Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 34
21 Jun 2018更新

2013年発行「ヤマケイアルペンガイド14」掲載写真「谷川岳」

 

 いやー、梅雨ですね。という割にはぼちぼち晴れもあって、写真を撮りに行きたいのですがちょこちょこと急ぎで原稿を書いたり写真を用意したりと忙しく、何度が涙をのんで見逃した日がございました。これから長期で取材に入ることもあり、家に帰れないので不手際がないよう神経を使っているところですが、だからといって自分の撮影をキャンセルしなくてはならないというのもなかなか辛いものがあります。とは言え山に入らないと、忙しいと言いつつも午前中はトレーニングができたりするのでそれはそれで嬉しかったり。ということで最近は自分の本当の仕事を忘れているような気が致します。。。とりあえず今使っている中距離スパイクが破損していることに気がついたので、実はちょっとした破損だから使えないこともないけど、、、、新しいスパイクを買おうかと思います。そんなこんなでスパイクを10足くらい持っております。
 話をまとめると、最近は案外下界仕事が忙しく、午前中はトレーニング、お昼からモニターに向かってひたすら仕事をしようかと気合いを入れるもモニターの下に転がっている作りかけのプラモに気を引かれてスジボリをする毎日です。ああ!山の写真が撮りたい!
 さて、今回のレポートです。そんなわけでいろいろ慌ただしく、申し訳ありませんが今回はおそらく短く、読み応えのないレポートになるかと思いますので先に謝っておきます。この写真はガイドブック、ヤマケイアルペンガイド14の「谷川岳・越後・上信越の山」で西黒尾根の頁で掲載したものです。撮影は2012年7月27日のものです。
 今更ながら改めて、「谷川岳・越後・上信越の山」というわかりづらいタイトル。一体どのあたりのどの山が載っているんだ。。。と思いますが、本当に名山が多いわりに「なんとも言えないエリア」という山たちなんですよね。「これ」というエリアで言い切れない、しかし名山が多く、しかしちょっとそいつらの距離が微妙に離れているという。これ、タイトルつける担当の方は結構苦しんだと思います。上越新幹線沿いの谷川や越駒、巻機、苗場あたりをぶっちゃけて「上越」と言ってしまいたいところがあるのですが、この「上越」というのはちゃんとした意味ではそれこそ妙高あたりの新潟県上越中越下越の上越地方を指すものであって、上州と越後を掛け合わせた上越線・上越新幹線の上越は通称とか造語みたいなものなんですね。でも口頭では結構上越を谷川岳界隈の意味として使っちゃったりしていますし、でも学術的には正しくなくて、とか、結構ややこしいのです。しかしこういうところでテキトーになってしまうと文化というものも鳩の足音の静けさのごとく、知らず知らずのうちに壊れていくものでもあり、つまりやっぱりガンプラはMr.カラースプレーで塗装するよりもエアブラシを使うべきなのであります。手間がかかるものでつい、スプレー缶を使用してしまう自分が情けなくなります。
 ということで、当時は谷川岳によく通っておりました。とにかく天候が難しい山でして、道は歩いていても綺麗な写真が撮れてない、とかいうわけで大変なんです、この山。冬は豪雪でほとんど悪天ですが晴れる日は晴れる、しかし夏は晴れ予報でも暑さ、湿気、標高の低さ、地形などから雲が湧きやすく、まったく読めません。というかまず天気は持たないと言ってよく、7時にはガスるくらいの覚悟でいたほうが気持ちが楽でございます。真っ暗の3時前くらいに白毛門へ登りにいったとき、空にぽっかりと夏雲が湧いたときには一体こいつは何なんだ。。。と思ったものです。おそらく日本で一番気象の激しい山だと思います。
 前日の夕方に自宅を出て、だいたい土合駅か登山センターをねぐらにします。日の出は西黒尾根上部で迎えるわけですから肩ノ小屋に泊まって朝下るほうが楽なのですが、ギリギリまで天気を読んだり、毎週のように通っていると経費もバカにならないので暗いうちから頑張って歩きます。冬だとこういう行動も当然のように行うことも多いので、慣らしトレーニングだと思ってやっています。たぶん。
 この時は太平洋高気圧が乗っかっていたと思いますが、たしか台風も下からやってくるときで、これはチャンスだと思っておりました。今までの経験から、太平洋高気圧の南に台風が出てきたとき、もちろん近づきすぎたらただの台風ですがら影響受けますが、微妙な距離を保っているときは余計な湿気が全部吸われるのか、夏なのに空気感スッキリ、お昼過ぎても雲湧かない!みたいな日があるんですね。ということで熱帯低気圧から台風になりそうな時だったので、まだ台風じゃないけどこれは行けるのでは、と思ったものです。しかし相手は谷川岳、出発のときは早速空はどんより曇りです。ま、まあ登ってみないとわからないのでとりあえず行ってみます。
 さらにですが、この27日の翌28日からは雑誌の取材で北アルプスは薬師岳から黒部五郎岳へ行く日程でしたので、この日中に富山入りしなければいけないというスケジュールでした。予定では西黒尾根から肩ノ小屋、から万太郎山まで主脈を歩き、吾策新道で土樽へと向かうわけですが、土樽駅での電車は少ないですから時間通り、西村京太郎レベルでこなさないといけないわけです。犯人は何時何分の電車に乗り、越後湯沢で乗り換え、、、警部!この日だけ越後湯沢で1分51秒の乗り換え時間が生まれます!みたいな感じのやつです。ですからあまり粘ることもできず、淡々とこなさなくてはいけないのですが、、、、。
 西黒尾根上部の氷河跡の一枚岩で朝日を迎えました。雲海状態だったようで、ありがたいことに山上は晴れておりました。ここで今回の写真、西黒尾根からの谷川岳を撮影しますが、時折雲海が湧き上がって邪魔するので光が安定せず、なかなか山に日を当ててくれませんでした。山はしっかり輝かねーわ、下から雲は上がってくるわで気が気じゃない。こういう焦ってイライラしているところは誰にも見られたくないものです。放送禁止用語を連発します(嘘)。しかしピー音ばかりで何を言っているのか全くわからない。結局15分ほどで雲がどんどん湧いてきて、終わってしまいました。。。。15分ですよ?まだ朝の5時半。ガスった。。。。。もうピーピーピーするぞ!!!
 とりあえず写真解説のほうにまいりますが(汗)、西黒尾根では一番谷川岳の形が整う撮影ポイントです。山頂からちゃんと尾根が続いて足元までつながるラインが大事ですね。標高が高くない山ですので、この距離でラインがつながらない絵を撮ると奥の谷川岳の存在感が弱くなり、ただの岩に見えてきたりします。やはり谷川岳ですから、ちゃんとプライドを立たせてあげて(笑)、どっしりと撮るにはこの感じがよいかと思います。ただ、登山道となりますので、うまく道が見えないよう気をつかうとよいかと思います。本当はもうちょっと右から撮りたいですが、ガレに落ちてしまいますので撮れません。そこでドローン、というのもあるのかもしれませんが、そうすると足元感というものがなくなり、ちょっと違った印象になってしまいます。山を撮るときに、その山を畏敬の念を持って眺める、という感覚を持たせるようにするには地に足をつけた感じは大事です。対象に畏敬を念を抱くということは、生きているものが自分の足で地に立ってその自身の存在を感じつつ、辿り着く道のりはあるものの、道のりは険しく辿り着けない高みにあるものを仰ぐ、ということであります。あ、別に畏敬の念みたいなものを際立たせる必要がなければ、いわゆる絶景!とかだったら気にしなくていいです。
 さて、早くもガスった私はどうすればいいのでしょうか。このまま万太郎山へ向かうのか、下山して土合から確実に富山へ向かうのか。とりあえず少し時間があるのでゆっくりと花を撮りながら登り、肩ノ小屋で待機することに。西黒尾根は花の種類も多いので嬉しいですが、、、、ガスか。早くも6時半ごろには肩ノ小屋にいて、最悪何時まで粘れるか、と頭の中で計算しておりました。すべてコースタイムの半分で歩けば間に合いそう。って別にそんなもの特別な計算することもないだろう。2で割れ、2で。
 正直この日はもうダメぽかと思いました。ライブカメラで見る限りでは山の上だけ雲がかかっている様子なんですが、ちょっと厚いような。。。それでも8時過ぎにスパーっと晴れてきて、一気に青空が広がりました。とは言え喜んでいる暇はありません、だいぶ待機してしまったのでここからハイスピードで攻めていかなくてはなりません。駆けるように主脈をサーっと進んで一気に万太郎山へ!と行きたいところでしたが、谷川岳では珍しい爽やかな夏の青空。途中ニッコウキスゲがきれいなところなど、結局所々で写真を撮るものだから実はゆっくりしていました。って電車の時間に間に合うのだろうか。
 なんだかんだでアップダウンのある主脈、万太郎山に着いたのは10時ごろ。あとは下るだけ、これなら大丈夫そうです。と言いたいが思いのほか道が悪くてスピードが出せないのが谷川岳の悪いところ。吾策新道も上部は一応気を使わないとトラップばかりで転倒くらい簡単にしそうなので、いつものように焦らずゆっくりめで下っていきました。北アルプスとかメジャーなところほどよく整備されていて安心して歩けますが、谷川界隈のちょっと外れた道は本当に油断できないので、いつも「よかった。怪我しなかった。」と下るたびに思います。なぜかよくわからない石鹸のようなスベスベの場所とか、微妙に短くて頼りないトラロープとか。

ということで、そのまま富山へ

 なんだかんだで余裕を持って土樽駅に到着。ここも何度もステビバした思い出の多い駅です。越後湯沢の駅風呂で汗を流してお昼を食べて、今は無き特急はくたかに乗って富山へと向かったのでした。翌日からの取材は同行モデルさん付きなのですが、京都から来るので富山から折立へと向かう急行バスに途中から乗車してくるとのこと。果たして無事会えるのだろうか。非常に不安なまま時間を過ごしたのを覚えています。学生さんだったから、急遽「さーせーん、やっぱ気が乗らなくなっちゃって〜」みたいなことにならないだろうか。結果的には無事会えまして、翌日から3泊4日で折立から新穂高を歩きました。台風が迫ってきていたおかげで、よく晴れました。


 ところで、

 実を言うとこのレポートはしばらくお休みです。
 突然こんなこと言ってごめんね。
 でも本当です。

 2、3日後にものすごく
 赤い朝焼けがあります。

 それが終わりの合図です。
 程なく大きめのお休みが来るので
 気をつけて。
 海開きをしたら、少しだけ間をおいて
 山の日がきます。


 ということで。昨年に引き続き。山の日特番。
 「帰ってきた北アルプスドローン大縦走」の映像を撮ってきますので、しばらく山に入ります!
 果たしてちゃんと晴れてくれるんだろうか。。。。どうなることやら。
 8月11日の放送をお楽しみにお待ちくださいませ!

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