Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート23(改訂加筆)
04 Dec 2021更新

2014年発行「厳選雪山ルート集」掲載写真「焼岳」


 ずいぶんと間が空いてしまい大変申し訳ございません。そしてまた改訂版というところがまた申し訳ないです。一応新しい記事を書こうと素材まで決めて用意はしていたのですが、う〜んどうにも書けなかったのでこういうことになりました。というのもここひと月ほどずっと映像のBGMを作っているためにこういうことになってしまっております。写真とか映像の編集、カラーリングに集中しなきゃいけないときも「文字原稿」というものが非常に描きにくくなるのですが、うん、そんなのよりも何というか所謂実体のない感覚の「音楽」という作業はもっと文字原稿からかけ離れたところにいるようでして、右脳をフル活動させて生きているととにかく書けない書けない。文章が組み立てられない組み立てられない。編曲はそこそこ論理的に進められるので左脳も使っていると思うんですが、でもどうも動いていないんです左脳が。気づくとどうやら海馬の調子も悪く、記憶へのアクセスも遮断されているようで自分の脳がHDD製なのかSSD製なのか、どちらなのかも忘れてしまっているほど重症です。思わず口ずさむ言葉は「中川お前プラ製か?」です。
 まあしかしBGMまで自分で作る必要があるのかどうか、まったく疑問ではありますが、まあこういうのは写真とかも同様でフリー素材使うとそれなりに安っぽくなったり、他とかぶったりとか色々あるわけでして。かといってハンス・ジマーに頼んだらいくらかかるのかわからんし。。。ちょっと待て、そんで自分で作るのは安っぽくないのかい?と言われそうですが、まあ「っぽい」のは作れるから「かぶらない」という意味ではいいのかな、というぐらいの感じです。なわけで無駄な労力がかかっているというのは否めない気がするので何とも微妙な気持ちで作業しているのも事実。とかなんとか言いながら、サックス入れたいからブレスコントローラー欲しいなぁとか、アレンジが気にくわないからもうちょっと改良してみようとか、だんだん没頭してきてしまい、結果全然ジャンルの違う沼にはまっておりましたとです。
 今作っている動画はとりあえず登山道ガイド的なものでして、2月くらいまでには一番作りたいショートフィルム作品を含め5本くらい予定しているのですが、予定通りにそこまで辿り着くのかどうか。。。作品系は基本作品映像だけなのでBGMもさほど苦労しない(はず)と思っているのですが、ガイド系の動画は場面展開が多くてですね、なわけで必要な曲目も増えるというわけです。とりあえず動画1個分の曲をひと月かけて終えたところでして、20曲ほど作りました。もちろん、あくまでBGMだからこだわりを持って作りこんでいるわけでもないのですが、それでも疲れましたよ。だってそれなりに曲ごとに毛色も変えないとあれだし、何せ仕事内容が普段と違うものでして。。。どうせさらりと流れるだけなのにこんなに力入れてどーすんねんと思いますが、ついつい没頭してしまうのは本人の性格なんでしょうね。器用貧乏とは私のためにあるような言葉のようです。とりあえずは目処がついてようやく文字が書けるようになりましたが(ここ2週間はくさび形文字がやっとだった)、まだあと15曲くらい書かなくてはならないのでどうなるだろうか。ていうかそもそもこれ、報われるんだろうか。
 ということでとりあえず今月中に1本動画をアップ致します。そんで1月にガイド系を2本、そのあとに作品を2本、という感じですね。何とか近いうちにちゃんと新作レポートは書きたいと思っておりますので、何卒お付き合いくださいませ。いやしかしここひと月はずっと寝る時間も遅くてそろそろ疲れてきたところなので、どこかでちゃんと休みをとって、ロッキングチェアにでも座りながらゆっくりとOL進化論でも読みたいところである。っていうかまだ続いてたのかよ!
 なわけでここから改訂版でございます。

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 どうも毎度。ここ最近はちょこっとテレビなどに出ることもあり、見ていただいてる皆様からのお便りメールも増えております。ありがとうございます。絶滅危惧ジャンルの写真家ですと本当に一匹狼で孤独に活動しておりますので、大変励みになり、また明日一日でもいいから生きていこう、という気持ちになります(いや、いい写真撮ろうと思えよ)。できるだけお返事をさせていただいているのですが、何かとガンプラ作ったりと忙しい日も多く、メールを返してないこともあったりするのでこの場を借りて、ひとつお返事を。
 えーと、ペンネームは「板橋区のひとみちゃん」からのお便りです。

「西田さんが苦労して登って、寒さに耐えながら必死に撮った写真を、私たちは暖かい部屋で鱧と松茸の土瓶蒸しを片手にネットで見て、きれい~とか言ってるのってどうなんでしょう?」

 いや、、、いいんじゃないでしょうか、それで。むしろ鱧と松茸の土瓶蒸し、というところがちょっとひっかかりますが。何と言いましょうか、私も一応芸術家の端くれ、皆様に見ていただいて喜んでもらえるのは有難いのですが、やはり根源的には自分のカタルシスのためにやっておりますもので、結局のところ自己満足でございます。山の写真をどうしても撮りたくて、撮らないと暴れちゃうぞ~という自分を抑えるためにやっております。なので撮った瞬間に自分の中では完結しており、そこからは別物でございます。
 その行為だけだとさすがに暮らしていけませんので、何とかそれを売り物にしているわけで、それでお恥ずかしくも皆様の前に作品とか言っちゃって露出しているわけです。ということで、写真を見せる、見ていただく、というのはすでに二次的なことなんですよね。なのであとはどんな形であれ、炬燵に入りながらだろうが何だろうが、見ていただいて楽しんでいただければ、と。ただ、そこで楽しんでもらえなかったら、この写真は美しい!と思ってもらえなかったら、私の写真家としての社会的存在意味はありませんが。なので見せる限りは社会的意味合いでも「クオリティ」というのは高くなくてはならないと思っています。
 蛇足ですが、撮り手で「自分が撮った写真でこの大自然を多くの人に伝えたい」とか「この美しい瞬間を皆と共有したい」というのが自分の第一撮影目的、という考えの方には、私としては疑問に思われます。自分の撮影欲求が第一目的ではなく、「伝えたい」「共有させたい」が第一目的というのは、もはや創造、芸術からは離れているわけで、ちょっと違うものかと。やはり芸術家たるもの、芸術とは何か、芸術を成り立たせるそのものに迫っていかねばなりません。
 ああ、すみません、時々テレビ番組は出演させていただいておりますが、そちらは皆様に楽しんでいただくこと、エンターテイメントが目的で頑張っております。写真家としては、ロケ中は撮りたくても撮れない瞬間ばかりでして、現場では芸術活動を止められて暴走寸前なのを堪えて頑張っております。「ああ、いいなあ、あれ撮りたいなぁ」とか思っても、ロケ中だと私が撮るなら何かしら撮られたりしゃべったりしなくてはならないときもあり、そうするとロケが進まなかったり、どうせカットだろうなぁと思ったりとかで控えてしまうことが多かったりします。空気読みすぎですね。
 ということで前説が長くなりましてすみません。メールを送っていただいた方はこんなのを真面目にメールで返されたら迷惑以外何者でもない、と書き綴ったあとに思いました。失礼しました。
 さて、今回のレポートですが、拙のガイドブック、厳選雪山ルート集からのものです。前説でこれだけ偉そうに作品だの芸術だの書いといて何ですが、ガイドブックの写真ということで、、、その、、、これ「作品」なの?と言われたら、違いますね。。。テヘ。すみません。ガイドブック用の写真です。一体どこからが作品なんだよと言われたら、「俺の心が震えたとき、かな(止めて引く)。」と言いたいところですが、まあ何でしょう、現場状況、地形の説明とか、植生状況みたいなものがパッションを超えてしまったら、ガイドブック用、と言うんでしょうか。やはり作品は山というものも超えて「美しさそのもの」に集約されなくてはならないと思っております。なので感情的なのものよりも現場的な要素が強いものはガイド用として分けて撮っております。拙の人物を立たせた著書「究極の絶景」はそのハイブリッド、ということで楽しんでくださいませ。
 こちらの撮影は2013年12月17日。この年は雪の降り始めが遅いわけではなかったんですが、焼岳という微妙な標高の山のためにだいぶ待たされたというか、ちょうどいい積雪のタイミングを見計らっていたら月も半ばになってしまったでこざるの巻。雪崩の危険もあるルートなので早めの時期に終わらせたいのですが、なかなか天候が折り合わず難しかったです。結果、絶対晴れるというわけでもない、でも晴れるかも、という微妙な天候で突っ込んだ撮影でしたが、まあガイド用なら何とかお許しいただけるのでは、、、というところでしょうか。
 焼岳は登山口に中の湯温泉があるので、軽荷で出かけてまったりと温泉泊、旅館から朝早く出れば日帰りできるのでもう楽々、のんびり行きますか、とだらけていた私に背後から厳しい愛のムチ、なんとこの年は旅館の改修で冬季一時休業中でした。ということで一気に荷物が増えてのテント泊、天と地ほどの差です。しかもテントを張ったのは登山口から急坂を登った先の樹林帯なので、旅館と標高差100mくらいなんじゃないかという、温泉の煙が届きそうなところ。うーん、泊まれたらどんだけ幸せだったことか。
 初日は悪天なのでゆっくりめで自宅を出発、夜が長いのが寂しいのでちょうど真っ暗になるころにその幕営地に着くようにしました。何たる寂しがり屋。パッとテントを張って、パッとご飯食べて、パッと寝ましたってくらいおそらく何もしていないです。  翌日は朝焼けを撮ろうとも考えていましたが、いまいち気持ちが盛り上がる構図が浮かばなかったのと、結構雪が深かったのでどのくらい時間がかかるか読めず、無理に急ぐのはやめることにしました。が、今考えると甘ちゃんです。樹林帯の雪の深さは深いところでスノーシュー履いて膝下くらい。ぼちぼち積もっていて、わさわさと雪を掻き分けて登っていきます。見上げると霧氷がなかなかきれい。なかなかのラッセルでやはり時間がかかり、樹林帯を抜け出るのに2時間ほどかかってしまいました。  樹林帯から出て、雪崩の危険のあるボウル状の沢に入っていきます。積雪、雪質ともに雪崩の起きる感じはなさそうでしたので、気持ちよく突っ切るように歩いていきます。とはいえ何だかんだ万が一雪崩が起きたときに喰らいにくそうな場所を選んで進んでますよ。  そんなこんなでボウル状地形の上部で撮った写真が今回のものです。ガイドブック用の写真を撮るときも、これをメインカット、あれをサブカット、と頭でページを組み立てながら撮っているのですが、焼岳のメインはこれがいいだろうな、と思いました。夏山だったら、まずはどんな容姿の山なの?という登る人が一番最初に興味を持ちやすいカットをメインに据えることが多いのですが、それはイメージ的写真に情報を割いても一般的に誰でも登れるからそれでよいかと思います。一方雪山だとまず夏山は登っていて当たり前で、積雪による変化などそれ以上の情報を盛り込んでいかないと情報不足だと思っております。焼岳は上高地から見る景色か綺麗で有名ですが、雪山ガイドブックでそれを載せても、写真はきれいでもあまり意味はない、となるわけです。その他メインとしてはボウル状地形に入る手前からの、南峰と北峰と地形がわかるカットもいいのですが、何というか、「ザ・ガイドブック」という感じが出てしまいます。ここからは私の個人感、趣向みたいなものですが、「ザ・ガイドブック」からもう一歩踏み込んで、ここ登ったら面白そう!という感情が追加されるようなカットを使いたい、と心がけております。ということで、今回のメイン写真のような感じになります。

面倒くさがり屋です。かなりの。

 ボウル状地形からスノーシューのまま稜線の分岐に上がり、北峰山頂まであと10分くらいでしょうか。ほんのあとひと登りなんですが、ちょっとここだけ岩場になってますのでいちいちアイゼンに付け替えて、登頂。到着した午前10時頃には残念ながら高曇りみたいな、ちょっと残念な天気になってしまいました。まあ、もともとそんなにいい予報ではなかったので、なんとかお許しをいただければ、といったところでしょうか。展望はいいのですが、光が薄いのであまり山に陰影がつきません。とりあえずガイドはなんとかなったけど、、、、作品系が撮れていないので正直欲求不満が溜まります。う〜ん、残念。
 ちょうど登頂した頃に頭上をヘリが旋回していました。平日のこんな天気の日に登ってる奴いるよ、暇な奴だなぁ、と思われてるだろうな、と。すみません、と考えてしまう性質の人間です、私は。南峰方面を見下ろすともくもくと噴煙が上がります。熱いのか寒いのかよくわからん山です。正直焼岳の山頂風景につきましては、碧い池の見える夏が好きでございます。しかしながら穂高の眺めは最高の場所で、ドズンと大迫力、なつかしのジャンボマックスのように立ちはだかります。これはもう冬のほうが壮観ですね。  一通り撮ったら下山、テントを回収して中の湯バス停まで下っていきました。幕営地から山頂まで、登りで結局5時間ほどかかりましたが、下りは約1時間半。なんでしょうかこれ。あ〜中の湯温泉~。風呂ぐらい入らせてくれ~。結局毎度の通り、入浴せずに帰宅しました。寄ろうと思えば平湯とか、松本周辺にもありますけど、いかんせん車がないもので面倒です。5時間もかけて登っているとそれなりに汗はかきますから、風呂は入りたいところ。というかよく考えると(考えなくても)日帰りじゃないし。

 雪山は泥とかで汚れないから、いいよね。。。?

 やっぱりダメ?

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