Report

— 過去に撮影した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート100
11 Feb 2023更新

2014年2月5日 撮影・「天狗岳」


 ところで来月3月19日、静岡は富士宮の静岡県富士山世界遺産センターにて公開講座を致しますのでご案内させていただきます。静岡県まで足を運ばないといけないので、、、近い人しか来ないんじゃないかと危惧しているわけでありますが、ご興味ありましたら是非。講座内容はふるさと富士をメインに、山の写真の撮り方、眺め方を話したいと思っております。午後2時からですから、午前中はどこかハイキングにでも出かけてもらって、そのついでに寄っていただくと良いです。ってそんなうまくいかないか。まあしかし春めく季節ですので、お出かけにはちょうど良い気候かもしれませんよ。何て言って雨だったらすみません。まあ、ご興味ある方は是非よろしくお願いします!リンクはNewsページに載せておきました。
 また、YouTubeの双六小屋さんのチャンネルで西鎌尾根のガイド動画を公開致しましたので、こちらもぜひご覧くださいませ。
 さて、本レポートも無事100回目を迎えたわけでありますが別にこれといって特別でもなく、何を書こうかなとなかなか決まらなかったので、先日黒百合ヒュッテの岳樹さんが「お誕生おめでとう」メールを送ってくださったので天狗岳にすることにしました。このレポートでも天狗岳は何回か書いているのでこの時の天狗岳も書いたような気がしていたのですが書いてなかったみたいで。このところ天狗岳にはずいぶんとご無沙汰してしまっているので足を運びたいところであります。
 というわけで天狗岳、このときは2014年2月5日でございます。予想天気図を見ると確実に高気圧が乗るわけではないので結構ギャンブルだったのですが、おそらくこれくらいなら八ヶ岳は晴れるだろうと思って突っ込みました。雪山ルート集用の写真を撮らなければならなかったので、もう本当にキツキツスケジュールだったのですが、結果的にはよくぞ晴れてくれた、、、と言いたいところであります。天狗岳だけなら日帰りでも十分ですが、せっかくなので1泊してゆっくり撮影してから翌日は東側へ抜ける予定です。
 平日は茅野駅からバス便がないもんだからタクシーで渋の湯へ。10時ごろ歩き始めまして、サクッと11時には黒百合ヒュッテにおりました。装備ははじめからチェーンスパイクで、今回はこれで通す予定です。歩き慣れていれば天狗岳くらいならチェーンスパイクで問題ないと思いますが、事故が起きると困りますのでオフィシャルな発言ではありません、※個人の感想です。
 樹林を抜けて黒百合ヒュッテの前に出るとスッキリした青空が広がり、今まさに晴れたんですよと言わんばかりの霧氷の森が目の前に飛び込んで参りました。何だかんだで黒いシラビソ林のときが多いのですが、辺り一面真っ白でしたので撮影する側には嬉しい限りです。小屋に挨拶をして早速奥庭の方へと登り、まずはいつもの鉄板景色を撮ります。八ヶ岳は天候が少し落ちつくとすぐに樹々の緑が目立つので、降雪直後の真っ白景色に出会えると嬉しくなりますね。雪が落ちないうちにたくさん撮っておきたいので天狗岳の撮影はそこそこに樹林のアップ写真ばかり撮っていた様な思い出。この時はまだ山に雲がかかっていた状態でしたが、これはこれでなかなか良い雰囲気です。山の上にかかっているだけなのでしばらくしたら綺麗に晴れるでしょう。
 お次はせっかく真っ白になったので中山峠から少し北に向かい、中山展望台に行きました。樹林が開ける小広い雪原は西側の展望が開け、蓼科山までの眺めも良くなります。西側にはまだ雲がだいぶ残っているんですが、北アルプスも結構見えてきておりました。写真的には開ける展望は結構どうでもよくて、むしろ樹林越しに天狗岳が撮れるのがいいです。かつ、あまり山腹は見えずに樹林から頭を出す感じなので中山峠や奥庭などとは違った趣の写真が撮れます。そしてその樹々が霧氷状態なわけですから、ありがたやありがたや。天狗岳の上もすっきり晴れて抜けの良い青空が広がっておりました。
 午後1時半ごろには中山峠に戻りまして天狗岳山頂へと向かいます。霧氷&一面真っ白ではありますがさほど積雪はないのでサクサク進みます。足元もチェーンスパイクなので足運びが軽い。途中色々と撮りつつ、東天狗の山頂に到着です。赤岳方面も少し雲が残っていますがいい感じで晴れておりますね。右手を見ると雪でのっぺらぼうのようになった西天狗の姿が見え、せっかくなので足を延ばします。途中のコルのところ付近から撮る南八ヶ岳の山なみが好きで、毎度足を止められます。なんというか赤岳の屹立とした険しい姿が見えるのですが、ややのどかな硫黄岳の山容が絡まって「まるっとした」不思議なひとまとまりになるんです。もちろん東天狗、西天狗の山頂から見てもさほど変わりませんが、やや標高を落としたコルあたりからのほうがちょうどバランスが中央にくる感じがするんですね。撮影にちょうどよい岩もあるし、まあここが好きです。西天狗に登りましてから40分くらいかな、ずっと山頂で撮っておりましたが飽きないなぁ。。。そこからはやや急ぎ足で戻って、夕方はまた奥庭で天狗岳の撮影に勤しみました。すごく焼けたというわけでもないですがなかなかいい夕方だったかな。夜に小屋前でマイナス18度でしたからそこそこ冷え込んだ日ではありました。
 黒百合ヒュッテではお仕事できていたガイドさんなどと談笑しながら夜を過ごしました。覚えているのは「あっちこっち登ってて今年の冬はどんな感じ?」と聞かれて「う〜ん、やたら南岸低気圧が多い様な気がしますから、これから太平洋側にも結構雪が降りそうな気がしますね〜」なんて言っていたら2月の半ばに関東で記録的大雪になりましたので自分で自分に「さすがだな!」と後から思ったわけですが、まあよく見てれば誰でもわかるか!しかし本当にこのシーズン(2013〜2014)は12月から着実に冬山になってくれましたので撮影には本当に助かりました。ここ最近は年末まで本当に雪が降らないから冬山の撮影期間が少なくなっておりますです。3月になると何だかんだで春だし。
 翌日6日は定番の中山峠から朝日を浴びる天狗岳を撮影後、天狗岳を越えて夏沢峠から下ります。この日の方が天気がいいはずと思っていたのですが、少し厚手の雲が空を流れておりましたので少しずつ下り坂になっていたようです。まあ昨日ほぼ必要なものは撮れましたので焦ることなく工程をこなしましょう。中山峠からの天狗岳は本当に定番ですが、これはこれでやはりいい景色です。奥庭とどっちが良いかと言われると、何でしょうね、奥庭の方は迫力のある山容に撮れて、峠の方は端正な山として撮ることができるので、本当にちょっとした距離の差ですが不思議と絵が変わるものです。パンチが強いから奥庭の方がそりゃ好きですけど、他の絵との組み合わせ次第では端正な山容の絵も必要ですから、やはりどっちも撮っておきたいところです。

恥ずかしいったらありゃしない

 朝8時くらいには東天狗を越えて南下します。南側から見る天狗岳も高度感があって好きですが、やっぱり北側の方が絵になるのはなぜなんだろう。山っていろんな角度から見られるわけですが、面白いことに「どう考えても、ここから見る山容がベストだな!」というものがあったりします。そりゃあ自然の地形ですからよく見える場所、見えない場所があって当たり前なんですが、「〜山」と固有名詞を与えられていると所謂北側から見ようと南側から見ようとカッコいい山はカッコいいはずと錯覚してしまいますね。静かな平日、誰もいない夏沢峠から本沢温泉へと下り、しらびそ小屋あたりで空を見上げるとすっかり高曇りでありました。しかし八ヶ岳は本当に気軽に入れて気軽に出られるから楽で楽しいなぁ。
 小屋泊まりで荷物も軽いですから、下山もサクサク進みます。稲子湯に着いたのが10時半ごろ。1泊ですし、無理に風呂に入るのも面倒なのでタクシーを呼んでそのまま松原湖駅へと下りましたが、だからといって汗かいたシャツを着っぱなしで新幹線に乗るのも何だから、誰もいない松原湖駅ホームの東屋で着替えました。「着替えました」って、いくら無人駅だからって駅のホームで着替えるなよ!と言われそうですが着替えました。いや、だって誰もこないだろう。電車が来るまでには少し時間がありましたから駅から坂を登って国道沿いすぐのドライブインで何か食べた記憶がありますが、何を食べたかまでは思い出せない。しかし帳簿を見ると「398円」と書いてあるので何かは食べたんだろうけど、そんな値段で食べられるものって何だろうか。。。うどんを食べた様な気もするが398円で食べられるんだろうか?
 ともかくおかげさまで雪山ルート集は無事形にすることができまして、黒百合ヒュッテにもお世話になりましたものですから(宿代払ってねえ!最低だな!)、見本を送らせていただきました。当然ではありますが私は印刷の手紙などは添えず、礼儀上しっかりと一枚一枚手書きのお礼状を添えるわけです。大変お世話になりました、と。

 何年か後に黒百合に足を運んで
 書棚に送りました本がありました

 パラパラとめくってみると
 その手書きの手紙も本の中に入っておりました
 う〜む、字が汚い

 恥ずかしすぎて死にたい

TOP

Past Articles

※過去の記事は4回まで掲載。それ以上は順次削除します。

TOP