Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 50
03 May 2019更新

雑誌 岳人・2015年4月号掲載写真「至仏山」


 10連休!どこも混雑しそうで写真撮りの私としてはどこにも出ねぇぞ!と気合を入れておりましたが、いきなりの降雪と桜の見頃と高気圧が重なっちゃったため、気がついたら東北に足を運んでおりました。混んでるか?と思ったら不思議とそうでもない。しかし、シチュエーションはいいがやたら風が強い。桜と山の撮影にはなかなかのストレスでございます。
 さて、どうしてもシーズンになると陸上競技の話が増えてしまいますが(山のシーズンでもあるだろうに)、先日は記録会で400mを走ってきました。前回のレポートでも散々体の調子が悪い悪いと喚いていたわけですが、とりあえず51秒50という好タイム。いや、決して調子が良いわけではなく、レース前もかったるくてだるくて、なんですがなぜかそこそこのタイムが出るのが謎。アキレス腱も結局治らないままだし、頭が重いのに、これ、なんでしょう。もしかして知らぬ間に誰かに刹活孔を打たれてるとか、と思って太腿を見るも打たれた跡なし。今シーズンは400mでは50秒台は出せそうです。となるとおのずと800mも、と思いたいが、その距離からは練習でも集中力が続かず調子が悪いので、今シーズンは短距離に徹したほうがいいのかな、と。でもとりあえず連休後半に800mワンレース、走って参ります。しかし、、、先日の400mはラスト10mくらいで東京理科大の爽やか君に抜かされてしまい、悔しい限りです。調子が悪くても悔しいものは悔しい。ああ、わかってます、歳です、歳。
 さて本題、今回のレポートですが、まさしく今時期の尾瀬から眺めた至仏山でございます。とは言ってもこの年は10連休ではありませんでしたけど、4月末の日祝、あ、でも連休ではあるか。
 なぜ普段は入らない連休になっちゃったかというと、そこは今年と天気が似ていてですね、平日に入るぞと意気込んでたものの、寒波が入って道路が雪で通行止めになってしまい、天気のタイミングを考えるとここしかなくなってしまいました、ということです。それこそ本チャンの連休に入ったら人だらけだろうし、春の至仏山はこの連休が終わると一時登山禁止となりますので、ここしかない、となったわけなのです。このときは他雑誌の自分の連載撮影も兼ねていましたので、同行者一人を伴っての入山です。な訳で余計に経費もかかっていますので失敗できないという緊張感。全部自腹ですから、そら連休でも入りますわな。
 初日の4月28日はとりあえず尾瀬は山ノ鼻まで入れればいいということで、焦らず8時ごろ自宅を出発という日曜らしい行動で始まりました。沼田まで駒を進め、案外近いようで遠く感じるような長い長〜いバスに乗り、鎌田で乗り換え、戸倉で乗り換え、ようやく鳩待峠へとやってまいりました。午後2時すぎに到着、まだまだ雪はこの鳩待峠でもありますが、空気感はすっかり春めいており、先日の寒波が嘘のようにもっさりしたぬるい雰囲気が漂っておりました。いいですねこの感じ。春です。
 鳩待峠から山ノ鼻へはいつものように下りから始まるという楽チン登山でございます。雲はまだぼちぼち残っておりますが次第に少なくなってきており、夕方には取れてしまいそう。賑わう山ノ鼻にてテントを張り、パパッと準備を済ませたら湿原ならぬ雪原へと撮影に参ります。と、その前に至仏山荘にてジュースを購入。小屋が空いているとこういうのがありがたいですね。そう、長かった冬も、もう終わりなのです。
 山ノ鼻ではあれだけの人で賑わっていたというのに、夕方の雪原には不思議とほぼ人影がありませんでした。いや、結構いい雰囲気だったのですが、、、みなさん勿体無い。しかしながら撮影する方と致しましては人影がないのは有難い限りです。皆様、ゆっくりビールでも飲んじゃっていてください。雲はいつしかすっかりと取れ、ほんの少し太陽の周りに残ってはおりますが、至仏山がしっかりと姿を見せております。
 向かいの燧ヶ岳には日がべったりと順光で当たるためにちょっと魅力には欠けますが、失礼ではありますが「一応」撮っておきます。ということで、本題の至仏山の番でございます。西日が至仏山を横から照らし、ゆったりと裾を下ろす姿を強調するかのように優しげな雰囲気を作り出していました。ちょうど雪が降ったおかげでしっかりと雪原になっているし、少し離れればまだまだ足跡は少ないのできれいな雪面が広がっています。
 ということで早くも今回の写真です。言ってみれば何もない雪原の割合が多く、もうひと工夫手前に何か欲しいところですが、まあこれはこれでいいのではないのでしょうか。もちろんこの他にもカットは撮っておりますが、何か別の要素を取り込んで絵を忙しくするのもひとつの手法、でもよく見れば硬そうな雪原、この春の雪原を、全面に持ってきて終わり!というのもアリだと思います。
 問題は何を見せようとするか、を自分の中で明確にすることでしょうか。そこからこうした方がいいとか、もっとああした方がいいとかパターンと優劣は出てくるのでしょうが、こうしたい、という明確な意思が大事かと思います。この場合は小手先の何かを使わず、余計な素材でごまかさず、春の雪原と一番の主題である至仏山、春の尾瀬の至仏山を作りたかったわけです。ここに手前の暇なところに木々の影を入れたりして情報を増やして撮ることもできるでしょうが、情報も増えればいいというものでもありません。そうすると今度は夕方というシチュエーションのほうが強調されたりして、雪面の感じや至仏山の存在感も薄れてしまうこともあるわけです。と言いながら、私は撮るのが仕事ですので、、、、今回のこの写真が一番いいとかではなくてもちろん他に色々とパターンを変えて撮っておりまする。。。すみません。そうしてほぼ日暮れまで撮影し、テントへと戻っていきました。
 翌朝は4時半には撮影に出かけました。いよいよ季節が変わってきましたね、寝る時間が少なくなってまいりました。夏なんか環境的にも撮影しやすいから、天気が良いと夕方〜日没、夜、翌朝と寝る時間ねーじゃんの眼球のゼリーがなんかヨボヨボしてくる状態になったりするので、活動的なのはいいですけどちょっと怖さも感じます。冬山は行動が大変だけど、寝る時間はしっかりあるからなぁ〜。うっすらと明るい中、また昨日と同じ雪原へ向かい、撮影しつつ日の出を待ちます。太陽は燧ヶ岳の右手から出てきますので、ありがたいことに構図的に絵になる場所に日が昇ってきてくれます。今度は至仏山が順光になりますので、やはりやや魅力に欠けますが「一応」撮っておきます。情景的には燧ヶ岳が朝、至仏山が夕方が絵になりますね。でもそうやってどちらも撮れる尾瀬、やはりさすがです。
 一度テントへ戻り、軽く荷物をまとめてから至仏山へと登ります。山ノ鼻から山頂への直登ルートです。無雪期は蛇紋岩のすべすべルートなので、雪が付いていた方がサクサク登れる気がします。が、この時は登り始めからノートレースで、さぁ気持ちいい登山が楽しめるぞと思ったのも束の間、雪質はバリバリの足がズボズボ入るバリズボ雪でなかなか前に進みません。結局高天ヶ原までで2時間かかってしまいましたから、無雪期とほぼ変わりませんがな。
 高天ヶ原から見る尾瀬ヶ原はやはり気持ちがいいです。実は尾瀬ヶ原を眺めるなら至仏山山頂よりもこちらのほうが下側が開けていて、全体が見える感じがいたします。なんでしょうね、湿原も決して広すぎず、見下ろしてちょうど両手を広げるくらいの大きさ。そしてその先に燧ヶ岳がすっくと聳える。絵になりすぎます。右にも左にも広すぎると締まりが無くなって絵に収まりにくいですし、燧ヶ岳がなければタテ方向にもストッパーがいなくなるから締まりがなくなるし、で本当にちょうどいいサイズ感です。時々、自然にできたはずなのに何でこんなに絵に収まりやすい状態になってるんだろうと思う展望地がありますが、本当に何でだろう。わからん。
 高天ヶ原にていくつか撮影を済ませてそこから20分くらい、山頂へと上がってみるといきなり登山者がワンサカといて、山ノ鼻からのルートが誰もいなくて静かだっただけにちょっとびっくり。登山者と言ってもスキーヤー、スノーボーダーが9割といった感じで、ただ登りに来た、という人は少ないわけなんですけれど。すっきりの青空は朝方だけで、やや薄っすらと春らしい薄い高い雲が空を覆ってき始めておりました。仕事的にはここからは下るだけですので、まあは鳩待峠までこのままの天候なら十二分です。

わかってはおりましたが

 至仏山から下り、鳩待峠に着いたのはだいたい10時ごろ。そりゃあここからバスに乗って帰りたいところですが、テントとか寝袋とか幕営道具一式、山ノ鼻に残置してきているわけです。一切を背負って山を越えてくるのとどちらが楽かっていえば軽荷で登って、下って、登って戻ってくる方が楽なんでしょうけど、実はそうでもないんじゃないかと思ってしまうほどの面倒っぷり。できればここはジャンケンで負けた方が一式を取ってくる、ということにしたいところですが、別にジャンケンが強いわけでもないですし、3回勝負からの泣きの1回、ラスト、これが本当の最後の勝負、などと決着がつかないのはわかっております。仕方なしに山ノ鼻へと下り、テントを回収して、すぐさま同じ道を登り返すという修行へと旅立ちました。いや、別に同行の人はそんなに苦に思ってないようで、結局のところこういう時にうだうだ言ってるのって、だいたい私のような気がするんですけどね。情けない限り、メンタルから鍛えなおさなくてはいけないような気が致します。いや、これ小屋泊まればよかったのか。

 ところで、次回のレポートはちょっと先になるかもしれません。
 というのも再来週から長期で撮影に入りまして、
 6月17日放送のBS番組に出演致します。

 あくまで「出演予定」です。
 いつものことですが、それまでに逮捕されたり失言で失脚とかしなければ。

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