Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート80
22 Apr 2021更新

幼児教育じほう・2020年4月号掲載写真「仙丈ヶ岳」


 ああ、また緊急事態宣言ですか。。。という感じになってまいりました。どこから何が緊急事態なのかもよくわからない緊急事態ですが、ともあれ相変わらず新型コロナの影響は変わっていないわけですから、まったくどうしようもありませんね。そんな私も不要不急の遠出外出は控えておりますが、先日ようやく春ということで陸上の記録会に出てまいりました。普通に陸上大会やってるのに緊急事態ってもう何が何だかわかりませんが、おそらく誰ももうわからないゾーンなのでしょう。とにかく皆さんお元気で、新型コロナなど感じさせないレベルの高い記録会でした。
 私はというと、、ここ最近あまり体調が良くなく、いやコロナじゃないけど、歳ですね。朝は寝起きの体調が毎日悪く、頭がすっきりする日がほぼありません。頭が重いというか、目眩がするというか。。。歳とってきてクスリに頼るアーティストの気持ちがよくわかります(ダメ、ゼッタイ)。まあそういうわけでちょっと800mを走るモチベーションもなく、400mが精一杯という感じで、ならせっかくなので短い距離に出ておこうと100mにエントリーしておりました。なんやかんやで私は100mをちゃんと電気で測る機会は少ないですので、まあそれはそれで楽しいわけで。結果的には400mでは47秒台で走っている学生がいたので、まあ出なくてよかったわぁと思いましたが。怖い怖い。
 とは言っても100mは年齢で区分けされますので、40歳代での低いレベルの争いということになりまして、いくらかほんわか気持ちも楽に走ることができます。のはずなんですが、出るとなったらやはり記録を気にしたりして力みが入ってしまうのもまた事実。いつまでたっても余裕に楽しむなんてできないのが哀しいところ。最近の練習では11秒1〜3で走れていたので(怪しい自己計測)、11秒4台は失敗しても出るとは思っていたのですが。。。結果は11.52(+2.3)。+2.3の追い風ですから参考記録なのですが、まあ5台といったところでしょうか。う〜ん、納得いきません。スタートのリアクションはよかったのですが、気持ちが入っていた分最初の入りで力みすぎて、やや転びそうな感じで体勢を崩してしまいました。ああ、しまった、と思って持ち直して、からの加速。なのであそこで失敗しなければもう少しいけたかな、というのが今回の反省点です。毎回反省しかしてないけど。もうひとつ失敗要因があるとすれば、知り合いの審判員がちょうど100mのスタート監視員をしており、スタート直前まで話しかけてきたことでしょうか。もうスタートするっていうのに「最近走れてる?」「今度400出られそう?」とか、もう集中できないったらありゃしない。が、これは最近のデータでは「集中しすぎ」は逆に体が硬くなるらしいから悪くもないのかもしれない。まあリラックスしすぎかもしれないけど。
 いやしかし、100mというのは800mランナーからすればそりゃ体力的に楽でございますが、本当に難しい競技です。何というか、芸術的競技ですよね。800mだったらややミスってもまあ取り返しができたり、普段の練習どおりいけば、みたいな感覚でできるのですが、100mとなるとワンミスアウト、普段の練習通りにいけるかどうかは相当鍛錬しているか、そのときそのときの感覚次第というか。一瞬芸って本当に難しいものです。そもそも私スタートが苦手で、「オンニャマー」「セット」の「セット」で色んなこと考えてしまい。。。プルプルしちゃってうまく動ける気がしない。フライング得意だし。そもそも800mに「セット」ないし。でもまあ100mって走った後に「ああ、今日これで終わりか」と思うとちょっと走り足りなさも感じたり。やっぱり向いてないのかな。まあそんなこんなでとりあえず11秒52でした。11秒3台くらいまではいけそうですのでもうちょっとやってみようかなと思うのですが、200mで22秒台、400mで50秒台の方が興味があるのでどうなることやら。そしてやはり自分の種目800mも走らなくてはいけないし。とにかく歳なので、種目がどうあれ1日1本しか走れないのが哀しいところ!
 さて、今回の写真ですが、春らしく桜と雪山仙丈ヶ岳でございます。撮影は2019年4月15日。何だかこういう麓から眺めた写真のときは毎度言っているような気も致しますが、山岳写真といっても山の上ばかりでなく、麓からの撮影も大事だと思ってしっかりと撮っております。やはり山というのはただ単に山の上の世界だけにあらず、下から眺める姿もやはりまた山なのでございます。所謂登ってよし、眺めてよし、というやつですね。その山それぞれの山が持つアイデンティティーを表現するのにはもちろん山上の風景も大事ですが、人々が暮らす麓、里からの姿というのも欠かせません。山上では大自然の世界が広がっておりますが、麓からの姿というのは大自然の姿だけでなく、歴史や人々の暮らしなども垣間見えるものでもあります。山の厚みとでも申しましょうか、ピークだけがその山ではなく、その山から広がる地形、環境、そして一歩離れて見る姿も、やはりその山なのでございます。というわけで、まあ山に登っての大変な撮影に比べるとのどかにコーラを飲みつつグミでも食べながらのんびり撮影できるわけですが、だから簡単というわけもなく、しっかりとその姿を留めなくてはなりません。
 撮影地は長野県は伊那、六道の堤という溜池でございます。周囲約500mくらいの溜池の周りに桜がきれいに植わっており、まあその池を撮ってももちろん綺麗なのですがやはり山好きは山がメイン。伊那といえばあっち向けば中央アルプス、こっち向けば南アルプスということで、桜と雪の高峰を重ねて撮ることができる素晴らしい場所です。よく観光情報には「桜とアルプスが〜」なんてざっくり書いてあるのですが、おいおいふざけるなよ、仙丈ヶ岳、空木岳だろ!と言いたいところですが、一般的にはネームバリューがないんでしょうね(とくにに空木岳)。桜と仙丈ヶ岳というと高遠が有名ですが、私的にはこちらの六道の堤の方ががっぷりよつで山が撮れるので好きです。順光で考えると仙丈ヶ岳は午後から夕方、空木岳は朝から午前中と完全に切り分けて撮ることができます。ですので1日がっつりいたほうが写真は撮れるかな、と思います。ただ朝から晩まで丸一日綺麗に晴れるかというと雲が上がったりもしますから、午後に晴れる日を中心に狙って翌朝もうひと勝負するのが撮りやすいかな、と思います。ので、天気を見計らって15日に出発、午後に到着して晴れてくる日を狙ったのでした。
 高速バスで伊那に着いたときには十分晴れてはおりましたがまだだま雲が多かったです。でもこのぐらいが丁度良い。ちょうど前日は天候が悪く、山では雪が降る感じでしたから絵的にはこれ以上ない状況。15日に次第に晴れてきて、夕方はしっかり晴れるだろうと予想してまさにその通りなのは嬉しい限りです。伊那市から路線バスに乗り、六道の堤に一番近そうなバス停で下車、そこから坂道を登っていきます。遠目に桜の塊が見えてきて、咲き具合はよしよし、という感じです。到着してまずは一番の目的である「桜と仙丈ヶ岳」を撮ります。抑えです。撮影開始が14時ごろだったのですが、このくらいだとまだしっかり山に光が当たる感じで、もう少し斜光になって山に影がついて立体感が出る時間がベストでしょう。しかしとりあえず何が起こるかわかりませんから、撮れるうちにある程度の素材を抑えておきます。いろいろと撮りながら、ちょっと離れてみたり、よりいいアングルを探して歩き回ります。池から少し離れた畑側から見る南側の桜の大木との組み合わせもよかったのですが、この木だけはまだ蕾が多く、ちょっとまだ厳しいかな、と。でもだいたい撮れるところは目星をつけて、時間を変えてからまた撮り直していきます。  天候は回復傾向にありますが、さすが悪天から急激な回復ともあって風が強い。集中して見てないと桜がブレすぎるので風の止まるタイミングを見計らってシャッターを切ります。しかし寒い。もう春だから、麓だからと舐めくさって薄手のダウンしか持ってきてなかったのですが、ずっといると寒くて寒くて。とりあえず動いてないと体が冷えてきちゃいます。ずっとこの界隈でぐるぐる回って撮り続け、ようやく西日がいい感じになってきた頃合いで今回の写真です。撮影は17時半ごろ、夕方というよりかは日が傾いた加減がいい感じの時間帯、山に影がついて立体感が増すのがわかりますでしょうか。影がない時間帯の「べったり」というのも綺麗なときがありますが、ポスターチックといえばポスターチック、叙情よりも叙景、という感じでしょうか。やはり写真たるもの「情」を入れてこそというところがあるかと思いますので、ただ「桜と仙丈ヶ岳」を撮るだけではなく、ナイスなタイミングを見計らわなくてはなりません。しかしホント、ちょうど天候が悪かったおかげで、仙丈ヶ岳の樹林帯も白くなってくれたのは嬉しいところ。
 この日は夕方6時ごろ、仙丈ヶ岳が夕日に染まるところまで撮影してからまたバス停へと歩き、伊那の街へと戻って行きました。さて、実は今回の本題はここからである。この日は伊那の街で泊まり、翌朝早朝にまた六道の堤へと戻り、今度は空木岳を中心に撮ろうかと予定している。もちろん逆光の仙丈ヶ岳もいいだろうから、ともかく今度は朝の日差しで撮影である。まあそれは置いといて、山とは違って街に泊まってこういう撮影をするときの唯一の楽しみというか何というか、ともかく晩御飯をどうするか、である。朝はどうせ早いので事前に買っておくランチバックとかたまご蒸しパンになるのは決まっているので、余裕があるのは夜だけなのである。(何かどうでもいい話が始まりそうだが)実は先ほどの撮影でだいぶ体が冷えてしまったので、夜は温かいものを食べたい!と思っておりました。まあ、、、ご飯なんだから何でも温かいとは思うが。ともかくせっかく遠方に来て当然チェーン店なんかには入らないし、一期一会の楽しみもあって晩御飯はいつも楽しみである。そんなこんなで夜は「中華!」と決めていたのだが、これまた入ったことのない中華屋に行くとだいたい決まってまずは「炒飯」が食べたくなる。
 「炒飯」。漢字で書くと至ってシンプルであるがその意味は深い。「炒める飯」。そのままである。しかし、である。いくら炒めてもただ炒めても、炒飯というものは家で作ってもどうにも店の味わいにならない食べものでもある。おいしい店で食べるあの「パラパラ感」、どうにも調理場の火力が家庭用とは違うとか何とかで、とにかく自分で作ってもあのパラパラ感が出ないのである。なので、お店で食べるならとりあえず「炒飯」、どうしてもラーメンを食べたいときでも「半炒飯」という感じである。まあそんなこんなでもう脳内はパラパラ炒飯しか頭になく、何軒が吟味した上で中華料理店へと足を運んだ。
 時間は夜8時近く、まあまさに夕食どきである。店に入って席に着いたとき店内を見渡してみると他のお客は一人もいなかった。。。ので、この時点で運命は決まっていたのかもしれない。「すみませ〜ん」と呼ばないと店の人も出てこない状況、今思うとこの時点で退席できたのかもしれない。いやしかし、出てくる炒飯はパラパラなのかもしれない。しばらくして店の人が出てきて、なんとか形にはなってきた。決まっていたにもかかわらず悩むふりをしておもむろに炒飯と餃子を注文し、しばし時を待つ。当然お客は自分だけなので、さほど時間はかからず炒飯が出てきたわけである。よくある普通の中華屋の炒飯の器によくある綺麗に丸く盛られた炒飯である。このときをどれだけ待ったことか。レンゲを炒飯の山に刺し、口へと運ぶ。「モ、モサモサじゃねーか!」中華屋にしかできないあのパラパラ炒飯とは何だったのか?これなら王将でよくないか?ちょっと待てよ、これじゃあ自分で作るのとあまり変わらんぜよ。。。海原雄山だったらこの時点でブチ切れて「では聞こう。炒飯とは何だ?」と言っているに違いない。ああ、大事な晩御飯が終わってしまった。。。と、うなだれながらもとりあえず完食。それはいいが餃子はどうした。すっかり炒飯が食べ終わっているというのに餃子が出てこない。しばらくして餃子は出てきたが、おい、他にお客いないんだぞ。。。まあそんなんだから餃子も小さめで、まあそんな感じでした。う〜ん、唯一の楽しみが終わってしまったわけですが、まあ思い出に残ったといえばいいのかな。。。大食ではないので口直しとかいうわけにもいかないし。そんなこんなでちょっと残念晩御飯でありました。

これでいいのだ?

 翌日は早朝から予約したタクシーで再び六道の堤へと向かい、朝焼けから撮影を始めました。朝5時ごろから撮り始め、赤く染まる空木岳を中心に撮っていきます。もちろん中央アルプスの眺めが良いから空木岳だけでなく、盟主木曽駒ヶ岳も見えているわけですが、さすが「麓から撮影泣かせ」の木曽駒、普通の人だったらどこのどれが木曽駒なのかさっぱりわからんだろう存在感である。何度も登っているからあそこが伊那前で中岳で、あれか、とわかるけど、ホントちょこんと高いだけで、「ドスン〜ヶ岳」という姿を見せないんですよね、この山。なのでもちろんもっぱら空木岳のほうがカッコイイから撮りまくりますけど、麓から木曽駒って何とかならないかなぁ。でもとにかく六道の堤は昨日もこの日も、さほど人が来ないのでそこは気分がいいですね。まあ池は人工ではあるし、よっぽど山メインで撮りたいと思わないと撮りにくいのかな。この日の六道の堤は朝8時ごろに切り上げ、路線バスで少し伊那側へと戻って途中下車、そこから三峰川の土手へと歩いて行きました。
 三峰川の土手沿いにも桜が並ぶように植えられており、場所は選びますが空木岳と重ねられるポイントがいくつかあります。メインの六道の堤の撮影を終えたというのもあって、やや緊張感もなくなってのんびりと土手を歩きながら撮影しておりました。のんびりって言いながらもこの後の予定もあるので正味1時間といったところでしょうか。再びバス路線の道へと戻って行ったのですが、結構距離があって思いのほか疲れました。またいつものように時間に追いやられて走るわけですが、このときは早めの序盤に少し急ぎ目で走ったのでギリギリにはならず、さすがです。
 今度は伊那の街へと戻り、高台にある春日公園へと向かいました。よくある桜がいっぱい植わっていてみんなが集まる公園ですが、南アルプスの展望がよい場所です。人で賑わおうが桜越しに遠望撮影ですからどうでもいい感じです。ここに上がってくると仙丈ヶ岳のほか、甲斐駒と鋸、間ノ岳が見渡せます。着いたのは10時すぎくらいで、やはり南アルプスは午後のほうが見栄えがいいのでぼちぼちと待機しつつポイント探しです。いやしかし、のどかです。どこからともなくメジロが飛んできて、鳥を追っているとヤマガラやコゲラなんかも姿を見せます。暇なものでついつい望遠レンズで追っかけてみたり、山そっちのけでしばらく鳥を撮っておりました。
 さて時間はお昼をまわって南アルプスの感じもよくなってきました。桜越しに山なみをおさえて撮っていきますが、だいたいどのポイントも桜の下から撮るので「上にかぶさる桜と山なみ」という感じのカット。だいたいがキャンバスの下に山なみを配置して、上側が桜、というもの。それはそれでいいのですが、何かこう、画面の下を桜で埋め尽くしてその上に山なみを置いたものも撮りたいところ。つまるところ例えばドローンなら公園の上空に上げて、公園の桜を下に見つつ遠くのアルプスが入れ込めるわけです。なにかそんな高台がないものか。。。と公園内を探していると、、、ありました。そこそこ高めの滑り台が。でもまあ結構児童で賑わっている様子、そんなところに分け入って粘って撮っていたらそのまま不審者情報行きのような気がする。しかし、あの上からならそんな写真が撮れるかもしれない。。。とりあえずは機材は持ち込まず、滑り台の高台へと上がってみた。
 ワンカット、しか撮れないが画面の下を桜で埋め尽くし、その上を甲斐駒仙丈が顔を出すというイメージ通りっぽいものが撮れそうである。ただしかし望遠で切り取る感じなので三脚も持っていかないとダメそうだな。。。ここは様子を見て、止まなそうな風が時折止むように、人の流れが途切れるのを待つこととした。しばらくすると不思議と人が捌け、撮れそうなタイミングが来たじゃあーりませんか(RIP)。急いで高台に上り、ババっと脚を立てて、ババっと撮って、ババっと降ってまいりました。う〜んなんとか撮れましたけど、ホント人の邪魔だけはしないようにしないといけません。
 とりあえずはそんな感じで今回の撮影は終了でございます。もうちょっと粘ってここでもやや西日の状況でも撮りたいところですが、ぽこぽこと雲が上がってきましたのでどうもこのあたりが引き上げの頃合いでしょうか。撮りたいけど、これ以上粘っても曇ってくるでしょう、と見切りをつけて終了とすることに致しました。朝から撮っていることもあってやや疲れたというか、集中力も切れてきているというか、何でもかんでもそりゃ粘るのが大事だとも思うのですが、気分的な頃合いというのもあるかと思います。甘いですかね?いやとにかく、この後は曇る!と予想して撮影終了。伊那の街へと下り、昼過ぎの高速バスで都内へと帰りました。

 高速にのったところで仙丈を見ると
 う〜ん、結構晴れてました
 やはり残るべきだったか。。。
 いやしかし、雪はだいぶ融けて昨日のが良かったし。。。
 でも残るべきだったか。。。
 いやでも公園で粘っても。。。

 永遠のループ。
 後悔はしない性格だし、
 納得はできるけど
 これでよかったのか?

 いつも自問自答の日々でございます。

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