Report

— 過去に発表した作品の取材レポート。撮影時の舞台裏を、約2週間間隔でほのぼの更新。

REPORT - 12(改訂加筆)
22 Jun 2019更新

雑誌 山と溪谷・2013年8月号掲載写真「利尻山」


 みなさま、先日の「にっぽん百名山スペシャル」はいかがでしたでしょうか。尾瀬はよかったけど、丹沢は。。。なんて思った方もいらっしゃるかとは思いますが、一応丹沢ももっと頑張ったんですよ。やはりテレビ番組という形だと決まった時間の中でうまく伝えるために構成しなくてはならないので、とにかく撮れたいい映像を確実に使えるわけじゃあないんです。なわけで実は尾瀬も含めてもうちょっと、もうちょっとだけかもしれないけど美しい映像もあったのですが、ああいう形になりました。でも、そこそこ良かったでしょ?ん?おじさんの入浴シーンが良かったって?やかましいわ!まあ、放送できなかったお蔵入り映像は、ぜひ特典映像で、、、、って今回はそういうのないのよね。まあしかしともかく評判は良かったようでして、さっそくめずらしく近々に再放送があるようです。みなさま、誠にありがとうございます。
 さてすみません、レポートですが、新作書けよ!と言われそうですがちょっと立て込んでおりまして、、、、また改訂加筆でお許しください。トラック行ったり、ウエイト行ったりしてる暇あるなら、、、いや、ちゃんと新作書こうと思っていたのですが、いろいろ急遽原稿を書かなくてはいけなくなったりしちゃったり、あと、6月はもう明日からまた長期で撮影に入ってしまうんじゃ。。。。吉田くん、お慈悲を、お慈悲をくだされ〜。
 ということでですね、、、、長期でお出かけしてしまいます。今度の撮影はまた、夏のNHK総合での番組となります。もういい加減、北アルプスで撮るところも厳しいだろッ、って思っている人も多いとは思うのですが、なんとか頑張ってまいります。冬を含めて3回作ってきました北アルプスドローン大縦走も、今回をもっていよいよ終了でしょうか、そんな意気込みでやってまいります。もうそろそろ皆様もドローンの映像に見慣れてきたかとは思いますし、南アルプスもやりたいけどみんな見ないだろうし(笑)。まあどんな形にせよ、もっともっと山の美しい風景をご紹介できたら、と思います。日本にもまだまだ埋もれた美景がたくさんあるのですよ。
 なわけで7月下旬には帰ってまいります。おそらく途中で新しいレポートを書くと思いますので、帰ってきましたらアップさせていただきますね。帰ってきたら梅雨明けかぁ。。。。長期山行は200mで約1秒落ちるし、ガンプラは放置したままになるしでつらいことも多いですが、とりあえず、やれることはやってまいります。
 そういうわけで、レポート12の改訂加筆版、始まります。

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 今回の写真は山岳雑誌・山と溪谷2013年8月号の巻頭グラフに掲載したものです。グラフはこの写真のほかに3点の計4点で構成。個人的な好みですが、いつもまとまったグラフを掲載するときは基本見開きで1枚の写真を大きく使い、3枚で6ページ、4枚だと8ページで構成するようにしています。やはり山岳写真というもの、大きくデカく扱って、迫力を出していきたいというのがあり、小さいカットを入れたりしてちまちまページを組んでうまく見せるというのは、せっかくの山という素材を活かせてないのでは、と思うのであります。いや、もちろんそういう組み方で引き出せる素材もあるのは承知だが、とくに自分の写真は短距離パワー型なので、あまり向いていないということで。さすがにテントとか、登山者をモチーフにしたグラフを組むときは2ページで8枚に分けたりとかはしますけど、本業の山岳風景というものは直球ストレートに賭けるのが勝負だと思っています(何と勝負しているのは不明)。ということで今回の写真はそのグラフの一番最初でドスンと使用。撮影は2011年6月30日でございました。
 利尻山というのは、山岳写真を撮る人間からは本当にいつまでも引きずってしまう山で、利尻に始まって利尻に終わる、と言っても過言ではないほど、撮りたくなる山です。北の、海上に、ぽっかりと浮かぶ、島であり、尖峰、という憧れ要素持ち過ぎという反則級の山だ。大好きな山なので、毎朝起きたらまず、ライブカメラでいつも確認しているほどである(曇ってる日多いけど)。
 撮影の初日は移動のみ。羽田から稚内に飛んで、フェリーで鴛泊へと渡りました。以前冬に、悪天でフェリーの欠航が続いて何日も稚内に足止めを喰らい、1週間の予定で入ったのに利尻にいたのは1泊のみというひどい時があったにも関わらず、まぁ夏なら大丈夫だろうと気楽に計画を立てました。結果大丈夫だったのですが、稚内に着いた日は結構天気がよくなかったので、内心ヒヤヒヤとしていました。
 この時は6日間の予定で、ヤムナイ沢からの撮影、オタトマリ沼、山上風景を計画。そのあと上手くいったら島をまわりながら色々な角度から撮ることを考えていましたが、まあ、そんなうまくはいかないことはわかっています。初日は雨の中とりあえず沼浦に移動し、キャンプ場にテントを張る。なんかもう寒々しい風景で、いや実際この時期でもかなり涼しいんですが、またこんなシーズンということで、誰もいないところが寒々しさに拍車をかけております。もちろん利尻山は見えないし、周りはすぐ海だというのに真っ白。まあ、無料のテント場で、なんとなく自由に使えるところが気持ちよかったりもするんですが。。。何でしょう。山の中に入ったときは、それこそ雪山でも、誰もいなくても心細くならないんですが、こうすぐ近くに道路とか、自販機とかが見えてたりすると、何となく寂しくなるんですよね。なぜか山の中よりオバケが出そう。沼浦のキャンプ場に着いたのが午後7時ごろ、日の入りはちょっと後なので、とくに撮るものもなくちょうどいい感じで速攻で寝ました。
 翌日は曇り。夏の利尻の恐ろしいところだが、日の出が午前3時台とやたら早いので明るくなるのもやたら早い。そしてこの日は天気もよくないので、これといってやることもないので、さらに恐ろしい。沼浦と鬼脇の間にある温泉も午後3時からなので、とりあえずオタトマリ沼をぼちぼち歩き、ヤムナイ沢の下見でもしようと散歩へ行きました。ヤムナイ沢の撮影ですが、そもそも沼浦をベースに撮影に出かけるということで、撮影ポイントまで片道7キロの道のりとなります。これを日の出前に地道に歩いて、そして歩いて帰るという、まあ山に比べると楽なのは間違いないが、実に地味な作業であります。でもそういった繰り返し作業は日頃のインターバルトレーニングで慣れているので、むしろ下見して、明日も同じことして、と繰り返すことにむしろ悦に浸る、、、、なんてことはないが耐性がついていると思っている。
 ヤムナイ沢に下見に行ってもまだまだ時間があるので、途中セイコーマートに寄ってから一旦テントへと戻る。話は変わるが北海道と言えば「ガラナ」である。東京では飲めないからか、北海道に来るといつもやたら買ってしまうのである。(がこの前ドンキに普通に売っていた。。。)。温泉が開く時間まで、テントでお菓子を食べて、ガラナを飲んで、と一体何をしに来ているのかさすがに不安になってくる。しかし私はプロのはずだ、こういう時でも一瞬の迷いも焦りも見せず、テントの中では山岳写真家らしくヘーゲルやショーペンハウアー、フッサールなどといった哲学書を読み込む。訳でもなく、そういうのは堅苦しいのでゲーテやシェークスピアといった読みやすい戯曲を楽しむ。訳でもなく、アプリでFF2の熟練度をひたすらに上げていた記憶がある。。。!充電!充電!アルテマの熟練度16まで上げて、一体人生の何になるんだろうか。う〜ん、晴れて〜。
 頃合いの時間に温泉まで歩き、余裕こいてひと風呂浴びているとだんだん天候がよくなってきた。帰り際にまたガラナを補給して沼浦に戻ってきたときには、だんだんと青空が広がりはじめ、利尻山が姿を見せようとしていた。今まではどんよりとした曇り空、テンションもウボァー!と下がりまくっていたが、青い空が見えるとどうしてこんなに気持ちがよくなるんでしょう。沼浦展望台に上がると露のついたエゾカンゾウの向こうに、利尻山が美しく聳えていた。ウボァー!もうだいぶ日も傾きかけてきている時間だったが、オタトマリ沼に向かい、誰もいない湖畔で日が沈むまで撮影を楽しみました。利尻山のシルエットが美しい。シャッターが切れてうれP。やっと、やっとだよ。とりあえず2日かけて、自分が何しにここに来たのか、何で生きているかようやく実感できました。じゃないと一生パンデモニウムの中をさまよっているところでした。てつきょじん!とか言って喜んでる場合じゃねーだろ。
 翌日30日、ようやく本格的に撮影できる天気が訪れました。日の出に合わせて午前1時半ごろ出発(なんか時間おかしくないか?)、ヤムナイ沢へと向かう。利尻が赤く染まるときにはしっかりと到着、いい感じで撮影を始めることができました。ポイントはもちろん利尻山南峰がメインだが、雪渓もきれいだし、沢上部の岩壁もいい。両岸の新緑もなかなか。日が昇ってだんだんと色がしっかりと出てきてから、本気モード。ここからが熟練度16まで上げた腕が試されるってもんよ。だがどうも湿気があるのか、山に雲が湧きはじめ(まだ午前6時だぜ)、ピーカンが撮れなそうな雰囲気が漂い始める。しかしながら、雲がいい影を作り出し、この荒々しい山を引き立たせているので、これはこれでOKである。じっくりとファインダーを除きながら、影の割合、日の差し方、雲の湧き具合、動き具合を見極めてシャッターを切る。これが今回の写真ですわ。山が見えていない時はひきこもっておりますが、やるときはやりますよ。
 ヤムナイ沢からの全景はもちろん美しいけど、雪渓の美しさも強調されて迫力がやや落ちる。インパクト勝負でいくなら、望遠で切り取って迫力を出すのがベターだと思う。ただ、実際は標高もあまり高くなく小さい山なので、切り取りすぎると「高さ」が失われてしまい、切り取りどころを間違えると岩峰だけの写真になってしまって「〜山」「〜岳」感が失われるので注意が必要。しかも南稜はニードルが目立つので、変な風にならないよう左側の切り取る場所に注意しないとバランスが悪くなる。「高さ」を出したいので、キャンバスにもう少し広く山を入れたいが、入れすぎるとニードルが目立って南峰が目立たない、切り取りすぎると岩峰ばかりで「高さ」が出ない、という訳である。このバランスがなかなか簡単ではないので、雲が湧いたのは有り難かったと思われる。
 この日は一通りヤムナイ沢で撮影しましたが、しばらくして山に雲が湧いてしまい、午後は南浜に散歩、オタトマリ沼でウニいくら丼を食し、ガラナ、アンドガラナ、とグルメ観光でした。ウニいくら丼は3000円くらいしたけど、在島中にもう一回食べたい、、、と思うほどおいしかったです。なのに晩ご飯はテントでレトルトですよ。まあ、、、ガラナがあったけど。天候はここから良い日が続きそうで、テントの中で今日の撮影を振り返って色々と考え、やはりキリッと晴れたヤムナイ沢の写真も欲しい、ということで翌日もヤムナイ沢に訪れることにしました。なわけでまた0時半くらいに起きるわけか。

これはキツイ。おかしくなります。

 翌7月1日も午前1時半に出発、めでたく雲ひとつないヤムナイ沢の写真を撮ることができました。ただ、雲がない時の方がやはり前述の「切り取り」でだいぶ悩みました。スッキリ晴れるとそれはそれで迫力を出しにくく、モロに切り取り箇所が目立ってくるので、雪渓込みの全景はいいけど、難しい。  この日はテントに戻ってからバスで島内1周して全方向からのロケハン、テントを回収して翌日の山上の撮影に向けて北麓へ移動しました。日が長いもんだから夕方はポン山に登って日没まで撮影、翌2日は長官山から日の出を撮りたいのでまた午前1時半ごろ出発。寝たのが午後9時すぎとかだから、というかその前日も、、、って、もうこれ白夜かよっ!晴れるのはうれしいけど、ここ何日かずっと起きているような気がします。  島から離れるときには左眼表面のゼリーみたいなものがぐにゃぐにゃと浮いてしまい、コンタクトレンズが乗っているみたいでした。今でも視力2.0の大事な眼なので、こういうことが起こるとパニックです。ちなみに暗い中でスマホをずっといじってても、なぜか一向に視力を持っています。そういう人は老眼早いよ〜、ってすでに目が悪い奴に言われたくないわ!というか老眼もまだ来ないけど。

 島を離れる前に我慢できず、先日とは違う店ですが3000円のウニいくら丼をまた食べてしまいました。
 う〜ん、微妙。

 つまり、オタトマリ沼のお店がおいしかったわけだ。

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