Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート87
16 Feb 2022更新

2013年2月14日 撮影・「浅間山」


 いやしかし2週間経つのは本当に早い。歳のせいなのか何のせいなのか、年々早くなっている気が致します。うん、まあ歳のせいなんでしょう。若い時に比べるとおそらく脳の回路もだいぶ遅くなっていて、同じ時間の進みの中でも微妙ながらゆっくりとしか動けてないんでしょう、これこれのことしかやってないのに1時間過ぎた。。。みたいな。なんとかこのレポートも2週間間隔で書こうと思っているのですが、気付いたら2週間すぐに立ってしまうのでびっくりします。よく初期の頃はしっかり2週間間隔で書けたものだなぁ、、、と。なんとか鍛え直して時間の中をちゃんと動けるようにしたり、もしくは時間を止められるようにしたいと思います。
 前回は「レポート1」ということで「一体どんなふうにこのレポートが始まったのか」と思う方がぼちぼちいらっしゃったようで、いくつかお便りを頂きました。まあ、ほとんどは「最近は1ヶ月に1回だな!」という叱咤激励でございましたけど。。。笑。メールを送って頂いた方にはなるべく返信しているのですが、一部キャリアメールからだとメーラーデーモンさんから帰ってきてしまうので返信が届いていない場合がございます。ので決して無視しているわけではございませんので悪しからず。「一体どんなふうにこのレポートが始まったのか」というところは、私も久しぶりに「01」ってどんな風に始めたんだろうと前回載せる前に読み返すのを楽しみにしていたのですが、とくにこれと言って何の記述もなく、なんか急に始まってましたね。。。
 というのも、このレポートも回数を重ねるにつれ文字数が増えている気がしており、結構初めの方はあっさりとしているものでした。途中からだんだんボリュームが増えてきたり、冒頭に近況を書いたりしてだんだん今の形になったのですが、そもそも冒頭にこういう「ブログ的」なことはあまり書かないでレポートに徹するつもりだったのです。なのにいつの間にかこういう形になると、「あのときってどう始めたんだろう、何か書いてあるんだろう」となるわけですが、そういうわけでまあこれといって書いておらず。。。失礼致しました。そのうち、何で書き始めたのかみたいなことも書きたいと思いますが、とりあえずざっと頭の中で考えただけで長くなりそうなので今回は割愛します!
 近頃の話題で面白いなぁ、と同時に本当にまずいよね、とクリエティブな仕事をしている人間として思いましたのは、某イラストレーターの話でしょうか。何だか結構有名らしく、顔出しNGで若い女性イラストレーターだと思われていた人が実はおじさんで、且つもしかしたらほとんどイラストを書いておらずしかも人の著作物を勝手にトレースしていただけ、みたいな。なのに結構評価されていたらしく、企業案件もかなりしていたとか。う〜ん、どうなってんの?と思ってしまいます。こういう輩はもう存在してしまうのは仕方ないとして(どんなジャンルにも絶対ズルしちゃおう、という人は必ず一定数いますし、おそらく発生を止めることは不可能と思う。当然ダメだけど。)、問題はこういうのを評価してしまう人たちでしょうか。
 ここで責めているのは「評価してしまう人たち」と言ってもいわゆるファン層ではなく、評価側、仕事を頼んだりする作り手側の「評価してしまう人たち」のことです。ファン層は良いかどうかまでのすごい審美眼を必ずしも持っているわけでもなく、「人気があるから」という理由だけで好きになる人もいらっしゃいますので、これはこれで仕方ないです。ただぶっちゃけ騙されているには変わらないので、いい人なんだろうなと思いますがなるべく教養を身につけてくださいとしか言えない。無理?無理は嘘吐きの言葉。。。とは言えないですね。問題なのはこういう輩を起用する側の人たちです。本当は物事を評価する知識、見識を持っていなければいけない仕事をしているのによくわかっておらず、フォロワー数だけで評価したりと、一体何の仕事してんの?と言いたくなります。そこの能力がないならいらないじゃん、あんた。と言いたい。そしてたちが悪いのがそういう側が無駄に力を持っていたりすること、だろうか。評価能力がないのに決定権だけあったりするのでコネコネの世界になっちゃって、結果ちゃんとしたものを世に送り届けられなかったりする。それの集大成が東京五輪の開閉会式みたいなもんだろうか。文化レベルが低過ぎて、世界的に見ればまったく評価できるものではない。というか学芸会。ちゃんとしたものを世に送り届けられてるならコネでもなんでもいいんだけれども。
 昨今の流れとしては物質主義、金銭至上主義に傾き過ぎているきらいがある。儲けられれば騙しても何でもいい、質も悪くてもいい、みたいな。それは幸せなんかね?楽しいんかね?東京五輪の開閉会式だって「本当のバージョン」があったようだし、もう少し結果も良くすることはできないんだろうか。質を落としてでも儲けを取りたいのはもはや病気の域である。お金は生きていく中でもちろん重要な要素のひとつだが、それだけでは何も生まないことにも気付いた方がいい。文化的なプライドを失ってまでしてお金を得ても、幸せは生まれないよ。結局将来的にはコンテンツが育たないわけだから、その大事なお金も入らなくなるというのに。まあ、私のように文化的なプライドを重視しすぎてお金がないのもどーかと思うが。なので大事なのはバランスです!バランス!
 そんなわけで、嘘ついてまでイラストレーターやるバカがよくいるもんだと思いましたが、そういや山岳写真のジャンルにもそういう奴いたね。発覚する何年も前から「ああ、これは詐欺ですわ」と正直4秒でわかりましたけど、どうせいずれバレて消えるからと放っておいた。残念ながら、文章や写真を見れば全く中身が伴っていないのは瞬殺でわかる。中身が空っぽなのはわかる人にはわかるのである。ツイートもそれらしいこと書いているけど無茶苦茶。偉そうに言っていること全部簡単に論破できるけど、バレたらどうすんの?と。バレないと思ったの?さらに、山岳写真というジャンルでそんなことやってもひとつも得しないのに、と思っていました。よくやるわ。だって、そういうことする人ってぶっちゃけ儲けたいだけでしょ?なら、最初からジャンル間違えてるぞ〜!!しかしこれが今回のイラストレーター界隈だとちょっと違うか。ちゃんとやっている人たちが本当本気で怒るべきである。ちなみにもちろんファンの方だって怒るべきである。プロだろうが客だろうがみなさんひとりひとりがしっかり見識を磨いて、意見を持って、ダメなものにはしっかりNOを突きつけなければ、いつまででも日本の芸術分野は「東京五輪の開閉会式」形式に留まってしまうのであります。と、コネの全くないいち写真家がわめいているのでありました。
 さて、今回のレポートですが、よくある黒斑山からの浅間山でございます。誰でも行かれる定番でございますが、やはり浅間山の一番の展望地であることは間違いありませんので、登山的にもレポート的にも特段特筆するものはありませんが、いい場所です。冬で5回くらい行ったことありますが、このときはそういやガイド用の写真って持ってなかったな。。。ということで足を運んだ気がします。撮影は2013年2月14日、日帰りです。朝に自宅を出てらくらく新幹線、佐久平からはバスで車坂峠に到着いたしましたのはだいだい10時前くらいでした。基本的にはここでのメイン撮影は順光になる午後ですので、焦らずこなしていきます。とは言うものの、雲が多いなぁ。。。一応高気圧が乗るからもっとがっつりと晴れるつもりで来たはずだが、こうも雲が多いとやや不安にもなります。なんだか登山者もほぼいないし。
 浅間山は本当に美しい山で、軽井沢方面から見ても、この間近の黒斑山から見ても、嬬恋方面から見てもどこからも絵になる山です。この黒斑山、外輪山を含めて「浅間山」ということであれば嬬恋から見る浅間山が一番浅間山らしいのかな、と最近は思います。本来は山体崩壊していなければ、まあそういうことですから。ただしかし、崩壊してこそ浅間山。各々の山の持つ魅力というものはやはりその長い歴史を背負っているものでもあります。
 一時期は絵的に綺麗な冬によく足を運んでいましたが、カラマツの紅葉が綺麗な秋、と季節を変えて撮っていくとこれまた最近は「夏が一番綺麗なんじゃないか?」なんて思ったりします。もちろん秋冬は撮影しまくって飽きているからという面もあるとは思うのですが、あの茶色の山肌に鮮やかな緑というもの本当に合うんですよね。ただ絵的に綺麗、というだけでなくやはり生命力を感じると言いますか。若い時ってそういう「絵的に綺麗」というものばかりを追っていたような気もします。冬山の朝夕至上主義、みたいな。確かに綺麗なんですが、自然の温かみとか、力強さ、美しさを持つ季節ってやっぱり夏なんじゃないかな、なんて一周回って思ったりするのです。実際日本の夏はすぐ雲が上がるから撮るのも実は冬より難しかったりするし。って言いながらまた半周して冬に戻ったりするかもしれませんが。
 ちょっと話は脱線しますが、秋は紅葉が綺麗なところに初冠雪があったりすると本当にそれは綺麗なのですが、最近ではその景色を「ガトーショコラ」とか言ったりするようで。なんて語彙力のない。ネットの発達でそういう「言い回し」みたいなものが素早く伝染する時代ですが、もっと個人個人深く物事を見回した方がいいです。自分の心情から出る言葉や発言はその人自身、自体ですから、そういう安い言葉に流されず、自分の心情、感傷を咀嚼して言葉を発しないと、便利ではありますが表層しか掬っていない社会になってしまいます。みんながこうだから、こう言われているから、あれが人気だから。もともと社会自体そういう面を持ち合わせておりますが、ネットの発達でより顕著に陳腐化されている気がします。ネット自体がすべて悪いわけでもなく、やはりこれは使う側の人間の意思次第でございます。しかしまあ「ガトーショコラ」でしか表現できない人は、初冠雪の岩手山でもそう表現しそうである。もはや山関係ないんじゃん。。。
 さて、歩き始めたのは10時ごろ、晴れてはきそうでありますがとりあえず曇っておりますのでなるべくゆっくりと歩いていきます。ゆっくりと歩いているうちに次第に晴れてくるのを狙って、、、と言いながらい速攻で上に登ってしまうのはいつものこと。浅間山の景色が開ける槍ヶ鞘でしばらく時間調整しておりましたらようやくなんとか晴れてきましたので先へと進みます。何というかこう、スカッと晴れて欲しいわけなんですが、う〜ん高気圧乗ってるはずなんですが。。。はて待ってても仕方がないのでまあこれくらいならと、とりあえず蛇骨岳方面に行ってしまい、折り返しの際に大方を撮ることにしました。ということで黒斑山到着。
 積雪のある山頂に来るとだいぶ昔にここでテントを張ったことを思い出します。もちろん朝夕の浅間を撮るためですが、今だったら間違いなく高峰高原ホテル泊プランだよなぁ〜と思います。間違いなく朝日だって間に合うし、夕日撮ってから下ればいいし、何よりも幕営装備一式を背負って上まで持っていく無駄な労力。う〜ん、愚直と言うんでしょうか。ただ、今だったら冬とは言えあそこにテント張ってたら怒られそうだ。ホント緩い時代でした。今ほど登山者もいなかったし。
 このときは黒斑山ということもあって当然ワカンもスノーシューも持ってきておりません。いくらか雪が多かったとしてもどうにでもなるでしょ、と思ってましたらさすがに黒斑山から先は誰も歩いておらず、場所によっては吹き溜まりがあってツボ足だけにもがく場所がございました。もちろん短いのでいくらでも切り抜けられますからこれはこれで楽しかったり。吹き溜まりを抜けて再び浅間山が見えるところに出ましたら、ようやく青空が広がってまいりました。何とか来た意味がようやく出てきたと言ったところでしょうか。
 黒斑山、で終了という方がおそらく多いと思いますが、山頂からちょっとでも北側に歩くのがおすすめです。蛇骨岳くらいまででしたらアイゼンは必要ないので、やや風は強いですが黒斑山山頂よりやや山らしい風景を楽しむことができます。山らしい風景?って感じですが、黒斑山山頂はもちろん浅間山撮影のベストポジションだと思いますが、隣に防災カメラ塔はあるし、いかにも目の前の浅間山しかない、という状況なので観光地っぽいというんでしょうか、山の中にいるぞ〜という雰囲気がやや欠けております。シラビソの森を抜けて展望が開けたところは何となく樹々も自然な感じで、写真を撮るにも手前にそういった樹木を入れたりといろいろ楽しめます。蛇骨岳まで行くと風が強い場所ですから、積雪によってはシュカブラができていてここもまた黒斑山山頂とは違った写真を撮ることができます。

ただのギャンブル依存症でしょうか

 ということでようやく晴れてきましたので折り返しです。このあたりで午後2時くらいでしたか。ここから晴れてくると夕方に期待ですが、西の空を見るとボヤーッとした雲が高いところに広がっております。一応今は晴れて青空だけど、全然晴れてないじゃん。。。と思うのは私だけ?車坂峠からの帰路バス便は午後4時くらいを逃すとあとはタクシーとなりますので、夕方に山が染まる方に賭けるか、晴れなくて経費が安く済む方に賭けるか、なかなかの悩みどころでございました。下り始めれば30分あれば十分なので、午後3時半くらいが決断のリミットというところでしょうか。う〜ん、悩みます。どう見ても正直染まるほど晴れなさそうだけど、もし万が一最後の最後とかに染まったら。。。でもまあ染まらないと思う。。。でも、、、それ本当に?
 普通に考えたら仕事でやっているわけですから、どうなるかわからないならハナから気合入れて居残るべきでございます。言ってみれば昔にこんなところでもテント張ったように。まあ、おそらく「どっちに賭けるか」みたいなものが楽しいところがあるんでしょう。ダメ元で居残りを決めていればそりゃ何も悩まずに我慢だけしていればいいですけど、結局撮れなかったら行動的にはあまりスマートじゃない。「こういうときは染まらないよ」なんて余裕こいて天気を予測する、先を見越せるのもプロってもんです。天候はどうなるか誰にもわからないので「最後までしがみついてみないと結果はわからない」というのももちろん大事ですが、あまり頭を使っている感じではないですよね。。。まあどちらの態度でも良し、結果が全てなのが仕事でありますから、結局結果が当たればいいんです。早めに下れればその分バスで帰ることができて、経費を抑えられる。経費を抑えるというのも大事な結果でございます。もちろんお金を湯水のように使えるわけではございませんから。どちらに賭けるのか、悩みました。こういうシチュエーションは天気を相手にしていると本当によくありますが、毎度嫌な気持ちになるものです。でもこういう「どっちだろうか」と悩むことって結構大事なことだとも思ったりします。結果そういうものが経験だったり、思い出に残ったり、人生を豊かにするんじゃないかと。おそらくボケ防止にもいい。ん?何だかもはや目的が撮影からかけ離れていないか?まあいいや。とにかく私はどちらかを選択するわけで、その瞬間からまた新たなマルチバースの世界が広がっていくのである。どこの世界線にいても私は私であり、私はプロなのであります。

 ということで、
 脳筋なのかバカ正直に
 山頂に居残りました
 タクシーで帰りました
 バスの4倍の経費がかかりましたが
 それでも撮れれば良し!

 しかし
 浅間は染まらず
 撮れなかった

 この世界線では私はプロではないようである

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