えて撮らなくてはいけません。
 天候のおかげで苦労することもなく、無事撮影も終わりました。ラッセルと尾根の登りで2時間くらいかかったはずですが、下りはやはり早く、30分くらいでカールに着きました。のでロープウェイ駅に着いたのが15時。ああ、1時間余裕があったのでもう少し粘れたなぁと思ったものですが、そうなるとおそらくラストのカール内はダッシュ&汗だくでギリギリ間に合う、みたいないつもの様になり、同行の人に多大な迷惑をかけることになるので、これくらいの余裕が大事なのかもしれない。といいながらいつもギリギリ走らせたりして迷惑をかけているので、余裕があるというのは実はめずらしい気がしないでもない。

いつものルートで帰ります

 まあ結局のところどう動こうが汗だくにはなりますので、帰りにこまくさの湯に立ち寄り、千畳敷カールきっぷですので高速バスにて東京へと帰ります。何だかんだこの時期はまだまだ麓に下りて来るとほんのり暖かく、とくに山の稜線から下ってくると初冬とは言え春の訪れのようなものを感じます。


 ところで、高速バスの途中休憩はできれば諏訪SAがいいのですが、、、
 双葉SAなんですよね。


 いや、双葉が悪いわけではないのですが、毎度毎度双葉だとメニューも覚えてしまうもので。。。

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