Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート98
11 Dec 2022更新

2013年12月8日 撮影・「御嶽山」


 すみません、年内にはレポート100を目指してと思っていたのですが色々とやらなければならないことがあって間が空いてしまいました。だがしかしまだ目指せるか。100回という区切りでレポートをどうしようかとも考えているのですが、どうしましょうか?ある程度結構長めの文章を書くのもなかなか時間に追われてしまっておろそかにもなるとアレだし、何かもう少し短いものに変えようかなとも思っているのですが、とくに決めているわけでもないのでしれっと「101」とか出てるかもしれません。
 レポートも初めの頃はもっと短いものだったのですが、つらつらと長くなってしまったのは自分のせいでございます。というかこういうブログ的な冒頭文もないものでしたからもっとパパッと書いてパパッと読めてくらいのものだったのですが、どうなんでしょうね。ある程度長くなると書くのにもやや構想が必要なだし、、、って駄文じゃねーか!と突っ込まれそうではあります。短くしようかな、、、五・七・五くらい。
 個人的には近況報告や私生活的なブログは嫌いでありまして、なわけで過去のエピソードをいくらか形にした(ちゃんとした、とは言わないし言えない)ものを書いております。私は作品を見てもらいたいわけで、決して私を見てもらいたいわけではなく、なので作品とはかけ離れた私生活みたいなものを頻繁に外様には見せるのは好みではないのです。見せたくないというか、見せるべきではない、と言った方が正しいのかもしれません。私がそう望むとかではなく、人間として、社会としてそういう方が節度があって成熟しているかと思うわけです。無数にある登山のブログや記録だって、山が主体で書かれているものは魅力的だし情報としても有用ですが、個人の虚栄心や承認欲求メインで全面に出ているものは見るに堪えない。ネットが発達して、皆々様が対話の交換物として作品を、どんなに拙くても作り出してくるならばともかく、多くが自分の私生活語りなのは哀しい限り。皆様、そういうものはあまり出すもんじゃあないよ、ということです。そうすることで人ひとりひとりの神秘性というものは薄くなっていくし、むしろそういう「見えない部分」に想像を膨らませて過ごした方が社会としては円満になるかと思いますし、単純に楽しいんじゃないかな。世の中がギスギスしているように思うのも、皆々が細かいことまでアナウンスしすぎなのかと。そしてそういうもので溢れかえっている。人は分かり合えているようで実は全く分かり合えていなくて、しかし情報過多の社会だと「分かっている」と錯覚してしまい、目に見えない本当の現実との差異にストレスを感じるようになるのではと思うわけなのです。なので私はそういう頻繁に更新するブログやSNSは好きじゃないし、このレポートものんびり更新でいくらか形にしたものだし、あくまでも「山が好き」を主体に置いて書いているわけです。まぁ〜何というか、ちょろっと私生活ではあったりしますけど、例えていうならエッカーマンの「ゲーテとの対話」みたいなものでしょうか。そんな高尚じゃないって?知ってますよ!
 さて、今回の写真ですが御嶽山です。2014年に噴火して多大な被害を出しましたからなかなかおすすめするのもと思い、書くのも控えていたのですがもう8年も経つのですね。撮影は2013年の12月8日ですから、宇宙規模の出来事からしたらほんの僅かな誤差でありまして、別に私のときに噴火してもとくにおかしいということもなかったわけです。登っておりましたときはついぞそんなこと思いませんでしたから、そういうことにいくらか気にかけているとはいえ油断していたということですね。もう10年くらいするともっと油断するとも思いますから何とも難しいものです。
 御嶽山は登るだけなら日帰りで余裕ですから、前日7日は現地入りするだけの小旅行登山でございました。とは言っても仕事の任務としましては雑誌の表紙と巻頭連載を撮らなくては、絶対に綺麗に撮らなくてはいけないので気持ちはそう楽でもありません。それでも自宅を出たのは昼前くらいですから、う〜んやっぱり楽!
 同行モデルさんと新宿で待ち合わせまして「あずさ&しなの」の特急列車で木曽福島へ。宿は当時はおんたけ2240スキー場にほど近い、おんたけ休暇村に取ったので木曽福島から送迎バスでバス代もかからないというお得ぶり。何せ名古屋市の施設なので宿泊代も安い。なぜかお金がかかってないと嬉しくなる私なのでした。心が貧乏なのかな。施設は部屋、食事とも修学旅行に来たような、そんな感じでしたが十分ですよ!私、安いので。
 翌日8日はもちろん宿からスキー場まで送ってもらうという、なんというか宿泊料金に比べると本当に申し訳ない。気を取り直して、さてここからは仕事です。ゴンドラで田ノ原へ上がり、約2200mから3000m目指してまっすぐ登るだけ、というノーストレス登山です。トレースが結構ついておりましたし上の方を見ると結構団体もいましたので、雪山講習にもぴったりな場所であります。標高や雪質を含め、アイゼンワークとかそういうのをやりたかったら一番手頃な場所だと思いますが、遠いと言えば遠いかも。でもたぶん名古屋の人には近い、なぜかそんな感じを現地で感じました。見る人見る人みんな名古屋市民に見えてくる、そんな感じの雰囲気でした(意味不明)。ということで9時ごろ田ノ原を出発致しました。
 12月の頭ということもあって8合目くらいまではハイマツも出ている「ちょっと雪被ったかな」という状況でしたが、9合目あたりからはガッツリ真っ白な世界、富士山のようにとにかく斜面ということもあって気持ちがいいのなんの。とにかく雪の斜面をどこでもいいから登っていくというのは誠に快適であります。振り返ると中央アルプスの眺めが素晴らしいわけですが、標高を上げていくと重なって少しづつ南アルプスも見えてくるようになり、そして最後に富士山が頭を出す、という素晴らしいのですが大観すぎて、正直「これといってパッとしない写真にしにくい雑な風景!」なんです。が!いいんです、これで。無理に写真にしなくても、そんな景色もあるわけです。
 登り始めてから約2時間で王滝神社に到着。神社は氷で一見真っ白になっており、今まで山を登ってきたのに山頂で突如として現れる人工物、そしてそれがまた氷で覆われてるとこれはこれでなかなかファンタジーの世界。ブリザガを喰らったであろう狛犬があまりにも痛々しい。とりあえず見晴らしのよいところで剣ヶ峰へ向かうよりも先に表紙のカットを撮ることに致しました。剣ヶ峰に行ってしまうと向こうは向こうの景色がありますが、この目の前に広がる大斜面を見下ろす景色は無くなってしまいますので、まずそこからこなしていきます。
 カットはもともとイメージしていたのでこれといって問題はないのですが、王滝山頂直下はどこ歩いたっていい感じに広いので本当にイメージに撮れて助かります。また助かるのが先ほど言いました背景、中央・南・富士山の雑多とした(笑)景色であります。ぱっと見どこの山かよくわからないので、そういうのが逆に場所を特定させず定型のものとはまた違った雰囲気を出してくれます。まあモデルさん以外風景は白黒にしちまうんでどのみち違った雰囲気が出るんですけども!
 しかし約3000m、やはり3000mの雪質は素晴らしい限りであります。雪というよりかはクラスト化して氷の感触になりますのでアイゼンの刺さり具合が非常に気持ちいい。やはりこのくらい硬いからこそアイゼンを履く意味があるんであって、まだ雪っぽい感触なのであればスノーシューの方が歩きやすい。アイゼンの爪がしっかりと氷を捉えているのを感じると、なぜか不思議とテンションが上がりますが一体なぜなんだろう。この後剣ヶ峰山頂を目指して向かいましたが途中で絶対にしないまさかの凡ミス、カメラを手元から離してしまい地面に落下させてしまったのですが、レンズ下向きでそのまま垂直に落下したためレンズフードが雪面に突き刺さり事なきを得ました。カメラが突き刺さるのもまたなぜかテンションが上がる。なぜだぁ。
 ということで剣ヶ峰山頂、13時到着致しました。山頂はあまり重要ではないのですが、見開きカットを撮るためにそのすぐ下の一ノ池に用事がございました。雪がなければ火星のような不思議な景観の一ノ池、雪を被っても素敵です。これはこれで南極みたいで、やはり御嶽山頂は異世界を感じます。少し西日で寂しい雰囲気も漂ってましたので、なんとも美しい風景でありました。一日を通して快晴でしたので周囲の展望もよく、北アルプスもしっかりと見えております。でも一番印象に残ったのは名古屋の市街地と海岸線でしょうか。山の景色もいいですが、山から海が見えるとこれもまたなぜだか嬉しいものであります。

もっと払ってもいいんじゃないかな

 午後を回ると山頂付近の登山者もほとんどいなくなりますので撮影は順調でした。一ノ池で見開きを撮ったら終了、なんとか形にできそうなのでひとまずほっと胸を撫で下ろしました。雲ひとつない空から降り注ぐ陽の光は暖かく、空気こそ冷たいのですが不思議と寒さを感じない気持ちの良い一日でした。風も弱くはないのですがなぜか無音の世界に感じたのは近くに山のない、独立峰の景色が作り出すものかもしれません。静まり返った山頂を後にしたのは午後2時前、下りは気持ちいくらいまっすぐ下っていくだけですので1時間かかったかかかってないかくらいでゴンドラ山頂駅の三笠の森に到着しました。だいぶ日も傾いておりまして、西日があたる中央アルプスがまたこれ雑な風景ながら美しく輝いておりました。
 スキー場からはまたも送迎バスでおんたけ休暇村へ。たしか木曽福島行きの送迎バスまで時間があったのでもう一度入浴させてもらえたという豪遊ぶり。1泊7000円くらいしか払っていないのに至れり尽くせりというか、有り難いけどまずいんじゃないか?このあともしかして「えっ?名古屋市民の方じゃなかったんですか!?」とか急に言われて追加料金を取られるのではとか、もしくは機械伯爵に磔の刑にされるのではと思ってしまう親切料金です。

 ということで
 撮り終わってしまえば
 楽しい一日でありました

 もちろん帰りも送迎バスですが
 行きも帰りも乗車はうちらだけ

 やはりもっと払ってもいいと思う

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