Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 20
29 Oct 2017更新

雑誌 岳人・2013年10月号掲載写真「安達太良山」

 

 いやぁ、10月ももう終わろうとしておりますが、本当に天気の悪い一ヶ月でしたね。今年も紅葉を撮るぞェ〜!と意気込んでいたものの、何とも厳しい年となりました。おまけに月末に九州は霧島に行こうと計画していたのですが、噴火してしまい。。。まあ天気がアレなのでどのみちアレですが。
 風景写真だと天候が悪くてもいくらかこう風情といいますか、雰囲気を撮ることはできるのですが、山岳写真というとやはりいくらか天候がよくないと厳しい場面が多いです。もちろん全くダメというのもなく天候が微妙のときも撮れるものはあるのですが、仕事としてやっておりますと「仕入れ」が少ないと経費ばかりがかさんでしまい、なかなか出るに出られなかったりすることがあります。そういうのを気にせずに自分の作品撮りのために!芸術のために!といきたいところですが、、、まあそれだとただの道楽となってしまう危険性も孕んでいますので、晩年に取っておきます。
 とはいえ天気が悪いと運動もできないので、頭も動かず、原稿も進みが悪くなるという、本当に悪循環です。先日ようやくほぼひと月ぶりに陸上トラックでスパイク練習をしましたが、体が動かないのなんの。さらにはガンプラでさえ、雨の日は塗装が進まない。なんかもう、どうでもいい話になってきました。
 さて、今回の写真は山岳雑誌「岳人」にて、2013年10月号で掲載したもの。日本百名山連載での見開き掲載、安達太良山です。安達太良山は撮るのには案外簡単そうな山に見えてなかなか難しい山で、これぞ!という形が見いだしにくいところがあるかと思います。というのもピークが際立って一峰突き出ているというわけでないので、山腹からも麓からも、もちろん山は見ていてきれいですが、顔が見えない感じが致します。ゾゴックとか、アッグシリーズのMSというとわかりやすいのか、にくいのか。もちろんいい山ですし、歩いていて本当にいいところなんですが、いざ写真の枠の中に収めようとすると、どこが「安達太良山」なのか、という感じになりがちです。いやもちろん安達太良山は乳首のあるピークが安達太良山なんですが、乳首をメインとして捉えすぎると小ささが目立つし、最高峰はやや離れた箕輪山だったり、鉄山が存在感あったりと、なだらかな山というとそうなだらかでもなく、険しいかというと険しくないの本当に中間のような山容です。なので安達太良山の写真というと、どうしても手前にツツジがあったり、紅葉があったりと、違う素材で表情を捉えたものが多く、これぞ、という感じはなかなか難しいです。なだらかなら八幡平くらい潔いと、「主役はオレ(沼)。」という感じでありがたいのですが。
 今回の写真の撮影は2012年10月16日。この年は紅葉が遅く、平年より一週間ほど遅かったと思います。この前週は岩手山を歩いていて、そこから一週間後でもまだまだ見頃だったということでよく覚えております。でもここからの季節の進みが異常に早くて、11月にはアルプスが結構積もっていたり、12月頭の八ヶ岳でじゃんじゃん積もっていたりと記憶に残る年でした。
 安達太良山はかなり好きな山で、なんだかんだで結構足を運んでおります。南麓の銚子ヶ滝も好きで、何でしょう、手軽さがいいんでしょうか。それでいて花、紅葉、雪、と見どころはたくさんと。この時の入山は塩沢登山口から。湯川渓谷を歩いてくろがね小屋、安達太良山と一泊の予定です。山中での行程は行ったり来たりで、もしログ取っていたらただの徘徊者です。湯川渓谷から登るのは久しぶりで、この年から10年くらいも前のこと。そのときは大雨で、もうどうしようもないくらいのときに登っておりました。そのときは写真もほとんど撮れなかったので、それから約10年、ちゃんと天気を選ぶようになりました。若かりし頃は、天候の違いが撮影結果の決定的差ではないと思っていたようですが、どうも坊やだったかと思います。朝に東京を出発したので、入山はお昼、のほほんと登っていきます。
 湯川ルートのよいところは渓流沿いのルートなので、途中で滝が撮れるということ。途中の八幡滝は紅葉がぼちぼち始まっており、なかなか綺麗でした。そのままつらつらと歩き、鉄山の紅葉が目に飛び込んでくるとくろがね小屋に出ます。くろがね小屋と言えば温泉。山中で温泉に入れてゆっくりできる贅沢な小屋ですが、何ぶん稜線まで約1時間の中腹にあるので写真撮影にはやや不便。周囲の紅葉はゲージMAXを迎えておりますが、撮影時間的には昼間でもいいので、朝夕は稜線での撮影ということで、私は哀しくも鉄山避難小屋を目指します。
 紅葉の撮影ポイントをチェックしながら稜線へ。まあ、さすがに平日の鉄山避難小屋なんか誰もいないだろうと思ったら、案の定誰もいませんでした。よかったです。でもう〜ん、本当はくろがね小屋がよかったなぁ。。と。ただ、朝一番に撮影しようと思っていたのが今回の写真、鉄山からの安達太良山なので仕方ないです。未明の暗いうちにくろがね小屋出発というのも考えましたが、やはり小屋からポイントまで5分の鉄山避難小屋が安心です。絶対間に合いますから。夕方、西に沈む太陽は磐梯山に沈んでいきました。こういうのが撮れるのも稜線泊の強みです。
 ということで16日の翌朝。鉄山から安達太良山を撮ります。ここからの安達太良山は途中の矢筈森も含むので、やや複雑に入り組んでなかなかの山容を見せます。乳首をメインピークとしてひとつの山として捉えることができ、かつ美しい山容になるのでお気に入りの撮影場所です。
 日の出から少し時間が経って、しっかりした日差しが当るようになると、紅葉メインで行動していきます。まずは稜線から鉄山の山腹を撮りつつ安達太良山へ向かい、なるべく早いうちに薬師岳からの安達太良山を撮ります。ガーッと下って撮影。薬師岳からはのっぺりした山容になりますが、山腹を彩る紅葉は綺麗です。気持ち悪いくらい、綺麗です。かなり広範囲の紅葉なので、安達太良山として撮るだけでなく切り取ったり、奥に見える吾妻山と絡めて撮ったりと色々できます。
 このときはポジフィルムでも撮影しており、いろいろやることも多くていそいそと写真を撮っていたのですが、途中で登山者の方に「写真を撮ってもらえますか?」と頼まれたのを「すみません、忙しいので。。。」と断ったら怪訝な表情をされてしまいました。本当にすみません。でも刻一刻と変わっていく日の傾き、なかなか時間を無駄に出来ず。でもそんな余裕もないというのもどうなんでしょう。パッと撮ってあげたらすぐ終わるだろうに、こう撮影に集中してると気持ちを切らせたくない、みたいな流れがあったりするもので。
 でも余裕があっても、実は人に頼まれて写真を撮るのが苦手だったりもします。何というか、自分が撮りたいものはよくわかっているのですが、他人に頼まれたときって他人が欲しい絵に沿った方がいいだろうから、そしてそれがよくわからないので、考えちゃったりします。上手に撮ったとしても、他人が求めているのが記念写真だったりすると、ど真ん中に標識と人みたいな、まさに記録を求めていたりもするわけで。でも今の時代はすぐ確認できるから、だいぶよくなりましたね。でも苦手。
 さて、薬師岳での撮影を終えたら今度は鉄山の紅葉を撮りにいくので、また登り返します。乳首直下まで急ぎ足で戻り、峰の辻経由で撮りつつ下ります。峰の辻からくろがね小屋間も撮れるポイントが多いため足を止められてしまいますが、日の傾きが順光のうちになんとか。あとはくろがね小屋周辺で焦らずゆっくりと、撮れるまで撮ります。ここの時点で午前11時。なんとか自分が納得する時間内に予定していた撮影を終えることができました。エクスカリバー2がゲットできた感じです。

バス、求む。

 帰りは勢至平から奥岳登山口に下山しました。まあ、いつものことですがここからが長い。岳温泉との間でシャトルバスもあったりしますがたいてい土日祝運行なので、毎度約5.5km歩いて岳温泉まで下ります。うまく時間が合えば途中のJICAバス停から乗れるのですが、それもそのときの巡り合わせ。まあこの位の距離だとだらだらと歩いてたいしたことないのですが、路線バス、あってもいいと思うんだけど。。。あったらあったで登山者が増えるとも思うんだけど。。。


 文句を言いながら、15kmくらいまでならいつも歩いています。
 というか今年は平日もシャトルバスがあるらしい。。。
 2012年当時は奥岳の湯もなかったので、いつも通り、風呂にも入らず帰京しますた。

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