Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 67
29 May 2020更新

単行本「ときめくヤマノボリ図鑑」掲載写真「精進ヶ滝」


 新型コロナがとりあえず落ち着きそうなんでしょうか。さあ!6月1日から!と思ったら県外への移動は19日からとのことで、ズコーッとなってしまいました。個人で楽しむ分には山に繰り出してもいいのかもしれませんが、お仕事だと逆に19日までは待機、となかなか厳しいです。とは言えまたいくらかは戻りもありそうですし、またぶり返したらたまったものじゃないですね。結局気が緩んで大勢が出かけて、また緊急事態になってもいいことないですし、まあ気にしないで出かける人、焦らず出かけない人、でうまくバランスが取れるとちょうどよいのかな。
 コロナの話は盛り上がらないのであまりしたくないのですが、このパンデミックで私の好きなシンガーの一人が新型コロナでなくなっており、非常にびっくりしました。Joe Diffieという方なのですが、、、、、、たぶん知らないが多いのでは。。。日本でもとくにニュースにならなかったと思うので全然気がつきませんでしたが、本当に残念でございます。と言ってもここ最近はずいぶんとブクブク太って見る影もなかったのですが、まあそれにしても惜しい。カントリーシンガーとしては一番好きな声質の人でした。丸みがあって(体格じゃないです)深みがあって温かみがある声で、決して格好つけた声じゃないし、、、まあ個人的趣味ではありますけど。私の中では、とりあえずカバーでも何でもいいから歌ってくれさえすればいいのに何サボってんねんアーティスト四天王の一人でもありました。本国でもそこまで売れた歌手ではないですが、アーティストからの支持は多く、ずいぶんと売れたTim McGrawも憧れたような人。個人的にはTim McGrawより全然いい声が出るからもっと売れて欲しかったのですが。というかTim McGrawなんて格好つけた声出してるだけじゃん、と言いながら冬のドローン大縦走でTim McGrawの曲をリクエストしたのはすみません私です。
 コミカルなアップテンポナンバーが売れ線ではあったのですが、この人はやはりバラードですね。”SO HELP ME GIRL”や”TWICE UPON A TIME”など、この人が歌わなかったら様にならないんじゃないでしょうか。いわゆる安っちくならないというか。こればかりは生まれつき持っている声ですので、もうどうにもならない。これってもう才能とか努力といかじゃなくてなんでしょう、もう生まれつき持ってるものですね(表現できないのでそのまま)。なので替えもきかないし、なくなってしまうというのは本当に残念でございます。
 声質、と言えば私はまったく自分の琴線に触れるような声質を持っておらず、何でしょうね、テレビで見て聞いていると非常に不愉快でございます。ちょっと高くて軽いんですよ。もうちょっとしっとりとライカー副長(吹替)のような声でも出るといいのですが、まだ大人になりきれていないんでしょうか。以前山で話しかけられて「テレビで聞くのと同じ声だぁ」と言われて「こんな声だもんな」と思ってかなり恥ずかしかったのですが、、、、、、いや待てよ、ライカー副長(吹替)だって直接会ったらライカー副長(吹替)の声だろう。いや、アナベル・ガトーかもしれん。まあいいや、とにかくJoe Diffieがこのコロナで亡くなってしまったのは(最近太りすぎであれどうあれ)、非常に残念でございました。とりあえずRIP.
 さて、今回の写真ですが、南アルプスは地蔵岳から流れる精進ヶ滝です。落差121mと結構大きめの滝ですが、場所柄もあってかそんなに有名ではないですね。しかし私が勝手に思う五大滝に入る屈指の名瀑でございます。掲載は縦構図でしたが、まあいつもの「見づらい」という事情で横構図でお願いします。撮影は2009年5月20日。滝までは石空川渓谷というハイキングコースで向かうのですが、ハイクコースは滝のだいぶ手前の展望台で終了、今回の写真のところまで行くにはそこからやや沢歩きになります。ここに来るのは2度目で、前回は天候が微妙だったこともあってちゃんと撮り直したいなぁ、と思い立って足を運びました。前日の5月19日に精進ヶ滝、うまく撮れたら翌20日は近辺の他の滝や渓谷を撮影するつもり予定で出発。
 ということで5月19日朝に自宅を出発し、9時頃に日野春駅に到着、タクシーでガッーっと石空川渓谷へと向かいました。下界はもうすっかり緑緑している風景ですが、御座石鉱泉手前から山道に入って少しずつ標高を上げていくと次第に新緑の気配が広がってきます。気持ちをワクワクさせるもお空はなんだか曇りがちなのでちょっとテンションも下がっておりますが、ま、まあ渓谷だから曇りでもいい感じには撮れるでしょ、と言い聞かせるんですが、そもそもそれなら何でまたここの来ているのかを忘れているようである。着いたのが10時ごろでしたか、渓谷の小物の撮影は後回しにして、とりあえずは一気に展望台へと行きます。
 展望台からは上段の精進ヶ滝と下段にあたる九段の滝を全景で見ることができ、滝の迫力は伝わりにくいですが絵としては十分美しいです。周りの新緑も瑞々しく、場所も場所だけに山奥らしさを感じさせます。そもそもそんなに人気がある場所じゃないですが平日で誰もおりませんでしたので、またさらに山奥らしさが。天候は相変わらず鈍い感じでしたが、よく言えば幽玄、悪く言えばただのどん曇り、まあどっちだろう。幽玄というにはもうちょっと霧がかかってないときついか、、、、、、となるとただのどん曇りですね。。。時間もお昼前ということもあり、ちょっと逆光気味。もう少しだけ早い時間のほうが見栄えはよいだろう。しかしかといってばっちり日が当たってもつまらないので、10時くらいがベストと思われる。このときはまだフィルムカメラも使っていて持参していましたがちょっと微妙な状況でしたので、この日はほぼデジタルで済ませました。
 この滝は121mもありますが滝直下まで沢歩きで行くことができますが滝壺はなく、直下までいくと結構絶壁にかかる滝という感じで迫力満点。しかし絶壁感がありすぎて絵としてはちょっと下品なところがあるかもしれません。広角レンズでグァーっと、という感じなので、それはそれでよいのですが、そういうのって油断するとどこでも同じような絵になりがちだったりします。つまりレンズに頼った絵になりがち、というんでしょうか。やはり精進ヶ滝を撮っているわけですから、自己表現だけでなく、ちゃんとその滝の持つ姿形を丁寧に描くこともまた大事だと思います。
 そういうのって人物撮影でも同じかもしれませんね。もちろん状況次第ではそういう変則カットもメリハリをつけるのに大事ですが、モデルを一番その人たらしめる状態で写しこめるかというと、足元から煽るカット、というのはちょっと違うかな、みたいな。それはレンズ側や撮影側の都合であって、滝の姿ではない、というか。山もそうですが、やはり滝にも頭、首、胸、手足、腰、足にあたるものがあるわけで、「姿」というのはそういうものであります。となると、一歩引いた今回の写真あたりの位置がまあしっくりくるかな、と思うわけです。周りの新緑は滝のパーツというよりかは後ろの屏風だったり、手前の扇子だったり、という飾り物でしょうか。
 しかしながら「ここ」と場所は決めたものの青空が広がるわけでもなく、まあ曇りです。わざわざ再訪したのにこれで引き下がるわけにもいかない。翌日は違うところにも行きたかったのですが、ここはぐっと堪えてまた明日同じことをするのが一番結果が手に入りそうです。何だかんだでネイチャー系というのはいくら仕事だとはいえ何十分の1くらいは旅要素も含んでいるので、せっかくなので色々足を延ばしたくなってしまいます。昨日登った山にまた翌日も登る、というのはやはりつまらない。しかしそれが目的ではないので何度でも同じことをしますけど、未熟ながら悟りが開けてるわけでもないので。。。まあ色々文句つけてはちゃんと足を運びますよ。
 とりあえずこの日は人と会うこともなく、カモシカ一頭と目があったくらいです。帰りがけにいくつかの小滝を撮りつつ、渓谷入口に戻ってきたのは夕方の5時くらい。この時期ならまだまだ明るいので遅いという感じはしません。ここでは電波が通じなかったので里まで下ってからタクシーを呼ぶことにし、武川方面の人里まで約5キロを歩きました。途中電波がつながるところもあるのですが、如何せんどこに何時という指定が呼ぶ本人がわからないのでとりあえず下ります。渓谷入口からちょっと歩いて振り返るとオベリスクの見えないもっこりした地蔵岳と奥に三角錐の観音岳、その山腹にしっかりと精進ヶ滝が見えておりました。「姿」に例えると滝の部分ってパンツのチャックみたいですね。しかし!さすがは121m、存在感があります。この日は甲府に泊まり、翌日の天気を祈って戻ってまいります。
 ということで20日。電車の関係だったか韮崎からタクシー利用のほうが時間的に早いということで韮崎で下車、タクシーに乗って再び精進ヶ滝を目指します。「石空川渓谷までお願いします」と言ったものの、ドライバーの方が「?。今はあそこ行けませんよ」と言う。「いや、昨日行きました」と伝えるもなかなか信じてくれないので、とりあえず御座石鉱泉あたりまで向かってくださいとお願いしました。もし行けなかったらそこから歩くから、そこで降ろしてもらっていいからと伝えるとなんとか車を走らせてくれました。まあ、行けるはずなんだが。
 なかなか信じてもらえなかったがとりあえず到着。行けた。まあそりゃそうだろ。7時くらいの到着で空はくっきり雲ひとつない青、ブルースカイブルーである。こうなると途端にウキウキしてくるものです。ここに着くまではまた行くのか〜つまんないな〜なんて気持ちもほんの少し心の片隅にありましたが、こういう景色が目の前に広がるといきなり忘れるものですね。また同じように展望台までまずは進み、撮影を始めます。いやホント、日の当たり方が違うと絵がガラリと変わります。胸の奥をガッチリと掴まれるような感触、すばらしい。しっとりとした絵ももちろん好きですが、こういうパワフルな爆発的な感触という突き抜け感に勝るものはないのでは、とも思ってしまいます。新緑も一際輝いて見え、一気に羽ばたいていくような躍動感がそこかしこに溢れております。まあしかし落ち着け、展望台はまだ序盤である。昨日決めたもう少し上流の構図で決めなくては今日ここに来た意味はない。ウキウキしている気持ちを抑えられないとうっかり岩から滑って落ちそうである。すでにドーパミンみたいなのが出まくっているので、そのまま頭打って死んでも死んだことに気づかなそうでもある。9時には昨日決めたベストポイントに到着しましたが、光が当たっているのは滝の右側だけで、左側はがっつりと陰に入っております。そりゃこんな狭いところだから、日が差すのも一日中でも少しだわな。
 しばらくは新緑を撮ったり、日の当たっているところだけで構成したりと時間を潰しての10時半頃、ここぞというところで撮ったのが今回の写真でした。べったり順光でもなくやや斜光、日陰を活かして立体感も出せたかと思います。新緑や紅葉を生かすにはただ周りに色を添えるというだけでなく、ペーパーシアターみたいに形状、絵柄の違う平面を並べて立体感を出すことも大事です。それによって奥に鎮座する滝も生きてくるかと。水が流れているかのように写す露光時間ですが、これはお好きなようにというところもありますが、この光の当たり方に合わせた露光時間、水の流れ方はどのくらいがちょうどよいだろう、と考えて自分でこだわりを持つのもよいかと思います。ただシャッター開きっぱなしで流せばいいというのではなく、その写り方が現す心情を解釈するのがよいかと。
 しばらくして日陰のラインはまた右手に進んでいきました。ということはこの時期ここでは10時〜10時20分くらいしかベスト日当たりの絵は撮れないわけね。でも陰が滝のラインを越え、右手の岩壁も陰になっているのにトップライトで滝だけが浮かび上がるような状態もなかなかよかったです。それが11時ごろで、その時間を過ぎると滝も陰に入り、全体的に逆光に向かっていきます。ん〜短い。

デジャブ感満載

 色々と撮り終えまして退場しましたのは午後2時ごろ。今日も朝からずっと同じ場所にいたわけです。そしてこの日も誰とも会わなかったです。前日に見えた地蔵岳観音岳と滝ですが、この日は晴れているものの逆光がきつくなってしまい、むしろ前日のほうがよく見えました。また同じ林道を5キロ、とぼとぼと歩いて帰ります。5キロだからたいしたことないっちゃないですが、なんか切ないですね。ただ、その切なさをカバーするくらいスマートだったのは、一度歩いたおかげでどのくらいの時間かかりそうだとか、どこにタクシーを呼べばいいかがわかっていましたので、麓到着時にぴったりタクシーを予約できたというところでしょうか。ですので林道の途中で電話して、何時何分ごろどこどこにお願いしますと予約できたわけなんですよ。

 なわけで、武川側に下りきったところでタクシーがお待ちしておりました。
 ぴったり待ち時間なく、こんな辺鄙な場所なのに
 スムーズかつスマートにお帰りできました。

 しかし考えてみると、タクシーの運転手がかわいそうな気もする。
 だってタクシーが着いたときは誰もいなかったわけだから。。。
 きっと思ったはず。

 こんなとこに本当に来るのか?って

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