Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 47
04 Mar 2019更新

2017年発行地球丸ムック「トランピン雪名山ガイド」・掲載写真「八甲田山」


 先日、荷物までしっかりまとめたのに天気図を睨みつけながら悶々とした挙句、八甲田山への撮影に行くのをやめてしまいました。いやもちろん行くだけなら容易いが何せ仕事なものですから、希望のシチュエーションになるかどうか、ギリギリまで悩むわけです。入ったことのない山ならともかく、すでに何度も入っているとなると写真もより「こうこうこういうものが撮りたい」と目的も明確化しまくりあがってますので、そうじゃないと仕入れコストばかりが嵩んでいってしまい、それって仕事じゃなくて趣味だよね、となってしまう。仕事でやってるとなると純粋に登山だけを楽しみに、つまり遊びに行くなんてのは私としては嫌だし、う〜ん、だからと言ってなかなか出られないのもつらい。というか八甲田くらいがギリギリで、他の山雪少ないし。ということでなかなかお望みの天候にならないし、最近土日ばっかり晴れているような。。。
 そんなフラストレーションは走って解決!といきたいところなんですが、このところこちらの調子もあまり良くなくて、やっぱりそろそろ長距離練習から離脱しないとそれもフラストレーションが溜まってどうしようもないです。やっぱり長距離向いてないのか、走っても走っても燃えるものがない。。。我慢我慢の連続ばかり。いい加減そろそろスピード練習に戻さないと800mの体への仕上がりが遅れそうだし、ということで100m走ってみたら手動だけどランニングシューズで11秒8だった。。。一体何のための長距離練習だったのだろうか。何だか散々ぐだぐだ走って「男の源」であるテストステロンが減った気がするし、え?それって更年期障害ですよって、やかましいわ!
 というわけで(どういうわけで?)、ようやくRGズゴックを完成させることができました。頂いてから約11ヶ月、本当にようやくです。山に出たり入ったりと忙しい時期はなかなか手をつけられず、少しまとまった余裕ができたので一気に仕上げましたが、いやぁよかったよかった。素組みは2時間くらいで終わってたけど、スジ彫り、塗装とRGはパーツが細かいので時間を要してしまいました。というか大半は放置だけど。。。ぼちぼち綺麗にできたとは思うのですが、あくまでもここはプロフェッショナル写真家のサイト、如何せん山岳写真以外はお見せできないのが残念である。松山ブラザーズ(こち亀40巻参照)ばりにしっかりと1/144のシャアも塗装いたしましたよ。このまま流れに乗りたいということで積みプラのHG、F91に取り掛かりましたが、気になる合わせ目がチラホラと。。。機体が小さいくせにこれはこれで面倒っぽい。今回は久々のガンダム機体、パールホワイトでテカテカにしようかと思っております。って画像がないとガンプラの話はなんだかわかりませんな。
 さて今回の写真ですが、その、行けずに悶々とフラストレーションの溜まっている八甲田山からの出場です。撮影は2014年3月1日。今思うとなぜこの天気図で飛び込んだのか不思議ですが、晴れるかも。。と思って行ったようです。無理にこの天気図で行かなくてもいいのに行ったのは、おそらく雪山に入りまくって晴れまくってた時期だったのでもうマグロのように止まると死んじゃいそうになっていたんだと思います。いつもなら八甲田はもっと確実に狙いすまして行くのですが、撮らなくてはいけない山が他にあって、今シーズンに八甲田行くならここしかない!と思ったんでしょう。しかし、そんなに生き急いでどうするんだか。
 出発は前日の2月28日。夜に自宅を出て新幹線に飛び乗り、23時54分に青森駅着の前泊です。え?パンダ号じゃないって?そうですね、なんでこんなに余裕こいてお金掛けたんだか、これも不明。そんなに晴れる!って思ったんだろうか。新青森から普通に乗り換え、真っ暗な青森駅から歩いてすぐのビジネスホテルに着いてはすぐに寝ました。翌日の朝はすごい早いわけではないのですが、何だろう、新幹線でももうちょっと余裕がないとパンダ号と疲労度があまり変わらないような、そんな気がしました。まだまだ空は曇っている感じでしたが明日の朝にはたぶんすっきり晴れて、完全調和(パーフェクトハーモニー)の青空と樹氷が見られることでしょう。と信じて疑いませんでしたよ、この時は。
 翌朝起きて空を見る。雲が多い。。。というか曇ってる。いや、でも青空が広がるはずだ。と信じて疑いませんでしたよ、この時も。駅からロープウェイまではバスで1時間、1時間も乗るんだ、きっと着く頃には青空が広がるはずだ。ということで8時発のバスに乗り、ひとまずはやや焦り始めている気持ちを落ち着かせながら、樹氷広がる完全調和の八甲田山へと向かったのでした。
 冬の八甲田山へ来るのはこのときで4度目となる。雲は薄いものの、やはりあまり変わらない暗い色の空が広がっていた。でもきっと、たぶん赤倉岳くらいを歩く頃には青空が、と信じて疑い(以下略。もうどんな状態だろうが、ここまで来たからにはどうにもできない。もはや哀しい気持ちすら湧かない(強がり)。ロープウェイに乗り山頂駅へ、少し待機したもののスノーシューを装着して鉛色の樹氷原へと飛び出したのでした。
 と言うほど天気は悪いわけでもない。時折雲間から光が差し込んだり、まあ青空ではないけど、見える。見えるぞ、私にも樹氷が見える!ララァ、私を導いてくれ。あなたの来るのが遅すぎたのよって?天気図見ると早すぎたんだよ、コノヤロー。致し方なし、黒い三連星のように並ぶ赤倉岳、井戸岳、大岳は頭こそ雲が被さり見えていないが、何とか山腹の樹氷原は撮れる感じ。まあ贅沢を言わないのであればこういう雰囲気も悪くない。とりあえずは見えるものを拾いながら、樹氷を撮りつつ赤倉岳へと登っていきます。でも樹氷の生育もちょっと悪く、ややブロック状になっているものから崩れそうなものまで、どこを切り取っても絵になるという感じではなかったのでちょっと残念でした。今まで散々樹氷を見てきているので、自分の求める樹氷像が高いのかもしれない。
 天気のほうはう〜ん、もうちょいなんだよなぁ。。。とも言えない感じの空模様。それでも視界は良いので、赤倉岳から井戸岳へと回り込むように歩いていきます。井戸岳は噴火口跡の縁を歩いていくのですが、ここの景色は夏でも冬でも大好きです。今までのどかだった八甲田の景色が急にちょっとダイナミックな感じになり、やたら山っぽくなって絵になります。夏のイワブクロが咲く景色も好きですけど、やっぱり冬は迫力が出ます。このあたりはエビのしっぽもよく発達しており、それがまた厳しさを加速させます。とは言え歩いたらほんの10分ほどで終わりというコンパクトさ、もうちょっと長く続いてもらいたいものですが、この手軽さも八甲田山の良さなのかもしれませんね。
 この辺りから左手に、きれいな三角錐のアポロチョコ高田大岳の景色が広がってきます。形もさる事ながら、その手前に広がる広い雪原がいい感じです。さらにはその奥に山がないので、この界隈では一番広々とした景色が広がるといったところでしょうか、主峰でもないのにやたらと存在感があるのはそういう付加効果のおかげだと思います。だからと言ってそのまま撮るとただの平たい雪原と三角錐の山という単純な絵になりますので、やはり手前足元に何か素材を置きたいところ。発達した足元のエビの尻尾を入れつつ、雪原と高田大岳を撮ったものが今回の写真です。もうちょっとエビのしっぽに接近してスピード感を出したほうが絵としては完成度が高いです、はい。写真を使用しました雑誌はガイドムックですので、すみません、そういうことです。
 ここの雪原は東側のため、雪の当たりが弱く樹氷の出来はさほどでもありませんが、まあいい景色です。樹氷メインであればやはり北側のほうが撮りまくれますが、山らしさ、山上風景はこちらに軍配が上がります。そこそこ光も当たって雪面はきれいに出ておりますが、空に青が欲しいなぁ。できればPLフィルターもかけて、グッと引き締めたかった。井戸岳からは単調な短い下りで大岳避難小屋に到着、ちょうどお昼頃でした。小屋の外にぼちぼちスキー板が置いてありましたので、中には入りませんでした。間髪入れずそのまま歩き続け、大岳へと向かっていきます。
 ということで何事もなくあっさり大岳到着。日本海側から流れてくる雲は結構厚く、結局これといってしっかりと晴れそうな気配はない。とりあえずは大崩れするようなところはないが、まあここから良くなるということももうない。ここまでの行程中にすれ違ったのはスキーヤーのみで、スノーシューで歩いて写真撮ってるなんて人は皆無、大岳山頂もほとんどの人が用事がないのか、誰もいなかった。

もうパーフェクトもハーモニーもないんだよ

 大岳からは早々と下山、ちょっとした樹氷原に囲まれた仙人岱の避難小屋をスルーし、そのまま下山直行。しかしこの周辺はぼちぼち樹氷の着きがよく、う〜ん誠に残念。曇ってると本当に立体感が全然出なくて、どうにもならない。求めていた青空と樹氷の完全調和は一体どこへ行ったのだ。。。仙人岱避難小屋が矢車寺に見えてくる気がする。。。
 地獄兄弟を思い出させるかのような地獄湯の沢をやさぐれながら下り、避難小屋からは40分程度であっさりと酸ヶ湯温泉に着いちゃいました。無理にお風呂に入ることもないのですが、バスの待ち時間があったためにもうこれで何度目なんだという感じで入浴(千人風呂は大好きですよ)、そのあとは天ぷらそばを食べながら、ひとり反省会です。やはり仕事で山に入っている以上、ただ楽しかったでは済まされない。
 午後3時の青森駅行きバス便でしたので、もちろん帰りも新幹線。行きも帰りもパンダ号だと経費は安く済んだだろうけど体力も使うからすぐ次の撮影に響くし(次は2日後に八ヶ岳)、しょうがなかったんだろうけどやっぱり経費がかかったわりに撮れなかったし、う〜ん。でも時々こういう惨敗経験するからより行動に慎重になったり、もっと真剣に天気を見たりするようになるのかもしれないけど、やっぱりどこか納得がいかない。

 いやいや、この「どこか納得がいかない」というような中途半端な、浮いた状態が大事なんだと思います。
 納得してしまうと、解決してしまうと、安心してしまい次への糧になりにくい。
 いつでも失敗はよくないけど、毎度うまくいくのもよくないはず。
 もがきながら、どうなるか誰もわからない未来を掴んでいくのだ。
 そうだよね?

 「うん?、、、、今誰かおれを笑ったか?」(結局闇落ち)

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