Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート93
22 Aug 2022更新

2020年8月21日 撮影・「苗場山」


 ずいぶん長らくと間が空いてしまい大変申し訳ございません。7月終わりからやや長めで撮影に入っていたのですが、帰ってくるなり体調を崩してしまいなかなかレポートを更新できずにおりました。幸い流行りの風邪のように高熱が出たりとかはなかったのですが、胃腸の調子が悪く、満足にご飯も食べられない日が続いてしまい、ようやく、本当にようやくつい先日ソース焼きそばを食べられるまで回復致しました。いや〜情けない限りです。山にいたときは調子良かったので、何となくですが夏バテみたいな感じかな。そのくらい結構今夏の山は涼しかったですから。今年は冷夏か?なんて思って下山してきたら暑くて寝苦しかったの何の。そこでぐったりきてしまった感じがします。
 いやしかし、約2週間ほど入っていましたが半分は微妙な天候でほぼ停滞状態。今年の夏も例に漏れず「夏らしくない夏」でありまして、くっきりすっきり晴れることが少ないの何の。もともと梅雨明けが早く、そんなぐちゃぐちゃな年でしたから苦しめられるのはわかってはいたといえばわかっていましたが、何やかんやで晴れるだろうと甘い考えがあったのも事実。まさに見通し甘ゾー君でございました。なんとかこの後の夏の残りで晴れが続くと良いのですが、なかなか厳しそうな予報が出ております(汗。そしてそんなこんなあくせくしているうちに、すっかり秋めいてきてしまうんだろうなぁ。
 いや本当に、夏の撮影に入る前は「ようし、ようやく夏が始まりましたか!さあいくぞ!」くらいの気持ちで(いつも)始まるものですが、ふとして2週間くらい経ってみるといつの間にかすっかり秋の空気を感じて、、、「え?も、もう終わり??」みたいな状態になるものです。あまりにも活き活きしている時期だから気づきにくいんでしょうけど、山の夏って、本当に短いものなんです。今回もそんなものを本当に強く感じて、なかなか良い花の株を見つけたんですが、「よし、次に日が当たったときに撮るぞ」と思ったものの、ひと雨ふた雨経過してみると「あれ?も、もう枯れ始めてる。。。」と愕然としたものです。花も結構ずっと咲いてそうですが実はかなり短く、本当にそれは一瞬の出来事のようなものなのです。そうしてそんな時期だけグワッと登山者が邪魔なくらい増える、というのもまた良いものです。もう少し経つと山はまただいぶ静かになって過ごしやすくもなりますが、あの賑やかな一瞬の思い出はエネルギッシュで、人の楽しみとか喜びとか、そういうものが凝縮されたものでもあります。もう後ろに戻せない時計の針を、感傷的なまま、その瞬間に留めておきたい、というのが写真家の仕事でもあるのかなと思ったり。最近はもっぱら動きものを撮っておりますけど。。。
 さて、今回のお話は夏の苗場山でございます。2020年8月21日、2年前ですがこの年もなかなか天候が厳しい夏でございました。7月下旬の撮影はほぼ雨でどうしようもなかったし、8月も半ばまで曇天が続いて本当にどうにもならなかった。撮影としましては某インフォメーションセンターの映像を撮っていたのですが、コロナだわ、落雷でロープウェイは止まるはもう本当にどうしようもない。何とか!お盆も過ぎた頃にようやく晴天サイクルが回ってきまして、怒涛の流れで撮影を片付けていった思い出があります。4日間連続でひととおり谷川岳の撮影を終えて、拠点としていた渋川周辺で晩御飯を食べておりました。
 谷川岳で晴天、4日間、ということは当然ですが、体力の消耗も非常に激しいものがあります。暑すぎるわ、水は足らんわで丸々4日撮り続ければフツーに体がおかしくなります。ということで疲れ切った体で晩御飯を食べておりましたが、メンバー全員、翌日も頑張りますか〜というか、そろそろ休みを取りたい、、、、という空気が流れまくっておりました。天気予報を見る限り、どうも21日はそんな良い日でもないという感じもありましたし。
 しかしながらそんなときでも私は実は未だ撮影が進んでいなかった苗場山が気になっており、もしかしてもしかすると越後側の天気は悪くないから21日に行けるんではと餃子を食べながら考えていたわけです。ディレクターは「苗場は。。。もういいですよ、無くても何とかなりますよ」というのだが、苗場ファンの私からすればやはり外すわけにはいかない。一瞬でも晴れればパパッと撮れるだけの撮影ポイントも熟知しておりますので、行けるんであれば行きたいと思ったわけです。まあしかし、その他メンバーの疲弊具合もそれなりでありまして。。。そんな時間かけないから、なんとかならないだろうかとお願いを致しまして、歩荷のOさんとHさんの2人だけ貸してもらい、3人のみで苗場山へと向かうことにしたのでした。まあ祓川から往復するだけだし、さほど疲れることもなく終えることができるでしょう、という目論見でございました。
 ということで21日は朝4時に渋川を出発、いざ苗場山へ。私の頭の中では9時くらいまでには山上に到着、3時間くらい撮影して昼時くらいには下山開始、14時には帰路にとりかかって16時には渋川へと戻る計算でした。群馬側は曇っておりましたけど関越トンネルを抜けるとそこそこの青空で、越後側はなかなか良い感じであります。これなら期待できる。途中コンビニで朝食を摂り、祓川への林道をグイグイと登っていきます〜。
 よ〜し、行くぞ〜。なんて意気揚々と向かっていきましたが、何やら道端に怪しげな工事の看板が目に入りました。「苗場林道災害復旧工事のため車両通行止め」とどうも通行規制がある模様である。しかも素晴らしく運良く「8/17〜」と書いてありまする。。。ということは、今日は規制日か。。。時間は午前が8時半〜正午、午後が1時〜4時半、ふむふむ。ふむ?となると、午後1時過ぎると4時半まで閉じ込められちゃうってコト?。。。となるとお疲れのところ渋川に戻るのが夜7時くらいになっちゃいそうだし、う〜ん、なんとも微妙な時間。そうなるとできる限り午後1時までに下山して工事箇所を切り抜けないと、、、だな。
 逆算すると、である。午後1時に祓川を出るとなると、山頂を午前11時には下山する必要がある。登りは6時に祓川を出発するから9時までには山頂、と。むむっ!メインの山頂湿原での撮影時間はキッカリ2時間しかないことになるな!これは厳しい。が、ここまで来てとやかく言っても何も始まらない。その2時間で「苗場山パート」を成立させるべく来たわけである。いや〜しかし、本当に自然相手ものの仕事は大変でございます。
 とりあえずは荷物を手分けして、黙々と登っていきました。とりあえず神楽峰までは用事がないのでとにかくそこまではノンストップで登る感じです。神楽峰からは所謂「苗場山の山容」が拝めますので、ここで山容カットを1カット、抑えておく必要があります。。。なんて撮影を始めだすと、もうちょいこっちがいいとか、あっちのほうがいいとか始まってしまい、まぁまぁ最初くらいはじっくり行ってもいいんじゃない?なんて余裕かまして撮影が進んでしまいます。こういうのが後々響いてくるだろうに、とりあえずじっくりしっかり撮りたいわけです。ひとつ抑えて先へ進みます。花が多い雷清水では「帰りにこれとこれの花は撮って帰ろう」なんて目星をつけておきましたが、どうなることやら。
 少しでも早く山頂湿原を撮ろうと歩荷の二人を置いて先に山頂へ。あれあれ?さっきの神楽峰までは雲が湧いてませんでしたが、早くもぽこぽこと湧いてきています。こ、これは急がないとまずいですわ。まずはササッとドローンを上空へと飛ばし、広大な山頂湿原を空から撮影します。終わったら今度は池塘を低空で。とにかく頭に描いている話の流れ通りのカットをこなしていくわけです。ここを撮ったら今度は奥の坪場へと向かいます。
 坪場ではローアングルで木道を歩く登山者のカット、登山者を回るドローンカット、そのほか風景諸々などを撮っていきます。登山者の上をぐるぐる旋回しながらぐーっとアングル変えて大湿原へ。。。なんてやや慎重に動かさないと撮れないワンカットももう時間ないので一発撮りで終わらさなくてはいけない厳しさ。腕時計を見ると刻一刻とタイムリミットの時間が迫ってきているのがきつい。山頂湿原に辿り着いてから移動時間含めて下山までキッカリ2時間ですから、本当に本当にキツキツでございます。気づいたら本当にもう11時、って感じです。売店でコーラだけ買って、グワッと飲んで、さあ今度は下山に取りかかります。今度は13時までに工事箇所を切り抜けないと、全く無駄な時間を過ごすことになっていしまいます。果たしてこんなキツキツで撮れたんかい、まとめられるんかい、と言いたいところではありますが、なんとかはなっているかと思います。
 下山時に雷清水でできるだけ花の撮影をしていくために、同行二人には先に下りといてもらうことにしました。ドローンはもう使わないから運んでもらって、それ以外は自分で持って、あとで走って追いかけるから、と。足には自信がありますから、何とか本気でスピード出したら追いつくだろうという甘い考え。二人だってそそくさと早足で下ってるんだからそう簡単には追いつくはずもないが、まあ追いつく追いつかないよりも早く先に下ってすぐに車を出せる準備をしておいてくれると有難いというところだろう。まあそんな呑気な考えをしているから、また花の撮影に捕まってしまい、、、もうちょいじっくり撮っても大丈夫だろう、だろう、だろう、とのびのびになってしまうのでありました。いつもギリギリ路線バスで懲りてるだろうに、い、いや今回はマイカーだから。。。ってタイムリミットあるなら一緒か。。。

いつもの役回り

 そろそろ切り上げないと真面目にシャレにならんぞ、ということろで切り上げ。つまりややシャレになっていないわけで。そこからもうダッシュで下山していきますが、そこそこ機材を担いでいるので思ったほど進みがよくありません。まずいぞ、こんなんじゃ先行二人に追いつくわけなかろうもん。。。まずい、まずい、なんて思ってガリガリ下っていたら、何と先行二人は中の芝のベンチで休んでいるではありませんか。な、何やっちょるかね!何余裕ぶっこいちょるかね!と叱咤し、そこからは三人ノンストップ猛ダッシュ。だって、猛ダッシュで下らないと絶対間に合わない時間でしたから。。。しかし、、、若い先行二人に離されずについていくのが大変で大変で、、、ってなぜかって歩荷係でない私が一番重い荷物を背負っているわけでして。。。ラストはもう汗だくも汗だく、登山口のゲレンデに出たら思わず「やったー!!」と思ったわけなんですが、実はここからがメイン。車まで、舗装路1.5km弱あるわけなんです。このとき12時40分すぎ、もちろんこのまま行けば間に合いますが、途中歩いたりしたらわからなくなります。なのでとりあえずとにかく走るしかない!うわぁ〜!!走れ〜!!さすがに舗装路になると荷物が軽い二人に追いつくのが厳しい、しかし、追いついてみせる!!もはや一体何をしにいったのか、何が目的なのかもわからない境地に達していたと言っても過言ではないでしょう。私も何をやらされているのか全くわかりませんでした。でも夢中。みんな夢中。
 三人とも汗だくのまま車へと乗り込み、次は急いで工事区間を目指します。何てったって工事区間を午後1時までに抜けないと通行止めなわけで、工事区間は駐車場からやや先にあるわけです。どこまでも厳しいトラップ。このときすでに午後1時を過ぎていた感じでしたが、何とか切り抜けた模様。工事の方々がちょうどお昼休憩から上がってきて工事車両に乗り込み始めていたので本当にギリギリではございましたが、無事脱出に成功致しました。いや〜、しかし、なんでこんな辛い目に合わなくてはいけないんだか。そして我々はいい歳こいて一体何をやってるんだか。。。
 前日はのんびりと山頂湿原を撮影散歩。。。なんて描いていたはずでしたが、蓋を開けてみたら結局体力酷使ロケ。神は一体どこまで我々に試練を与えるんでしょうか?などと心から思った日でありました。まあおかげ様で充実したと言えばしたかもしれないが。。。
 「暑いねー」「せっかく越後湯沢に来たわけだし、そばでも食べようか。。。」と帰りの道端に良さそうな蕎麦屋を見つけ、お疲れ様会。民家っぽい感じの作りの店で雰囲気はよい。ただ、皆本当にお疲れで何も言葉を発することはなかった。さすがにすでに午後2時近くになっていたためかお昼の営業ギリギリだったようで、蕎麦の在庫も微妙な感じだった。二八蕎麦があとふたつと、十割蕎麦があとひとつ、だそうだ。まあ流れ的には私が十割蕎麦を引き受けることになったわけだが。。。

 なんとなくだが
 私はいつもこういう状況で
 十割蕎麦を食べる役回りが多い

 食べていつも思う

 やはり十割は微妙である!!

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