Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート84
17 Aug 2021更新

2013年発行「ヤマケイアルペンガイド14」掲載写真「谷川岳」


 なかなか難しい夏である。梅雨が明けたと思ったらグワーッとずっと晴れて、ピタリと止まって悪天が続く日になってしまった。さすがに早い梅雨明けだったので、直後だとまだ花が盛りではなさそうなので自重していたらその悪いサイクルに当たってしまったでやんす。それでも何とか8月に入ると落ち着いてきて、天気予報は悪かったもののあれよあれよとそこそこ晴れた。撮影ノルマもあともう少し、というところで台風がやってきてしまい、そこからの前線はもはや出口が見えない感じである。あと少しを残して一旦下山してしまったが、次に入れるのはいつになることやら。天候の酷い年というと2014年が思い出されるが、あの年は8月丸々ひと月悪かったのでさすがにあれに比べるとマシな方かと。でも今年ほど雨量もないから、撮影目的ではなく登山目的の方々にとっては今年の方が嫌な年になるのだろうか。加えてコロナの問題があるので、そりゃそもそも比べられないほど今年の方がどうしようもない感はあるかとは思います。
 とは言っても「いい方」に考えれば、これだけ雨が降ってくれると今年の紅葉は悪くないかも、という面もある。雪はあまり多い年ではなかったのでそもそも紅葉は厳しそうな感じ、加えて梅雨明けが早くて一気に晴れが続いたもので「もう今年の紅葉はダメでしょう!」くらいに思っていたのですが、逆にこれだけ降ってくれたら悪くないのかとも思います。あとは冷え込みだけが勝負どころでしょうかね。今は夏にしては十分涼しい方ですが、そういう年に限って今度はぶり返したりして10月まで暑くなったりするんですよね。。。ともあれまずは目の前の撮影が終わるよう祈るばかりです。
 ということで2週間ほど山に入っておりましたが、下ってきてやはり、というのは足が遅くなっていることでしょうか。もちろんまだ疲労も抜けてないからというのもありますが、何せ重い機材を担いで長時間のんびり歩きが日常化すると面白いくらい速い動きができなくなります。帰宅して久しぶりにダッシュしたものだから、100mってこんなに疲れるっけ。。。というくらいの哀しい感覚。タイムもギリギリ11秒台といったところで、0.5秒くらい落ちてます。今までの経験でひと月ほど山に入ると200mで1秒落ちますから、2週間でもまあそんな感じ。一応山でもだいぶ体を酷使したつもりなんだが「体力が落ちている」と感じるのは何とも言い表せない気持ち。種目が違うと言われればそれまでですが、山と陸上競技のバランスを取っていくのは結構難しいんですよ。「山で鍛えた!」なんて全然いかないもので。とは言え陸上トレーニングは案外山での重い機材運びには対応していないから、とにかく登山初日がきついです。。。1500m、3000mくらいが山と陸上競技のバランスが良さそうですが、だからと言ってその辺の距離はあまりやりたくないなぁ。どうでもいいことですが両脚ともアキレス腱が痛いのでテーピングして山に登っていたのですが、当然のごとく日焼けのあとがクッキリと残ってしまい、テーピングを剥がしてもテーピングしている感じになってしまいました。
 さて、今回の写真ですが、谷川岳はオキ付近から見た茂倉岳と一ノ倉岳の写真です。ガイド写真なので作品と呼べるほどのものではないのですが、ほぼ同じ場所で別カット、手前にナナカマドを添えた作品も撮っていたりしますのでお許しください。撮影は2011年8月17日でございます。そういやこの年も梅雨明けが異様に早くて、そのあと夏は不安定な感じが続いていたような気がします。まあ谷川岳ですから、どうせいつでも不安定ということでとくに変わりはないのかもしれないですけど。
 このときは天気を見計らって8月15日に入山、いろいろとランダムに周っては下って、ガイド用にととにかく歩いておりました。基本的にはほぼ野宿とコンビニご飯スタイル、登山なのか撮影なのか、気ままな一人旅なのか、やってる本人ももはや目的がわからなくなっておりましたが、とりあえず下ってきては風呂には入っておりましたので髪はサラサラ、体は毎日ピカピカでございましたよ!たかが三日間の出来事ですが、何となく記憶に残っているのは目まぐるしくおごいては結構慌ただしかったからでしょうか。案外ずっと山に入っていた方が物事は単純で、下っては風呂入って食べてなんてやっていると環境が色々と変わっていくからか内容が濃いような気がします。もちろん気がするだけだけど。
 初日の15日は平標山。早朝に自宅を出て、新幹線で越後湯沢へ。バスで登山口に着いたのは午前9時ごろ。まあまあの日差しが出ていましたのでとりあえず撮影は順調に進みそうだなと思ったのですが、稜線に出たころにはしっかりドン曇りになっておりましたよ。さっきの日差しはどこへ。。。こんなの「晴れ」じゃないじゃないか。山はしっかり見えているのですが空はびっしり曇りです。安定した曇り。小屋から山頂へ上がる間のキンコウカはぼちぼちキレイでしたけど、ん〜何とも絵にならない。こういうシチュエーションって3000mクラス、特に槍とか穂高なら物ともせず絵になる瞬間って結構あったりするのですが、こういうのんびり山容の山はなかなかキツイものがあります。う〜ん、撮れない。いや、お前の腕がないだけではないだろうか。
 予定では平標新道を下るつもりでありましたが、この状況下では好条件の写真が撮れそうにないと踏んで下山に取り掛かってしまった。諦めだけは早い。というか高曇りはどうしようもないよね〜。ガックシと肩を落としながら松手山経由で下山、午後1時ごろに登山口に戻りました。登山口では高曇りではあるものの、何となく日差しはある感じなのが憎らしい。晴れてるじゃないか!と思うものの、空は青くなく、しかし日差しがあると「何か撮れたんじゃないか。。。」と自問自答してしまう。すんなりいけば嬉しいのですが、なかなか上手くいかないものです。しかし、夏の谷川界隈、暑いのなんの。
 越後湯沢駅へと戻り、とりあえず火照った体を冷やそうとコンビニでコーラや赤城しぐれ(いちご)を買い、とにかく速攻で詰め込みました。5分後にはトイレにおりました。う〜ん、じゃあどうすりゃいいのよ。山では大量に汗をかいて体力を消耗し、下山しては無駄に体力を消耗しております。少し落ち着いたところでなんとか昼食をとり、そのあとお風呂へ。おそらく翌日も越後湯沢でお風呂に入るので、かぶらない様にこの日は駅前の江神温泉に行きました。さすがに真っ昼間なので人が少ない(笑)。自分もこんな時間に一体何やってんだろうかと思って風呂に入っておりましたが、いやしかし冷え切った胃を温めるのにはなかなかちょうど良かったです。いや、一体何やってんだろうか。
 翌朝用のご飯をコンビニで調達して夕方に電車で土樽駅へと向かい、宿泊体制を取る。と言っても誰も宿泊していいとは言っていないのだが。上越線は本数こそ少ないが夜に何本か停まるので、さすがに終電の時間までは気を使ってあまり寝る気にもなれない。当然のことながら誰か降りてきて、構内で寝ている人がいたら嫌だろう。土合駅ならまだしも。もちろん夜な夜な普通にベンチに座っていても嫌だ。でもさすがに誰も降りてこないわけだが。そりゃそうだな!
 今回は谷川界隈、夜も暑いということでいつものように寝袋はなく薄いシルクシーツのみ。面倒なので敷マットも家に置いてきた。とりあえずベンチに寝ればいいしと思っていたが、残酷なことに土樽駅のベンチには座席ごとに肘掛けがついていた。。。ただし向かいにもうひとつ、長い一本の木のベンチがあった。これなら肘掛けがないから寝っ転がれるけど、ちょうど体の分だけの幅、果たして落ちずに寝られるだろうか。木のベンチを壁に寄せてなんとか角をとって寝ましたけど、何というかほぼ寝てない思い出があります。そもそも目の前の自販機が明るくて寝つきにくい、というものありましたけど、こういう状況下の自販機って何だか安心したりもします。
 翌16日は5時スタート、茂倉新道で稜線を目指すことにしました。とにかくこの日も朝から暑いのなんの。でも昨日よりかは見込みのありそうな天候なのでやや急ぎめで登って行きました。なので早朝からもう汗だくだく。視界が開ける矢場の頭に出たのは6時半ごろ、晴れてはいるのだが空気感がもっさりとしています。標高1000mの山の夏、って感じです。確かに青空ではありますがスッキリとはしていなく何とも言えない感じ。そんなのもあってそこからはとくに急がずにダラダラと登って行きましたが、茂倉岳に出てそのモッサリ感は増すばかり。予定では谷川岳の方向へと向かうつもりでございましたが、、、あまりおいしくなさそうなのでまたも予定を変更して蓬峠側へ。9時前には雲も結構湧いてきましたし、ちょっと残念な感じでありました。蓬新道で下山、結局ぐるっと回って土樽へと帰って来てしまいました。土樽駅に着いたのは11時半くらいですから、またもほぼ午前中にて終了してしまいましたよ。

大発見の瞬間

 再び土樽から越後湯沢駅へ行き、とりあえずは火照った体を冷やさないとどうにかなりそうなのでコーラや赤城しぐれ(いちご)、、、といきたいところだが昨日の失敗を繰り返すわけにもいかず、でもどうしようかとコンビニで試行錯誤中に見つけたのが「飲むヨーグルト」。もしかして、冷えたものを体にかき込む前に一旦「飲むヨーグルト」で胃の中を内側からコーティングしたら、いけるんじゃないか?と思いついたのであった。これが本当にバッチリと効果があり、もしかして地球規模の大発見なのではとも思ったが体にどれだけ負担がかかっているかは謎である。そもそも冷えたものを一気に大量にかき込むのはやめたほうがいいだろう。が、やりたくなっちゃうんですよね、テヘ。しかしこの大発見はのちの私の人生をかなり変えるものでもありました。いや、そういう食べ方をやめようよ。
 その後この日はぽんしゅ館で汗を流し、上越線にて水上駅へと向かいました。水上はサンモールで晩と翌朝の食料を調達し、午後5時ちょい前にロープウェイで天神平、ゆっくりと熊穴沢避難小屋へと歩いて行きます。当然のごとく一旦下って食糧調達作戦なのでガスコンロなども無駄な装備なので持ってきておりません。飲み物は翌日邪魔にならないようにつぶせる紙パックのものだったりと選んできております。一応天気予報は晴れですが、明日こそすっきりと晴れるんでしょうかね。
 ということで17日、朝4時すぎに山頂へと向かい、5時にはトマの耳におりました。確かに晴れではある。しかし16日と同様すっきりしない空気感でした。3日間、色々と頑張ってはみたものの何となく哀しい気持ちだけが残るのは誠に残念である。16日に比べるとやや日差しは強いですが、空はすっきりせず仕方がないのですかね。その先へと進み、オキの耳付近で撮ったものが今回の写真です。今回の写真はあくまでガイド用なので手前に登山道が邪魔して奥の山がよく見えておりませんが、作品用として撮ったものは手前の処理ももう少し丁寧に、そんで一ノ倉沢がちゃんと見えて見栄えの良いものなっております。いくらかは日差しが強かったのでそこそこ見られるものではありますが、もう少し空がくっきりといってほしかった。なんなら悪くてもいいからドラマチックな雲があれば。。。
 その後とりあえずは一ノ倉岳まで行きましたが空は曇る一方で、8時ごろにはトマの耳に戻ってきました。こりゃもうダメだろうなとあきらめて西黒尾根で下山、途中少し粘りましたがあまり変わらずなので巌剛新道からマチガ沢へと下っていったのでした。それなのに!そうしたらもうマチガ沢まで下りるっていうときに、なぜか空がくっきりと青空に変わっていくではないですか!時間的にはもう10時半ごろ、まさか今更こんなに晴れてくるとは思わなかったです。稜線にいても遠くまで高曇ってたし、この短時間で青空に変わってしまうとは。。。今から登り直すか?とも思いましたが、強烈な暑さの夏の谷川岳、無理は絶対に禁物です。しかし、、、一体この三日間は何だったんだろうかと自問してしまいますよ。

 せっかくだからマチガ沢でいくらか撮りましたけど
 もうお昼近いと微妙なライティング。
 う〜ん、と思い、いろいろ悩みましたが下山しました。。。

 せっかくなので、青空の土合駅を撮りました。
 トホホ。

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