Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 73
09 Oct 2020更新

2009年発行「岳人・別冊秋山2009」掲載写真「鬼怒沼湿原」


 また長らく穴を開けて失礼致しました。紅葉時期ともありまして双六岳へ行っておりました。そういえば前回のレポートで書いた左俣谷の雲海、ここまでの雲海はこのときだけ!と言いましたが、ありがとうございます、今年も見られました。それでも2003年ほどの濃さはなかったかもしれませんが、まあよかったです。この左俣谷に雲海ができるかどうかで本当に絵が変わります。ごっそり何もないと谷間だけがあってただの影になってしまいますので、この部分が真っ黒だと絵が単調になりやすいです。雲海があると稜線は浮かびあがるわ、雲海に光が差して神々しさが増すわでもう迫力が違うわけです。午後3時くらいでもちょっと雲が濃かったのでどうなるか不安でしたが、久しぶりに美しい景色が見られてよかったです。ただ、惜しむらくは肝心の樅沢岳にいなかったこと。。。そ、それが一番重要じゃねーか。。。(汗、と思いますが今回は双六岳の方に上がっておりました。
 本当にいつも双六小屋では夕方にどちらに登るか悩むところです。全く雲海がなければどちらでも、もしくは双六岳のほうが双六台地の夕焼けラインが楽しめるので良いのですが、雲海ができているのであれば樅沢岳に軍配が上がります。なのに、久しぶりの雲海なのに、今回は双六岳におりました。。。う〜ん、ちょっと軽い失態でございます。まあでも実は目的あって双六岳の方に上がっておりましたので、今回の件は水に流すとしましょう(あっさり)。とりあえず今回は個人的にはいろいろと満足のいく形で撮影を終わらすことができ、何よりです。というか一週間以上居させてもらえば撮れてあまり前か。。。ともかく小屋の方々には大変ご迷惑お掛けいたしました。ありがとうございました。ということで今月のExhibitionは今回撮影のものからです。
 また、山ではみなさまに声をかけていただき、今年はナントカという番組もやってないのに私なんぞを覚えておいて頂き誠にありがとうございます。「ファンです!」なんて結構言っていただけるんですが、本当にそんなにファンがいたら今頃フェラーリ乗れてんだろ〜とか思っちゃいます。いや、ともかく言っていただけるだけでありがたいです。でも特に今回言っていただいて印象に残っているのは「ファンです!いや〜本当に昨年は自分一人ではとても行けないところに連れて行って頂いて、、、。一緒に登れてよかったです。その節はお世話になりました。」って、、、それ一体誰と間違えてるんや、、、。でも正直そのくらいが実は嬉しいです。なぜだろう。お声を掛けていただけるのは非常に嬉しいのですが、あんまり本人は得意じゃないんですね。なんか恥ずかしいし、自分も声を掛けてもらえるほどのことはしていないと思っておりますし。でもそんな皆様のおかげなのか、とりあえず年明けに発売の新車を購入する予定!(RGジオングのことです。。。)
 さて、今回の写真ですが、秋の鬼怒沼湿原でございます。曇っておりますが、まあなかなか難しい天候の中での撮影でしたのでお許しください。紅葉はきれいでしたよ。撮影は2008年10月8日、天気予報はもしかしたらいいかも、、、くらいの微妙なときだったのですが、同行をお願いした方の日程がFIXだったので強行撮影でございました。取材は1泊の予定で10月7〜8日、8日もご同行頂いた方は夜に用事があるということでなるべく早くに終わらせて帰らなければならないという状況。ご同行いただいた御仁は陸上で全中とかインカレとか出てる人なので、最悪ギリギリまで撮影しても走って跳んで槍投げながら帰ってもらっても間に合うだろうという勝手な思い込みがあったのですが、何せ山奥であり、バス便も少ないのでそんなに余裕こけるものでもありません。なので8日は女夫渕温泉12時45分のバスで帰ってもらうという制限付き、余裕持って考えると9時くらいには鬼怒沼湿原を下ればまあ間に合うでしょ、と楽観視しておりました。朝イチで登ってスパッと撮れてしまえばそれはそれで私も楽なもので、、、まあそんなテキトーな感じで足を運びました。いや、鬼怒沼湿原に来るのは中学生の頃以来でしたので、本当はじっくりと堪能したいところではありましたよ。
 ということで10月7日、新宿から特急日光号で鬼怒川温泉駅へと向かいます。京成のスペーシアもそうですが、日光方面行きの電車は非常に空いていて快適ですので大好きです。ちょうどこの撮影の数日後の週末に夢の島での記録会を控えており、当時30歳であった私は800mで出場予定でした。電車の中では「まあ1分55〜56秒くらいは出せるでしょう」なんてその御仁に偉そうに語っておりましたが、結果は見事2分切れずに00秒56、だったのをよく覚えております。1周目に56秒で入ったまでは良かったのですが、600mまでしか持たなかったです。40歳のときですら1分59秒で走れているというのに。。。何という情けない奴。10年間を振り返ってみると当時の練習内容がよくなかったと実感致しますので、今やっている練習を当時できたらよかったのに、、、ってなかなかそうもいかないものですね。いや、もしかしたらこの取材での疲れが残っていたのかもしれない(言い訳)。
 鬼怒川温泉駅から結構ガラガラのバスに乗りいざ女夫渕へと向かいます。鬼怒川温泉からは1時間半くらいかかるので近場とは言え実は結構長旅、ただ山奥なだけと言われればそれまでですが、案外サクッと行かれそうなイメージが頭にあるとびっくりします。途中トイレ休憩とかあったりするし、栃木ではあってもほんと群馬との境の縁になりますから、まあ簡単に言えば魔境です。鬼怒川温泉駅ではぼちぼち晴れておりましたが女夫渕に着いたのはお昼前で、すっかり曇っておりました。歩き始めの橋からは当時あった女夫渕温泉ホテルの露天風呂がどうみても丸見えなのですが、まあ和やかな視線を送りつつ進んでいきます。昭和ですね〜。ちなみに視力は両眼とも2.0でございます。って男湯かよっ!!
 本日お泊まりの宿、どんつきの日光澤温泉まではほんとちょっと登るくらいのほぼ平坦な道なのですが、ぼちぼち距離があったりしますので2時間くらいかかりました。ハイキングにはちょうどよく、紅葉の具合を確かめながら向かいます。結構色づいている木を見るとだいぶ上の鬼怒沼湿原の紅葉が終わってないか心配にもなりますが、まあ谷あいもそれなりに早いんでしょう。全体的にはまだまだですが、八丁の湯とかあたりでも結構きれいな紅葉を楽しむことができました。
 日光澤温泉ではかわいい柴犬がお出迎え。午後2時ごろに到着して、とりあえずは旅館、もとい山小屋の撮影を致します。というか山慣れしている人間から見ればどうみても旅館なのですが、位置付けとしては山小屋になるそうだ。ご飯も御膳で出るし、温泉はあるしで至れり尽くせりである。ただし問題は明日晴れるかどうかである。楽チンな取材とは言っても撮れなければ非常にまずいことになるので、どんなレベルであれなかなか頭を悩ますものであります。他にも宿泊客がおりまして、年配ではありますが結構経験豊富な方々のようで、和やかに話しながらの晩御飯となりました。年配の女性の方二人は遠方から来られているようで、この紅葉ベストシーズンの時期にわざわざこの鬼怒沼湿原をチョイスするというのはなかなか通なところがあります。
 さて翌日。朝起きて早々に鬼怒沼湿原を終わらせようと思ったのですが、、、雨でした!!しかもわりとしっかりめの雨!!ですがここでうだうだ言っていても仕方がないのでとりあえず朝食を済ませ、湿原に向かうことに。頭の中はどうしようかと半ばパニックぎみですが、歩いているうちに晴れてくるのかもしれない。いやもちろん晴れてこないかもしれないけど。しかも帰り時間の制限もあるから粘るってわけにもいかないし。。。わからん。どうしたらいいのかわからん、と頭を抱えて登っていきました。のんびり温泉に浸かっている場合ではありませんでしたよ。
 途中のオロオソロシ展望台で若干粘りましたが雨脚は変わらず、どうしようか悩んでここで下山することにしました。ご同行頂いた方には湿原にたどりつけず非常にご迷惑おかけしましたが、まあ、、、山中の温泉に来たと思っていただければ。。。日光澤温泉へと下山し、とりあえず帰りのバスもありますのでここでモデルさんには帰っていただきました。申し訳ない。ということでここからは私一人でできる限り粘って、雨が止むまで待つしかありません。と言っても私もバス最終便は女夫渕発午後3時半なので、頑張ってもお昼すぎくらいかなぁ。もう1泊と言っても晴れる保証もないし。モデルさんを帰してから宿で休んでいても仕方ないので、また雨の中湿原へ向けてのんびりと登って行きました。
 再び登りはじめて滝展望台を過ぎた頃だったか、雨が止んで空が明るくなってきました。う〜ん、もうちょっと早かったら。。。草紅葉が黄金色の湿原に上がったころにはそこそこ周りの山も見え始め、少し光も差す感じでございました。まあ仕方ない、とりあえずここからは風景写真だけで成り立たせられるよう頑張りましょう。
 ということで、晴れてませんが今回の写真です。雨上がり、ということで許していただけますでしょうか。紅葉だけをなんとかいっぱい撮っても同じようなカットになってしまいますので、日光白根山が出てきてくれて本当に助かりました。鬼怒沼湿原からはやはりデンッと構える白根山が絵になります。
 とりあえず中学生以来の再訪でしたがこのときからも15、6年前、あまり面影は感じませんでした。というかそのときもガスってたし。というか中学の林間学校で来たのですが、どうやってこの小さな湿原にひと学年入ったんだろうか。謎である。というかその大人数、非常に迷惑である。
 鬼怒沼湿原はよく「日本一高層の湿原」と言われることもあるのだが、どう考えても苗場山の方が高い気がしてならない。まあ野暮なことは言わず、「日本一高層の湿原のひとつ」ということでいいのだろう。実際さほど標高が変わるわけでもないし、このエリアにポコっとここだけ開けた湿原があるという立地は隠れ家的な良さもある。湿原としては小ぶりながら、私は結構好きな場所です。個人的には実はこの下にある尾瀬より好きだったりする。夏はまだ行ったことがないので(中学の時は夏ですが除外)、次回はぜひ夏に。
 色々と湿原に思いを馳せながら撮っていると、木道の向こうから昨晩の年配女性二人組が歩いてきました。さすがベテラン、雨が止んだのを見計らってから来やがったか。。。モデルという被写体を失った私としては風景だけではページが成り立たないようにも思えたので、お二人に後ろ姿をお願いし、なんとか木道ウォークカットもおさえることができました。ってそんなんならセルフでよかったんじゃないか。。。?
 これ以上の天候の回復は望めないと判断、またバス時刻に遅れるわけにもいかないので早々に切り上げて下山し始めます。日光澤温泉に着く頃にはやや時間がありそうだったので、向かいの橋を渡ってついでにヒナタオソロシの滝を撮りに行きました。撮り始めるとあれやこれやと時間がかかるのが世の常、ここからの帰りはやや小走りで女夫渕へと向かったのでした。

陸上部ですから

 女夫渕から鬼怒川温泉駅行きの最終バスに乗り、帰途につきます。はて問題はここから。女夫渕15時35分に出発して鬼怒川温泉駅に着くのは17時10分の予定。鬼怒川温泉駅から都内への特急が17時14分となっていた。4分、果たして乗れるだろうか。まあ問題でもなんでもないと言われればそれまででもある。別にまだその後も特急はあるので帰れないわけじゃないし、駅で待っても1時間くらいだろうし。しかしなんとなく乗りたくなってしまうのである。そりゃあ帰れるなら早いに越したことはないわけで。
 で、まあ1時間半くらいバスに乗っていたわけですが、なんとな〜く間に合わなそうな雰囲気が出ていたのですね。途中小雨が降ってきたり、やや道路が混んできたり。4分あるから切符買って走っていけば乗れるだろうと、右手にはもうバス運賃も握って用意してたわけですよ。着いたらバッと運賃箱に料金入れてダッシュして切符買って、とイメージは出来上がってたわけです。ところが、駅に近づくにつれ信号やら渋滞やらでどうも怪しい。こうなるとなぜか運転手にも矛先が向かい、「まじめに間に合わそうとしているのか?」と疑いの目を向けてしまう。うお〜間に合ってくれ〜と心の中で叫びつつもどうなるものでもない。行けるかも、行けないかも、を心の中で繰り返すこと何十分、鬼怒川温泉駅に着いたのは電車の発車時刻1分前でした。うお〜走るしかない!しかし冷静に考えればホント次の電車でいいような気もするが、もうそれ以外考えられない、獣の槍に取り憑かれた状態にでもなっていたんでしょう、おそらく。バスを降りたときには特急電車の発車ベルが鳴っていたような記憶が。バスを降りて猛ダッシュ、券売機には目もくれずダッシュです!自動改札機目がけてそのままジャンプ!

 陸上部でよかった
 なんと見事なハードル捌き
 間に合った!

 ちょうど乗った車両に車掌さんがいて
 切符買ってないから売ってもらいました

 ハードルは得意ではないが
 結構やれることがわかった
 (犯罪です)

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