Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

レポート07(改訂加筆)
01 Apr 2021更新

山と溪谷2017カレンダー・季節の山めくり「岩木山」


 いやぁ、一気に暖かく、というか暑くなってきましたね。例年よりもどうも暖かい感じが致しますって毎年毎年言っているような気がしますっていうくらい暖かいです。そろそろいい加減に以前から言っている動画を仕上げろよ、という声もチラホラと聞こえてくるところではありますが、いやもう少し。一生懸命やっております。でも出すにはいくらかはちゃんとしたいので細かいところまでやっているので遅れて遅れて、、、いやこれじゃあ「出す出す詐欺」じゃないか?まあでもあともう少しのところまで来ましたから何卒お許しください。ちゃんとやってますから。もちろんもっと早くできたんじゃないかと反省もちゃんとしております。
 が、暖かくなってきたので先日シーズンインしてしまい陸上トラックに行ってきてしまいました。そんなことやってるから進まないんじゃ、、、とか言わないでください。ずっと走っているわけでもないですから。今冬は正直非常に体調が悪く、毎朝起きても頭が重く、トレーニングもまったく全開でできなくてそろそろ引退なのかな。。。なんて本気で思い始めちゃったところでしたが、手動計測ながらスパイクで100m走ったところ11秒1でした。まだ生きていかれそうです。まあもちろん正確タイムではありませんが今までトラックだと速くて11秒5くらいだったから、どうも速くなっているみたいである。昨年も11秒1とかで走れたけどそれはロードなので距離がそもそも怪しいですが、ちゃんとトラックで走れたので、まあ11秒3くらいはいけるんではないかと。とりあえず今年は100mを電気計時で測っておきたいです。何だかんだ言ってもそろそろさすがに落ちてくるとは思いますから、ラストチャンスみたいな感じで記録が出せるときに出しておきたいです。なので今年はコロナの影響がないといいのですが、何だか昨年とは違って普通に記録会はありそうなのでとりあえず100mに出てみようかな、と。まあそして「フライング一発失格」までが様式美なのではありますが(経験あり)。
 どういうわけでかそういうわけで、やや時間がかかってしまいましたが4月中には確実に動画をお届けできるかと。今年は少し動画の方に力を入れていこうと思いますので、再編集とか新作とか、ここから他のものも出していく予定です。お楽しみにお待ちくださいませ。って「出す出す詐欺」じゃないか?

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 さて、今回の写真ですが、2016年10月に発売した今年のカレンダーで使用したものです。このカレンダーは週めくりで、全部で53カットの写真をしっかりエリアと季節を変えて使用しておりました。小さいタイプでしたが通常の12ヶ月カバー含め13枚のカレンダーよりも色々な絵柄が楽しめてよかったんじゃないかと思います。絵柄はしっかりとそのシーズンの雰囲気を出した写真になっていますので、登山の参考、目安にもなったかと。この岩木山の写真は3月12〜18日の週で使用致しました。
 今年は出さないんですか〜というリクエストメールも結構いただいており、でも出せてなくてすみませんです。毎年53枚しっかり季節感を出しつつ日本各地をバラつかせる、というなかなか高いハードルをこなすぐらいの潤沢な素材はあるので内容は問題ないのですが、如何せんそんな内容よりも日本社会特有の「仲が良くないと仕事あげない」「頭下げないと仕事あげない」というハードルを私が越えられないために出せておりません(笑)。いや別に全方向に敵を作っているわけでもないのですが、個人的なモチベーションとしてはコンテンツのベースというものが完全にネットに移ってるからかな。。。と言ったところでしょうか。はたまた別に偉ぶっているわけでもありませんよ。いつでも初心者の気持ちで仕事はしておりますし、ただ何というかどうしても「こだわり」というものがありまして、これを譲るか譲らないか、が大事だとも思っておりましたりしてましたり。お金を頂いたとしてもゴミを出すくらいならやらない、という良く言えば「プライド」ですけど、ふと気づくと「武士は喰わねど高楊枝」状態のような気がしないでもない。まあしかしながらそんなつまらないところに個々の差異というものがあったりするのかな、と思うわけで。今の時代なんか正直シャッター押せば写真は撮れるし、映像も撮れるし、何でも簡単。でも誰でもできるようになるとその世界は楽しいのかどうか。誰でもはできないことをやったり見たりするから楽しい、というところもあるわけで、そんなわけで意味もなく貫けるところは貫きたいな、と。まあ言い訳です。
 ということで、写真の撮影日は2014年4月1日。ドヤ顔で「季節感」とか言いながら、カレンダーではいきなり3月12〜18日の週の写真じゃないじゃないか、と言われるかもしれないが、、、このぐらいの誤差はすみませんがご愛嬌。というのも実は、この年の3月中旬に一度岩木山に撮影に入り、なんと天候不良で失敗しておりまして。。。他のガイド本でもこの山を入れるため、しっかりと晴天下での写真を収めなくてはならないので、日を改めて再度チャレンジとなったわけであります。この年の雪山は天気読みが冴えに冴えてほぼ無敗を誇っていたところだったのですが、このみちのくの、海沿いの孤峰に初めて黒星を喫したのでありました。ってここは前回のレポート79を読んでくださればわかりますね。この前年、2013年にも冬の岩木山に登っているのですが、この時もあまり芳しくない天気だったので、晴れそうな天気図でも結構ギャンブル的な要素が強い山だとは思います(負け惜しみ)。
 そういうわけで前述の通り、この写真の約2週間前の取材では撮影に失敗しております。一気に晴れてきそうな感じはあったのですが、雲が取りきれずなくなく下山、夕方の帰りの車窓でようやくきれいな岩木山が姿を現すという屈辱を味わっております。翌日は早くも天候が悪く、この時は本当に夕方しか晴れなかったようで、そんな微妙な日をピンポイントで狙いに来た方が悪いと言われればそれまでですが、来るまでは結構自信満々で行きも帰りも新幹線はやぶさを利用するという豪遊?ぶりでありました。しかも弘前に前日入りしての前泊プランという余裕たっぷりの感じが悪い行いだったのか、岩木山は雲に隠れたままでございました。改めて4月1日、日本全国津々浦々の山に撮りにいかなくてはならないのに、岩木山はこのシーズン2度目のチャレンジとなります。これ以上予算はかけられないので新幹線は諦め、夜行バス「パンダ号」で参戦となったわけです。
 「パンダ号」。その響きは時に甘く、時に苦々しい。二十代のときは何度お世話になったかわからないほどよく乗っていたし楽しい思い出も多いのだが、今や夜行バスと聞くとちょっと厳しい、、、、のは年をとったということでしょうか。3列シートならまだなんとかと思うが、このパンダ号、4列なので結構疲れるのである。ただし!である。片道5,000円。。。。繰り返す、弘前まで片道5,000円。「な・・・なんだってー!!」である。新幹線であれば東京〜弘前が片道約18,000円、往復36,000円のところが往復10,000円。余ったお金でHGUCネオジオングが買えてしまうではないか。い、いやそんなことは元愛用者としては十分に分かっているのだが、前回取材では夜行バスを避けたいがために新幹線&前泊までしたのである。しかし失敗した、、、。2度目の取材は予算のためもあるが、この失敗した自分に鞭を打つためにも、ここはひとつ初心に戻ってパンダ号での取材が今は不可欠であるという結論に至ったのでありました。
 夜行バスのため、宿泊費はもちろんかからない。ちょうど日の出の頃あたりの薄暗い時間に弘前に到着した記憶がある。この日は朝から岩木山がしっかりと見えたので、早くもなんとかなりそうだと安堵したのを覚えている。だが今度はあまり暖かくなってくると雲が湧きそうな気もして、気が気じゃないのも確か。24時間営業の店舗でコーヒーでも飲みながら時間を潰し、バス便を待つ。もうあとは入れ食い状態の岩木山に向かうだけで終わりの簡単なお仕事なのだが、前回が前回だけに終わるまではなんとも言えないのがつらいところ。今回撮りきれなかったら、終わるのかな、これ。散々待ってから嶽温泉までのバスに乗り、きりりと晴れた岩木山へと向かっていく。先々週も登っているので、行動は至って機械的。ボーグぐらい機械的。なわけで前回と同じような行動パターンでバス停を降り、前回と同じような行動パターンでスノーシューを履いて黙々と登っていきました。違うところと言えば、岩木山が晴れている!ってこと。
 まっすぐに続くブナ林の道を歩いていくと、青空の下、岩木山の鳥海山が樹林の隙間からチラチラ姿を見せます。今までにない晴れの雪の岩木山に心が躍りまくるわけですが、朝から晴れていたので当然先々週に見られた霧氷は全く付いていなったのはちょっと残念。あれはあれであの天候だから綺麗だったわけです。まあしかし前回同様他の登山者は誰もおらず、独り占めできるのはうれしい限り。樹林帯を抜けてひと登りすると岩木山八合目で、スカイラインの広く平たい駐車場、の雪原に出ました。後ろを振り返るとすんなりと晴れた青空に白神山地が。うぉ〜晴れろ晴れろと粘りまくった先々週はなんだったのかと思うような快適な環境です。晴れるとやっぱり気持ちいい。
 雪がない時期はこの駐車場まで車、ここからリフトで九合目、あと3〜40分あるけば登頂できるというお気軽山の岩木山。でも下から登ればそこそこ登り甲斐のある山で、アンド麓から眺めた姿が美しいこともあって私の大好きな山のひとつであります。夏も好きですが、雪が降ると一転、誰もいなくなるという感じがいいのか冬の時期が一番好き。冬はなんかこう、安全なのに異国のすごい山を登っている、ような雰囲気が楽しめる感じがするのであります。まあ人がいないかどうかが大きいのかもしれないけど。登って眺める景色は日本の景色そのものなのですが、稜線に上がったときに見える真っ白な頂の迫力は凄まじいものがあります。結局てくてく登っていかれるんで目の錯覚なんでしょうけど、ともかくそういう錯覚が楽しめるだけでも気分が上がるというものです。
 八合目の駐車場雪原からはリフトに沿って登って九合目へと向かいます。ここからトラバースしながら鳳鳴ヒュッテの避難小屋に一気に向かうこともできますが、天候が悪いときや雪崩が起きやすいときはおすすめしません。この時はガイド本を作ることもあって、当然一番安全なコースで歩いていきました。いや、先々週も登ってるんだから気持ちはショートカットしたかったけど。前回は八合目の時点で結構ガスって視界が悪かったですが、このリフトのおかげで淡々と登ることができました。
 稜線、九合目に上がると、周辺はエビのしっぽだらけで大興奮です。真っ青の空とその強い日差しから生み出される影が、このエビのしっぽの美しさをさらに引き出しております。おそらく前回もだらけだったんだろうけど、樹氷とかエビのしっぽは晴れてナンボなんですよね、やはり。この立体感、つまるところ彫刻作品ですから照明が大事なわけです。歩きながら何度もシャッターを切りつつ、興奮でヨダレを垂らしながら頂へと向かいました。
 鳳鳴ヒュッテから急な斜面を登ればもうそこは山頂。面倒なのでスノーシューのまま急斜面を登っていきました。雪上歩きに慣れていない人はアイゼンに変えるのが無難ですが、大のスノーシューファン、いやリフターのファンとしてはこのまま登っていきたいところであります。個人差があるのでこんなことはガイドブックには書けませんが、雪質、斜度ともにスノーシューの範疇だと思われます。夏は岩場の場所だが、冬はきれいな斜面になるので、まっすぐ、姿勢を正して登っていくだけ。どこまでスノーシューでいけるか、これはスノーシューファンとしてはやはり命を懸けてでも試したいところです。

撮れてしまえばどうということはない

 山頂に乗り上げると、先々週とは全く違う景色が広がっておりました。当たり前か。白神岳は八合目に上がる前から見えていましたが、山頂からは津軽平野と八甲田連峰がきれいに望めます。そして日本海の海岸線が美しいカーブを描いて横たわっておりました。そしてその奥にはなんと、ななんと!北海道までしっかりと見渡すことができるではありませんか。渡島半島の末端だけ見えて北海道と言っちゃうのもなんだが、まあでも北の大地である。それをこの頂で見ている、というのが何とも言えません。これはもう最上徳内や間宮林蔵ですら見てない景色ですよ。いやあいつらならついでに冬の岩木山くらい草鞋で余裕って感じで登っているかもしれないが。。。
 先日の真っ白な山頂とは全く違う景色、そしてこの頂に今自分ひとりだけが立っているというのは何とも言えない気分ですね。しかしながら、前回失敗していることもあるためか、気持ちとしては「満足」という感じではなく、とりあえずひとつ仕事を終えられたというホント「安堵」みたいな感情でした。だって単純に今回分の予算は浮いたわけで、ネオジオングどころかいろいろ買えたし。。。とかセコすぎ。いいや、違う。たぶん満足していないのは、ガイド本の仕事に引っ張られてここにいるからだろう。美しい名山を前に、満足できるほどの作品写真を撮れていないのであります。まあこんなアッケラカンと晴れてしまってはそんな写真も難しいですが、でもとにかく仕事をこなす、という気持ちじゃなくて、絵を撮る、作る、という気持ちで立っていたいですね。しばし山頂での絶景に酔いしれて、もう上着は先ほどからのヨダレでビショビショ、みたいな感で、完全に脳内はアル中かヤク中の状態でした(幸せ)。
 九合目まで下ってきて、鳥海山へ。ここから見る岩木山は迫力もあって好きです。冬に再訪するときは、ここから朝日を浴びて真っ赤に染まる岩木山を撮りたい。これを撮って何とか満足まで持っていけるだろう。絵もいいし、あまり見かけない写真なところもいい。南稜から見る利尻山のトゲトゲがない感じといったところか。つまりトゲナシトゲトゲといったところか(納得)。
 下り始めると早いもので、ずっと緩い斜面で麓まで1時間とかからない。嶽温泉でスノーシューを外してバッグにしまい、せっかくの晴天ですからここからはとりあえずバスに乗らずに麓から岩木山が撮影できるところまで歩いていきました。嶽温泉からも岩木山は見えるのですが、ここからだと見えているのは本峰ではなく鳥海山になり、台形っぽい形もあって岩木山らしくない。離れれば離れるほど裾が美しい山だがあまり離れすぎると迫力が損なわれるので、そこそこの距離感は大事であります。わかりにくいですが「〜から望む岩木山」ではなく「岩木山」が撮りたいのであります。頃合いのところで三脚を構え、今回トップの写真を収めたのでありました。結局嶽温泉から4キロほど歩きましたが。。。
 とりあえず一度敗北したものの、再チャレンジで無事になんとか晴れの岩木山を撮ることができました。このシーズンで敗北を喫したのはこの岩木山だけ、なかなか手強い相手でありました。「お前もまさしく強敵(とも)だった」という感じでしょうか。勝因は、謙虚に、初心に戻ってパンダ号を使ったのがよかったのかもしれない。何事も驕るる勿れ、である。やっぱり大事だ。

 この初心は忘れないようにしたい。
 基本中の基本である。

 帰りは新幹線(「答:コロンビア」のポーズ)。

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