Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 68
16 Jun 2020更新

雑誌「自治体ソリューション」・2017年6月号「くじゅう山」


 そういえばつい先頃まではずいぶん寒くてなかなか暖かくならない4月だな、とか思っていたはずなのですが、気持ちの良い爽やかな季節があったのかなかったのか、いつの間にか強烈に暑い日々が続く様になりましたね。なかなかきついです。ようやく新型コロナの影響も落ち着いてきたのかきてないのか、とりあえず陸上競技場は利用できる様になったのですがまだ面倒なのかサイクルが狂ったのかで足を運んでおりません。とは言いつつ近場のちゃんと距離がわかるところで走り始めることができるようになりました。
 緊急事態宣言中が至る所が閉鎖されておりましたのでアスファルトの路上でGPSとか車輪とかで距離を測って走っておりましたが、100mは11秒1、200mは22秒4、300mが35秒1とか、何だか胡散臭い数字が出ておりました。いや、胡散臭くても気分はよかったですよ。。。胡散臭いですけど。しかし良い気分が続くのもここまでなのか、ちゃんと距離が分かるところで走ってこそ、であります(当たり前)。いつまでも夢の中で生きていてはダメで、審判の日はやってくるわけであります。とは言えもしかしたら本当に速くなったのかも、、、という何だかわからない期待が消え去るのも辛いもので、なかなか怖いものがありました。路上タイムは確かに速すぎましたが、でも確実に速くなった実感はあったのですよ。というのもようやく気付くところがあって、走り方をだいぶ意識して変えましたから。
 ということで以前なら調子いいときで100m11秒7くらいのちゃんとした場所で走ったところ、、、ちょっとスタート悪かったか、と思いましたが、11秒4。なんとか路上のタイムも胡散臭くもなかったようです。陸上競技場と同じオールウェザーの路面なのでアスファルトに比べると何となくしっかりと地面に力をかけた感じはしませんが、それでもぼちぼちです。ちなみにシューズはスパイクではなくアップシューズなので、スパイク履いてうまくいけばもう少しいけそうです。いやぁ、42歳ですがここにきてようやく100mがわかったような気がします。あとはこれを400m、800mに活かせるかどうかですが、100mばっかりやってると持久系からは逃げたくなちゃったり。いやちゃんと長い距離も走ってたので何とかはなるかと思いますが。一応1000mはペース走で2分43秒だったかで走ったので2分30秒台は出そうだし。しかしそれ以上は走る気になれません。1200mが限界。ってそれ長い距離とは言えないですね。たまには30kmくらい走らないと山で一日動き回るのに弱くなりそうです。ともあれ自分タイミングの手動計時、まあシューズなので経験上スパイク&電気計時だと同じかもうちょっと速いタイムがいつも出るので、ちゃんと公式レースに出たいものです。でないと野球部の50mになってしまう。。。
 ところでシューズの話なのですが、最近なかなかいいんじゃないかと思って履いているのがナイキの初代ズームフライです。あの厚底の最初の素人用の方です。これは中のプレートがフルカーボンでないのですが、フルカーボンに比べてなんとなく硬く、ミッドソールはリアクトとかZOOMでもないのでクッション性もちょっと微妙なところがあるのですが、ダッシュに非常に合っている気がします。ペース走にもぴったりですがラストスパートなどペースを変えるとまったく機能しない感じが特徴的で、しかしペースを変えない動きに強いということで100mでは当然ペースを変えないから何かハマるものがある。それまではダッシュ練習ではナイキのペガサスを使っていたのですが、最近はこのズームフライがお気に入りになっています。正直厚底では11秒台も出ないかと最初は思っていたのですが、ちゃんと11秒4まで出せているので問題なし。アッパーもフライニットよりホールド性いいし、、、、このままディスコンするのは勿体ないな。しかしながらこれだけ語っておきながら、陸上トラックで履く短距離用スパイクはアディダスという、本当にどうでもいい話である。
 さて、今回の写真ですが、私の大好きな山のひとつであります九州はくじゅう山になります。ホント不思議な山で、ハイキング感覚でちょっと登っただけなのにものすごく山奥に来たような感覚になれるというお得な山。別に楽したいとかいうわけじゃないのですが、山奥に来るまでに時間がかからないというのはいきなり別世界に迷い込んだようで楽しくなるわけです。いやもちろん東京から行く分にはだいぶ時間がかかってはおりますが。こちらの撮影は2011年6月8日、ここ数年はミヤマキリシマの時期に足を運べてないので久しぶりに行きたいところではあります。なんだかんだでまだ満足のいく写真が、情けなくも撮れておりませんので。。。
 というのも、だいたいこの時期はそろそろ梅雨入りというのもあって、すっきり青空が広がることが少なかったりします。そんなことはない、と地元の人には言われそうですが東京から出向くとなるとなかなか難しいものがあります。いつも先に航空券を買ってしまうためFIXで行くことが多く、しかしその代わり取材日数はいくらか取るのですがやはりそんな甘くもありませんね。そして3回くらいはこの時期には足を運んでいるのですが、あと一歩が足りない。まあ人生をかけてなんとかしたいです。それくらい好きな山であります。
 出かけたのは前日の6月7日。早朝に羽田に向かい、福岡空港へ。数日前に福岡空港の宅急便営業所にガス缶等の荷物を送っており、無事ピックアップしてバスで湯布院、久大線で豊後中村駅からまたバスで長者原へ。空港周辺を出歩いて時間かけるわけにもいかないですし、ガス缶が空港付近で手に入るといいのですが北海道と違ってこのあたりはちょっと面倒であります。天候はさっそく雨ではありますがそんなに強い降りでもありません、長者原着が午後3時半すぎ、とりあえずだらだらと坊ガツルへと歩いていきます。天気は悪いですけどもうこうなった以上今日は入山日を割り切れるので気は楽でございます。なんとか明日から晴れてくれればそれでいいんです。夕方5時ごろ坊ガツルに到着、法華院で受付を済ましてさっさとテントを張って休むことにします。小屋の売店で当然コーラを買いますが、ガス缶も売ってるのね。。。そりゃそうだよね。ここで買えばよかったのだ。。。そしていつも九州に来ると思うのですが、、、夕方が長い。日の入りが午後7時半くらいで午後8時くらいまで結構明るい。これはこれで楽しい。とりあえず翌日の天気を祈りながらお休みすることとします。
 翌日8日は朝から雨。祈りなど全く通じなかったようで、雨。テントで朝起きていきなり停滞決定、というのはよくあることながらなかなかつらいものがある。冬ならぼちぼち水でも作るか〜とか、ちょっと足跡だけつけて遊びに行くか〜とかできるんですが、雨はテントから出たら濡れるだけになるのでなおさらつらい。しかしである。このくじゅうにはテント場から歩いて3分くらいのところに、温泉があるではないか。そう、風呂に入って時間を潰せばいい!と思い立つは立つんですが、いざのほほんと風呂入ってるときに晴れでもしてきたら、自分の性格からして自問自答して切腹しかねない。結局バカ真面目に晴れるかもと常時スタンバイ、播隆上人のごとく狭いテントで念仏を唱えていたのですが、何やら祈りが通じたのか雲に切れ目が出てきて回復の兆しが見えてきました。なかなか祈りというのも捨てたもんじゃない。まあ実は天気予報で午後から晴れというのを小耳にはさんでいたわけであります。
 雨が止んでもまだまだ曇り空でしたが、とりあえず様子だけでも見に行こうと平治岳へ。ミヤマキリシマの咲き具合だけでも確認しておきたいところですが、、、ちょっと微妙な咲き具合。どうもやや遅れているようで蕾もまだたくさんありました。それでも結構見られるところも何ポイントかあり、まあなんとかなるかな。テントに戻ったところで暇ですからそのまま今度は大船山に足を延ばし、ってこういう気軽な放浪ができるのがくじゅうのいいところですね。散歩がてらにあっちの山、こっちの山、ぐるっと回って結構歩いた感じもしつつ実はそんなに歩いていないというか。とはいえ常に被写体を探しながらあちこちに目をやって歩いている私は、他の方から見たら放浪というか徘徊っぽい気もする。ちなみに大船山の方はこの年はツツジの出来が悪かったようで、ほとんどツツジを見つけられなかった。
 ガス混じりの大船山から坊ガツルを見下ろすと、はるか眼下に平治岳よりもピンク色に染まる場所が現れた。まあくじゅうなので「はるか」ってほど遠くないどころかすぐそこなんですが、、、。どうも立中山のツツジが今年は良さそうである。立中山は周りの山に比べれば「丘」みたいなところなんですが、逆にそのかわり囲まれているだけあって写真撮影にはばっちりのお山です。中岳をバックにしてもいいし、三俣もいいし、大船山も絵になるし、と写真家向きの場所。平治岳の咲き具合も微妙だし、どちらかといえば午前中向きなので、ここから夕方にかけては立中山で撮ろうと決めました。
 ということで一度テントに戻り、法華院でコーラを買って立中山へ。小屋から30分くらいのこの公園感がいいです。こんな手軽でいい場所なんですが、時間もあってか誰もおらず独り占めできました。大船山から見た通りツツジの具合は良く、天候もどんどんとよくなってきましたので一人であーだこーだ楽しみながらの撮影ができました。なわけでそれが今回の写真です。立中山から中岳側を撮っておりますが、この夕暮れ具合がなかなかいいシチュエーションでした。というのも午前の順光であっさり晴れられると(もちろんそれはそれできれいですけど)、山の小ささとか低さとかがよく見えてしまい、ちょっとスケール感の小さい写真になるかな、と。でもこの構図のちょうどいいところにはまるようなツツジに出会えたときって本当に嬉しい。「うお〜!これだぁ〜!」と。これ、同じ時の三俣側の写真が「GALLERY」ページにありますね。先述した通り九州は日没が遅いので、立中山には午後7時半すぎまでおりました。お祈りから始まった一日でしたが、結構ほぼ一日出歩けたいい日でした。
 話はちょっと逸れますが、この立中山のツツジはなかなか見応えがあっておすすめなのですが、今年4月にどこかの登山者が調理器具で山火事を起こした模様でだいぶ焼け焦げてしまった。以前は三俣山でも同様のことがあったのですが、本当に勘弁してほしい。そもそも小屋近いんだし、立中山で無理にガス炊く必要ないじゃん。。。。って。三俣山のことを考えても戻るまでにかなり時間がかかると思うので、本当に残念。
 翌日は晴れの予報、本題の平治岳を撮ろうと気合を入れ、入れすぎて朝3時くらいに起きてしまったのでとりあえず星を撮っておりました。5時半には平治岳のポイントでスタンバイしておりましたが、この時期はツツジ、坊ガツル、三俣や中岳の山並みを撮ろうとすると太陽が真後ろから上がります。なのではじめはすぐ手前のツツジに自分の影が写ってしまうので、望遠系で撮っていきます。影がなくなって広角で撮れるようになるまで結構時間がありますので、それまでに天気が変わりそうでドキドキハラハラです。はじめうちは空の具合もよかったのですが、広角側で撮るときには微妙に曇った雲が覆いはじめてしまいスッキリとはいきませんでした。あ〜あ。しかもこの日以降の天気予報を見ると結構散々な感じですので今回はこれまでか、と。後ろを振り向くときれいに由布岳が見えているのですが、ああいうのを見るとあっちはすっきり晴れているんですがなんで自分が撮ろうとしている側は曇っているんでしょうかそれは私の行いが悪いんでしょうかループに突入してしまいます。このときは時間があれば由布岳も寄る予定でしたので、これから行く山が見えていると嬉しいは嬉しいんですが、憎らしくも見えてきてしまいます。なぜお前が今日晴れているんだ!みたいな。この日はちょっと曇りっぽい晴れという微妙な一日でしたが、テントに戻ってからまた立中山に寄り、いろいろ撮りつつ中岳に登って牧ノ戸へ一度下山してソフトクリーム、長者原まで道路を歩いてまた入山、で午後7時にテントへと帰ってきました。翌10日は一応湯布院に宿を取っており、晴れればゆっくり撮影をしてから下山の予定ですが、朝から雨だと時間が余りすぎて死んじゃうので晴れたらいいなぁと思って寝ましたが見事雨でした。
 とはいえやることもないので、早朝に起きて一番のバス便で下っちまおうと雨の中を下山致しました。下ると問題なのが風呂。実はこのときは一度も山中で温泉に入っていないので、結構微妙な汚れである。下山して人工的な場所に出るとなおさら感じるものがある。しかしこんな早朝に風呂はさすがに、、、、と調べると近くの筋湯温泉に6時から開店のうたせ湯があるという。これはありがたい、とバスに乗ってまずは筋湯に向かい、そしてそのうたせ湯に。受付もいなくてなんだかメダルを買ってそれを入り口で入れるとなんかのアトラクション乗り場のストッパーみたいにガコンと動くのですが、こんな早朝に一体誰が開店準備をしているのだろう。ともあれ温泉自体は小さいながらも三ツ星で、なかなかよかったです。
 筋湯では温泉とバスの待ち時間で結構稼いだ気がします。それでもまだ時間はたっぷりありますので、雨の降りはぼちぼち強かったのですがお次は震動の滝に寄り道を致しました。傘を差しながら夢の大吊橋を歩いてみるものの、くじゅうはもちろん震動の滝の見え具合も微妙。結局吊橋を渡らなくてもいい滝展望台のほうで写真を撮っておりました。でもせっかくきたので渡っておきたかった、思い出です思い出。

イカを求めて三千里

 由布岳に登るためにわざわざ湯布院泊にしたわけですが、11日は大雨ですよ大雨。どうにもならないくらい強烈に降っている。でもたまたまそういう予定で下山してきたわけですけど、こんな日に下山じゃなくてよかったぁ、と思った方がいいのかな。帰りの空の便は当然由布岳の時間を込みで遅く取っているものですから、またこの日も時間を潰さなくてはいけません。まあでもいいんです。実は時間があった方がありがたい場合もある。というのは、毎度九州は博多に来ると必ず食べておきたいものがあるんです。タイトだとゆっくりと食を味わう時間もないですから、これはこれで嬉しいわけです。まあ実はタイトでもしっかり最初から予定に入れておりましたが。
 その名は「呼子のイカ」。東京では食べられないイカであり、定食で1杯3000円もするけどそれでも十分満足できるイカでございます。いやまあ呼子は佐賀であって博多ではないのだか、さすがに佐賀まで足を運ぶわけにはいかず、まあこの博多という九州の一大拠点で食べられる、というところでお許しください。とりあえず話はイカに戻るが、イカ好きの私が何よりもこの九州に来たときに重要視しているのが呼子のイカである。別に私は最近よく聞くグルメ王でも何でもないが、このイカだけは譲れない。九州に来て写真が撮れなくても、呼子のイカだけ食べられれば、まあそれでも大満足である(仕事放棄)。イカイカイカイカ言って何がすごイカと言うと、「透明」なのである。いや、イカは透明で泳いでる。それは知っている。しかし食べるときには普通はだいたい白くなっているものである。つまりかなり新鮮獲れたて泳ぎたてのイカでないと、透明なまま食べることはできないのだが、ここらあたりだとそれが手軽にちろっとお店に入って食べられるのである。皿に盛って出てくるとホント透けてるんである。透明ならいいのかって、もちろん食感もそりゃ良くって、しかも活き造りだからゲソは動いてるわ動いてるわ。ちなみにゲソは天ぷらにしてくれたりする。いやもうこれを食べてしまうと他のイカはもうただのイカだ。これ空輸したってなかなか難しいと思うけど、どうなんだろう。まあとにかくここに来たら毎度の楽しみではあるので、「それ東京でも食べられますよ」とか、もしそうでも言わないでください。なわけで、撮影に満足いかなくても、これさえ食べられればすべてよし。行くぞーッ!

 気合を入れて店に立つ。
 入り口のホワイトボードには
 「荒天のため不漁でイカ入荷してません」

 実は翌年もくじゅうへ行き、
 懲りずにイカを目指しました。
 そして翌年も
 「荒天のため不漁でイカ入荷してません」

 梅雨は嫌いです。

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