Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 61
31 Jan 2020更新

2014年発行「厳選雪山ルート集」掲載写真「日光白根山」


 いやしかし、月日が過ぎても異常な状態が続いていておりますね。相変わらずキリッと冷え込むような日はほぼ無く、寒気が来ない。妙高や魚沼で積雪が全くない0cmというのはさすがに過去に例がないのでは。貧雪と言えば近年で一番少なかったのは2015-16の冬が思い出されますが、余裕で下回っているかと思います。ただしいつもと逆の南岸低気圧ばかりなので、関東のいくつかの山は例年並みというところもありそうですが、まあ冬らしくない。たぶんですが今冬はもう寒気が下りてくることはなさそうです。というかいくらか寒い日が来たとしてもおそらく数日、2月に冷え込んだとしても日も延びてきますしもうムリぽかも。
 2月って一般的には一番冷え込むとか、登山だと厳冬期っていうくくりなんですが、実際最近の天気の傾向だと2月も10日を過ぎるともう結構暖かい日が出始めたり、冬型が続かなかったりと微妙なところでは結構春めいてるんですね。谷川岳みたいな降雪は多くて標高が高くない山だとそういうのが顕著に体で感じやすくて、2月も10日を過ぎると雪がだいぶ締まりますから、登っている途中で「ああもう冬じゃないんだな」と思うことが多いです。なので今年はとくに、今更寒い日が来たところで時すでに遅し、のような気が致します。撮ろうと予定していたいくつかの山を断念せざるをえなくなるのは非常に残念ですが、それよりもここまで雪が少ないと春はどうなるのかとか、雪の蓄えがないから夏だって水不足になりそうとか、色々と心配になります。おそらく今年の秋の紅葉は確実に悪いと思われます。。。困るなぁ。紅葉はもう草紅葉とカラマツ中心の撮影にシフトしておくか。って気が早すぎ?
 さて、今回の写真ですが、冬の日光白根山です。おそらく、、、日光白根あたりだったら、今年でもさほど顕著に雪が少ないと思うことはないと睨んでいるのですがどうでしょうかね。そもそももともと思いっきり雪が多いという山でもないので、南岸低気圧のおかげもあってそこそこありそうな、、、気が致します。ああ、となると久しぶりに行きたいなぁ〜と思うのですが、今冬の予定に全く入れていないもので、、、残念です。
 冬の日光白根山というと多くの人が丸沼からの往復日帰りルートを想定していると思うのですが、私と致しましては「厳選雪山ルート集」での奥日光から丸沼へと抜けるルートがやはりおすすめでございます。とくに奥日光から山頂までの行程は変化に富んでますし、歩き甲斐もあります。そしてこの前白根山からの日光白根山の眺めがありますので、それに比べると丸沼高原から樹林帯に潜って一気に山頂、というのはちょっと味気ない。また、登山がメインだとピークハントが目的がなりがちですが、それだと実はただ登っただけで、山の山となりはよくわからないと思うんですね。せっかく自分で登る山、登った山ですから、その山が地学的にも歴史的にもどういう山なのか、というのを知るというのは大事なことだと思っております。ということで今回は日光白根山のおすすめのルートでのレポート、撮影は2013年1月31日でございました。
 ということで出発は前日の1月30日、何と言いますか日光や尾瀬方面へのおでかけは都心を介さずに現地へ向かうことができますので、何となく気楽な感じがして好きです。どうしてもあの都心の混雑が好きではないので、というか大荷物を抱えて都心を歩くのはただただ迷惑野郎なので、当の本人も嫌で嫌で。誰もいない早朝や人もまばらな昼から夕方ならいいのですが、ラッシュ時に当たったりすると何かもう自分が邪魔ものにしか思えなくて死にたくなります。周りの人から見たら何でこんな平日に山行くんだよ〜としか思われませんし、自分でもそう思います。反省してます。なので北千住から東武線で下り線とか、もうとっても爽やか。
 東武日光駅から湯元行きのバスに乗り、湯元着は午前11時ごろ。湯元の駐車場はガラガラで、寒々しい空っ風が吹き抜けておりました。雪がどっさり積もってる雪国だと雰囲気があるのですが、こう積雪が少ない場所だと何だか非常に心細い感じになります。とりあえず自販機でコーラと暖かい飲み物を買い、暖かいものは水筒に、コーラはさっそく胃袋に入れてからスタートします。寒いけど、とりあえずブドウ糖だぁッ!
 湯元スキー場でリフト券を購入、2機乗り継いでゲレンデトップへ。標高差は150mほどなので登ったってわけないと言えばわけないのですが、やはり何ぶんスタートが肝心です。何だか登り始めっていつもこう、ちょっと不安になるところってあるじゃないですか。登りに来てるのに心の片隅2%くらいで「また登るのか」とか「ちゃんと登れるかな」とか考えることって、ありません?まあそりゃそれが70%くらい占めたら登らない方がいいかと思いますが、、、、2%くらいあるわけで、そういう不安を機械の力でサポートして頂けると有難いわけです。いやまあ15分くらい経つとすっかり忘れるんだから歩き始めてしまえばどうでもいいことですが、、、、まあたぶん楽したいんでしょう。甘い?
 そんなわけでゲレンデトップから歩き始め、樹林帯を登ってサクサクと行きました。登り始めてすぐに結構な急登になりますが、まあ日光側なのもあって雪は少なくてつらい思いをすることはないです。そういうのもあってこのときはスノーシューではなくワカンを忍ばせておりましたが、、、あとで結局つらい思いをしましたので、スノーシュー持って来ればよかったな〜と後悔してしまいました。
 今だったら確実にスノーシューを持っていくと思います。というか日光白根山くらいだとスノーシューオンリーという手段も。。。山頂付近がちょっと岩場になりますから全くおすすめはできませんが、やはり雪がいくらかあって登山道を覆っているようであればリフター立てて登っていくのがすいぶん楽かと。スノーシュー自体が重いから。。。という人は筋トレが足りません!ちなみにこの数年後に日光白根山に来たときは、このときの恨みを晴らすべくスノーシューのみで登りました。何の恨みなのかは本人もよくわかりませんが。
 外山を回り込んだところで尾根に上がるとぐっと雪が増え、ちょっと苦しくなって一歩一歩が遅くなる、、、のですが樹林帯が薄くなってちらほらと景色も見えるようになるので気分は楽でした。ここまで上がっちゃえばもう前白根山までそんな標高差はないですし、この日は避難小屋泊なのでもうちょっとで終わりです。サクサクと樹林を抜けて〜、と開けたところに出るとなかなかの強烈な突風が吹いてきております。前白根山に近づけば近づくほど風は強まるばかり、、、というかなかなか体験できないレベルの風がダイレクトに吹き付けてきます。前白根山で見える日光白根山がドーンとかっこいいのですが、風もドーンときて、もうどうなってんのこれという風が吹き付ける。これって3000m稜線レベルの風なんですけど、、、足元が頼りないワカンのため、踏ん張りが難しい。。。ずいぶん情けない格好ではございますが結局四つん這いで前白根山の強風帯を抜け切りました。あそこは西風が直接当たる特異点なんでしょうかね、日本海から前白根山まで西側で遮る山が全くないということなのだろうか。那須の峰ノ茶屋みたいな。
 ということで前白根山から下って15分、午後3時前に本日のお宿の五色沼避難小屋に到着致しました。って小屋の入り口が雪で埋まってるがな。正式入り口の引き戸が雪で埋まった時用の高いところにある小さい入り口があるのですが、まあ荷物も大きくて出入りが面倒なので、、、、こういうときのためにちゃんとスコップを持参しております。とりあえずホリホリして入り口を出しまして、楽に出入りができるように。前白根山からの朝日の日光白根山、が今回のメインとなりますので、この日はちょっと早いですがこのあたりでお休みさせていただきます。五色沼にちょっと散歩に行きましたが、もう陽も当たってなかったので翌日に期待致します。
 さて、翌朝は午前6時前に小屋を出まして、日の出前には前白根山にてスタンバイ。この高気圧がしっかり乗る日を狙ってきておりますので、さすがに朝から快晴で、昨日のような強風もピタリと止んでおります。6時45分のちょっと前あたりから次第に日光白根山に日が当たりはじめ、山肌を赤く染めていきます。本峰の日の当たり方はいいのですが、外輪はちょっとかすった感じで当たっていましたので、日の出の角度が少し南寄りのもうちょっと早い時期、正月明けくらいのほうがよかったかな、、、と思いつつ、まあとりあえず撮影を進めます。
 ひと通り朝日の撮影が終わって、だんだんとしっかり日が当たってきます。このあたりが今回の写真です。前白根山からはちょっとだけ外れて南側の方に回ったところから撮影しております。このくらいの位置のほうが外輪と本峰でこう二層にしっかり分けられて絵的にはいい感じになるかと思います。そしてこの写真だと構図的にはもうちょっとだけ、数mmくらいピークの位置が左にあったほうが山の重量感が増してしっかりした絵になるかと。じゃあなんで外してあるかというと、まあガイドブック用ということで。ガッチリ撮れて、よし!と思える写真をガイドブックに使うのはもったいないと思っちゃったりなんかしちゃったりして。
 結局朝は同じ場所で2時間くらい撮影していましたでしょうか。そのあとは避難小屋へ戻り、8時30分ごろに五色沼へ。五色沼にはまだ完全に日が当たっていなくて、沼のほとんどは影の中。こういうのもなかなか雰囲気があっていいです。ばっちり日が当たっちゃうと時間の経過的なものが絵に入れられないのでちょっと味気ないとも思ったり。徐々に日が当たって影のグラデーションができるのは雪ならでは。あとは誰も人がいないというのがいいですね。9時くらいに稜線から太陽が顔を出し、全体的に日が当たり始めました。沼は雪で埋もれていますが表面には結構シュカブラができており、撮りどころはいっぱいありました。
 では避難小屋に戻って荷物をまとめまして、山頂を目指します。小屋から山頂直下まで結構雪が深くて、またスノーシューは欲しい、、、と思いましたが、結果的には1時間くらいの登り、まあこのくらいならワカンで荷物を軽くするというのも悪くないのかもしれません。急斜面の途中でアイゼンに付け替え、山頂付近の台地に乗り上げます。そこからは10分かからないくらいで山頂。無風、無人、快晴、なんとも気分のいい山頂でした。展望はどの方向もくっきりで様々な山を見渡せます。近くの燧ヶ岳がよく目立ちますし、背の低い谷川岳、その奥に顕著な台地状の苗場山、その奥に妙高と火打山がタテに並んで見えておりました。

時は来た。それだけだ。

 さて、ここからは黙々と下山するだけです。午前11時すぎに山頂付近から下りはじめまして、そこそこ積もった樹林の中を進んでいきました。下山した後の今は亡き鎌田行きの路線バスが午後1時と午後5時の2本、急いで下れば午後1時便に間に合うかと思いますが、何せ快晴、丸沼ロープウェイ山頂からの景色も撮りたいですし、ゆっくりと下りていくことにしました。まあ、ゲレ食食べたり、風呂入ったり、ロープウェイ駅にいればあたたかいし、時間を潰すのはいくらでもできそうです。
 樹林帯の雪は結構積もっており、トレースもなかったのでそれなりに時間もかかったような。七色平に寄り道して、丸沼山頂に着いたのは午後1時ごろ。とりあえず自販機で飲み物を買って一服し、ゆっくりと日光白根山を撮りました。さすがに気温もぼちぼち上がっていたのでもう樹々には雪が乗っておらず真っ黒。全体的に真っ白の写真は持っていないのでいずれ撮りたいですが、午前中までいくらか雲に巻かれているような日でないとダメですね。時間的にはお昼〜午後でいいので、朝自宅でライブカメラで確認後に急いで出かけて狙う、というやり方でそのうち撮りたいと思います。
 ということでロープウェイで無事下山。チケットは下で払ってください、と言われましたので下ってからフロントでロープウェイ代を払うと、「登山者としてロープウェイ利用するのであればここでも登山届を出してください」とまあ決められたルールを伝えられ、下山しているのに登山届を出すという謎の行為。まあそういう決まりですから別にどうということもないのですが、下ってきて登山届を書く、という不思議な体験でございました。
 この時点で午後3時。バスが午後5時なのでとりあえずご飯を食べてから、風呂でも入るか、とまずは食堂へ。月並みですがカレーを食べた記憶がありますが、避難小屋でもレトルトカレーを食べた記憶があります。いやぁでも暖かい場所で温かいものが食べられるのは幸せです。気持ちも落ち着いて、眠くもなっちゃう。あとはコーヒーを飲みながらプロっぽくグダグダと過ごし、午後4時頃になったら風呂に入ってバスで帰るか〜とロビーにてプロっぽくのんびりしていました。タクシー呼んで早く帰るという手もありますけどまああと1時間くらい、経費削減でバス利用でいいでしょ。と思っておりました。
 そしたらですよ。なんだか周りがやけに慌ただしい雰囲気。お客はぞろぞろと帰っていく感じだし、フロントの人もなんだかいそいそと片付けを始めてる。なぜだろう。まだ夕方、スキー終わりなの?ナイターとかあるんじゃないの?のんびり椅子に座っているのは私くらいで、みんな動きが激しい。まさかね。

 でも何かちょっと怖いなぁ〜と思って
 フロントの人に聞くと、、、

 「午後4時で終わりですよ。」
 「え?ここのシャッター閉まるの?」
 「閉まりますよ。」
 「ここ発のバスは午後5時なんだけど、ここ閉まるの?」
 「閉まりますよ。」
 「じゃ、じゃあどこでバス待つの?」
 「外、、、のバス停じゃないですか?」
 「・・・・・」

 「タ、タクシーッ!!!」

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