Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 71
31 Aug 2020更新

2015年発行「日本の山 究極の絶景ガイド」使用写真「白馬岳」


 だいぶ間が空いてしまい失礼致しました。ようやく晴れ間が続きまして、なんとか夏の撮影を終えることができました。それでも理想の85%くらいで大満足とはいかないのですが、このくらいでお許しいただけたらというところです。まだちょろっと残しているものもあるので、秋までに少し撮り足しに戻る予定ではあります。できれば100%といきたいところでしたが、、、、今年の6〜7月の晴天率の低さと言ったらなかったですからね。。。
 しかし晴れたら晴れたで今まで詰まっていた分を一気にこなしていかなくてはならないので、それはもう毎日ずっと撮影という感じでございました。しかも暑かったですし、いっつも汗だくで体の水分がどうなっているんだかという状態。しかも山は高山と言えるほど高くないので、暑いのなんの。いや、暑い山だというのは重々承知なのですが、構えていてもやっぱり暑かったです。おかげさまで車が使えたのでいつもの「バスに間に合わなそうだからダッシュ」とかはなかったはずなのですが、林道工事の時間制限とかのトラップがあって結局いい歳こいてみんなで猛ダッシュとか、まあいろいろありました。でももしかしたら8月では終わらないかもと思っておりましたので、ホントよかったよかった。撮影しておりましたものは来年にどこぞのビジターセンターというかインフォメーションセンターでの使用映像になりますので、また近くなりましたらご案内させていただきます。
 写真家、ではございますが今回は私もムービーを撮っておりまする。いつもはモニターの横で指示しているだけおじさんに見えるかもしれませんが、当然ながらドローンも操縦、撮影しております。と言っても当然一人で撮りきれるものではないので、チームに分かれての作業、仕上がりは全員で作り上げたものでございます。歩荷さんだっていないと撮影にすら辿り着けないこともありますし、ホント全員作業です。全体的な監修はさせていただいておりますが、クライアントさんの要望もありますし、最終的に上手く仕上がるといいなぁ、と。こっちがいいと思っても、向こうがいいと思わないかもしれないですし、またその逆も然り。作品とかいうのではなくあくまでも注文商品ではあるわけですからみなさんが満足いく形に収められるよう、まだまだここからが本番と言ったところでしょうか。
 ということで帰ってきてから少し体を休めに陸上競技場へと行きましたが、とにかく下界はもっと暑くてやってらなれないですね。200mと400mを軽く走っただけでなんだか疲れてしまい、う〜ん。温度計見たら日なたで37度あるし。そりゃ疲れるわ。残暑厳しいって言うし、せっかく晴れたのに晴れたら晴れたで文句言ってもしょうがないけど、、、、暑い。でも例年夏は短距離のタイムをだいぶ落とすのですが、今年はそんなこともないのでまあ気持ちはいいです。でも走りはバラバラ、もう少し練習できたら22秒台も出そうな、そんないい感じになりそうです。なので早くもう少し涼しくなってほしい。。。涼しくならないとプラモも作る気になれん。。。
 さて、今回の写真ですが、単行本「日本の山・究極の絶景ガイド」で使用しております「白馬鑓ヶ岳からの白馬岳」の写真です。白馬岳はどこから眺めても、小蓮華山からでも麓からでもいい形の山ですが、この白馬鑓ヶ岳からは非対称の地形がよくわかるのと、白馬岳が頭、杓子岳が右手にあたる的なMS的擬人感が強いのがいいところです。MS的擬人感が強いのがいいのかどうなのかはよくわかりませんが、、、、迫力とかかっこよさとか、そういうイデアが現れる、と言えばすごいのかな?とはいえ何のMSかといったらおそらくゾックなわけで、、、、み、見掛け倒しでなければいいのだがな。
 このときの撮影は2013年8月29日。山行自体はとある別件の取材で入っておりましたもので、まあその途中の空き時間と申しますかその、あの、です。なので自分のザックと帽子を同行モデルさんに被せております。あとで見ると人物が浮いてなんとなく合成っぽく見えたりしたもので、これならもはや合成でもいいんじゃないか、、、?などと悩んだものですが、それでは何も面白くないですし、実際合成したら結構パースとか日の当たり方が違って難しいんだろうなぁ。モデルがぼっさんならともかく。
 入山は8月28日なのですが前日27日まで双六小屋におり、下山して松本で同行者と合流、その日はそのままとりあえず白馬八方からゴンドラに乗って八方池山荘で泊まりました。取材の山行ルートは栂池〜白馬岳〜不帰キレット〜唐松岳、なのですが、なぜ前日に八方に泊まったかというと、下山日の30日が雨予報だったからでした。もちろんルポ的には雨だったら雨で撮れませんでしたでもいいのですが、やっぱり一応形は作っておきたいというもの。できたら28日に下山シーンを撮影、そのまま下山して栂池に移ってそこから白馬山荘、とお尻を撮ってから順に、という形を取りました。ただ1日のうちに八方尾根登って降りて、栂池から白馬山荘に歩かされる同行者の方は溜まったものじゃないよね(他人事)。ということで27日はゴンドラが終わりそうなギリギリで兎平に上がり、最後のリフトは終わっていたので歩いて登って八方池山荘へと向かいました。ガスってたかちょっと小雨だったか、そんな天候だったのを覚えております。
 翌日28日は朝食を弁当にして早朝出発、下山シーンなんて1カットでいいので八方池で十分、、、、なのですが思いのほか天候が回復しておらず山には雲が。でもこれならちょっと待ってたら上だけ晴れる、稜線だけ晴れる、なんていいながらちょこちょこ歩みを進めていたら、唐松岳頂上山荘に着いてしまったでごわす。ガスってるもんだから結構寒くて、麓のライブカメラを見ながら「雲が残ってるのは稜線だけなんだけどなぁ〜、もうすぐ晴れると思うんだけどなぁ〜」なんて言いながら1時間くらい待機しておりました。同行者からしてみたら、意味ない登山させておいてふざけんなってところでしょうね。。。晴れないかな。晴れないね、ウフフ。とにかくこの日は栂池から白馬山荘へと向かわなくてはならないので、タイムリミット、結局下山致しました。途中丸山あたりのほうがよっぽど日が当たって晴れており、まあ麓を眺めて下山というようなカットは撮れたのですが。。。意味あるのかな、これ。  心機一転、ここからがちゃんとした山行です。栂池へと移り10時ごろの登り始め、「いや〜山は気持ちいいね」なんて言いながらしらばっくれて本日2回目の登山です。八方尾根で天候の状況はわかっておりましたので(なぜか偉そう)、まあぼちぼちです。白馬大池では結構日が当たっていましたので、まあいいか、というところ。小蓮華山で午後2時すぎ、同行者の方は結構疲れているようにも見受けられましたが、午後3時半には白馬山荘に到着致しました。「10時出発なのでもしかしたら辿り着けないと思いましたが、結構やれたので自信になりました。」とのこと。いや〜それはよかった(他人事)。いや、本ッ当申し訳ございませんでした。とりあえず夕食まで少し時間もあったので白馬山荘と言えば例のレストラン、ケーキセットでも食べさせておけば文句も出んだろう。完全に悪人である。夜中は2時ごろに起きて星空を撮りに出かけ、まあ満点の星でしたから翌日の天気こそ良さそうだと確信してまた寝ました。と言っても2時間弱くらいか。
 8月29日。この日は唐松まで歩く(戻る)ので、できれば一日中晴れていなければ困ります(勝手)。盛夏であればお昼に雲が上がって、、、というところですが、もう花もトウヤクリンドウばかりの晩夏、案外気温も上がらないので結構もつ日が増えてきます。朝ご飯を済ませて山頂でぼちぼち撮ったあと、だいたい7時くらいから南下を始めました。気持ちいいほどの快晴、楽しい稜線歩きです。そんなにゆっくり歩いていたわけでもありませんが、だいたい今回の撮影ポイントに来たのは8時半ごろ。撮影のときはちょうど他の登山者も多く、絵の中に写らないように気をつけますがなかなかタイミングが難しい。今だ、と思うと人が歩いてきたり、今だ!と思ったらモデルさんが鼻かんだり。なかなか撮れなくてイライラしていたのか思わず「鼻かむの我慢してくれ!」と言ってしまったのをよく覚えております。本当に悪人です。いや、本ッ当申し訳ございませんでした!!でも、一応それなりに親しい方だったので、、、、ダメかな?ダメだな!
 と、そんなトラブルも微塵に感じさせないのが、今回の写真です。いや、背中の向こうではモデルさんの表情が怒り狂っているのかもしれない。もしくは本当に鼻汁を垂らしたままなのかもしれない。しかしそんなことも忘れてしまうほど(勝手)、爽やかな稜線の風を感じさせる絵である。まあ、日差しがべったりなのでこの企画には合っているのだけれど、風景だけ撮るならやっぱり横面に日が当たる朝か夕がおすすめではあります。小蓮華山からの白馬岳の景色が優雅な山岳風景オーケストラとするなら、こちらはドーンと破壊力押しのロックだぜ!という感じでしょうか。まあ私のモデルさんに対する行いは両手にロックだぜ!(逮捕)という感じでしたが。
 まあ冗談はさておき、本当の仕事は別ですから何やかんや先には進まなくてはいけませんのであまり時間はかけてられませんでした。でも結構立ち位置に悩んだ思い出が。実際ここだとちょっとモデルが大きすぎてちょっと背景を打ち消してしまっている感があるんですね。ここが難しいところで、「人が立っている感」が強いと背景のスケール感は弱まりますし、山は特に標高がちょっと低くも見えてきてしまいます。できたらもう少しモデルを小さくしたいところなのですが登山道を外れるわけにはいかないですし、この白馬岳と杓子岳の角度からするとやはりモデルは左下に置きたいところ。でも「人が立っている感」というのが強いというのは、絵を見た人がそこに一緒にいる感が強くなる、というのも出てきますからそんな悪いわけじゃないのですが、、、、でもここで感じる白馬岳のスケールをもうちょっと落とし込みたかったな、というのはありました。時間があれば何パターンか撮るのですが、、、お許しください。
 白馬鑓ヶ岳から下って9時半ごろに天狗山荘、ここは大変気持ちのいい場所で大好きなところです。雲上の、という言葉が本当に似合う場所で、北側は目の前に鑓ヶ岳があるものの、南側が大下りで近くに迫る山がないのがそう感じさせるのか、稜線中の平地のような場所です。五色とか雲ノ平とかまで大きくなると今度は稜線感がなくなって高さを感じることが少なくなるのですが、ここはその標高の高さを感じつつ、平らなところにいる感覚が楽しめる気がします。本当はここで泊まりたいけれど、、、、というかまだ9時半。歩け!
 10時くらいになっても雲が湧く様子もなく、なかなか好調な日になっておりました。不帰キレットに取りかかりますが、、、同行者ははじめてとのことで難所越えをやや気にかけていましたが、どうなんだろう、実はさほどでもない。どちらかというと南下より北上のほうが危険ではあると思いますが、さほどでもない。とは言えさほどでもないと言ってしまいこれを読んでいる人に事故を起こされたらまずいですので、やはり気をつけてください。まあ天気もよる。とりあえず同行者は歩いたあとに「さほどでもない」と言っておりました。時折東の信州側から雲が湧いてはくるが、山を越える力もなく、そんなところでも夏の終わりを感じさせる山行でした。いや〜、これ書いていて涼しそうでいいなぁ〜と思ってしまいました。それくらい今年の夏は暑い山を登っておりました。タオルを絞ったらブジャーッって汗が出るくらいの暑い山。
 唐松岳の頂上に着いたのはお昼過ぎくらいでしたでしょうか。剱岳も見えているし、天気もほうも頑張ってくれました。このまま夕方まで良くて、西日の五竜岳が撮れるといいなぁ〜と期待。小屋に到着致しましたが部屋にいてもしょうがないし、八方尾根を見下ろすと晴れてるし、白馬岳方面も悪くなさそうなので同行者を小屋に残置し、一人で写真を撮りに下りました。下りましたって言ってあれよあれよと下って、結局八方池まで下ってしまい、登り返すのがなかなか疲れました。ここで面倒から下っちゃえ明日雨だし!と下っていたら、本当に悪人です。でもほとんど下っているようなものですが。ここで同行者も一緒に下らせて28日に撮れなかった晴天の下山カットを撮るというのも手ではあるのですが、太陽の傾きが朝と午後では違うのでダメなのですよ。やはりそこにはこだわりたい。こだわりがあるんだかないんだか。

チッ、反省してま〜す

 午後4時前には小屋に戻り、再び合流。稜線に上がってみると先程より西側はやや崩れてきておりましたがまだ日は差している感じで、五竜岳にはしっかりと西日が当たっておりました。夕食前に牛首で夏の五竜をゆっくりと撮っておりました。ゆっくりと、、、のどかに、、、撮っているように思いますよね?この牛首からの五竜岳の景色も好きな風景ですので、実は同行者を岩場に立たせてリュックを背負わせて、この単行本の抑えカット用に写真を撮っておりました。完全に時間外労働という鬼畜ぶり。きっと怒っていたに違いない。でもこのあと生ビールでも飲ませておけば文句も出んだろう。完全に悪人である。ちなみに私はお酒は飲まない。ノリが悪い。完全に悪人である。
 夕食は小屋の人が取材だからと特別に割高の「特別食」を用意してくれて非常に満足でした。プラスで払うと朝食、夕食とも喫茶室で誰でも食べられるので、ここで泊まるときは非常におすすめです。山でリッチな気分になれるというほど、気持ちのいいことはありません。三段のお重でした。生ビールもつけていただいたのですが、同行者に差し上げました。2杯も飲むなよ。いや〜おいしかった。翌日の朝食も特別食を食べられるのかね?なんて調子こいていましたが普通食でした。世の中の厳しさを知りました。
 ということで最終日の30日。朝から小雨。予報通りに天候が悪かったので、まあ一応28日に少し撮っておいてよかった。さすがです。ですが山の朝は早い。朝食を済ませたら残すは下山のみなのですが、天候は悪い。ので、これと言ってやることがない。まあ帰りが早いのに越したことはないのでサッと下山にとりかかるわけだが、28日に一度下っていることもあってか同行者の足も早い。サササッと下っていくわけだが、ここで誤算が生じたのである。早く下山できたはいいが、、、、まだ下山リフトが動いていない。。。だからと言ってここで待っていてもしょうがない。ので歩いて下りますか。小雨だし。と、リフト1機分を下ったが、その下のもう1機もまだ動いていない。まだまだ、諦めるのはまだ早い!歩いて下りますか、、、と、ここの分が結構長かった。ゲレンデを下りていくだけと言えばだけなんですが、なんだか微妙な斜度アンドずっと段のない傾斜道、なかなか疲れます。ということでゴンドラ駅の兎平に着いたわけだが、、、、ここでもまだ営業時間より早かった。だけどここからはさすがに歩いて下るわけにはいかないだろ〜、と。いや、本当にここからは歩かせてませんよ。雨が降っていたのもあったけど、だけどここまでの下山が今回の山行で一番汗をかいた場所だったかもしれない。非常に疲れた。荷物を背負って止まらない傾斜ゲレンデを下るというのはなかなか疲れるのである。なんだか最後の日まで同行者にのんびりさせてあげることができなかったような気がしてならないという負い目を感じている(ようやく最終日に)。気のせいだろうか。気のせいだよね。

 ちなみにこのときの取材が掲載されたのは
 翌年の夏。
 八方尾根の下山カットは、
 たしか使わなかったと思う。

 本ッ当に申し訳ございませんでした!

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