Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 43
26 Dec 2018更新

2014年発行「厳選雪山ルート集」掲載写真「燕岳から」

 

 ようやくですが寒くなってきましたね。12月の初めまで本当に暖かかっただけによかったです。このまま暖冬になって少雪で終わってしまうのも残念ですが、かといって寒くて下界で走りにくくなってくるのも残念です。どっちが残念って言われると、まあ難しい。でも何やかんやで年末は結構な寒波が来そうで、特に東北は問題なさそうです。八甲田、西吾妻あたりは今冬に入り込もうと思っているので、まあよかった。12月初めの雪の少なさに今冬は早くも終わったか?なんて思っていましたが、なんとか盛り返してもらいたいものです。
 最近はようやく重い腰を上げ、苦手分野の長距離走をトレーニングに組み込みました。スピード勝負の私は1500mまでは4分20秒くらいは出るのですが、それ以降の距離はもう考えたくもないほど苦手です。一体長距離の奴らは何を考えて走っているのか、全くわからない。いや、キロ4分でフルマラソンとかなら落ち着いてチャリ旅みたいな感じでわかるんですが、キロ3分20秒とかが本当に苦手でして、力も入れず、かといって抜かない微妙な具合で集中力を持って走り続けることができない。キロ2分40秒切れるのに、よくわからないが3分20秒が難しい。しかし、「ターゲット設定、標的捕捉、スタート、どかーん!」みたいな単純構造にしか力を出せない自分に鞭を打たなくては、、、、と頑張り屋さんで真面目な私は思うわけです。ということで最近は柄にもなく、1000m8本とかのインターバルトレを黙々とやっております。でもぶっちゃけ長距離って、体細くなるし、肌つやなくなるし、瞬発なくなるし、中年にはいいことないよね()。どっちかって言ったら、やっぱりパワーが欲しい。そう、パワー、「パワーを!無限のパワーを!!」ってどちらかというと完全にシス系の私としては、何かと言い訳を作って長距離トレから逃げそうです。っていうかやっぱり気持ちが向いてない。
 ところで、そろそろNews欄にても宣伝させていただきますが、2019年1月3日にNHK総合にてドローン大縦走特番放送致します。いつも通り出演、撮影監督を務めておりますので生温かい目で見守りください。「こいつ、ただ登ってモニター見てるだけじゃん。いらねぇ。」という意見もありますが、そもそも場所、コース、撮影する対象、構図、時間、ドローンの動き方など、ちゃんと私が指示しております。って言っても放送されるとそういう細かいところって伝わりにくいからカットされて、確かにモニター見て「いいですね〜」って言ってるだけなんだよなぁ。これはどうしようもない。まだ放送されてないのに早速ボヤいちゃう。
 さて今回の写真ですが、「燕岳から」ってバリバリ槍ヶ岳じゃん、、、なんて言われるかもしれませんが、いや大天井岳も穂高も写ってるし、っていうか燕山荘からじゃん、って言われたらその通りなんですが、その、すみません、結局番宣ですね。今回の正月特番ドローン大縦走はこの燕岳から始めます。特番は雪山です。撮影が大変なので企画通るのか謎でしたがなんとかなって、現場でもなんとかなりましたので、ぜひお楽しみに。
 で、今回の写真の撮影日は2013年12月25日。冬の燕岳は何度も登っているのですが、この雪山ルート集のためにできる限り新しく撮り直そうということで入りました。というかその前は作品ばかりで逐一細かいルート撮影は撮っていなかったので、まあ行かなきゃいけなかっただけなんですけど。今までは写真を撮るためにだいたい小屋が閉まっている時にテント泊もしくは冬期小屋泊で来ることが多かった冬の燕岳ですが、さすがにこの年の冬はとにかく忙しかったので宿利用1泊2日でした。
 1泊2日と言っても冬は宮城ゲートから中房の登山口まで12km歩かなくてはならないので、燕山荘利用だといろいろと大変。というかこの前日まで九州はくじゅうにおりましたので、帰ってからすぐ翌日に入山でしたから中房温泉が精一杯でした。23日に福岡空港で予想天気図を見たら25日が晴れ確定みたいな予報でしたので、う〜ん、中1日でいいから遅れてくれないかなぁ、と思ったものですが、心を鬼にして九州から翌日は北アルプスへとやってきたのでした。なんかもう頭の中がぐちゃぐちゃでどこで何をやっているかわかりませんよ。撮影取材班、みたいな感じで団体行動なら連れてかれる感じでまだやれるんですが、行くか行かないかは自分次第という孤独な環境では案外家を出るメンタル、なんていうよくわからないものが必要だったりします。
 ということで24日は朝に東京を無心で出発し穂高駅からタクシーで宮城ゲート、12km歩いて中房温泉に泊まりました。まあ荷物が軽いから体力的にはどうってことないのですが、旅館だし、、、って中房温泉隙間風が寒いよ!!といいつつ宿泊客が私だけだったので、いろんなお風呂を試したりしてなんだかんだで楽しんじゃったのでありました。中房温泉では一番好きなのが本館だか新館だかの大浴場なのですが、お湯に浸かってから混浴に気付くという、ちょっと落ち着いて入ってらんない何とも微妙な気分になるのですが、まあ宿泊者は私だけということで。ひとまず安心です。
 25日は燕山荘から朝日を撮るために早朝出発です。時間は無駄にしてはいけませんし、麓にいるからって朝日の撮影を諦めてはいけません。午前2時に起床、朝日に合わせて中房温泉を出発したのが午前3時、とりあえず日の出の時間が遅いというのは助かります。暗い中黙々と登っていきますけど、真っ暗で寒そうと思われるかも思われるかもしれませんが樹林帯は風もなく、登っていると暑いくらいです。暗いだけ。
 3時50分ごろに第二ベンチで、思いの外速く登って5時前には合戦小屋に着いてしまいました。日の出が7時前だから、、、あと2時間もある。合戦小屋からだいたい1時間弱で着いてしまうので、このままでは早く着きすぎる。「あなたは来るのが遅すぎたのよ、なぜあなたは今になって現れたの?」なんていうくらいの方がかっこいい登場シーンなわけですが、まあそれだと日の出に間に合ってないからダメだな。って奴との戯言はやめれ!!とにかく頑張りすぎたのか何なのか、デートの待ち合わせ時間に張り切りすぎて早く来すぎてしまったカッコ悪い彼氏のごとく、真っ暗の合戦小屋でなぜか無意味な時間つぶしタイムが発生しました。でもさすがに止まると寒いからあっち歩いたりこっち歩いたり、何度も時計を見てはう〜、う〜とうなる。さすがにしびれを切らして、そうだ、牛歩戦術だ。1時間で行ってしまうなら、牛歩術で1時間のところを寒くならない程度のスピードで2時間かけて歩けばいい。そう思って耐えきれず5時20分に合戦小屋を出ました。
 なぜか6時に燕山荘に着いてしまった。。。。一体何が。確かに私は一般の3倍のスピードで動くかもしれない。でも牛歩のはずが。は、謀ったな!シャアァァァ!あと1時間もここで待機していなくてはいけないのかぁ。というかそもそも私、牛歩は苦手なのだった。燕山荘に入ってくつろぐのもいいが宿泊してないからさすがに気が引けるし、いくらか顔も覚えてもらってるのでまあ入れないこともないのだが、そういう何かお金も払わずにデンッて偉そうに入り込むいかにも常連写真家みたいなのが嫌なので、というか簡単に言うと小心者なので、とにかく外で堪えるしかあるまい。不器用だなぁ。だがそれがいい!ってひとつもよくないよ、寒いよ。でも富士山が綺麗。あ〜早く日が昇ってくれ〜。
 何だかよくわからないものと闘うこと約56分、太陽が昇ってまいりました。さあようやくです。ここからが忙しい、けど太陽の暖かさでウリリリリィ〜って溶けちゃいそう。ということで溶けちゃいそうなところをこらえて撮ったのが今回の写真です。というか、これのちょい前にもっと真っ赤の槍ヶ岳もあるんですが、それはまたそのうち。ガイドブックには真っ赤の作品写真は重すぎると思いますので、この写真を載せさせていただきました。でも正月ならもっといっぱい人がいるだろうに、25日というのがよかったのか他に誰もいなかったのが自由に撮影できてよかった。雪面もきれいだし。
 燕山荘から槍ヶ岳方面を撮るには、やはり南側の冬期小屋くらいまで行ったほうがいいです。望遠で槍ヶ岳だけ、大天井岳だけ、穂高遠望なども撮れますが、広角を利用して全部入れ込んでさらに燕山荘からの稜線の雪面も入れ込んでの撮影ができますので、槍方面を撮られる方は面倒がらずにぜひ南側へ。とはいえ登山客が多いと手前足元の雪面にトレースがついちゃったりもしますから、こればかりは運です。展望がいい場所ですからどうしても堂々と見える槍ヶ岳中心の写真が多くなってしまいますが、せっかくの雪山ですから足元の雪面も素材として扱うといろいろとバリエーションが広がるかと思います。あと、南側にくると常念山脈の山肌も撮りやすいので、ピークだけでなくそういったパーツの切り取りも撮ると撮影の幅が広がります。やはり、尾根筋だけ切り取って撮影しても興奮するくらいじゃあないと、山岳写真好きとは言えない(断言)。
 この時は朝日をまず槍ヶ岳方面の撮影で抑えましたが、もちろん燕岳のほうもいい写真が撮れるのでいつも悩みます。槍方面の撮影を終えた後、すぐに燕岳方面の撮影に向かったのですが、一人雪上で撮影している人がいて、誰だろうと思ったら山岳写真界の重鎮岩橋さんでした。何だかよくわからないが稜線でとりあえず挨拶を済ませ、今度は燕岳の撮影。岩に霧氷が付いていなかったので、まあぼちぼちのテンションでの撮影です。そういえばこの間の正月番組の撮影の時に小屋の方と「すみません、なるべく邪魔にならないようドローン飛ばしますので。」なんて話しながら「下手に飛ばしてると岩橋さんに怒鳴られちゃいそうだし」とか言って話していて、後ろ振り向いたら岩橋さん本人がいた時にはさすがに殺されるかと思ったぜ。。。。
 燕岳の撮影をしたら、のんびり山頂を往復。もうシビアな時間も終わりましたので、焦らずゆっくりです。天候も落ち着いており、風もほとんどない。戻って、蛙岩くらいまで撮影に行く前にジュースだけでもと燕山荘に寄りましたら、結局ジュースをご馳走になってしまいました。泊まってないのに申し訳ない。というか実は先月も撮影に来ており、この12月発売の雑誌の巻頭連載に燕岳を載せていたので、もしかしたら朝も寒い中堪えずに堂々と小屋の中で休ませてもらうこともできたんじゃあないかなんて思ったりしましたが、やはりそういう気質になれず。。。「あいつら、同化してるぜ!!」くらい人目を避ける小心者の私ですから、一生こんな感じなんでしょう。
 ちょろっと蛙岩方面に足をのばし、燕山荘から下ったのが11時過ぎ。午後1時には中房温泉に下って、そのまま12km歩いて午後3時には宮城ゲート。ということでコンパクトにまとめた撮影でした。本当はもっとゆっくりしたいけど、またこの次は南アルプスに向かわなくてはならなかったので後ろ髪を引かれる思いで、下山したのでした。

ところで話は変わります

 正月特番の番宣もしたいところですが、もう一点。年明け1月17日にちょっとした講習会を致します。詳しくはNewsページをご覧ください。講習会っていってもそんなたいしたものじゃありませんので、軽い気持ちでご参加ください。写真教室ってほどのものでもないので、人によってはすでに知っていて何の得にもならないかもしれない。でも何というか、いろんな日本の山に登りつつ、もっと写真撮影も楽しむには、というヒントくらいにはなるかもしれません。私は何事も「楽しむ」のが一番だと思うわけで、こういう形の講習に致しました。がんじがらめで構図とか露出とか、狙いだとかをやっても、難しくてやっぱりわからない人にはわからない。
 トレーニングとかでも一緒のような感じがします。体動かしたいな〜って人に、インターバルトレとか、レペとか、もっと意識高くもたなきゃ!みたいなのって厳しすぎる。それにその厳しいのが耐えられる人だって上限があるわけですから、結局さらに厳しい壁に当たった時に結局難しい状況になる。やっぱり根本はその物事を楽しめるかどうか、やりたくなるかどうかという原動力が何よりも大事かと思うわけです。私の陸上トレのモットーとして大事にしていることは(写真の話じゃねーのかよ)、二流には二流の練習方法があるんです、ということです。二流に一流の練習はできないし、一流はやはり生まれながらに一流ですから。

 つまり、
 虎はなにゆえ強いか。

 もともと強いからよ!

 ということで、やはり長距離練習からは逃げるかもしれない。

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