Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート95
06 Oct 2022更新

2019年10月10日 撮影・「八甲田山」


 一体いつまで暑いのだろうか、という秋ですね今年は。まあ今更珍しいわけでもないですが、10年前、15年前くらいにもあったような気もしますがとにかく気温が下がらない。ようやく少し下がり始めたところですが来週にはまた上がりそう。2010年だったか、紅葉がどこも1週間遅れた年がありましたが今年もそんな感じですね。山の紅葉の場合、「遅れる」と言っても単純に遅れてくれるだけならいいのですがだいたいいい色に染まらず終わってしまうことがほとんどです。なのでこんな年はいい加減さすがに冷え込むだろっていう12月に紅葉するようなところ、例えば千葉の房総とか、、、の方が色の出が良かったり、なんてこともありますのであります。
 ネットで現況を見てるとそれでも何とか悪くないかなぁ、、、と思う場所もありますが、今年の紅葉は総じて厳しい感じをひしひしと受けます。しかしこうして手軽に各地の現況が見られるというのは非常に便利でもありますがなかなか罪でもありますね。それこそ昔はとりあえず行ってみて、良かっただの悪かっただの、とにかく自分自身で獲得して自分自身にフィードバックして、時には当たった高揚感だったり、ハズした敗北感だったりと、貴重な時間を効率悪く無駄に使って、何というか、、、何かしら大事なものを獲得したと思うのですが、便利になると所謂「結果」だけが重要視されすぎてそこに至る過程がすっぽり抜け落ちている気がします。過程はどうでもいいから結果が手に入ればいい、というような。もちろん現代はそういう風に構築されてしまった社会ですから、その社会の中で「じゃあ無駄なこともしっかりしないと」となると仕事としてはどうにもならなくなってしまうんですが、まあともかく、効率良くなりすぎる社会の先には一体何があるのか?と思うわけです。
 単純に考えて効率が良くなるとそれによって空いた時間を有意義にゆっくり過ごせるようになる、というのが理想ですが、実際はその空いた時間に何かしらの新しいアクションがどんどんと詰め込まれていくのが現実です。効率良くなるとどんどんと効率を求め、常に回転し、とにかく時間の流れが早くなってしまいます。どちらかというと人間は置いてけぼりで、時間の流れの方「だけ」が早くなっており、本来はコントローラー役の人間が時間を獲得するのではなく、時間の流れに人間がコントロールされていってしまいます。昔は単に効率良くできる手段が乏しく、時には人間より遅いスピードで、どこかのタイミングで人間にちょうど良いスピードで流れていた時間も、今はその特異点を越えてしまっているようにも思えます。
 もちろん、いつの時代も「昔は良かった。。。」と言い始めるのは老化の証拠と断罪もされてしまいますが、そうと言い切れないのはやはりネット社会の発達でしょう。ならできるだけ遠ざかって生活したいところですが、毎度毎度今年の紅葉のように自分の力だけで自分は動いて、周りはネットを駆使して、ってなったら一人負けしてしまうわい。なのでこの社会には対応しつつ、何が大事か、その大事なものを理解して保持できているか、だけでも意識としておくことがとりあえずできることかと。それでもその中で、できるところではできるだけ不便に、できるだけ無駄な時間を作っていかないと、と思うわけだ。そう言って、今日もサボる気満々なわけだ。
 さて、今回の写真ですが秋の八甲田山です。紅葉の一番ちょうど良いタイミングでは他の山に行っておりました関係でやや見頃を過ぎてしまったのですが、それでも山上から麓まで、どこかのタイミングでベストポイントはあるだろうからとせっかく天候もよさそうなので足を運んだ次第です。3000メートル級の山だと標高によってごっそり景観が変わってしまうのでどこかの標高でいいところがあれば、とはいかないのですが、2000メートル級で特にのんびりした東北の山だと山上でも麓でもそんなに景観が変わらなかったりするので、とりあえず行ってみるかという理由づけにはなったりします。
 撮影は2019年10月10日。例のごとく前日にパンダ号で東京から青森へと向かいました。何でしょうね、気軽なんですよねこの夜行バス。青森に到着しましたのは翌朝6時50分頃、八甲田行きの路線バスは7時半ですし、バス停前も誰もいないしで余裕こいてドトールで朝食を食べてから再びバス停に向かうとびっくりの長蛇の列!おいおい何やってんだよお前、と思いましたよ。せっかく早く来たのにこんな状況とは、、、って少し考えたら天気は良くて紅葉時期でってこうなるわな、と思うんですが、つい40分前くらいは誰もいなかったもので。。。というわけで7時30分発のバスには乗れず、次の45分の便になってしまいました。。。トホホ。いやでも本当にさっきまで誰もいなかったんだ、一体どこからあれだけの数が湧いてきたのか今だに不明である。
 まあいいや、ともかくバスに乗って八甲田山へ。と言いつつまずはスルーして南麓の睡蓮沼に向かいました。睡蓮沼は南側から硫黄岳、大岳、小岳、高田大岳と八甲田のメインの山々がズラリと見えるそれはそれは美しいところです。観光向けなので小さいデッキがあって、歩ける場所はほとんどないのでつまらない人にはつまらないかもしれませんが、、、写真を撮る人にはいつの季節もいい場所です。ここから山に登れるわけではないから登山の人は少ないし、観光客もまあ一瞥したら去っていくのでさほどひと気がないのもいい。ここから北側、八甲田連峰に向かってドローンをグェアーっと飛ばしても人に危害を加える可能性なし、広大な森の頭上をひたすら飛ばせるのはありがたい。というわけでこの標高での紅葉はなんともちょっと微妙に早い感じではございましたが、撮影を始めさせていただきました。
 ドローンを飛ばしてみるとちょっと上がっただけで睡蓮沼はだいぶ小さな水溜りとなってしまうので、それではと山の方にアングルを変えてみると恐ろしく広大な森が広がる八甲田の景色が見えました。う〜む、もうちょっと遅く、ここの紅葉が見頃のときに来たかったなぁ、と思う山らしい風景。八甲田は全体的に歩きやすく、こぢんまりと庭園のような山と決めてかかってしまっておりますが、こうして人の歩かない場所から眺めるとなかなか山深く感じられるものです。
 しかし色々と撮っていると時間はすぐに過ぎてしまうもので、、、。睡蓮沼に到着しましたのは9時でしたが、今度は登山が控えていますのでなるべく早く戻らねばなりません。酸ヶ湯方面行きのバスは9時40分のあとは11時40分、本来は8時40分ごろに睡蓮沼到着予定でしたので撮影は1時間あればいいかぁ、、、と思っておりましたがバス乗り遅れでリミット40分、どうしようか悩みましたがどうせ上に上がっても紅葉微妙っぽいからともうちょい長居することを選びました。まあ、、、となると今度は2時間ほど余裕が出ますので、それはそれで暇になってしまうという悪循環なのですが。。。
 酸ヶ湯温泉に戻りまして登山を始めましたのはちょうどお昼頃、地獄湯の沢から登って大岳、毛無岱を周ってまた酸ヶ湯へとラウンドして参ります。途中はそこそこ紅葉が綺麗でしたが標高を上げるにつれやはり山上はもはや終わった感がしっかりと出ておりました。もちろんわかってきているのでこんなもんだし、とくに絶対撮ろうと思っているカットもそんなない、結構自由な感覚で来ましたものですからあまり焦ることもないような。どちらかというととりあえず八甲田でドローンを飛ばしたくて来たような。。。
 さすがにお昼から登り始めておりますから登山者とすれ違うことがほぼなく、静かな山歩きが楽しめました。ドローンを飛ばす関係上なるべく人がいない方が当然よろしいですのでこういうのは助かります。大勢居たら安全管理上飛ばすわけにはいかないですから。なかなか枯れた仙人岱を通過し、大岳へと向かいます。大岳への登りで北側の景色が開けると田茂萢湿原の向こうに青森の市街地が見えてきました。八甲田に来るといつも思いますが、やはり見下ろす青森市街地がすごく美しいんですよね。距離感がいいのか、ただ単に里が開けているというだけでなくその奥の海岸線がそうさせるのか、とにかくまとまりがいい。いつもついついぼーっと見とれてしまいます。そんな麓の風景を横目に大岳山頂に到着致しました。
 ここまで天気は抜群に良かったのですが一気に雲が広がり始めてしまい、ちょっと残念な景色になってしまいました。山頂でとりあえずドローン飛ばしとこうかとも思いましたが光も弱いので自重することに。う〜む、睡蓮沼で思い切って延長したツケがここで来てしまいまして、自分の甘さにちょっと哀しくなりましたよ。いやしかし、山上はもう紅葉が微妙だから!と思い切ったわけなので決して全くの判断ミスでもないのですが、何でしょうね、いっつも「全部うまく、完璧に」と考えてしまうのが悪いんでしょうか。
 こりゃあもうダメかな、どん曇りかな、というところまで空模様はいったかのように見えたのですが、なんとか持ち直し、毛無岱付近で光が戻って参りました。空はくっきり青空とまではいきませんでしたが、これはこれで雰囲気にある秋の午後、みたいな感じで悪くなかったです。下毛無岱まで下りてきて、ここら辺りがちょうど紅葉の見頃でしたがちょっとブチっぽかったかな、、、、贅沢ですけども。下毛無岱の湿原から八甲田の山々を眺める景色は本当に大好きで、とくにキンコウカが咲き乱れる夏が好みです。足元に目を凝らすとそんな夏を彩るキンコウカもスカスカの薄茶色の籾殻みたいになっていて、なんとも寂しさを感じさせます。

ハギビス到来

 さて、下毛無岱のテラスからドローンを飛ばしていると何人かに声をかけられました。一番印象的だったのは「テレビで見るより小さいですね」と言われ、、、そ、そうかな?元々そんな背が高く見えないと思うけど、、、とりあえずここは紳士らしく「そうですかね。でも、トム・クルーズより2cm高いですよ」と自慢げに言ってみましたが、おそらく「何言ってんだコイツ」くらいにしか思ってもらえなかった、そんな空気が流れておりました。
 ここで午後3時ごろ、太陽はだいぶ西日になってきておりまして、山に向かって三脚立てて写真を撮ろうとするとしっかりと自分の影も映ってしまう状況なのでドローンに助けられます。ふわっと上がってみると広大な湿原に八甲田の山々、まあ想像した通りなんですがなかなか美しい。しかしながらドローンの景色というのは目新しさはあっても心を抉られるほどのインパクトってあまりなかったりしますから、脚付で撮れたらそれが一番満足かなぁ。
 ぼちぼちで酸ヶ湯に下り、やはりいつもの流れで千人風呂へ。とりあえずですがやはり、ここに来たら礼儀上立ち寄るものでしょう。午後5時40分くらいのバスに乗って青森へ、午後7時に駅前に帰ってまいりました。間髪入れずに1時間後の午後8時に帰りの奴隷船が参りますので、しっかりと時間を使い切った感じが致します。晩御飯は選んでいる暇もなくトンカツでありますが、駅ビルの「新宿さぼてん」って、、、青森に来て「新宿」というのは何ともやるせない気持ちであります。トンカツ好きだからどうでもいいけど。と言いながら確か季節柄カキフライを食べたと思います。

 さて、いざ夜行バスで東京へ帰ろうと思います
 が、無事帰れるんでしょうか?
 なんだかとてつもなく大きい台風が
 すぐ下にいるようですけど

 むか〜し昔、同じくパンダ号で
 天候不良ですんごい時間がかかったことがありました
 普通は朝6時半ごろには着くのですが
 そのときは午後2時くらいでした

 あのときは本当に
 死ぬかとオモッタ。。。

 パンダ号で18時間はきつい。。。

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